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認知症の種類

若年性認知症の症状や治療法、予防法について

【医師監修】若年性認知症とは|原因や症状、効果的な予防法について

高齢者の病気と思われがちな認知症。実は、現役世代でも発症してしまう可能性があることをご存知でしょうか。比較的若い世代の人が発症する認知症のことを、まとめて若年性認知症といいます。 この記事では、若年性認知症の具体的な症状や治療方法、予防方法から活用できる社会保障制度などについて、詳しく紹介していきます。 若年性認知症とは? 若年性認知症とは、18歳〜65歳未満で認知症を発症した場合の総称を指します。また、若年性認知症の中でも18歳から39歳までに発症した場合を若年期認知症。40歳〜64歳までに発症した場合を初老期認知症と言います。 2017~2019年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)の調査では、18歳~64歳の若年性認知症者の総数は約3.57万人(推計)。患者数はそこまで多くないため、医療・介護の現場での認識が不足している場合もあるようです。 また、若年性認知症はまだまだ現役で仕事をしている世代が発症することも多く、自分自身だけではなく家族にも影響を及ぼす可能性が高いという点が特徴です。 若年性認知症の特徴 発見が遅れがち 認知症は高齢者がかかる病気であるという価値観が世間に浸透しているため、年齢が若いために本人も周囲も認知症であると気づかずに、発見が遅れやすい傾向があります。 また、初期症状が性格の変化、言葉が出にくいといった、一見すると認知症の症状とは断定しにくい症状からあらわれるため、うつ病や更年期障害と誤診されやすく、経過観察を経てようやく診断がつくといったこともあるようです。 経済的な打撃を受ける 現状では若年性認知症を発症した方が仕事を続けていくのは困難な状況があり、一度発症してしまうと収入が減少し、経済的に厳しくなってしまうことも。 若年性認知症は、高齢者の認知症とは違い若い世代が発症する認知症。まだまだ働き盛りの方も多く、住宅ローンや子どもの教育資金などさまざまな支払いを抱えている方もいるため、そのような方にとって若年性認知症による経済的困窮は非常に深刻な問題といえます。 加えて、家族が介護離職をせざるを得なくなるケースもあり、経済格差生み出す要因になっています。 専門サービスや支援が少ない 若年性認知症は高齢者が発症する認知症に比べ圧倒的に少ないために、若年性認知症の方を対象としたサービスや支援も少ないという現状があります。そのため若年性の場合でも、高齢者向けや障がい者向けのサービスを利用しなくてはならない場面が多くなります。 若年性認知症の原因 若年性認知症は病名ではなく、18歳〜65歳までに発症する認知症の総称です。原因はさまざまですが、なかでも多いのはアルツハイマー型認知症で全体の半分を占めています。 また、高齢者の認知症に比べると、アルコール性認知症や、前頭側頭型認知症の割合が高くなっているのも若年性認知症の特徴として挙げられています。 若年性認知症の症状 若年性認知症も、高齢者が発症する認知症も、中核症状は脳の生物学的な機能低下が原因です。症状があらわれる状況に違いはあれど、症状自体には大きな違いはありません。 一方で外的要因の影響を受けやすい心理症状や行動といった二次的な症状に関しては、若者ならではの苦しみや不安があらわれることもあるようです。 中核症状 記憶障害 新しいものごとを覚えられなくなったり起きた出来事を忘れてしまうなど、記憶する能力が高齢者と同様に低下します。 何度も同じ話を繰り返したり取引先との打ち合わせを忘れてしまったりなど、日常生活や仕事でトラブルになることが多いようです。 見当識障害 現在の時刻や、ここはどこなのか、友人や家族など親しい人の顔を忘れるなど自分が今置かれている状況を理解する能力が低下します。 朝や昼、夜といった時間の認識ができず、食事をしたことを忘れてしまったり、ここがどこなのかを理解することができないために、外出すると家まで戻ってくることが困難になる場合もあるようです。 実行機能障害 ものごとに優先順位をつけ、計画的におこなうというようにプランニングから問題解決までを考え実行する能力が低下します。 食事の準備ができなくなったり、電化製品の使い方がわからなくなったりと、生活をしていく上で必要な能力が低下し、自立した生活を送りづらくなってしまいます。 理解・判断力障害 物事を理解し判断する能力が低下することで、良し悪しが判断できなくなったり、言われたことをきちんと理解することが困難になったりします。 買い物の支払いにとまどったり、上司に言われたことを理解して行動することが難しくなったりするなど、日々の生活に支障をきたします。 行動・心理症状(BPSD) 不安や焦り 認知症をまだ若い年齢で発症してしまったという事実は想像よりもショックなものです。 これから先どうなるのだろうという将来に対する不安や、家族がいる方であれば経済的な面を考えるあまり焦りが生じることも。 そういったことが原因で閉じこもりがちになり、抑うつ状態に陥ってしまうなど、精神的な症状があらわれる場合もあります。 幻覚や妄想 若年性認知症を発症し、記憶能力が低下していきます。 それにより、ミスが増え自尊心が傷つけられたことをきっかけに、自分で片付けたものや失くしてしまったものを誰かに盗られたと言い出したり、自分のミスを誰かが自分を陥れようとしていると言い出したりするなど、妄想や幻覚が生じることもあります。 攻撃的な言動 若くして認知症を発症してしまったショックや、今後どう生活していけば良いのかといった焦り、仕事を続けられなくなってしまう悔しさなど、さまざまな感情を抱えています。 複雑な心情から攻撃的な発言や態度を取ってしまうこともあるでしょう。 徘徊 自分のいる場所がどこかわからなくなり、徘徊してしまうこともあります。また、高齢者と違い体力も脚力もあるので、かなり遠くの場所で道に迷ったり行方不明になることもあるようです。 一見するとあてもなくうろついているように見えますが、家に帰るため、職場に出勤するためなど目的があっての行動です。 早期発見・早期診断が大切 高齢者が発症する認知症と同じように、若年性認知症も早期発見、早期診断が大切です。 若年性認知症の場合、まだ現役で仕事をしている方や、日々の家事、育児を担っているような若い世代が発症することが多いのがポイント。認知症の初期症状である「忘れっぽくなった」といったことも日々の疲れと誤認し、受診が遅れてしまいがちです。 しかし、まずは異変を感じたらすぐに受診をすることで、診断までの時間を短くできることに加え、早めの治療を開始することで進行を早い段階で遅らせ、生活の改善を図ることができます。 若年性認知症は進行が早い 最近、物忘れがひどくなったと感じたらまずは受診をしてみてほしい理由のひとつに、若年性認知症の進行の早さが挙げられます。 若い世代で若年性認知症を発症すると、進行スピードは高齢者の2倍以上になることもあると言われており、月単位で進行が進んでいくことも。そのため、いつもと何か違うと感じたときには受診をし、診察してもらいましょう。 若年性認知症の治療 薬物療法 現在の医療では若年性認知症に対して、根本的に進行を食い止めるといった治療薬の開発はされていません。そのため、現在可能な認知症の薬物療法は認知症の症状に対応して薬剤を選択するといった対症療法が中心となります。 また、使用されている治療薬は中核症状の進行を抑えることを狙いとしたアリセプトなどの薬や、行動、心理症状の軽減を狙いとした抗不安薬・抗精神病薬といった薬などの2つに分類されています。 非薬物療法 若年性認知症の治療として薬物療法を取り入れることと同様に、生活習慣の見直しといった非薬物療法をおこなうことも非常に重要とされています。 特に食事は重要だとされていて、バランスの良い食事を心がけるのが重要。さらには、魚やナッツ類、アマニ油などの認知症の症状改善につながると言われている食材を食事に積極的に取り入れることで、認知症の進行を抑制することができるといわれています。 そのほかにもリラクゼーション効果や脳を活性化させるといわれているアロマなども認知症の症状に効果があるとされていて、介護施設などでも積極的に取り入れられています。 若年性認知症は予防できる? 高齢者が発症する認知症にも完全な予防法が存在しないのと同様に、若年性認知症にも完全に予防できる予防法はありません。 とはいえ、若年性認知症は脳血管障害などが原因で発症することが多くなっているという事実もあるため、そういった病気にならないための予防や、生活習慣病などの予防が大切になります。 