介護保険法は、介護が必要な人を支えるための法律です。安心して介護サービスを利用するために、目的や内容についても知っておきましょう。また、介護保険制度の対象者や介護保険を利用するための手続きについても紹介しています。 介護保険法とは? 介護保険法は、介護や支援を必要とする人が住み慣れた地域で日常生活を送るために、社会全体で支え合うための制度(介護保険制度)について定めた法律です。介護費用の一部給付や介護認定のほか対象となる施設や事業者など、広範囲にわたって取り決められています。 介護保険法の目的 介護保険法の目的を理解するためには、介護保険法第1条を読んでみましょう。実際の文章は下に記載しますが、簡単にいえば、要介護状態になっても自分らしさを尊重し、自立した日常生活を続けることを目的にしています。 介護保険法第1条(目的)この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。 出典:介護保険法 老人福祉法と介護保険法の違い 介護にまつわる法律には、介護保険法のほかに老人福祉法があります。 老人福祉法が作られた1963年は、高度経済成長により都市化や核家族化が進んだ時期にあたります。家族内で支え合う力が低下したことで、地方に住む高齢者の介護が社会問題化しました。そこで、高齢者の生活の安定や健康維持、社会参加を目的とした老人福祉法が制定されました。 一方の介護保険法ができた2000年は、高齢化が進んだことで膨れ上がった社会保障費が財政を圧迫。さらにバブル経済崩壊により税収は落ち込んだため、新たな財源の確保が必要となりました。そこで、40歳以上の人から介護保険料を集め、介護が必要な人を社会全体で助ける仕組みに変えるために介護保険法が作られました。 このように、2つの法律は時代背景に合わせて異なる目的で作られました。特に大きな違いは、老人保健法は税金を財源とした「公助」なのに対し、介護保険法は介護保険料を活用する「互助」という点です。 介護保険法は3年ごとに改正される 介護保険法の制定から20年以上が経過し、要介護・要支援の認定を受けた方は3倍以上に増加しました。また、介護を取り巻く環境は常に変化し続けているため、3年に1度改正することで時代の流れや新たなニーズに適応させています。 改正は次の表のように過去に7回おこなわれました。 2005年改正(2006年4月施行) 新たなサービス体系の確立 サービスの質の確保向上 予防重視型システムへの転換 施設給付の見直し 負担の在り方制度運営の見直し 2008年改正(2009年5月施行) 業務管理の体制整備 本部への立入検査など 処分逃れ対策 指定更新の欠格事由の見直し サービス確保対策の充実 2011年改正(2012年4月施行) 医療と介護の連携の強化 介護人材の確保とサービスの質の向上 高齢者の住まいの整備 認知症対策の推進 ...
2023/03/27
親の介護に対する備えは具体的に何をしたら良いのか。最近ではこのような疑問を感じている人も多いのではないでしょうか。高齢社会が進み、現役世代は仕事と介護の両立という大きな問題に直面しています。 この記事では、仕事と介護を両立するためのポイントや、自治体や企業などの社会的な取り組みについて解説します。 介護離職とは何か?仕事と介護の両立ポイント 介護離職とは、身内の介護のために勤めていた会社を辞めることです。社会問題となっている介護離職の現状と、仕事と介護を両立するためのポイントを紹介します。 介護離職とは 仕事と介護の両立は心身共に大きな負担がかかります。介護離職の原因として「仕事と介護の両立が難しい職場だった」という意見が半数以上を占めており、介護を担う可能性が高いのは働き盛りの40〜50代が多くなっています。 管理職などの重要な役職にある社員が抜けるのは会社にとっても大きな損失です。それゆえ介護と仕事の両立を支える制度を整えることは企業にとって急務でしょう。 また介護離職者はその後の転職も難しく、安定した収入源がなくなるために経済的に困窮する状態に陥るケースが多いです。 仕事と介護を両立させるためのポイント 仕事と介護を両立するためのポイントとして、まずは職場に身内の介護が必要になっている現状を伝えましょう。突然の休暇や遅刻の理由を職場が理解していれば協力が得られやすくなり、業務を他の人に任せやすくなります。 職場に伝えてない状態は周囲に不審を抱かせ、ますます両立しづらい状況となるでしょう。双方のためにもまずは職場に理解をしてもらえるよう努めましょう。 介護に対する自治体と企業の取り組み 仕事と介護を両立するための自治体や企業の支援制度や取り組みは、次のようなものがあります。 家族介護慰労金 家族介護慰労金とは、在宅介護している家族が条件を満たした場合に支給されるお金のことです。介護者への労いと、要介護度が高い高齢者を在宅介護している同居家族への経済的負担の軽減することを目的としています。 支給条件としては介護保険サービスを利用せず、要介護度4〜5の要介護者を1年以上介護している同居家族が対象で、自治体により年額10〜12万円が支給されます。 介護休業制度 介護休業制度とは、育児・介護休業法に定められている労働者が要介護の家族の介護をするために利用できる制度です。目的としては現在、社会問題となっている介護離職者をゼロにすることを目指しています。 企業としても、中心的役割の優秀な労働力の流出を防げるのでメリットがあると言えます。 ゆとりある老後を送るためには ゆとりある老後生活の概念は人それぞれですが、高齢社会が進む日本では「老後」と呼ばれる期間が特に長いので、老後資金の確保は不可欠です。 老後資金の確保 老後資金とは、定年退職後の生活のために準備しておくべき生活費のことです。では、老後までにどれくらいの金額が必要なのでしょうか。またゆとりある老後の資金を貯めるために今からどのようなことをするべきでしょうか。 老後の生活収入としては定年退職後に支給される公的年金に頼ることが一般的です。しかし、ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金だけでは不足することが予想されます。老後資金を作るための方法についてはこちらで解説をしていきます。 今からできる家計見直しポイント ゆとりある老後生活を送るために、今からできる家計の見直しポイントを紹介します。まずはじめに大切なのは、日常生活を送るための費用を把握するために家計簿をつけることです。 それにより、居住費や光熱費、食費、医療費などの出費を「固定費」と「変動費」に分類できます。 見直しポイントとしてはまず固定費に注目します。中でも居住費は一度見直すことで効果的で長期の節約につながります。詳しい内容はこちらで解説していきます。 75歳以上のすべての高齢者が加入する医療制度 加齢や持病の影響で医療費は年々高額になっていきます。そのため、75歳以上の全ての高齢者が加入する後期高齢者医療制度という医療制度があります。 後期高齢者医療制度 後期高齢者医療制度とは、75歳以上の全ての高齢者および64〜74歳で寝たきりなどの一定の障がいがあると認定された人が加入する医療制度です。 年を重ねると病気を発症したり、持病が悪化するといったケースで医療費が高くなります。 そのため後期高齢者医療制度では、一定の条件に含まれる高齢者にかかる医療費を、高齢者が支払う窓口負担や保険料だけで賄うだけではなく、公費や現役世代の支援金も活用することで、高齢者を社会全体で支えています。 介護に対する備えに関するよくある質問 仕事と介護を両立させるためにはどうすれば良いですか? まず職場に身内の介護が必要になっている現状を伝えることが重要です。突然の休暇などが介護によるものだと上司や同僚がわかっていれば協力が得られやすく、仕事を他の人にお願いすることもできます。 介護を理由に会社を休むことはできますか? 昨今では、介護休業制度を設けている企業が増えてきています。介護休業制度とは、労働者に認められている権利のひとつで、要介護状態にある家族の介護をおこなうために業務を休業できる制度を指します。 ただし、介護休業を取得するためには条件があるので注意しましょう。 公的年金のみでゆとりある生活は送れますか? ゆとりある老後生活を送るためには、公的年金だけでは不足することが予想されます。老後の資金を貯めるためには、今から家計の見直しをし貯蓄につなげましょう。主な見直しポイントとしては固定費に着目し、できるだけ支出を抑えるようにしましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "仕事と介護を両立させるためにはどうすれば良いですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2022/02/03
