つらい出来事がトラウマとなってさまざまな症状を発症する「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」。特徴的な症状には、過去を追体験する(フラッシュバック)や悪夢を見る、重度の不安に悩まされるなどがあります。
そんなPTSDの重い症状を女性が長期にわたって経験すると、中年における認知機能低下を悪化させる可能性があることが、最新の研究で明らかになりました。
アメリカを拠点とする研究チームは、PTSDが中年女性の認知機能を低下させるリスク因子なのかどうかを確認するために大規模な研究を実施。その結果を発表しました。この研究には、50歳から71歳の女性1万2270人が参加。そのうち67%の人にPTSDの症状があったそうです。
研究では、参加者の学習記憶、作業記憶、注意力、精神運動速度を3年にわたって評価。その結果、PTSDの症状が重かった女性は、症状がまったくなかった女性に比べて、学習記憶と作業記憶の認知機能がおよそ2倍の速さで低下していたことがわかりました。
ちなみに、認知機能の低下は混乱や記憶障害の頻発を招き、運動機能に支障をきたすこともあるそう。例えばアルツハイマー病や、他のタイプの認知症、入院率の上昇、フレイル(加齢により心身が衰えた状態)につながったり、死期が早まったりすることがあるとも言われます。そして、PTSDと認知症はともに女性が発症する場合が多いそうです。
研究チームは「女性のPTSDと認知症の生涯有病率が高いことを踏まえると、PTSDをリスク因子と特定することは、PTSDそれ自身が問題であるだけでなく、認知機能の健全性にも関連している可能性がある。このような知見は、PTSD患者を対象にした認知機能検査を早期に実施することがいかに重要かを裏づけている」と述べています。PTSDによって女性の認知機能低下が加速することを知っていれば認知症の早期発見につながり、早めの対策ができるかもしれません。
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