それは大変な状況ですね…。日中の活動量が減っていることで寝付きが悪くなっている可能性があります。昼間に散歩や買い物などの外出する機会を増やしたり、趣味活動をするなど、活動をする時間を増やしましょう。
それでも熊谷さんの睡眠時間が確保できない場合は、在宅介護を続けるのが厳しい状況と思われますので、在宅介護サービスの量を増やしたり施設に入居することを検討してみてください。
在宅介護のために眠れなくて困っています。最近、認知症の母が夜中に起きて家の中をうろうろするようになり、万一のことがあるといけないので一緒に起きています。何度も「寝よう」と声をかけるのですが、眠れないようです。
万が一のことが心配で私も一緒に起きているので、常に睡眠不足です。それに、母が起きてくるかも、と思ったら私も寝付きが悪くなってしまいました。
どうして母は夜中に起きるようになってしまったんでしょうか?
ご高齢者が眠れなくなる原因は、主に以下のようなものがあります。
ご高齢者の不眠の原因で多いのが”トイレ”です。トイレに行きたくて目が覚めてしまったり「失禁してしまうかも」と不安になることで眠れなくなるケースが増えるんです。
歳を重ねると膀胱の働きが低下して尿を溜められる量が減ってしまうので、トイレの回数が増えることは珍しくありません。が、夜にトイレに何度も行くのは睡眠不足につながるので、困りものですよね…。
本当にそうなんです!うちの母も夜に何度もトイレに行くんですよ。
でも、認知症の影響で1人ではトイレに行けないので、私がトイレまで連れて行って介助をしないといけません。夜中に何回も付き添わないといけないので、ゆっくり寝ていられなくて…。
それは大変ですね…。また、「日中にしっかり活動できているか」が夜の睡眠状況に影響を与えることがあります。
夜の睡眠状況が悪い高齢者は、日中にうとうとしているケースが多くあります。そして、昼寝をしているために夜に眠くなくなってしまって、夜の睡眠状況が悪くなる…といった悪循環が起きているんです。
認知症の影響で昼夜が逆転してしまったケースのご質問も過去にお答えしています。そちらもぜひ参考にしてみてください。
言われてみれば、このところテレビを見ながらうとうとしていることが増えたような気がします。それに「眠い」と言って、部屋からほとんど出ない日もありますし…。
そうなんですね。昼間にほとんど活動しないと、夜に眠気が来なくなります。特に部屋にこもりっぱなしだと、日の光を浴びないので体内時計が乱れますし、身体を動かさないので疲れませんよね。
体力を使わない日が増えると寝付きも悪くなりますから、昼間の活動量は意外と大切なんです。
なるほど、そうだったんですね。
その次の「睡眠環境が整っていない」とはどういうことですか?
睡眠に大きく影響するのが部屋の明るさ。寝るときに部屋が明るいのは、眠りの妨げになります。ちなみに、お母様は寝るときに照明をすべて消していますか?
いえ、小さな明かりだけは付けています。部屋を真っ暗にすると、夜にトイレに行くときに足元が見えなくて危ないので。
できれば、寝るときは真っ暗にすることが理想です。小さな明かりでも眠りの妨げになってしまっている可能性があります。
それと、温度や湿度も大切。特に認知症の人は、「寝苦しい」と感じていてもそれをうまく表現できないこともあります。なので、部屋の温度や湿度、寝具の厚さなどが眠りやすい状況になっているかどうか、定期的に確認してみてください。
母が眠れない理由について、なんとなくわかったような気がします。でも、どうしたら夜に寝てくれるんでしょうか?