企業の福利厚生制度のひとつである介護休業制度。最近では利用する人も増えてきているようです。働きながら介護をしている人は、介護の身体的、精神的負担を考慮して「仕事を休む」という選択肢を一度考えてみても良いかもしれません。 この記事では介護休業制度の具体的な内容や申請方法、事業主のメリットやデメリットなどについて紹介します。 介護休業制度とは? 介護休業制度とは、労働者に認められている権利のひとつで、要介護状態にある家族の介護をおこなうために業務を休業できる制度のことです。 具体的に休業できる日数は介護の対象となる家族一人につき93日とされていて、その日数を最大で3回に分割して休業することが可能です。 なお93日とは休業中の土日祝日も含めた93日のことで、営業日ではないので注意しましょう。 このような制度があるにも関わらず、介護離職の数は年々増え続けており、能力の高い労働者が介護を理由に退職してしまうのは企業にとっても大きな損失です。 良い人材を流出させないためにも介護休業制度を適切に運用し、活用していくことが必要になってきます。 介護休業の対象者 介護休業制度を利用できる労働者は、要介護状態にある家族を実際に介護する労働者です。ここでいう労働者に雇用形態の定めはなく、正社員以外にもアルバイトやパート、派遣社員、契約社員などの有期契約の労働者も含まれます。 ただし、有期契約の労働者については、契約期間や契約の終了する時期によって対象者が限定されるので注意しましょう。 また、日雇労働者などの日々雇い入れられる労働者においては介護休業を取得することはできません。 なお、介護休業制度を利用するにあたり性差はなく、男性でも女性でも利用することができます。 有期契約労働者が介護休業を取得するための要件 雇用形態が有期契約の場合でも介護休業制度を利用することは可能ですが、以下の2つの条件を満たしている必要があります。 入社して1年以上が経過していること介護休業開始予定日から起算して、93日を経過する日から6カ月経過する日までに、労働契約が満了し、雇用契約が終了することが明らかでないこと 介護休業制度の本来の目的は、労働者が仕事と家庭を両立しながら継続して働けるようにすることです。そのため、こういった条件を定めることで、介護休業を取得してすぐに退職するといったことが起きないようにしています。 対象外になる労働者 事業主は原則として介護休業を申請された場合にはその申し出を拒否をすることはできません。しかし、以下のいずれかに該当する場合は労使協定で定められている限り、対象外とすることができます。入社してから1年未満 申出の日から93日以内に雇用期間が終了する1週間の所定労働日数が2日以下基本的に介護休業は労働者の権利になるので、自由に取得できることを前提に制度を構築するようにしましょう。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; color: ...
2022/02/03
高齢者世帯が負担に感じる支出はどのようなものがあるのでしょうか。この記事では今からできる家計の見直し方法について解説し、支出を抑えるためのポイントをご紹介します。まずは実践できるところから始めてみましょう。 老人ホームの入居・生活にかかる費用はいくらくらい? 老人ホームに入居して生活する費用は、受け入れ条件が異なりますが公的施設に比べ民間の老人ホームの方が高くなる傾向です。 公的な介護施設の費用相場 公的な介護施設は「公的施設」や「介護保険施設」と呼ばれており、65歳以上の介護度が高い人や経済的理由などにより自宅での生活が困難な人が利用できます。 特に、特別養護老人ホームは入居一時金が0円、月額利用料も約7.5~14万円(利用する居室の広さやタイプによって料金が変わる)が相場で終身利用が可能なので希望者が多く待機期間が発生する可能性があります。 民間の老人ホームの費用相場 民間事業者が運営する老人ホームは、入居者の要望を満たすための手厚いサービスを揃えています。 そのため、公的施設と比較すると初期費用・月額利用料ともに高くなる傾向ですが、入居条件は公的施設ほど厳しくなく待機期間についてもさほど心配は要りません。費用相場は入居一時金が数十万円から数千万円、月額利用料は12〜30万円です。 高齢者が負担に感じている主な支出とは 高齢者の暮らしの中で負担に感じている主な支出とはどのようなことでしょうか。内閣府が調査した令和元年度高齢者の経済生活に関する調査結果で確認すると、第1位は「食費・光熱水費」、続いて2位が「保健・医療関係費用」となっています。ちなみに第3位は「交通費・自動車維持費などの費用」でした。 過去1年の実際の大きな支出項目を照らし合わせると同じく食費・光熱水費・医療関係が上位を占めていました。 家計管理をして現状を把握することは大切です。では、実際に支出を抑えるために何ができるかを考えてみましょう。 出典:「令和元年度高齢者の経済生活に関する調査結果」(内閣府) 今からできる家計見直し8つのポイント 老後の資金だけでなく、万が一の入院や手術などの大きな出費があっても慌てないように、今から家計を見直して老後に対する心構えをしましょう。 下記では、今からできる家計見直しの8つのポイントについて見ていきましょう。 家計簿をつける居住費公共料金保険料通信費無駄な買い物はしない車を処分する交際費を抑える 家計簿をつける 毎月の収支を把握しているつもりでも、細かい金額まで把握している人は実際多くありません。総務省の統計によると、現役世帯と高齢者世帯の1カ月の平均支出額を比較すると高齢世帯は現役世帯の7割の生活費で暮らしています。 老後に資金不足になるのは、現役時代の金銭感覚が抜けない世帯に多いようです。 老後に余裕のある家計を実現するため、まずは家計簿をつけることから始めましょう。家計簿に書き込んで管理するのは大変ですが、家計簿アプリを活用すれば自動記録もできます。毎月の費用を把握して具体的に節約できる項目を見つけましょう。 居住費 家計の固定費の中で大半を占めるのが家賃や住宅ローンなどの居住費です。こういった固定費を見直すことで無理なく長期的な節約につながります。 特に賃貸に住んでいる人は、ライフステージに合わせて物件を住み替えれば大幅に家賃の節約をすることができます。検索条件の立地、間取りや築年数など家賃相場を左右する項目を変更してみましょう。 また、公営住宅・高齢者向け優良賃貸住宅・サービス付き高齢者向け住宅などの利用条件などの確認もしてみると選択肢が広がるかもしれません。 住宅を購入している人は 住宅を購入し、ローンを組んでいる方は返済期間の変更、繰り上げ返済などにより利息を減らせる場合があります。また、住宅購入時と現在では借入先によって金利が変動するため、借り換えをすることで利息の節約につながる可能性があります。住宅ローンの借り換えを検討する際は、事務手数料などの諸経費が発生するので、その費用を含めてメリットを慎重に考える必要があります。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; color: ...
