【落語家・立川談慶】「介護」とは、先人が教えてくれる、自らの老いへの「予習」なんですね

【落語家・立川談慶】「介護」とは、先人が教えてくれる、自らの老いへの「予習」なんですね

更新日 2023/03/24

落語家にして、総著作数20作を超える著述家でもある立川談慶さん。おまけに趣味の筋トレを活かしてベンチプレス大会に出場するなど、マッチョな一面を持つ「異能の人」である。

そんな談慶さんが、師匠・立川談志との20年間に及ぶ交流を通じて学んだことを記した『武器としての落語』(方丈社)を上梓した。

天才談志と過ごした日々のこと、自らの人生をいかに生きていくのかということ、そんなあれこれについて聞いてみよう。

武器としての落語 天才談志が教えてくれた人生の闘い方

  • 著者:立川談慶
  • 発行:方丈社
  • 定価:1600円(税別)

入門して最初に言われたのが「おれを快適にしろ」という言葉でした

―『武器としての落語』は冒頭、1991年に談慶さんが七代目立川談志に弟子入りするところから話が始まります。談志師匠が最初に発した、「おれを快適にしろ」という言葉に翻弄されて、数々のしくじりを重ねたそうですね。なぜでしょう?

天才談志に弟子入り志願をするような人間は、何も私に限らず、自分に対して大なり小なり自負を持っているものです。「自分はおもしろいんだ」「談志の弟子になりさえすれば大成できる」とね。
 
実際、その前年には志の輔師匠が異例の早さで真打ちになっていました。

志の輔師匠が広告代理店でバリバリ仕事をしていた社会人経験を経て、談志に入門したのが28歳のとき。当時、25歳だった私は志の輔師匠と同じく、3年間のサラリーマン経験がありましたから、同じ道を通れば、すんなり一人前になれると高をくくっていたんです。
 
「おれを快適にしろ」という談志のひとことは、そんな私の鼻をへし折るつもりで発した言葉だったのかもしれません。
 
師匠を快適にするとは、どういうことか? 頭をひねった私は、師匠の荷物を全部ひとりで持って、汗びっしょりになって働きました。ところが、これが大間違いでした。
 
師匠が弟子に重い荷物を持たせて威張っているという構図を周囲にさらすのは、談志がいちばん嫌うことだったんです。

エレベーターに早く師匠を案内しようと、人混みをかき分けたりするのも大間違い。どちらもかえって師匠を不快にさせてしまい、どやされるわけです。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

しくじった挙げ句に言われたのが、「おれに殉じてみろ」という言葉

―落語家には前座、二ツ目、真打という3つの階級があって、二ツ目に昇進すると師匠の身のまわりの世話から解放されて、紋付きの着物と袴を着て高座にあがることを許されるといいます。通常、3~5年で二ツ目になる人が多いそうですが、談慶さんは9年半という異例の長さだったそうですね?

はい、その通りです。談志は昇進の条件を、「二ツ目は古典落語50席、真打は100席おぼえる」と明確にして、著書にも書いたりしていたんですが、途中から「都々逸、長唄、かっぽれなどの歌舞音曲の修得」という条件が付加されたんです。

古典落語は大学の落研時代からすでに30席ほどのレパートリーがありましたから、「あと20席おぼえたら二ツ目昇進」と思っていた自分としては、大いに不服でした。

100メートル走を必死に駆け抜けてゴールしたのに、「今度はハードルだ、長距離だ」と別の競技を足されるようなもんですからね。

ちなみに歌舞音曲の課題に関しても、私は盛大な勘違いをしています。

談志に認めてもらうからには本式にやらねばと、テープやCDを聴いたり、小唄を教えてくれる教室に通ったりして唄をおぼえるわけですけど、「おれが求めているのはそういうのとは違うんだ」と、ことごとく否定されました。

つまり、「唄をうまくうたえるようになれというんじゃない。落語の登場人物が酔っ払ってうたう調子でいいんだ」というわけです。

そんな調子でしたから、談志の前座をつとめて5年目、私より2年遅れて入門してきた談笑が二ツ目に昇進して、弟弟子に追い越されてしまうようなことになるんです。

ある日、そんな私に談志は言いました。「おまえ、そこまで不器用か。ならば、おれに殉(じゅん)じてみろ」と。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

悩んだり、迷った末に気づいた、「倍返し」の境地

―「おれに殉じてみろ」とは、すごい言葉ですね。

今の私なら、この「談志語」を自分なりに翻訳することができます。おそらく、「そこまで不器用なら、不器用に徹してみろ。その不器用さを活かして、おれを真似てみろ」という意味だったのではないでしょうか。