食生活を改善したり、定期的に健康診断を受診したりするなど、日々の生活により目を向けることが、結果的に若年性認知症の予防につながるでしょう。 また、普段から人との交流を持つことで脳を刺激し、生活に豊かさをもたらしてくれます。共同作業を通して何かを作成する、人の前で成果を発表する機会を持つなど、人との接点を持つことに加え、達成感を味わえるような環境も認知症を予防するうえで大切です。 若年性認知症と診断を受けたら 若年性認知症を発症する方はご自身の年齢も若く、働き盛りの方が多いため、普段の生活に大きな影響を与える場合が多いです。 親の介護をしている方が若年性認知症を発症してしまうと、その方の介護と親の介護が重なることで介護負担が大きくなってしまいます。同様に若い世代で発症すると、親の介護がない場合でも、子どもがまだ成人していない場合も多いので介護負担は大きくなりがちです。 また、若年性認知症を発症したことで仕事を退職しなくてはいけなくなってしまうと、経済的に困窮し、生活のあり方を見直さなくてはならない場合も。 このように、若年性認知症を発症することで経済的な面でも介護のあり方という面でもさまざまな問題が発生します。そうなってしまった時には現行の制度やサービスを利用し、きちんと対処していく必要があります。 以下では、若年性認知症と診断された際にとるべき対応について詳しくご説明していきます。 職場との相談 現在の日本では、若年性認知症に対する認知度や理解度はまだまだ低いのが現状です。 実際に、厚生労働省の調査によると認知症であることを職場に説明したことで配置転換などの配慮があったと回答している人は全体の約2.5割にとどまっており、認知症であることを話すことをためらっているケースが多いことが伺えます。 しかし若年性認知症の方が一旦退職してしまうと再就職するのは難しいことも多く、できれば今の職場で働き続けることを考えるほうが良いでしょう。そのためにもきちんと上司や人事担当者と話し合い、職場の理解を得られるようにすることが大切です。 また、どうしても今いる職場での就労継続が難しい場合、障害者枠での雇用をおこなっている会社に再雇用をしてもらうという方法もあるので、まずは一度相談してみるのが良いでしょう。 社会保障制度の活用 現在の日本では、障害年金をはじめとした若年性認知症を発症してしまった方が利用できるさまざまな制度があります。どのような制度があるのかについて具体的にご紹介していきます。 障害年金 病気やけがなどで障害を負ったことで生活や仕事などが制限されるようになった際に受け取ることができる年金のことです。 障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、病気やけがで初めて医師を受診した初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が請求できます。 主な受給条件は以下の通りです。 初診日要件…障害の原因となった怪我や病気の初診日が、国民年金もしくは厚生年金の被保険者の期間内であること保険料納付要件…保険料を決められた期間きちんと支払っていること障害状態該当要件…障害の状態が障害認定日に、定められた障害等級表に該当すること 精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳 若年性認知症と診断され日常生活に支障をきたす場合には、精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。また、血管性認知症やレビー小体型認知症など身体症状がある場合は、身体障害者手帳に該当する場合もあります。 これらの手帳は社会復帰や自立支援を目的に交付され、税制の優遇措置や医療費の助成を受けられるほか就職時には配慮を受けやすくなるといったこともあるようです。 まずはお住まいの地域の役所の、障害福祉課などに相談してみると良いでしょう。 自立支援医療制度 自立支援医療制度とは、認知症などの精神疾患で通院している場合に医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担額が1割に軽減されるというものです。 なお、所得に応じて負担額が変動するため、詳しくは通院中の医療機関やお住まいの担当窓口にお問い合わせください。 医療費、介護費の減免制度 高額療養費や高額介護サービス費、高額医療、高額介護合算療養費制度といった医療費や介護費が一定の期間のうちに支払う自己負担額を超えた場合には、超えた金額分を支払ってくれるという制度もあります。 運転免許証の返納 認知症と診断された方が運転免許を持っている場合、免許証は返納する義務があります。 本人に返納をお願いする場合には、認知症だから運転をすることはできないというような直接的な表現は避け、自尊心を傷つけないように配慮して伝えることも大切です。 また、家族内で話に折り合いがつけられなさそうであれば、運転適性相談窓口に相談したり、医師に協力をあおいだりして、いまの状態で運転することのリスクについて認識してもらう機会を設けるようにしましょう。 住宅ローン返済の相談 銀行などの金融機関で住宅ローンを組む場合には、団体信用生命保険といった返済する人に万が一のことがあった場合に、残りの住宅ローンを一括返済してくれる保険にも加入するのが一般的です。 そのため、若年性認知症と診断され、収入が減少してローンの返済が困難になった場合でも、高度障害と認定されれば保険が適用となり、返済が免除になることもあります。 詳しいことは住宅ローンを契約した窓口に相談してみてください。 成年後見制度 成年後見制度とは認知症などによって判断力が低下した人のために、介護施設の入所契約や医療契約の締結など生活や療養看護にかかる法的な手続きを補助し、財産の管理をおこなう制度のことです。 あくまで法律行為をサポートする制度であり、介護などの事実行為をおこなうわけではありません。また、後見人には親族や近親者選ばれるのが一般的ですが困難な場合には専門職が選任されることもあるようです。 日常生活自立支援事業 日常生活自立支援事業とは、認知症などで判断能力が低下した人が住み慣れた街で自立した生活を送れるように、地域の社会福祉協議会がおこなうサービス事業です。 具体的には福祉サービスなどの利用援助や、さまざまな支払い手続き代行などの金銭管理、重要書類の預かりなどをおこなってくれます。 障害福祉サービス 40歳未満の方は介護保険の被保険者ではありませんが、障害者総合支援法に基く障害福祉サービスの利用ができます。利用されるサービスの内容によっては、障害者支援区分認定が必要な場合があるのでご注意ください。 障害福祉サービスを利用することで就労継続支援などのサービスを保険適用で受けられるため、とても便利です。 介護保険サービス 介護保険を納めている人のうち40歳〜64歳までの介護保険2号被保険者の人は、認知症などの特定疾病を患っている場合に限り介護保険サービスを利用できます。 一方で、多くの介護サービスは高齢者向けの内容となっているため利用しにくい、という現状もあるようです。 近年は若年性認知症の人を積極的に受け入れている施設も出てきており、若い人たちでも利用しやすいサービスが登場してきているので、まずは問い合わせてみると良いでしょう。 若年性認知症に関するよくある質問 若年性認知症はどんな症状が出ますか? 若年性認知症の症状は、高齢者が発症する認知症と同様の症状が現れます。しかし、認知症を若い年齢で発症してしまったという事実に不安や焦りを感じ、抑うつ状態に陥ってしまうなどさまざまな弊害が生まれます。 若年性認知症の原因は何ですか? 若年性認知症の原因は、脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などの脳血管障害をはじめ、頭部の外傷や変性疾患など多種多様であるとされています。 脳血管障害は生活習慣の乱れにより起きる可能性があるので、適度な運動やバランスの取れた食生活を心がける必要があります。 若年性認知症の進行は早いですか? 若年性認知症の進行は早く、そのスピードは高齢者の2倍以上になることもあると言われています。 少しでも異変を感じたら病院を受診することが非常に重要です。現役で仕事をしている人や、日々の家事、育児を担っていると、つい後回しになりがちです。 しかし、早期発見、早期治療をおこなうことで進行を早い段階で遅らせ、生活の改善も図ることができます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "若年性認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/15