2022/01/21
60歳以降を老後と考えた場合、60歳時の平均余命は、男性で23.84年、女性で29.04年。いわゆる「老後」と呼ばれる期間はことのほか長く、これだけの期間にゆとりある老後生活を送るためには、定年退職後から支給される公的年金だけでは、不足することが予想されています。 快適で充実した老後を送るためにも、老後資金は不可欠です。そこでこのページでは、老後までに準備したほうが良い金額とはどれくらいなのか、考えてみたいと思います。 老後資金の現実 定年退職以降の期間が長くなっている現在、大多数の人が公的年金や老後の生活に不安を感じていることが厚生労働省などの調査からわかっています。公的年金に対する不安を解消するためには、何らかの自助努力が必要になります。 総務省統計局の家計調査より、高齢者夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入と消費支出の実態を見てみると、毎月約4万1,000円不足するという試算が出ています。つまり、平均的な高齢夫婦世帯の月額家計収支は「マイナス」なのです。 この状態でたとえば20年間生活すると、不足する生活費の合計は以下の計算の通り。 4万円×12ヶ月×20年間=960万円 これはあくまでも平均的な家計であり、ここから旅行や趣味などを楽しめるような「ゆとりのある老後生活」を送りたいとなると、さらに多くのお金が必要になってきます。 老後資金の内訳 老後資金の中で最も割合を占めるのは、もちろん「生活資金」です。 食費や生活費などの日常生活にかかる費用はもちろんのこと、80歳以上になると要介護状態になる率が急激に上がり、それまでの日常生活費との構成比が変わってきます。 また、生活資金は日常生活に伴う費用だけではありません。たとえば、子どもがいる人の場合は、子どもの結婚や孫の誕生、新居購入など子どもが迎えるライフイベントに伴い、親として援助などの出費が必要になる場合があります。 それ以外に必要となる資金としては、「入院・手術費用」と「介護費用」があります。さらに「がん治療費用」や「先進医療技術料」も備えておきたいところ。 さらには、葬儀代や入院費用の清算、墓を新規購入する場合の費用など、自身が亡くなった後に相続人が負担する費用「死後清算費用」も必要になってきます。 資⾦計画を立て、老人ホームの入居に備える 前述の「介護費用」の多くを占めるのが、老人ホーム(介護施設)の費用。時代背景としても、核家族化が進んでいること、長寿化によって介護期間が延びていることにより、家族の介護負担が増えている現状があるため、在宅介護ではなく、有料老人ホームで暮らしたいと思う人が近年増加しています。 また、昔に比べ、高齢者の生き方の価値観も多様化しており、「ひとりで生活するのは大変だから」「誰にも迷惑をかけたくないから」と、積極的に施設入居を希望している人も増加傾向にあります。 ただ、老人ホームに入居するにあたって、気がかりなのがお金の問題です。 老人ホームの入居・生活にかかる費用はいくらくらい? 有料老人ホームをはじめとする介護施設の多くは、月々の基本的な費用のほかに、家賃などの前払い金となる入居一時金が必要です。金額は施設によって異なり、何千万円という単位で入居一時金を設定しているケースもあります。 このように、介護施設に入るためにお金の不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。 この入居費用を捻出するための土台となるのが年金ですが、「年金頼り」では介護施設への入居は難しいのが現状です。預貯金などの金融資産に加えて、持ち家などの不動産を活用することも考えていきましょう。 入居費用と年金・預貯金のバランスを考える 公的な介護施設への入居 介護保険制度の中で利用できる公的な介護施設(特別養護老人ホームなど)は、非常に人気があります。金銭的な負担が少ないので、入居待機者が数多くいる状態です。 公的な介護施設に入居するためにかかる平均的な費用は、入居一時金=0円、月額利用料=約7.5~14万円とされています(利用する居室の広さやタイプによって料金が変わります)。 比較的低料金で利用できる公的な介護施設の場合、介護サービス費自己負担額と施設の月額利用料(家賃、管理費、食費)を合計した目安金額で毎月5~15万円くらいなので、いわば自宅で過ごしているときと大きな差はありません。この点はやはり魅力的といえるでしょう。 ただ、費用面での安心感はありますが、やはり入居への“倍率”も鑑みると、あらかじめ有料老人ホームも視野に入れておくと良いでしょう。 民間の老人ホームへの入居 民間事業者が運営する施設に入居するためにかかる平均的な費用は、入居一時金が数十万円から数千万円、月額利用料=12~30万円とされています。 民間運営のため、公的施設より入居一時金の幅が大きいことや月額利用料は高くなりますが、公的施設と比べると入居の順番待ちがほとんどなかったり、金額が高い分、手厚いサービスやケア体制で介護が受けられるなど、プラスアルファが期待できます。 入居一時金と月々の費用、そしてサービス面などを考慮し、5年間や10年間など長期スパンで全体のバランスを比較検討してみましょう。 介護のお金は自分(親)の預金や財産から 子どもには子どもの人生があり、住宅ローンの支払いや教育費などに日々預貯金を費やしています。そのためのお金を親の介護費用に使ってしまうことは、子どもたちの今の生活をも圧迫することにつながるため、できれば避けたいところです。 また、親が80代になると、子どももおおよそ50~60代になっているので、そうなってくると次は自分自身の老後費用や介護費用に充てなければなりません。 もし親の介護が想定よりも長期に渡れば、後になって大きな後悔を招くことにもなります。 親としても、自分のせいで子どもの将来設計や日常生活を経済的に圧迫させることには気が引けるでしょうから、「介護は自分たちのお金で」と思っている人は多いでしょう。 子ども側としても、親を介護するというとき「介護費用は親のお金を充てる」という基本方針を明確にしておきましょう。 老後資金に関するよくある質問 老後資金はいくらあれば安心できますか? 世帯収入が公的年金だけの場合、不足分を貯蓄などで補う必要があります。仮に、毎月5万円を30年間貯蓄などから補った場合、合計で1800万円が必要です。また自営業などで国民年金の場合は、さらに上乗せが必要なので資金計画は早めにおこないましょう。 老後資金がない場合はどうすれば良いですか? 今からできることとして、「支出を抑える」「収入を増やす」「資産を増やす」が挙げられます。また困ったときは、国の支援制度を利用することを検討しましょう。 老後とはいつからを指しますか? 老後とは何歳頃からなのかについては、人によって捉え方がさまざまです。公益財団法人生命保険文化センターの調べによると、老後資金を使い始める平均年齢は65.9歳というデータがあり、年齢の分布は65歳が最も多く、次いで70歳、60歳という順に続きます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "老後資金はいくらあれば安心できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/21