その後も、自分がおぼえたことを談志に披露し、そのことごとくを否定される日々が続きました。気持ちが折れそうになった何度目かに、ふと気づくことがありました。それは、「迷っているのは自分のほうで、師匠がおれを迷わせているのではない」ということです。

例え話で説明しましょう。鏡で自分の姿を見たとき、ネクタイが曲がってたら、まっすぐになるように直しますよね。普通なら、自分の首元に巻いてあるネクタイをずらして直しますけど、当時の私は、鏡に映っているほうのネクタイを直そうとしていたんです。

これはもう、とんでもない勘違いです。いくら鏡をいじろうとも、曲がったネクタイは直りませんからね。

結局のところ、師匠が提示してくる昇進基準を「無茶ぶり」ととらえて、ただこなしているのではダメで、自分から進んでアクションを起こしていかなければならないということに気づいたんです。

そうなると、談志から「踊りを5つおぼえろ」と言われたら、10おぼえる。「唄を10曲おぼえろ」と言われれば20曲おぼえるという具合に、先回りして「倍返し」していくようになりました。そこからは、技芸を身につけていくことが嘘のように楽しめるようになりました。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

天才談志はプロデュースの名人だった

―二ツ目昇進まで、普通の人の倍以上の9年半をかけた談慶さんですが、そこから真打に昇進したのは5年弱です。「二ツ目は通常、約10年」といいますから、かなりスムーズだったんですね?

本当は、二ツ目になって3年たったとき、「おまえ、真打になっていいぞ」と師匠から言われていたんですが、自分なりにまだ真打になるほどの器ではないと返事をズルズルと先延ばしにしていたんです。
そんなある日、たまたま自宅の近くで独演会を開催した春風亭小朝師匠とお会いする機会があって、相談してみました。

そのとき、「談志師匠がそう言ってくれているなら、早く真打になるほうが恩返しになりますよ」という言葉を聞いて、真打になる決心をしたんです。

みなさん、ご存知だと思いますが、談志は頭にバンダナを巻いて高座にあがったり、サングラスをかけてみたり、髪の毛を染めてみたり、それまでの落語家がやらなかったことをやりました。メディアに伝えられるキャラクターとしても、「毒舌家」「破天荒」の落語家というイメージを多くの人が持っていると思います。

でも、前座として9年半もの長い年月、前座として一緒に生活してきた私は、師匠が家族を心から愛するマイホームパパだったことを知っています。

そのおかげで、男女ふたりのお子さんは、まっすぐに育った好人物ですし、師匠の「愛情を惜しげなくつぎ込む」という子育て哲学は、私もずっとお手本にしてきました。

―もしかすると談志師匠は、落語の名人だっただけではなく、自己プロデュースの達人だったのかもしれませんね?

本当に、そう思います。今思えば、9年半という長期間、私を前座の身に据え置いていたことさえ、ある種の計算があったのではないかと思えてきます。
 
生前、談志は弟子たちに「おれの悪口を喋っているだけで、おまえらずいぶん食っていけるだろう」と言っていましたが、私が落語家としては異例の20冊以上の書籍を執筆できているのは、談志が「異例の長さの前座修行をした男」という経歴をつけてくれたおかげだと思うんです。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

談志は自らの「老い」を人一倍、恐れていた

―談慶さんが談志師匠に弟子入りしたのは25歳のときですが、当時の談志師匠はちょうど30歳年上の55歳。どんな様子でしたか?

そりゃもう、エネルギッシュでしたよ。朝から肉料理をガツガツ食べて、映画の試写会に行った足でプロデューサーと打ち合わせをしたり、メディアの取材を受けたり、そうかと思えばパーティに顔を出してジョークを言ったり。そばについてるだけでクタクタになるほどでしたが、師匠は一日中しゃべっていてもつねに元気でした。
 
落語家は年をとったら味が出る、なんてよく言われます。でも、談志は「そんなのは嘘だ」と否定していました。
 
談志の豪快磊落、天衣無縫な落語は、実は「落語は業の肯定である」という定義のうえに組立てられた緻密な計算があって成り立っていました。豪快さと繊細さ、その両面を備えた緻密な落語を表現するには、人並み外れた胆力と体力が必要です。
 
ですから談志は、自分が老いるということに対して、人一倍の恐怖心を持っていたと思います。
 
実際、62歳で食道がんになったとき、記者会見でタバコを吸って見せたりしたのは一種のやせ我慢的なポーズで、これをきっかけに自分の健康を維持することに大変、気を遣うようになりました。

―さすがの談志師匠も、年には勝てないということですか?