脳血管性認知症の症状や特徴、家族の対処法を解説

【医師監修】脳血管性認知症とは|原因や症状の特徴

認知症の中でアルツハイマー型認知症に次いで多いのが脳血管性認知症。脳血管障害は生活習慣を改善することで予防できるとも言われています。 この記事では、脳血管性認知症の原因や症状について解説します。 他の種類の認知症と同様に、脳血管性認知症でも予防と早期発見が大事です。症状の出方や原因も詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。 脳血管性認知症とは? 脳血管性認知症とは、何らかの要因により血液の循環が妨げられ、栄養が届かなくなった脳細胞が死滅。死滅した脳細胞の部位によって、認知症の症状があらわれるようになります。 脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症と並んで、3大認知症と言われています。 脳血管性認知症の特徴としては女性より男性に多く、男性は女性の2倍の疾病数が報告されています。また、脳だけではなく、歩行障害や言語障害といった身体のさまざまな場所に症状があらわれることも知られています。 脳血管性認知症の原因は? 脳血管性認知症の原因は、脳内の血管になんらかの障害(脳血管障害)が起きることによって発生します。 脳血管障害には脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などがありますが、最も多いのが脳梗塞です。脳梗塞、は脳の血管が細くなったり詰まってしまうことで栄養が運ばれなくなり、脳細胞が死んでしまう病気です。 脳梗塞の原因は生活習慣の乱れといわれています。不規則な食事や運動不足、喫煙、ストレス過多な生活を続けていると高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こします。 生活習慣病は動脈硬化を引き起こし、脳梗塞へとつながりやすくなります。適度な運動やバランスの取れた食生活を実践することによって、脳梗塞および脳血管性認知症を予防することができます。 若年での発症は高次脳機能障害の診断が多い 脳血管性認知症の発症は高齢者だけに限らず、若年層にも起こる可能性があります。比較的若い人が脳血管性認知症になった場合は認知症ではなく、高次脳機能障害と診断されるケースが多くみられます。 高次脳機能障害の場合は、脳細胞に障害が生まれたことにより注意障害、記憶障害、失語症などの症状がおこります。「急に怒りっぽくなった」「今までできていたことが急にできなくなった」というような時は高次脳機能障害の可能性があります。 脳血管性認知症の場合は症状は進行していきますが、高次脳機能障害は治療やリハビリテーションを受けることで回復することもあります。 脳血管性認知症の特有症状 脳血管性認知症の症状には他の認知症にも同様に見られるものがあります。 覚えられなくなる記憶障害 時間や場所や人がわからなくなる見当識障害 計画立てて物事を実行することが難しくなる実行機能障害 上記の3点はほかの認知症の場合も多くみられますが、脳血管性認知症だけの症状もあります。次から詳しく見ていきましょう。 まだら認知症 脳血管性認知症の場合は、症状の出方に波があるため、「まだら認知症」と呼ばれます。 同じことができるときとできないときがあったり、理解力は問題ないのにもの忘れだけがひどいといったケースです。まだら認知症の症状は見逃されやすいので注意が必要です。 認知症の原因は脳の血液の流れが滞ることにあり、脳の血流量が低下するタイミングでまだら認知症の症状が出やすくなるといわれています。 多様な症状を併発しやすい 影響をうけた脳細胞の部位によっては、認知症状だけでなく、運動機能や言語機能など多様な症状を併発しやすいのも脳血管性認知症の特徴です。 運動機能に障害がでると、手足の筋力が弱まることで歩行が困難になったり、手足の麻痺や震えがおきます。また簡単な言葉の意味がわからなかったり、ろれつが回らなくなるといった言語障害が起きることもあります。 感情コントロールが利きにくい(感情失禁) 脳血管性認知症になると、怒りっぽくなったり、すぐ悲しくなったりと感情のコントロールが利きにくくなるという症状もあります。 軽度な刺激に対しても、過度に大喜びしたり激怒したり、悲しんだりするので、事情を理解していないと、家族や周囲の人も困惑することになります。 本人もなぜそうなるか理解できないケースが多いので、人間関係に大きな影響を及ぼしてしまうこともあります。認知症の症状のひとつとして、周囲が理解に努めることが大切です。 夜間せん妄 夜になると家の中を歩き回ったり独り言を言ったりといった、「夜間せん妄」という症状もあります。 夜間の暗い状態で、認知症の症状である不安や幻想、見当識障害が起きてしまい、ここがどこなのかわからないまま歩き回っている状況です。 本人は不安によって意識が混乱を起こしてしまっています。対策としては夜間でも一定の明かりをつけておいたり、大丈夫だよと優しく声をかけてあげるようにしましょう。 脳血管性認知症の症状とその経過 初期 脳血管性認知症の場合、ほとんどが脳梗塞や脳出血といった脳の病気が原因です。脳の病気自体が落ち着いたのちに、もの忘れなどの初期症状が見られるようになります。 本人や周囲も「おかしいな」と訝るようになりますが、症状がまだらに出るために、認知症と疑わずに発見が遅れることがよくあります。 しかし、脳血管性認知症になると早い段階から周りの環境を認識して行動することが難しくなる「失認」「失語」「失行」の3つの症状が見られるようになります。これはアルツハイマー型認知症とは違う特徴で、脳血管性認知症のわかりやすいサインになります。 3つの症状の特徴について詳しく見ていきましょう。 失認 失認は脳の部位の中で、頭頂葉、側頭葉、または後頭葉に損傷が起きたときに見られる症状です。頭頂葉に障害がある場合は、たとえばハサミをさわっても何か理解できなくなる一方で、目で見るとハサミだと理解できます。 後頭葉はその逆で、ハサミを見ても、ハサミだと認識することができません。側頭葉は音が聞こえているのに、その音が何の音か判断することができない状況です。 失語 失語とは、その名の通り言葉を失ってしまう障害です。言葉を司る脳の部位に損傷が起きることによって、文字を読んだり書いたり、言葉を話したり、理解することが困難になります。 同じ失語でも、脳のどの部位に損傷がでたかで、症状はさまざまです。また、原因が進行性の病気なのか、脳卒中などの一時的なものかによって、進行性にも違いがあります。 失行 失行は頭頂葉や、頭頂葉と他の部位をつなぐ神経のどこかが損傷したことによって起こる症状で、パターンや順序を覚える能力が失われる障害です。 失行が起きると、身体的には作業を行うことは可能なのに、手順や順序がわからなくなり、必要な作業を行うことができなくなります。 失行はすべての動作が困難になるわけではなく、ある特定の動作だけが行えなくなるものもあります。たとえばボタンをはめる、電話をかける、メモを取るなど。そのほかの作業はできているので、失行の症状は見逃されやすくなります。 中期以降 脳血管性認知症は脳の病気自体を治療して症状が安定し、その後、大きな事故などがなければ進行自体は予防できる症状です。 理学療法士や作業療法士の指導の下、適切なリハビリテーションを継続。脳にこれ以上衝撃を与えないように転倒防止を行うなどの環境整備をおこなうことが大切です。 ただし、高齢になってから発症して早期発見がされなかったり、自覚症状のないまま進行してしまうリスクもあります。その場合は、脳血管性認知症もアルツハイマー型認知症と似た形で進行する可能性もあります。 脳血管性認知症の診断や治療 診断 脳血管性認知症の診断は、頭部CTやMRIを使って脳を撮影して行われます。脳の画像を確認すれば、前頭葉や側頭葉、後頭葉、視床、海馬などに脳梗塞が生じていないか判断することが可能です。 ただし、脳梗塞ではなくても、脳の血管自体が細くなっていたり、血流が低下していることも。そのため、脳の血流状態を調べる脳血流シンチグラフィーなども使って総合的に脳の状態を検査します。 また、脳梗塞の原因にもなる生活習慣病に関する数値も確認し、総合的な診断がなされます。 治療 脳細胞は一度死んでしまうと再生することは不可能なので、完治することはできません。 脳血管性認知症の治療では、それ以上症状が進行しないような対策が必要です。生活習慣病をなくすために血圧や血糖値をコントロールしたり、脳にそれ以上の衝撃を与えないように脳血管障害の再発防止を行います。 理学療法士や言語聴覚士、作業療法士などの専門家のアドバイスによるリハビリテーションも有効です。 最近の研究では、脳の一部が損傷した場合、その隣接部位が代替機能を果たすようになり、機能が回復する可能性があることがわかってきています。そういった意味でもリハビリや生活習慣の改善は大切です。 同居家族の注意点 普段できていた簡単なことができなくなると、本人が最も焦燥感を感じて辛い思いをしています。周囲の人は決して責めたり、急かしたりしてはいけません。リハビリテーションもすぐに効果が出るものではなく、継続していくことが大切です。 家族としても何とかしてあげたいという気持ちは理解できますが、脳血管性認知症の場合感情のコントロールもうまくできないので、家族に対してひどい言葉を投げかけてしまったり、時に暴力的になることもあります。 本人が自分を追い込んで自暴自棄になって飲酒に逃げたり、引きこもってしまうこともあります。 周囲はなるべく冷静に見守ることが大切です。自分でできそうなことは少しだけ手助けして、「自分でできた」という自己肯定感を守ることも必要です。 寄り添って小さな事の積み重さねていくことや、本人が楽しめる日課をつくることが大切です。 脳血管性認知症の方への対応 環境を整える 脳血管性認知症になると手足が震えたり、自分が思うように身体を動かすことが難しくなります。脳血管性認知症の症状を悪化させないために、転倒防止は非常に重要です。 在宅で介護するときに便利な福祉用具はたくさんの種類があります。歩行器や車いすの利用、またはトイレに手すりを設置したり、浴槽の滑り止めマットなど。 本人の生活をサポートしやすい福祉用具を上手に活用して、住環境を整えましょう。 本人との接し方 脳血管性認知症の方との接し方は基本的にはアルツハイマー型認知症と方と同様です。身近な人が認知症になると、周囲も戸惑ってしまうのは当然です。しかし家族や周囲の理解によって本人の気持ちも症状も変わります。次の3つの点を大切に本人と接するようにしましょう。 失語や麻痺といったコミュニケーションが難しいことを理解する感情の波に巻き込まれず、理解しながらも距離をとるできないことを責めず、苦しみを共感する 在宅生活が困難な時は 認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討するようにしましょう。 認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。 小規模多機能居宅介護 小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスの一つで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。 実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。 グループホーム 認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験をがあるスタッフが常駐しているのが特徴です。 入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。 入居者にはそれぞれの役割や責任が与えられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。 グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また、介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。 民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。 終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。 また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。 脳血管性認知症に関するよくある質問 脳血管性認知症はどんな症状が出ますか? 脳血管性認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に運動機能や言語機能に障害が起こることがあります。 また、怒りっぽくなったり、すぐ悲しんだり、感情のコントロールが利きにくくなる症状や、夜に家の中を徘徊したり独り言を発したりする夜間せん妄という症状も挙げられます。 脳血管性認知症の原因は何ですか? 脳血管性認知症の原因は、脳内の血管に何らかの障害(脳血管障害)が起きることによって発生します。脳血管障害は脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などが挙げられ、最も多いのが脳梗塞です。 脳梗塞の原因は生活習慣の乱れと言われているので、適度な運動やバランスの取れた食生活を心がけ、脳血管性認知症の予防をしましょう。 脳血管性認知症の治療はどんなことをしますか? 脳細胞は一度死んでしまうと再生することは不可能なので、完治することはできません。しかし、それ以上症状が進行しないように対策することは可能です。主に、血圧や血糖値をコントロールしたり、リハビリの専門家からアドバイスを受けるなどさまざまです。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "脳血管性認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/13