介護離職とは、家族の介護を理由として所属していた会社を辞めてしまうこと。「家族の介護のために…」と言えば聞こえは良いかもしれませんが、決しておすすめできるものではありません。 そこでこの記事では、なぜ介護離職をおすすめできないか?の理由に加えて、介護離職の現状や原因、介護離職後の問題点、国や企業が取り組む防止策を紹介していきます。 介護離職とは? 介護と仕事の両立が難しくなり、家族のために会社を退職や転職をすることを介護離職と言います。 介護と仕事の両立は負担が非常に大きいのが現状です。しかし介護をするために仕事を離れ、安定した収入源がなくなり経済的に困窮し、生活保護に頼らざるを得ない…といったケースが多く、社会問題となっています。 両立をサポートするための仕組みはいくつかあるので、介護離職をする前に状況に応じて利用できる介護サービスや制度を積極的に活用することをおすすめします。 介護離職の原因 「介護と仕事の両立が難しい職場だった」という理由が介護離職の多くを占めています。 総務省統計局の2017年の調査によると過去1年間に介護離職した人は約9.9万人、転職した人は2.5万人で無業者は7.5万人です。介護しながら仕事に就くことの難しさが数字からうかがえます。 高齢社会の日本では、今後ますます介護離職者が増えることが予想されます。国や企業が介護と仕事の両立支援についてさまざまな対策を講じているにも関わらず、正しく理解され、運用されているとは言い難い状況です。 介護離職の原因や理由についてしっかりと理解して、安心して仕事をできる環境を労働者と企業、国とが協力して整備することも大切です。 介護離職のメリット・デメリット 介護離職をすることで起こるメリット・デメリットに関して見ていきましょう。 介護離職のメリット 介護離職のメリットは以下の通りです。 介護に集中でき、精神的に楽になる 介護にかかる費用を削減できる それでは詳しく説明していきます。 介護に集中でき、精神的に楽になる 仕事をしながら介護も並行していくには心身ともに疲弊し、落ち着かないことがほとんど。ときには仕事中に要介護者が行方不明になったり、仕事の合間に訪問系サービスの手配や配達弁当の不着の対応などに追われることもあるでしょう。 介護離職すれば、介護のみに集中することができるため、さまざまな負担が軽くなります。 遠方の要介護者であれば短期間泊まり込みも可能に。加えて、要介護者と一緒にいる安心感や親孝行しているという実感、コミュニケーションも深まるため、スムーズな介護に繋がると言えるでしょう。 介護にかかる費用を削減できる 仕事と介護を並行させるために、一般的な訪問介護やデイサービス、ショートステイや配達弁当サービス、有料の見守りサービスを利用されている方もいらっしゃるでしょう。介護のプロに任せれば、その分、出費も増えます。時には数百万円と高額になることも。 介護離職すれば、介護保険を利用しつつも家族中心の介護になるため、外部の介護サービスの金額は抑えられるメリットがあります。日中動きやすくなるため、余計な通信料や時間外のサービス費なども抑えられます。 介護離職のデメリット 介護離職のデメリットは以下の通りです。 収入の減少が激しい 精神的なダメージが大きい 再就職が難しく生活が困窮する 以下で、詳しく見ていきましょう。 収入の減少が激しい 介護離職が多いのは40~50代。中堅社員としての安定した収入が途絶えるので、今までの生活を維持することは難しくなります。 収入がなくなるので、当然ですが貯蓄はできなくなります。また、再就職できたとしても年収は大幅にダウンするケースが多いのが実情。介護の必要がなくなった後のことを考え人生100年時代を見据えて準備をしましょう。 精神的なダメージが大きい 体力的・精神的・時間的負担の大きい介護と仕事の両立の負担から解放されると、介護にかかる費用を軽減し、落ち着いた介護生活を送れるように思えるのですが、それは少々ムシがよすぎるかもしれません。 離職すれば安定した収入源がなくなり、社会との交流も少なくなります。その結果、誰にも頼れず孤立することにより、精神的なダメージで不安定になる介護者も多いのが現状です。 再就職が難しく生活が困窮する 介護離職すると今までのキャリアを中断することになり、離職期間が長引くほど再就職は困難になります。収入源がないので貯金を切り崩したり、親の年金での生活が続くことも考えられます。 介護保険を利用しても紙おむつなどの消耗品や介護用品を揃えるための費用は発生し、介護費用は想像以上に家計を圧迫します。 介護はいつか終わりを迎えますが、唯一の収入源だった年金がなくなってから再就職をと思っても、再就職先を見つけるのは大変に困難です。 国が取り組む介護離職の防止策 高齢化に伴い介護離職者も増えています。国も介護と仕事を両立する労働者を救済するための制度を設けています。 介護休業制度 介護休業制度とは、家族が身体または精神上の障害などにより2週間にわたって介護を必要な場合、対象家族1人につき93日まで介護のために休みを取得できる制度です。 1年以上の雇用など一定の条件を満たしている労働者は国から「介護休業給付金」が支給されます。介護休業給付タイミングは復職後。介護休業を希望する場合は、原則事業主を経由して申請を行うので、早めに周知しておくことをおすすめします。 申し出を受けた事業者は、介護休業の開始日と終了予定日を厚生労働省に通知しなければいけません。 介護休暇制度 介護休暇制度は家族の介護のために休暇を取る制度で、介護休業制度よりも単発で利用できます。 対象家族が1人だと1年につき5日まで、半日だと10回まで取得可能。当日の申請が可能で1日か半日単位で取得できます。 6ヵ月以上の雇用、要介護状態にある家族を介護しているなどが条件にあります。この場合、食事や排泄サポートなどの直接の介護だけではなく、ケアマネジャーとの面談や福祉用具レンタルのための打合せ、介護保険の手続きなども対象となります。 勤務時間の制限 介護との両立をするため勤務時間を制限する制度もあります。労働者の請求により、1回につき所定外労働と時間外労働で1ヵ月以上1年以内の期間、深夜業は1ヵ月以上6ヵ月以内の期間残業を制限できます。 