談志が得意としていた古典落語の演目のひとつに「野ざらし」があります。おっちょこちょいな八五郎という主人公がサイサイ節という唄をうたいながら河原で釣りをする見せ場があって、演じるのにかなりの体力を要するんですが、そういうネタをだんだんやらなくなりました。
 
そうかと思えば「落語はイリュージョンだ」と定義替えをしたり、落語の途中に解説ふうの話を入れたり、時事ネタを放り込んでみたりして自分の落語観をアップデートしていきました。
 
今思えばそれは、「老い」への抵抗だったのかもしれません。つまり、若いころは剛速球で馴らした投手が、ピークを越えて変化球投手に鞍替えするようなものです。
 
私が真打ちになったのは、談志が70歳になった年で、私は40歳になってましたが、そのトライアルの席で談志はこんなことを言いました。「お前もいつか、わざと落語を下手にやりたくなる日が来る。その日が来なかったら、嘘だと思え」と。
 
芸の道というのは途轍もなく奥深いもので、「わざと下手にやる」なんて境地が本当にあるのかと首をひねりたくなりますが、このころの談志は、ただお客さんを楽しませるだけでは満足できない域に達してしまったのかもしれません。
 
ちなみに晩年は、「イリュージョン」から「江戸の風」と言っていました。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

人生を丸ごとつぎ込まねば学べないことがある

―談慶さんにとって、談志師匠の落語のピークはどのあたりだと思いますか?

そりゃ、何といっても2007年12月18日、72歳の談志がよみうりホールでやった「芝浜」でしょうね。
 
多くの人から「伝説的名演」と評価されているだけでなく、談志自身、「あれは神様がやらせてくれた最後の噺だったのかもしれない」と語ったほどですから。
 
そこから先は、「老い」に身を任せてソフトランディングしていくような感じだったと思います。
 
74歳で咽頭がんを患って、その翌年に声帯摘出手術を受けるまでの最晩年の高座は、兄弟子の談春兄さんいわく、「落語と一席ずつお別れしているようだった」といいます。

―師匠と過ごした20年間をふり返って、天才談志の「人生の去り際」は談慶さんの目にどのように映っていますか?

談志は、最後の最後まで落語家だったと思います。そして、その手本となる生き方を身をもって私に教えてくれました。
 
人は誰だって「老い」には逆らえないし、人生の最後には必ず「死」がやってきます。そう考えてみると「介護」というのは、ただ老いた人を手助けすることを指すのではなく、老いた人から人生の仕舞い方を教えてもらう「予習」のような場なのかもしれませんね。
 
数年前、83歳で亡くなった父のときも、同じようなことを感じました。葬儀を終えたとき、思春期の入り口である反抗期を迎えたばかりの長男と次男に目をやると、ふたりとも泣きじゃくっていたんです。「親父は、亡くなることで孫に情操教育をしてくれたんだな」と感じて、私ももらい泣きしてしまいました。
 
以前、寿司職人が「飯炊き3年、握り8年」で、一人前になるには最低10年かかるという話を「バカバカしい」とSNSで批判した人がいましたね。

その人にとっては、落語家の修業も同じように見えるのだと思いますが、厳しい徒弟制度に自分の人生を丸ごとつぎ込むような形ではないと学べないこと、伝えられないことが私はきっとあると思うんです。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

「老い」に対抗する唯一の手段は、自分の体の声に敏感になること

―ところで談慶さんは、筋トレが趣味で、57歳になっても「ベンチプレス100㎏以上を上げる落語家」として有名ですが、これは談慶さんなりの「老い」に対する抵抗なのでしょうか?

そうかもしれません。

筋トレをはじめたきっかけは41歳のとき、頸椎ヘルニアになってしまったことでした。幸いなことに、カイロプラティックの名医と出会って痛みは治まったんですが、「今回の処置は、あくまで応急処置です。再発しないようにするには、背中の僧帽筋を鍛えて筋肉でガードするしかありません」と言われてジムに通うようになったんです。

以来、休まずにジム通いを続けられているのは、筋トレが生活のメトロノームのようになっているからです。

朝早くに、ジムに行って、ひと眠りしたあと午後の2時から仕事をすれば、時計の針が深夜の12時にまわる前から眠くなります。爆睡して目覚めてみれば、疲労から完全に回復しているから、また筋トレをしたくなる。そんなふうに筋トレが生活のリズムを整えてくれるんですね。

―では、談慶さんはまだ「老い」を意識することは少ないんでしょうね?