レビー小体型認知症の症状や原因など特徴の解説

【医師監修】レビー小体型認知症とは|原因や症状、治療について

認知症について調べているうちに、認知症の種類のひとつである「レビー小体型認知症」を見かけることもあるでしょう。 レビー小体型認知症は日本人に多い3大認知症のひとつで、アルツハイマー型認知症に次いで多くの患者がいます。 レビー小体型認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、パーキンソン症状・幻覚・自律神経症状など特有の症状が現れます。また、他の認知症より進行が早いため、早い時期からの対策が重要です。 この記事では、レビー小体型認知症の原因や特有の症状などを徹底解説。レビー小体型認知症の治療方法やおすすめの対応方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! レビー小体型認知症の症状がわかる! レビー小体型認知症の症状が進む過程がわかる! レビー小体型認知症の方への対応方法がわかる! レビー小体型認知症とは? レビー小体型認知症は、1990年代後半に知られるようになった比較的新しい認知症です。3大認知症のうちアルツハイマー型に次いで患者数が多く、高齢者の認知症の約20%を占めます。 女性よりも男性の発症が多く、物忘れなどの「認知機能障害」のほか、「幻覚」や「抑うつ」、「パーキンソン症状」など特有の症状がみられます。 発症は高齢者に多いですが、早い人では40代から症状が出ることも。また、他の認知症より進行が早いため、できるだけ早い時期からの対策が重要です。 レビー小体型認知症の特有症状 レビー小体型認知症では、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、パーキンソン症状・幻覚・自律神経症状など特有の症状が現れます。 ただしこれらの症状は個人差が大きく、すべてのレビー小体型認知症の方に発現するわけではありません。 レビー小体型認知症で主に見られる症状は以下の通りです。 認知機能障害 幻覚 パーキンソン症状 レム睡眠行動障害 自律神経症状 それぞれ詳しく見てみましょう。 認知機能障害 認知機能障害は中期になって出始めることが多く、主に以下の症状があります。 記憶障害:起きた出来事自体を忘れているなどの物忘れ 見当識障害:時間、場所、人などを認識する力の低下 実行機能障害:物事を計画立てて実行するのが困難 また、認知機能が変動するのが特徴で、意識がはっきりしているときと反応が乏しくぼんやりしているときを繰り返します。認知機能は数分で変動することもあれば同じ状態が数時間、ときには数週間~数ヵ月続くこともあります。 なお、アルツハイマー型認知症では初期から新しいことを覚えるのが難しくなる方が多いですが、初期のレビー小体型認知症では記憶障害はあまりみられません。 幻覚 レビー小体型認知症により、視覚をつかさどる後頭葉がダメージを受けることで、存在しないものが見えてしまい、幻覚が現れることがあります。 レビー小体型認知症の症状である幻覚には主に以下があります。 幻視 幻視とは、他人に見えないものが見える症状のこと。例えば以下のような行動をとることがあります。 何もない床に向かって虫を捕まえようとする 誰もいないほうに向かって話しかける 誰もいないのに不審者がいると通報する 幻覚の中で最も多いのが幻視です。本人が幻視とわかっていることもあれば、わかっていない場合もあります。見えるものは人により異なりますが、「虫が床を動いている」など具体的なことが多いです。 錯視 錯視とは、現実に存在するものが別のものに見える症状のこと。例えば以下のような症状です。 壁のしみが人の顔に見える 小さなゴミが虫に見える ベッドカバーのしわがヘビに見える 幻視は「実在しないものが見える」のに対し、錯視は「実在するものが別のものに見える」という症状が現れます。 幻聴 幻聴とは、他人には聞こえない音や声が聞こえる症状のこと。誰もいないはずの部屋から声が聞こえるなどの症状があります。 パーキンソン症状 レビー小体型認知症はパーキンソン症候群と同じレビー小体が原因のため、パーキンソン症状が発生します。 具体的な症状は主に以下です。 振戦:手足の震え 無動:動きが遅くなる 固縮:筋肉が硬くなる 姿勢反射障害:体のバランスが悪くなる パーキンソン症状により表情に乏しくなったり、転倒しやすくなります。また、歩くときに前かがみになったり、歩幅が小さくなったり、歩き出しの一歩が出にくくなることも。一方、歩き出すと突進してしまうこともあります。 パーキンソン症状がさらに進行すると「嚥下障害」が現れ、「誤嚥性肺炎」の原因となります。 レム睡眠行動障害 レム睡眠行動障害は、眠りの浅い「レム睡眠」中に怖い夢やリアルな夢を見てしまい、夢の中と同じ動きをしてしまうこと。例えば、以下のような行動があります。 誰かと話をしているつもりで寝言を言う 大声を出す 手足を動かす 暴れる 眠っているとは思えないような行動が見られ、その動きにより自分自身がけがをしたり、隣で寝ている人にけがをさせてしまうこともあります。しかし、急に起こすと夢と現実が混同して混乱することもあるので、危険がない場合は見守るようにしましょう。 自律神経症状 レビー小体型認知症では交感神経と副交感神経の調整がうまくいかなくなることで、次のような自律神経症状がみられます。 立ちくらみ 寝汗 便秘や頻尿 動悸やだるさ 自律神経症状による立ちくらみは、立ち上がったときの急激な血圧低下による脳への血流減少が原因でめまいや失神につながります。失神による転倒は大きなけがにつながるため注意が必要です。 レビー小体型認知の原因は? レビー小体型認知症は、脳の大脳皮質などに「レビー小体」という異常なタンパク質が出現し、神経細胞を破壊することで引き起こされます。しかし、今のところレビー小体出現のメカニズムは解明されていません。 レビー小体が原因の病気にはパーキンソン症候群もあり、レビー小体型認知症との併発も多く見られます。 また、若いときにパーキンソン症候群を発症した人が、高齢になりレビー小体型認知症へ移行することもあります。 レビー小体型認知症の診断方法 レビー小体型認知症と診断が出るまでには、主に以下の検査が必要です。 認知機能検査​ 脳血流SPECT検査 MIBG心筋シンチグラフィ検査 それぞれ詳しく見てみましょう。 認知機能検査​ 認知機能検査とは、医師の質問に回答する形式で図形などを描くテストのことです。 レビー小体型認知症ではほかの認知症と比べて脳の萎縮が目立たないため、CTやMRIなどの画像で診断できることはほとんどありません。 画像で判断できない症状は、口頭での質問のほか、文字、図形、絵などの課題を描く神経心理学検査を実施し、認知症の影響があるかを確認します。 レビー小体型認知症では、記憶や計算機能などに比べて視覚を使った課題を苦手とします。そのため、記憶障害がほとんどない初期の段階の方でも、認知機能検査によりレビー小体型認知症と診断されることもあります。 