なお事業者は請求を拒むことができ、入社1年未満や1週間の所定労働日数が2日以下などは対象外となるケースもあります。労働者は請求をする際、事前に要件を確認しておくことが大切です。 企業が取り組む介護離職の防止策 職場の中心的存在の突然の退職は、本人だけでなく企業にとっても大きな損失です。ここでは一般的に企業で行っている介護離職防止策を紹介します。 介護休業制度の周知 企業が制度を設けていても、労働者に周知・活用されていなければ意味がありませんよね。 確かに以前では、育児・介護休業法の両立支援制度を知らないまま介護と仕事との両立に苦しむ労働者も少なくありませんでした。 しかし昨今では、介護に関わる制度についてしっかり周知し、支援制度によって労働者の負担軽減に繋げようという企業も増えてきました。 活用事例として過去に制度を取得した人がいるのか?など、お勤めの会社に確認してみても良いかもしれません。 勤務制度を見直す 育児・介護休業法では「所定労働時間短縮制度」「フレックスタイム制度」「時差出勤制度」「介護サービス費用助成、その他準ずる制度」のいずれかで対応措置を設ける必要があります。 育児・介護休業法の内容を理解することは、介護離職を防ぐために必要不可欠です。難しく思えるかもしれませんが、制度の内容をしっかりと理解することも大切です。 複数の制度を設け、介護しながら働く労働者に合った制度を選択して労働者が無理なく柔軟に働ける企業も増えてきていますよ。 リモートワークも活用しよう 新型コロナウイルスをきっかけに、リモートワークが普及しました。 リモートワークをすることで、通勤時間の削減をはじめとして日中の時間が柔軟に使えるように。介護と仕事のスケジュールを効率良く組むことで、両立の負担軽減に繋げられる可能性も高まったはず。リモートワークを実施したい方はまずは可能かどうか会社に相談してみましょう。 会社とは自ら情報を共有しよう 職場に対して、家族の介護で介護者本人が置かれている状況を伝え、事前準備をしておくことが大切です。そして必要に応じて介護支援制度を利用しましょう。日頃から職場に情報を共有しておくことで、周囲も声掛けがしやすくなるはず。その際、謝意を示すことも大切です。声掛けされることで介護者も一人で抱え込まずに済み、悩みを打ち明けやすい状況になるかもしれず、それがやがては介護離職を防ぐことにも繋がるはずです。 介護離職をする前に考えること 介護と仕事の両立で無理をしていると感じたときは、早めに対策を講じましょう。ここでは介護離職をする前にできる軽減策を紹介します。 有料老人ホームへの入居 介護に関わる制度や介護サービスを使っても無理をしていると感じた場合は、介護離職をする前に、老人ホームへの入居を検討しましょう。 人気が高い施設は待機期間が発生するので早めに準備をすることが大切です。費用面で折り合いをつけるのが大切なのはもちろんですが、家族である介護者と要介護者が安心した生活が保障されなければ意味がありません。 仕事を辞めずに安定した収入を確保し、介護の専門スタッフに任せた方が、お互いの幸福度が上がるケースも多くあります。家族でよく話し合って判断して、気持ちを切り替えることも大切です。 在宅介護サービスの利用 在宅介護でも使える介護サービスがあります。 デイサービスやデイケアは送迎がついており、食事や排泄などのサポートを受けるだけでなく、レクリエーションに参加して交流を持ったり、リハビリテーションを受けることもできます。 もちろん、介護の専門スタッフに相談することもできます。介護者が息抜きをするためにも、在宅介護サービスをうまく活用しましょう。 レスパイトケアも重要 介護と仕事を長く続けるためのコツは、無理をしないことです。要介護者はもちろん、介護者の体調や精神が安定していることが必要で、そのためにもレスパイトケアを活用することが重要です。 レスパイトとは「小休止」という意味で、介護者が一時的に開放され休息をとることです。ショートステイが一般的で、介護保険の適用が可能です。 周りに相談をする 介護は一人で抱え込まないことが大切です。家族を相談相手とすることはもちろんですが、協力的であるとは限りません。 家族以外に社会の中でも相談ができる窓口があり、各市区町村に設置されている地域包括支援センターの介護相談窓口を利用することもできます。かかりつけの病院のソーシャルワーカーなどの専門スタッフやケアマネジャーも貴重な相談相手です。 特にケアマネジャーには守秘義務があり、介護生活の中でも身近な相談相手として考えることができます。ケアマネジャーは要介護者だけでなく介護者の心身の状況を配慮してケアプランを立てることが主な仕事です。 無理のない在宅介護生活を 在宅介護で無理を感じるのは、介護者一人に負担がかかっていることが理由として挙げられます。 長く在宅介護生活を続けるためには介護ストレスや疲労を介護者一人で抱え込まないことが重要です。社会から孤立しないよう、日頃から相談できる相手や窓口を見つけるなどして、サポート機関を利用することが大切です。 最適な介護は、その時の状況によって異なります。無理をして完璧な介護を続けて“共倒れ”をするより、介護者は自分自身の心身を労りながら、大切な家族の介護を長く続けることが望ましいと言えます。 介護離職に関するよくある質問 介護離職の原因は何ですか? 「介護と仕事の両立が難しい職場だった」という理由が最も原因として多いです。 高齢社会の日本では、今後も介護離職者が増えることが予想されており、企業による支援制度が益々必要です。介護を理由に離職を考えている場合は、介護に対しての支援制度がないかを一度確認してみましょう。 介護離職をすることでどんな問題がありますか? 「収入の減少が激しい」「精神的なダメージが大きい」「再就職が難しく生活が困窮する」などが挙げられます。 特に介護離職の多い40~50代は安定した収入が途絶えることで生活の維持が難しくなり、離職した年齢によっては再就職が大変困難です。また離職をしたことで、社会的に孤立することも考えられ、場合によっては介護うつなどの疾病を発症する可能性もあります。 介護離職をする前にすべきことはありますか? まずは在宅介護サービスの利用や老人ホームへの入居も検討してみましょう。 老人ホームに関しては、満室のため待機期間が発生する施設もあるので早めに資料を取り寄せ、見学することをおすすめします。 また介護と仕事を長く続けるためには、一人で抱え込まず周りに相談をし、時には在宅介護サービスのショートステイを利用しながら一時的に介護から離れるといったことも重要です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護離職の原因は何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/21