いつ母が起きてくるかわからないので、気が張ってしまって私もよく眠れないんです。ちょっとした物音で起きるようになってしまいましたし…。
よく眠れないのはつらいですね…。では、お母様が少しでも眠れるようにいくつか方法をお伝えしますね。
夜間に眠れないときの対策には、次のようなものがあります。
夜間のトイレの回数を減らすには、「カフェインを避ける」「寝る前の水分を減らす」「寝る前にトイレに行く」などの対策がとれます。
まず、カフェインには利尿作用があります。緑茶やコーヒー、紅茶などにはカフェインが含まれていますので、夕方以降は飲まない方が良いでしょう。またカフェインには睡眠を妨げる効果もあるので、睡眠状態を良くするためにも夕方以降は避けてください。
母は緑茶が大好きなんですよね。いつも飲むのは緑茶です。それも夕方以降は減らした方が良いんですね。
次に、寝る前の水分を減らすことも有効でしょう。やはり寝る直前に水分を摂っていると夜中にトイレに行きたくなりますから。ただ、ご高齢者は水分をあまり摂らないことも多いので、昼間は積極的な水分摂取を意識してくださいね。
当たり前のことですが、寝る前にトイレに行くことも大切。認知症の人の場合、ご自分ではトイレに行くのを忘れてしまうこともありますので、「寝る前にトイレに行っておこう」と声掛けしてください。
そうだ、さっき「日中にしっかり活動できているか」が夜の睡眠に影響していると言っていましたよね。どうしたら、昼間の活動量を増やせるんでしょうか?
趣味の活動や買い物などの外出の時間を増やしてみるのはどうでしょうか?お母様が好きなことであれば何でも大丈夫ですよ。
特に、身体を動かしたり誰かとコミュニケーションを取る時間を増やすのが効果的とされています。なので、デイサービスに参加してレクレーションをしたり、他のご利用者とおしゃべりする機会を作るのも良いかもしれません。
デイサービスは、週3回、利用しています。楽しそうに通っていますし、増やしてみても良いですね。
それは良いですね!
また、睡眠環境については先ほどお話しした通り、部屋を暗くするのが大切です。なので、トイレに起きるときに真っ暗だと危険な場合は、足元だけ照らすライトを利用すると安全を確保できるでしょう。
また、外の光が差し込んでしまう場合は遮光カーテンにするのが効果的。できるだけ、睡眠中に光を感じないような工夫をしてみてください。
いくつかお母様が眠れるような方法をお伝えしました。しかし、今後、オムツ交換の介助などの夜間の介助が必要になることもあるかもしれません。そうなると、熊谷さんの負担はさらに大きくなる可能性があります。
あまりに負担が大きいと、「介護疲れ」が原因で熊谷さんが体調を崩してしまうかも。そうならないように、今から介護の負担を軽減する工夫をして睡眠時間を確保しましょう。
今もすでに睡眠不足でつらいのに、もっとつらくなるかもしれないんですね…。その「介護の負担を軽減する工夫」とはどんなものなんでしょうか?
そうなんですね!介護サービスにはいろんなものがあってややこしいので、次のリストにまとめてみました。
在宅介護サービスについては、以下のご質問でも詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
へぇ!在宅介護サービスってこんなに種類があるんですね!
そうなんです。特に、訪問介護には夜間も対応している事業所もありますし、ショートステイは宿泊サービスなので宿泊期間は施設に介護をすべて任せられます。うまく活用できれば、夜間の介護の負担を減らせると思いますよ。
今も熊谷さんの負担が大きい状況のようなので、早めにケアマネジャーさんに相談してみることをおすすめします。
そうですね。もうすぐケアマネジャーさんとの面談があるので、そこで相談してみます。
在宅介護サービスを活用していても介護を続けるのに限界を感じたら、介護施設に入居することも検討した方が良いでしょう。
ちなみに、介護施設には以下のようなものがあります。
介護施設もたくさん種類があるんですね!
施設によっては人気で入居までに時間がかかる場合があります。費用が安くて人気の特養の中には、入居申し込みしてから入居までに2年以上待つこともあるそう。空室がなくて希望の施設にすぐに入れないこともありますので、余裕のあるうちに施設探しをすることをおすすめします。
なので、在宅介護サービスを活用して自宅での介護を継続しつつ施設探しをして、入居の順番が来たら老人ホームに入居するのが理想的な流れですね。
もし、施設探しでお困りのことがあったら、お気軽に「いい介護 入居相談室」までご連絡ください。介護施設に詳しい入居相談員がご希望に合った施設をお探ししますよ!
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。