脳血流SPECT検査​ 脳血流SPECT検査とは、脳の血流の状態や脳の動きを画像化する検査です。 レビー小体型認知症・アルツハイマー型認知症・前頭側頭型認知症は、それぞれ脳の血流が低下している部分が異なり、レビー小体型認知症では後頭葉や後部帯状回、楔前部に血流の低下が見られます。後頭葉は視覚認知を司る部分。そのため、レビー小体型認知症では幻視が出やすいと考えられています。 MIBG心筋シンチグラフィ検査​ MIBG心筋シンチグラフィ検査とは、MIBGという物質を注射して心臓の交感神経の動きを確かめる検査です。 レビー小体型認知症の原因物質であるレビー小体は心臓の交感神経にも現れます。そのため、レビー小体型認知症の初期の段階でも異常が認められることがあります。 レビー小体型認知症の症状とその経過 レビー小体型認知症の進行過程は人により異なります。しかし、アルツハイマー型認知症などのほかの認知症と比べると進行スピードが早いと言われており、多くの方は初期症状から常に介助が必要な後期状態まで10年以内で到達します。 レビー小体型認知症ではどのように症状が進行するのか、一般的な経過を見ていきましょう。 初期症状 レビー小体型認知症の初期では、物忘れなどの認知機能低下はほとんど見られず、以下のような特有の症状が現れはじめます。 パーキンソン症状 幻覚・幻聴 自律神経症状 レム睡眠行動障害 中期症状 レビー小体型認知症の中期では、初期症状の変動が大きくなります。症状の軽いときと重いときを繰り返しながら、徐々に症状が強まっていくのが特徴です。食後に動作が遅くなったり、夕方に幻視を見るなど、症状の波は1日のうちでも変動します。 また、このころから認知機能障害が現れるとともに、症状の進行は早まります。 後期症状 レビー小体型認知症の後期には、次のような症状がみられます。 パーキンソン症状が強くなり、ちょっとしたきっかけでも転倒しやすくなる 自律神経症状によるふらつきや立ちくらみが増える 嚥下機能が低下し、誤嚥性肺炎になりやすくなる 転倒や立ちくらみなどが増えることで、身体介護の必要な場面が増加します。このため、在宅での生活や家族介助が難しい場合も出てきます。 レビー小体型認知症の治療方法 薬物療法 レビー小体型認知症はほかの認知症と同様に根本的な治療薬はなく、症状を抑える投薬治療が主体です。症状に合わせ、記憶障害に対する薬・幻覚などの精神症状に対する薬・バーキンソン症状に対する薬が処方されます。 ただし「薬剤過敏性」という特徴があり、通常量以下の薬物でも過敏に反応し、興奮したり副作用が出ることがあります。 薬剤の量の調節が難しいため、服薬後の体調や症状の変化を観察・報告するなど、医師や看護師・薬剤師等と連携が欠かせません。 非薬物療法 認知機能や生活機能の維持・改善には、非薬物療法も重要です。 特に、動きが遅くなったり筋肉が硬くなるなどのパーキンソン症状の改善や進行抑制には、運動療法が効果的です。散歩やストレッチなどの日常的な運動に取り組みましょう。 また、デイサービスへの通所も効果的です。デイサービスには理学療法士などのリハビリ専門職が配置されており、専門家の指導のもと適切なリハビリをおこなえます。さらに、家族以外と関わりを持ったり、レクリエーションで脳を活性化できる点でも効果が期待できます。 レビー小体型認知症の方への対応 環境を整える 転倒による骨折などで体の動きが不自由になると、認知症の症状の進行が早まることがあります。 レビー小体型認知症では、パーキンソン症状により歩幅が小さくなったりふらついたりするため、転倒リスクが高まります。家の中の段差をなくしたり手すりを設置するなど、転倒や転落を防止しましょう。 本人への接し方に配慮をする 認知症患者は本人も多くの不安や混乱を抱えて過ごしています。周囲の家族ができるだけ患者本人の混乱をなくし、安心して暮らせるように配慮しましょう。 安心して暮らせるような配慮とは、例えば、できるだけ穏やかに相手の主張に耳を傾けながら会話をしてましょう。後ろから声をかけたり、大声を出したりして驚かせるのは危険です。 レビー小体型認知症の症状のひとつに、「昨日できていたことが今日できなくなる」などがあります。レビー小体型認知症の症状は波があるので、励まして無理をさせる必要はありません。どんな周期で意識がはっきりするかデータを取り、リハビリなどは状態が良さそうなときにおこないましょう。 幻覚への接し方に気を配る レビー小体型認知症の症状である幻覚・錯視は、本人はとっては現実に見えています。そのため、本人は家族や周りの人に「そんなことはない」と否定されると混乱したり、拒絶されたと感じてしまいます。本人に幻覚などの症状が現れた際には、「追い払いましたよ」などの声をかけて安心させることが大切です。 また、本人が幻覚による症状で不安を強く感じている時は一人にしないで安心させてあげましょう。 介護事業者を利用する レビー小体型認知症の方の介護を家族だけでするのはとても大変です。デイサービスや訪問介護、グループホームなど、介護保険で利用できる介護サービスを活用しましょう。介護事業者の介護サービスは、家族の負担だけでなく、本人の負担も軽減してくれます。 介護サービスの中には認知症の方へのケアに特化した支援制度やサービスがあります。認知症の方は生活環境の変化に敏感なので、認知症の症状が出た早い段階で取り入れて、介護サービスの利用に少しずつ慣れていくのがおすすめです。 早いうちから認知症の予防をしよう 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。 レビー小体型認知症に関するよくある質問 レビー小体型認知症はどんな症状が出ますか? レビー小体型認知症は、ほかの認知症と共通する認知機能障害以外に、「パーキンソン症状」「幻覚」「自律神経症状」「レム睡眠行動障害」など特有の症状が現れます。 またレビー小体型認知症は、ほかの認知症と比べると進行スピードが早いと言われており、初期症状から常に介助が必要な後期症状まで10年以内で到達するのが特徴です。 レビー小体型認知症の原因は何ですか? レビー小体型認知症の原因は、脳の大脳皮質などに「レビー小体」という異常なタンパク質が出現し、神経細胞を破壊することで引き起こされます。しかし、レビー小体という物質が何故脳に出現するかは不明で、脳の年齢的な変化であると考えられています。 レビー小体型認知症の症状が進むとどうなりますか? レビー小体型認知症は、ほかの認知症と比べると進行スピードが早く、最終的にパーキンソン症状や自律神経症状が悪化し、転倒や立ちくらみなどが増えます。また、嚥下機能の低下も目立ち始め、誤嚥性肺炎を発症する可能性もあります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "レビー小体型認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { ...