75歳以上のすべての高齢者が加入する医療保険のことを後期高齢者医療制度と言います。 ここでは、対象となる人や加入手続きなど後期高齢者医療制度の内容に関して詳しく見ていきましょう。 また、各負担軽減策も紹介しているので参考にしてみてください。 後期高齢者医療制度とは? 後期高齢者医療制度とは、75歳以上のすべての高齢者、または前期高齢者にあたる65歳〜74歳の人のうち寝たきりなど一定の障害があると認定された方が加入する医療制度のことです。 年を重ねるにつれ、病気を発症してしまったり、持病が悪化してしまったりなど他の世代と比べても医療費が高くなっていきます。 そのため後期高齢者医療制度では、高齢者にかかる医療費を高齢者自身の支払う保険料や窓口負担だけで賄うのではなく、国からの公費や若い世代の支援金も活用することで高齢者の医療を社会全体で支えています。 後期高齢者医療制度の対象者 75歳以上の人65歳以上74歳以下の人で、寝たきりなど一定の障害があると認定された方 これらに該当する人で後期高齢者医療制度の加入を希望する場合は、申請が必要です。市区町村の担当窓口に問い合わせましょう。 窓口での負担は原則1割 後期高齢者医療制度の加入者は、原則1割負担でさまざまな医療を受けることができます。現役並みの所得がある人は3割負担となります。 現役並みの所得とは、具体的に課税所得が145万円以上であること。そして、単身世帯の場合は年収が383万円、夫婦2人世帯の場合は520万円を超える場合を指します。 また、2022年度には自己負担割合を1割から2割に引き上げることが検討されています。ただ今回の見直しは、75歳以上すべてを対象にするのではなく、課税所得が28万円以上あり、なおかつ年収が200万円以上の人のみを対象としています。 変更後3年は窓口負担の増加額が最大でも月額3,000円に収まるように措置を導入する予定にもなっています。 保険料の決定、納め方 後期高齢者医療制度に加入している人は、所得に応じて設定された金額をそれぞれがお住まいの市区町村に支払うことになります。 保険料については、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が地域の実情に合わせて2年ごとに算出しています。また、保険料の納め方は公的年金からの引き落としで支払う特別徴収と、納付書などを利用して支払う普通徴収の2種類にわかれています。 公的年金などの支給額が年額18万円以上の方は、原則として、2ヵ月ごとに支給される年金から2ヵ月分に相当する保険料が天引きされます。 以下のような場合には特別徴収の対象とはなりません。 公的年金の受給額が年額18万円未満介護保険料と合わせた保険料が、年金受給額の2分の1を超える年度の途中で他の市区町村から転入した年度の途中で後期高齢者医療制度の対象となった 広域連合とは? 広域連合は都道府県、区市町村の区域を超える広域行政需要の増大や権限委譲の受け皿を整備するために地方公共団体の組合のひとつとして創設されたものです。広域連合は地方公共団体の組合のひとつとして創設されています。広域連合議会の議決を経て、広域計画を策定し連絡調整を行ったり、広域計画に基づき事務の実施について勧告したりすることも可能です。 負担軽減策とは? 後期高齢者医療制度にも、その他の医療保険と同じように以下のようなさまざまな負担軽減策が設定されています。 高額療養費高額介護合算療養費入院時食事療養費、入院時生活療養費特定疾病移送費 高額療養費 ひと月に負担する医療費が高額となる場合、所得に応じて定められた自己負担上限額を超えた分の費用が払い戻されます。 高額介護合算療養費 医療費と介護費を合わせた費用が自己負担限度額を超えた場合、その分の費用が払い戻されます。 入院時食事療養費、入院時生活療養費 入院した場合、食費と居住費にかかる費用のうち、定められた額を超える部分は広域連合が負担します。 特定疾病 特定疾病がある場合、ひとつの医療機関にかかる医療費の上限が毎月1万円になります。 移送費 移動が困難な高齢者が医師の指示によって緊急で移送された場合、広域連合が認めた場合に限り移送費が支給されます。 加入手続きはどうすればいい? 後期高齢者医療制度の加入手続きは、対象になったとき自動的におこなわれるため、特別何かをする必要はありません。 75歳になる前月末までに書留で保険証が送付されるので、医療機関を利用する際にはそれを提示しましょう。ただし、これまで加入していた医療保険の脱退手続きはおこなう必要があるので注意してください。 また、65歳〜74歳の人で特定の障害があると認定され後期高齢者医療制度を利用できる場合は障害認定申請が、配偶者が会社の健康保険の被扶養者の場合には国民健康保険への切り替えが、それぞれ必要になるので各自治体の担当課窓口に相談してみてください。 後期高齢者医療制度に関するよくある質問 後期高齢者医療制度の対象は誰ですか? 「75歳以上の人」「65歳以上74歳以下の人で、寝たきりなど一定の障害があると認定された人」が対象者です。 75歳の誕生日を迎えた人は、これまでに加入していた国民健康保険や被用者保険などから後期高齢者医療制度に移行します。 ただし、65歳以上74歳以下の人で、寝たきりなど一定の障害があると認定された人については移行は任意です。 後期高齢者医療制度の手続きはどうすれば良いですか? 後期高齢者医療制度の加入手続きは、対象になったとき自動的におこなわれるため、特別何かをする必要はありません。保険証は75歳になる前月末までに広域連合から送付されます。 後期高齢者は医療機関などでの窓口負担はどのぐらいですか? 原則1割負担でさまざまな医療を受けることができます。ただし、現役並みの所得がある人は3割負担となります。 また75歳以上の後期高齢者でも所得が一定以上ある場合には、窓口負担を2割にするといった議論もされています。2022年度から徐々に団塊の世代が後期高齢者になり始めるので、窓口での負担割合については早めの解決が求められます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "後期高齢者医療制度の対象は誰ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/09