いえ、そんなことはありません。50代なかばを過ぎると、体のいろんなところにガタがくるようになりました。
 
この間、肩の関節をやっちゃって痛みがしばらく残ってますし、古傷のヒザの半月板も痛むようになってきました。「筋肉は裏切らない。鍛えれば鍛えるほどたくましくなる」というのが私の口癖でしたけど、「関節」は平気で裏切ってきますね(笑)。
 
あと、私は2022年の1月にコロナに感染しましたけど、これも「老い」と関連があると思ってます。
 
実は、前兆があったんですよ。筋トレしたあと2日続けて体に寒気が走ったんです。「あれ?」と思ったけど、「まぁ、大丈夫だろう」と油断して放置してしまったのがいけなかったんですね。3日目に発熱して、陽性であることがわかりました。
 
要するに「老い」のせいで無理が利かなくなってきたってことです。ですから、これからは体の声に敏感になって、感受性を高めなければならないと思っています。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

年をとるというのはネガティブなことばかりじゃない

―新型コロナウイルスの感染拡大は、落語家としてのキャリアに重大なダメージを与える出来事ですよね?

もちろんです。それ以前に予定していた落語会はすべてキャンセルになり、スケジュール帳はまっ白になりました。

落語家にとって「三密」を禁じられるというのは、鳥がツバサをもがれるようなものです。というのも、音楽のコンサートや演劇以上に、落語の表現形態は演者とお客さんとの距離が近いんです。

もちろん、ミュージシャンや演劇人より、落語家のほうが被害が大きいと言うつもりはありませんが、落語家の表現の環境がコロナ前に戻るには、他ジャンルよりも長くかかるんじゃないかと思っています。

ただ、泣き言ばかりいって、コロナを恨んでみたところで、何にもなりません。そこで、暇になった時間を本の執筆に振り分けるようにしました。それまで忙しくて断っていた企画も引き受けて、表現の場を高座から紙の上に移し変えたんです。

もともと、コロナになる前から10冊以上の著書を持っていましたので、頭の切り換えは早かったんです。

おかげでこの3年間で11冊の本を出すことができたし、そのうちの1冊、『花は咲けども 噺せども 神様がくれた高座』(PHP文芸文庫)では小説家デビューすることもできました。

まぁ、寝る間を惜しんで執筆に時間を割いたせいで、ストレスが溜まってコロナにもかかってしまったわけですが、それだって「これからは体の感受性を磨いていこう」という教えを与えてくれたわけですから、ポジティブに働いた経験だったとみることもできます。

―談慶さんのその「転んでもただでは起きぬ」という発想、素晴らしいです。

自分の「老い」との向き合い方にも、その発想は使えると思いますよ。
 
最初に、談志に弟子入りしたばかりの私が「おれを快適にしろ」という談志語を理解できずにしくじった話をしましたよね。
 
でも、年をとることで「こういう意味だったのか」と、その言葉の真意に気づくことができます。そして、その教えをネタにして、作家として表現の場が与えられている。「おれの悪口を喋っているだけで、おまえらずいぶん食っていけるだろう」という談志の生前の予言は、まさに的中しているんです。
 
そう考えてみると、年をとるのは決してネガティブなことばかりじゃなくて、ポジティブな面も多分にあるっていうことがよくわかります。
 
ありがたいことに、落語家には「定年」というものがありません。師匠である談志が見せてくれたように「生涯現役」の生き方をお手本にして、これからも頑張っていきたいですね。

『武器としての落語』を上梓した落語家・立川談慶

撮影/八木虎造

地域から老人ホーム・介護施設を探す

北海道・東北

北海道札幌市)|青森県岩手県宮城県仙台市)|秋田県山形県福島県

関東

東京都神奈川県横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県さいたま市)|千葉県千葉市)|茨城県栃木県群馬県

甲信越・北陸

新潟県新潟市)|富山県石川県福井県長野県山梨県

東海

愛知県名古屋市)|岐阜県三重県静岡県静岡市 / 浜松市

関西

大阪府大阪市 / 堺市)|京都府京都市)|兵庫県神戸市)|滋賀県奈良県和歌山県

中国・四国

岡山県岡山市)|広島県広島市)|鳥取県島根県山口県徳島県香川県愛媛県高知県

九州・沖縄

福岡県福岡市 / 北九州市)|熊本県熊本市)|佐賀県長崎県大分県宮崎県鹿児島県沖縄県

よく読まれている記事

よく読まれている記事

article-image

介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

article-image

グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

article-image

【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

total support

介護の悩みを
トータルサポート

total support

介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。

鎌倉新書グループサイト