2021/12/13

アルツハイマー型認知症の症状や予防法

【医師監修】アルツハイマー型認知症とは|原因や症状、進行するとどうなる?

認知症の中で最も多いと言われるのがアルツハイマー型認知症。「アルツハイマー」という言葉だけでも聞いたことがある、という人も多いのではないでしょうか? この記事では、アルツハイマー型認知症ではどのような症状が出るのか?その原因や具体的な症状、予防法について解説していきます。 アルツハイマー型認知症とは? 認知症は症状によって3つのタイプに分類されます。そのうちのひとつがアルツハイマー型認知症で、そのほかの認知症にはレビー小体型認知症と脳血管性認知症があります。 アルツハイマー型認知症は全体の約4割を占めると言われ、認知症の中でも最も多いタイプ。完全に治す治療法は現在のところ見つかっていません。 アルツハイマー型認知症の原因は? アルツハイマー型認知症の原因は所説ありますが、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。 症状が進行すると自分がしたことをすべて忘れてしまう記憶障害や、物事を順序立てておこなうことが難しくなる実行機能障害などが起き、日常生活を送るのが難しくなります。 アルツハイマー型認知症の症状とその経過 認知症の症状には「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つがあります。中核症状とは認知症の典型的な症状のことで、行動・心理症状(BPSD)は中核症状が起こることによって引き起こされる二次的な行動・心理的な症状のことです。 中核症状はある程度定型化しているのに対し、行動・心理症状(BPSD)は認知症の進行度合いや周囲との関係性、本人の生活などにより、症状もさまざまです。 代表的な中核症状や行動・心理症状(BPSD)について詳しく見ていきましょう。 代表的な中核症状 中核症状とは認知症になると症状としてあらわれるもので、主に「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失行」の4つがあります。 症状としてはっきりしているので、中核症状の内容を知っていれば「認知症かも?」と早めに気づいて、早めに治療することができます。 記憶障害 記憶障害はその名の通り、「ものを覚える」ことができなくなる障害のことです。「もの忘れ」とも似ていますが、食べた料理を忘れることがもの忘れなら、食べたこと自体を覚えていないのが記憶障害の状態です。 見当識障害 見当識障害は、主に時間と場所がわからなくなる状態のことです。 いまが何月何年なのか、ここはどこなのかということがわからなくなります。季節感もなくなるので、冬なのに薄着をしたり、夏なのにコートを着ようとするといった症状が見られます。 実行機能障害 実行機能障害になると、食材を買い物して、料理を作るという物事の段取りがたてられなくなったり、なにかを計画することが難しくなります。いくつかの工程を経る動作に加えて、複数の動作を同時にこなすこともできません。 失行 それまで当たり前にできていたことができなくなることを、失行と言います。 テレビをつける、お風呂を沸かすといった日常の動作も理解できなくなります。自分で身体を動かすことはできますが、誰かの指示どおりに行動したり、お箸などの道具を使うことは難しいようです。 代表的な行動・心理症状(BPSD) 行動・心理症状(BPSD)はアルツハイマー型認知症に見られる症状ですが、中核症状のように一律に症状がでるわけではありません。症状は人によって異なりますが、自分が忘れたものを盗まれたと思い込む「物盗られ妄想」や、「介護拒否」などがよく見られます。 症状の経過 初期症状 記憶障害 アルツハイマー型認知症になると、早い段階で記憶障害の症状があらわれます。 特徴として、昔のことはよく覚えているのに、最近のことを覚えられない傾向にあります。たとえば食事をしたのに、すぐに食べたことを忘れてしまい、また食べようとするといった事例も。 時間の見当識障害 いまの時間に対する意識が混乱するような症状を見当識障害といいます。 時間帯や日時、季節などがわからなくなり、朝起きたばかりなのにお風呂に入って寝ようとしたり、夏なのに厚着をしだしたりします。 実行機能障害 物事を順序だてておこなうことが難しくなる症状のことです。 ご飯を研いで、炊飯器にいれて、炊飯器をセットするというような複数の工程をこなすことができなくなるので、日常生活に大きな支障がでてしまいます。 中期症状 場所の見当識障害 自分がいる場所が理解できなくなり、家の近所で道に迷ったり、わからないまま遠くへ行ってしまうこともあります。 トイレやお風呂といった家の中の場所についてもわからず、パニックになることも。 失行 テレビのスイッチの切り方や洋服の着脱の仕方など、今まで当たり前にできていた簡単なことができなくなることを「失行」といいます。 初期は本人も周囲も認知症だという認識がないので、大変戸惑い、自信をなくしてしまったり、傷つくケースが見られます。 次第に言語能力も低下するので、的確な言葉で自分の状態や気持ちを伝えられずに、暴言やうつ症状を引き起こすこともあります。早めに気づいて、病院に連れて行くといった対応が大切です。 後期症状 後期になると歩行したり、食事をしたり、排泄するといった生きていくために必要な動作が自力ではできなくなります。そのため生活の大部分は寝たきりになったり、つきっきりの介護や医療支援が必要になってきます。 言語能力が後退し、会話をすることも難しくなってきます。しかし一方で、喜怒哀楽などの感情は残っているので、本人の気持ちを尊重し、人間としての尊厳を守る介護をしていかなければなりません。 アルツハイマー型認知症の方への対応 環境を整える アルツハイマー型認知症の家族がいるときは、まずは家の中の環境整備が大切です。 認知症になると、それまで自力でできていたこともできなくなったり、家の中の場所がわからなくなります。トイレまでの道筋に矢印のマークをつけたり、何の場所かわかるように「トイレ」「お風呂」といった文字をはっておくのも良いでしょう。 また家の中の不要な段差をなくしてバリアフリーを意識したり、手すりをつけるといったリフォームも有効です。 どのような環境なら快適に過ごせるか、本人の意思も尊重しながら対応していきましょう。 本人との接し方 アルツハイマー型認知症になると本人も自分はどうなっていくのか不安と混乱を抱えることになります。そのような時に、大声で叱ったり、頭ごなしに否定するような対応をしてはいけません。なるべく本人が不安に感じないように、本人の話をしっかり聞いて、本人の気持ちに寄り添うことが大切です。 もし食事をしたことを忘れているようなら、「もう食べたでしょ」というようなことは言わずに、軽食やお菓子をだしてあげるのもいいでしょう。また、あらかじめ食事の量を半分にしておいて、残りをあとからだすという方法もあります。 アルツハイマー型認知症は、不安やストレスを強く感じると症状が悪化してしまうこともあります。