「家族介護慰労金」とは、要介護者を在宅で介護している家族がある一定条件を満たした場合に支給されるお金のことです。 この記事では、家族介護慰労金の条件や申請の流れ、金額などを詳しく紹介していきます。 家族介護慰労金とは? 「家族介護慰労金」は、要介護度が高い高齢者を在宅介護している同居家族に支給される慰労金のこと。毎日介護している同居家族の労いと経済的負担を軽くする目的で支給され、条件を満たせば毎年もらうことができます。 少子化や核家族化が進んだ今も「要介護度が高くなっても住み慣れた自宅に居続けたい」「可能な限り家族で介護したい」という想いは変わらないものがあります。 とはいえ、要介護者の世話はお金も手間も掛かるもの。お住まいの自治体にこの制度がある場合、支給対象となる同居家族の方は忘れずに申請を行いましょう。 家族介護慰労金は年間約10万円 家族介護慰労金は、住んでいる自治体より、およそ年額10~12万円が支給されます。 支給条件としては、介護保険サービスを利用せず、自宅で1年以上要介護度4~5の要介護者を介護している同居家族が対象です。 特に離島やへき地、山間地といった介護サービスが整っていないエリアの方には助かる助成です。自分のお住まいの自治体にこの制度があるか確認してみてください。 家族介護慰労金の支給条件 それでは次に家族介護慰労金の支給条件について説明します。 誰でももらえるというわけではなく、各自治体により条件が異なるので詳細はお問合せください。 介護を受けている人の条件 介護度合いが重度・最重度と認定された人(要介護4または5)過去1年間に介護保険サービスを利用しなかった人過去1年間に90日以上の入院をしなかった人 介護をしている人の条件 過去1年を通じて介護を受けている方と同居していること過去1年を通じて在宅で介護をしていること 両者の条件 過去1年と通じて、同じ自治体に住民登録されていること市町村民税非課税の世帯であること 家族介護慰労金をもらうには申請が必要 自治体に問い合わせ申請書入手・提出支給要件を満たした場合、自治体の職員が実態調査を実施支給決定通知書および請求書が送付される請求書に必要事項を記入のうえ自治体に送付する指定の金融機関口座に慰労金が振り込まれる 家族介護慰労金の支給を受けるには、住んでいる自治体への申請が必要です。各自治体によって申請方法や申請先が異なりますが、基本的な申請の流れは同じです。 申請のタイミング 同居家族が介護認定度4~5と認定された要介護者を1年以上介護している場合、家族介護慰労金の支給申請が可能です。 随時申請できるので、支給条件に当てはまった時に同居の家族の方が申請してください。 本当に活用すべき制度なのか 介護は育児と違って終わりが見えないもの。特に要介護4~5のほぼ寝たきりの要介護者を同居の家族だけで世話をするのは大きな負担となるため、要介護認定を受けてケアプランに基づいた介護保険サービスを利用すれば、同居家族の心身の負担が大幅に軽減します。 したがって、介護保険サービスを利用しないことが条件となる家族介護慰労金は、「支給条件にたまたま当てはまったから申請する」といったスタンスが良いでしょう。 慰労金のために介護保険サービスを利用しないといったスタンスはあまりおすすめできません。制度の詳細はお住まいの自治体にお問合せください。 家族介護慰労金に関するよくある質問 家族介護慰労金とは何ですか? 家族介護慰労金は、要介護度が高い高齢者を在宅介護している同居家族に支給される慰労金のことです。しかし、給付条件が厳しく実施していない自治体も中にはあるので、制度については住まいの自治体に確認しましょう。 家族介護慰労金はいくらもらえるの? 家族介護慰労金は、住んでいる自治体より、およそ年額10~12万円が支給されます。また家族介護慰労金の支給を受けるには、自治体への申請が必要です。 家族介護慰労金は在宅介護をしていれば誰でももらえますか? 家族介護慰労金は誰でももらえるというわけではなく、基本的な支給条件として、「介護度合いが要介護4又は要介護5と認定された人」「過去1年間に介護保険サービスを利用しなかった人」「過去1年間に90日以上の入院をしなかった人」「過去1年を通じて介護を受けている方と同居していること」「過去1年と通じて、同じ自治体に住民登録されていること」などが挙げられます。 各自治体により条件が異なる場合もあるので申請の際は確認しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "家族介護慰労金とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/08
実際に介護を受けようと思ったら介護認定を受けなければいけません。介護認定は誰が申請するのか、どんな書類が必要なのでしょうか。 介護認定の申請方法から、介護サービスに必要なケアプランの作成、介護サービスを受けるまでの流れなどをご説明します。 介護認定の申請 介護保険適用の介護サービスを受けるためには、要介護認定を申請し、要支援1~2、要介護1~5のいずれかの認定を受ける必要があります。 介護認定を申請できる人は? 介護認定を申請できるのは、介護を必要としている本人またはその家族です。 介護サービスを受けられるのは、原則として第1号被保険者である65歳以上の方が認知症や寝たきりなどにより介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合。または、身じたくや家事など日常生活における支援が必要な状態(要支援状態)になった場合です。 ただし、第2号被保険者である40歳〜64歳以下の方でも介護保険サービスを利用できる場合があります。認知症や脳血管疾患など老化が原因である16種類の「特定疾病」と診断され、かつ要介護状態や要支援状態になった場合には介護サービスを受けられます。 申請に必要なものを準備しましょう 介護認定の申請窓口 介護認定の申請は、介護認定を受ける方が住んでいる市区町村に届け出ます。 本人が申請できないときは? 介護認定の申請を本人ができない場合は、ご家族が本人の住民表がある市区町村に届け出ることもできます。 それが難しい場合には以下の施設の職員に申請を代行してもらうこともできます。 地域包括支援センター 居宅介護支援事業者 すでに以下の施設に入居している場合は施設の職員に代行してもらうことも可能です。 特別養護老人ホーム(特養) 介護老人保健施設(老健) 介護医療院 介護療養型医療施設 地域包括支援センターは各市区町村が設置主体であることも多く、どこに相談すればいいか迷った時にも安心です。専門知識を持った職員に介護認定の申請はもちろん、高齢者が住み慣れた地域で生活できるように、幅広く相談に乗ってもらえます。 介護認定申請後から結果までの流れ 介護認定を申請してから介護認定を受けるまでの流れはどのようになっているのでしょうか。 1.訪問調査 市区町村の職員が介護認定調査員として、自宅や施設、病院を訪れて直接訪問調査を行います。介護を受けたい本人が介護が必要な状態か、介護が必要な場合はどの程度の介護や支援が必要なのかなどを確認します。 家族構成・生活状態、心身の状態をはじめ、身体機能、生活機能、認知機能、特別な医療が必要なのかなど。