逆に「自分は大丈夫」「問題ない」と思える対応を続けることで、進行を抑えられる可能性が高くなります。 事例1「○○を盗られた」と責める アルツハイマー型認知症の症状として、自分で置き忘れた物を誰かに盗られたと思い込む「物盗られ妄想」があります。このような症状の場合、まずは「間違いだ」「勘違いだ」とは言わずに、話をちゃんと聞いて共感する姿勢をとることが大切です。相手を否定せずに、一緒に探してみましょう。なるべく本人が自分で見つけるほうが良いので、先に見つけた場合も、本人が見つけるように誘導するようにします。 事例2「ガスコンロの火の消し忘れ」 高齢者のガスの消し忘れによる火災も時々起きています。危険があるので、ついつい声を荒げて注意してしまいがちですが、それでは認知症の人には逆効果です。もし今後も頻繫に起こりそうであれば、早めにIHコンロに変えるといった環境の改善が必要です。最近のIHコンロであれば、「消し忘れ防止機能」がついているものも多くなっています。 アルツハイマー型認知症の診断や治療 診断 認知症かどうかの判定は専門の病院で検査しておこないます。認知症の検査では「面談」「身体検査」「認知症検査」が行われます。まず面談では本人と家族に、過去の病歴や現在の状態についてヒアリングをおこないます。 次に身体検査でレントゲン、血液検査、尿検査、血液検査などをおこないます。これは認知症と併発しやすい病気の有無や、身体の状態を確認するのが目的です。 認知症検査は「脳画像検査」と「神経心理学検査」の2種類があります。脳画像検査はCTやMRIで脳の状態を撮影。アルツハイマー型認知症の場合、脳の萎縮や変形が見られます。 神経心理検査は実際に絵を見て絵の内容を答えるものや、記憶の確認、単純な計算問題などです。神経心理学検査が一定の水準を下回ると認知症の判断が下されます。 治療 現在のところ、アルツハイマー型認知症を完全に治癒する薬は見つかっていません。治療は主にリハビリや症状を抑制する投薬治療が中心になります。 アルツハイマー型認知症は時間がたつと症状が進行していきます。その進行を緩やかにして、本人が安定して生活できるように配慮することが大切です。 処方薬 アルツハイマー型認知症の症状を抑えると言われている処方薬は現在のところ4種類です。 低下した脳の働きの改善を促す処方薬がアリセプト、レミニール、リバスタッチ。脳細胞の損傷を防止するメマリーです。 アルツハイマー型認知症の症状は人それぞれ違いますので、すべての人に効果があるというわけではありません。ただ投薬によって状況の改善が見られることもあります。医師と相談しながら、試してみてください。 またアルツハイマー型認知症になるとイライラしたり、不安感に苛まれてしまうこともあります。そのような時は、対症療法薬として精神安定剤や睡眠薬も効果があるかもしれません。 認知症の予防 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。 認知症の早期発見 認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。 他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。 在宅生活が困難なときは 認知症になっても住み慣れた環境で過ごさせてあげたいと家族が考える気持ちは理解できます。ただし、認知症の症状が進んでいくと、家族による在宅介護では対応ができなくなることもあります。その場合は専門の施設への入居も検討するようにしましょう。 認知症の人を受け入れている代表的な施設について説明します。 小規模多機能居宅介護 小規模多機能型居宅介護とは「通所」「訪問「宿泊」の3つの機能を有した介護施設のことです。比較的新しく登場した地域密着型サービスの一つで、どのようなケアも同じ事業所の同じスタッフが対応するので、新しい人が苦手な認知症の人に適しています。 実際に小規模多機能型居宅の利用者は8割程度が認知症の人と言われています。認知症の高齢者の受け皿として期待されていますが、小規模な事業所が多く、入居待ちの人が多いことが残念です。 グループホーム 認知症の高齢者のみを入居対象としているのがグループホームです。認知症の知識と経験をがあるスタッフが常駐しているのが特徴です。 入居者は少人数で「ユニット」という単位にわけられて、ユニットごとに配置されたスタッフが対応します。これも認知症の人が新しい人に不安を感じるために、なじみのスタッフでサポートできるよう工夫されたシステムです。 入居者にはそれぞれの役割や責任があたえられるので、それを満たすことによって入居者に達成感ややりがいを与えることができます。 グループホームは住民上のある市区町村の中でのみ選択可能です。また介護状況の進行に伴い、介護付き有料老人ホームへの転居を勧められるケースもあります。 介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、24時間介護スタッフが常駐して、食事や入浴など身の回りのサポートを受けられる施設です。 民間企業が経営しているものが多く、金額や施設、サービス内容についてもさまざまです。 終身利用を原則としており、認知症や要介護5の人まで幅広く受け入れ可能。看取りのサービスまであるので、他の施設のように途中で転居しなければならないということもありません。 また、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅でも最近は認知症の対応が可能としている施設が増えています。気になった施設があれば、問い合わせをして事前に受け入れについて確認しておきましょう。 アルツハイマー型認知症に関するよくある質問 アルツハイマー型認知症はどんな症状が出ますか? アルツハイマー型認知症の症状は、あったことそのものを忘れてしまう記憶障害、物事を順序立てて考えられなくなる実行機能障害、時間と場所がわからなくなる見当識障害、当たり前にできていたことができなくなる失行が挙げられます。 また症状が悪化すると、被害妄想や徘徊などの症状も出る場合があります。 アルツハイマー型認知症の原因は何ですか? アルツハイマー型認知症の原因は、脳にアミロイドβといった特定のたんぱく質がたまり、それに伴い脳細胞が死滅、損傷。脳全体が変形したり、萎縮したりすることで、アルツハイマー型認知症が起きると言われています。症状が進行することで、日常生活に弊害が生じます。 認知症は高齢者だけに起こりますか? 認知症は高齢者だけに限らず、若い年齢でも発症する可能性があります。18歳から39歳までに発症した若年期認知症と40歳から64歳に発症した初老期認知症をあわせて若年性認知症と言います。 また若い年齢でもアルツハイマー症状が出ていた場合、若年性アルツハイマーと診断されます。原因は事故による頭部損傷の後遺症でも起こる可能性があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "アルツハイマー型認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/08