決められた質問形式で調査が行われます。 それではさらに細かく調査項目について見ていきましょう。 基本調査項目と内容 訪問調査では「身体機能・起居機能」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会性への機能」「過去14日間に受けた特別な医療」についての聞き取り調査が行われます。 身体機能・起居機能 日常生活の中での基本的動作に障がいがあるかどうかをチェックします。麻痺がないか、関節の動きは正常かに加え、視力や聴力、寝返りなどの身体機能について計13項目を調査します。 本人または家族からの聞き取り調査、または実際に体を動かしてもらい身体機能をチェックします。 生活機能 乗り移りを含む移動の動作や外出頻度など、日常生活で必要な行動機能の調査を行います。 着替え、食事、排泄、歯磨きや洗顔など。日常生活で必要な生活機能から身だしなみ等の意識のチェックも行われます。 認知機能 「昨日何を食べたか」「今日は何月何日か」といった短期記憶や、生年月日や自分の年齢、名前、現在いる場所などを言えるかといった意思伝達能力をチェックします。 精神・行動障害 過去1ヵ月の生活で「物やお金をとられたなど被害的になる」「突然、大声をあげたり、泣いたり笑ったりと感情が不安定ではなかったか」、昼夜が逆転していないかなど不適切な行動がなかったかの質問されます。 回答は「あった」「時々」「なかった」の3つで行います。 社会性への機能 薬の内服や金銭の管理、買い物や簡単な料理ができるかに加え、集団に適応できるかなど社会生活をきちんと送れる能力があるかをチェックします。 過去14日間に受けた特別な医療 過去14日間に点滴や透析、経管栄養といった特別な治療を受けていないか調査します。 主治医意見書を依頼しましょう かかりつけ医に「主治医意見書」を作成してもらいます。かかりつけ医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診断を受けて意見書を作成してもらうこともできます。 主治医意見書には、日頃の診療の状況や特別な医療についての意見、認知症の有無などの心身状態に関する意見。医学的管理の必要性など介護に関する意見など、身体の細かな状態まで記載されます。 医師の診断は介護認定の更新の際にも必要です。自宅に近い、駐車場があるなど介護申請を行う人も連れていくと良いでしょう。 家族も通いやすく相談しやすいかかりつけ医を、あらかじめ探しておくことをおすすめします。 2.一次判定 訪問調査の結果と主治医意見書の一部の項目をコンピュータ入力して一次判定を行います。厚生労働省が作成した全国共通の要介護認定ソフトが使われ、客観的に分析し申請者を振り分けます。 3.二次判定(介護認定審査会) コンピュータによる一次判定結果に、主治医意見書と認定調査における特記事項を踏まえて二次判定が行われます。 各市区町村が設置している「介護認定審査会」は保健・医療・福祉の学識経験者5名ほどで構成され、ここで申請者の介護度や支援度を検討します。 4.認定結果通知 「介護認定審査会」の審査結果に基づき、要介護度が認定され通知されます。一般的に介護認定申請から約30日で結果が通知されますが、地域によっては申請から判定まで1ヵ月以上かかる場合もあります。 認定結果は「申請日から30日以内に利用者へ通知する」ことになっているので、認定通知が遅れる場合には、申請者に見込み期間と遅れる理由が通知されます。 認定結果は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護認定1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。 認定結果に納得いかないときの対処 「非該当(自立)」と判定されて介護保険サービスを受けられない場合や、想定したよりも要介護、要支援が低かったなど認定結果に納得がいかない場合もあるでしょう。その場合はまずは市区町村の担当課へ問い合わせてみましょう。 それでも納得できない場合は「不服申し立て」を行うことができます。 「不服申し立て」は、都道府県設置の「介護保険審査会」に審査請求し認定結果が妥当であるかどうかの審査を行うものです。認定結果通知を受け取った日の翌日から90日以内に申し立てをする必要があります。 介護サービス開始のためにはケアプランの作成を 認定結果が「要介護1~5」の場合、介護が必要な方への生活の支援や身体上の介護などを行う介護サービスを受けることができます。要介護認定を受け介護サービスを開始するためには、ケアプランを作成し、自治体へ提出します。 ケアプランは、要介護者を対象とした「居宅サービス計画」「施設サービス計画」と、要支援者が対象の「介護予防サービス計画」の3種類です。 「居宅サービス計画」 「居宅サービス計画」は、「要介護1~5」の方が対象です。訪問サービス、通所サービス、短期入所サービスといった在宅介護を基本にしています。 居宅サービス計画を利用するにはケアマネージャーに「居宅サービス計画書」を作成してもらいます。 「施設サービス計画」 「施設サービス計画」は、「要介護1~5」の方が対象です。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設といった施設を利用して介護サービスを受けるものです。 この場合はケアマネージャーに「施設サービス計画書」を作成してもらいます。 「介護予防サービス計画」 「介護予防サービス計画」は「要支援1・2」の認定を受けた方を対象とするケアプランで、訪問サービスや通所サービスを受けられます。 「介護予防サービス計画書」は地域包括支援センターの保健師などが作成します。 介護施設で介護サービスを受けるまでの流れ 介護施設で介護サービスを受けるまでの流れを説明します。 1.介護施設を選択する まずは介護施設を選ぶには、現在の生活で何に不安や不便を感じているのか、これからどのような生活を送っていきたいのかを介護を受ける方やご家族で話し合う必要があります。 気になる介護施設について調べるのはもちろん、必ず見学に行きましょう。実際の雰囲気を感じられるだけでなく、サービス内容や必要な費用について気になる部分を直接質問できます。 2.ケアプランを作成する 介護施設が決まったら、介護施設に所属するケアマネジャーがケアプランを作成します。 3.サービスを利用する サービスを利用するにあたり、どのような介護施設があるのかから知りたい方は「有料老人ホームとは?費用や特徴を解説」も参考にしてみてください。 ...
2021/11/26
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。