軽度認知障害(MCI)の特徴や対策、認知症との違いについての解説

【医師監修】軽度認知障害(MCI)とは|症状や発症後の対策、認知症との違い

認知症とよく似た症状として軽度認知障害(MCI)と呼ばれるものがあります。 軽度認知障害とはどのようなものなのでしょうか。認知症との違いや具体的な症状、診断された場合の取り組みについて解説します。 軽度認知障害(MCI)とは? 軽度認知障害=MCI(Mild Cognitive Impairment)は、認知症になる一歩手前のグレーゾーンの段階のことです。そのまま見落としたままにしてしまうと、認知症へと進行する可能性があります。 ただし、適切な予防と対策をすれば、発症を遅らせたり、健常な状態へ戻ることもできます。 認知症との違い 認知症と軽度認知障害の違いは、自立した生活を送れるかどうかです。認知症になると頻繁な記憶障害や機能障害が起きて、生活全般に支障が生まれます。 それに対して軽度認知障害の場合は、食事をしたり出かけたりといった日常生活をひとりで普通に送ることができます。 もの忘れの頻度はあがりますが、認知症と違って自分が忘れているという認識があるので、メモをとったりして自分自身で対策ができます。 放置すると認知症へ進行 早期発見、早期治療が大切 軽度認知障害には早期発見、早期治療が大切です。何も対策をしないで放置すると、そのまま認知機能が低下して、半数以上が5年以内にアルツハイマー型認知症に進行すると言われています。 アルツハイマー型認知症は、発症すると完治させられない病気です。しかし軽度認知障害の状態であれば、発症を防いだり、早めに治療を開始すれば元の状態にもどることも可能です。 軽度認知障害の疑いがある場合は、放置しないで早期発見、早期治療を心がけましょう。 軽度認知障害(MCI)の特徴 軽度認知障害にはどのような特徴があるのでしょうか。また認知症との違いはどのような点でしょうか。 厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」というサイトでは、軽度認知障害の特徴は下記のように定めています。 同年代の人に比べて、もの忘れが頻繫におきている もの忘れが多いという自覚はある 日常生活に大きな支障はでていない 思い当たることがあれば、念のために専門医を受診することがおすすめします。 軽度認知障害(MCI)の原因と症状 軽度認知障害(MCI)の原因 軽度認知障害は、アルツハイマー型認知症の前段階とも言われています。原因についてもアルツハイマー型認知症と同様に、特定のたんぱく質が脳内に蓄積されて、脳の細胞が破壊されることにあるようです。 軽度認知障害の予防や治療法についても、残念ながら現在のところ確立されていません。 軽度認知障害(MCI)の症状 症状についても、記憶障害、実行機能障害というアルツハイマー型認知症と似たものが現れます。初期症状なので、それほど目立ったものではありません。しかし下記のようなことに思い当たる場合は注意が必要です。 何度も同じ話をすることが多くなったお金や予定の管理ができなくなった友人の名前が分からなくなった料理の味付けが変わった運転の仕方が変わった頭がぼんやりして、無気力になった疲れやすくなり、何もしたくなくなった 「健忘型」「非健忘型」の大きく2種類ある 軽度認知障害は、記憶障害があるかないかで2つのタイプに分類されます。記憶障害がある場合を「健忘型」、記憶障害がない場合は「非健忘型」といいます。 記憶障害は、軽度認知障害やアルツハイマー型認知症の典型的な症状です。記憶障害がない場合は物事を順序だてておこなうことが難しくなる実行機能障害が目立ってきたりします。 また、「健忘型」でありながら、実行機能障害や見当識障害などを併発している場合もあります。どのタイプにあてはまるかによって、進行した場合の症状もある程度予測できます。 軽度認知障害(MCI)の診断方法 軽度認知障害の診断方法は今のところ確立されていません。あくまで面談や認知機能検査、脳画像検査などの結果から、医師が総合的に判断します。 医師は軽度認知障害かどうかを判断する根拠として、主に下記のような検査をおこないます。 認知機能検査(「長谷川式スケール」や「ミニ・メンタルステート試験」)一般検査(血液検査や尿検査など)MRI検査、CT検査(脳の状態を調べるための画像検査)その他検査(アルツハイマー病との関連物質の量を調べる脳脊髄液検査など) 軽度認知障害は、脳内出血、甲状腺機能低下症などと症状が似ています。そのため軽度認知障害と判定するためには、脳の画像などで脳内の出血がないか、甲状腺に異常はないかについても調べる必要があります。 最終的には「認知機能レベルの低下が見られる」「認知領域での障害と思われる症状が1つ以上ある」「生活機能が自立している」「認知症とはいえない」といった判断になります。 軽度認知障害(MCI)と診断されたら 軽度認知障害は放置するとアルツハイマー型認知症に発展する症状ですが、早期に発見して対処することで、症状を緩和したり改善させることが可能です。 もし診断がおりた場合でも、あせらず対処していきましょう。具体的になにをすると良いかまとめました。 食生活の改善 軽度認知障害の対策に食生活の改善は非常に重要です。糖質はなるべく控えて、たんぱく質やビタミンを意識して摂取するようにしましょう。年をとると食事が面倒になったり、ついつい簡単に食べれるものに偏ってしまうことがあります。 健康な身体になるには、ごはんと一緒に肉や魚・野菜・牛乳・乳製品・果物などをバランスよく食べることが大切です。これは認知症だけのことに限りません。 また、新鮮な食材を定期的に届けてくれるサービスを利用して、栄養バランスを考えた献立を考えることも脳に良い影響を与えてくれます。 適度な運動 ヨガや体操といった軽い運動で身体を動かすことは、軽度認知障害だけではなく、生活習慣病の予防にもなります。 突然ハードな運動をしようとせずに、まずは散歩やストレッチといった軽いものから始めてみましょう。無理ない範囲で継続していくことで、自然と運動することに抵抗がなくなります。 身体を動かすことは病気の予防だけではありません。心身を刺激することで、気分もリフレッシュできて毎日を明るく過ごすことができます。 口腔環境の改善 見逃されがちなのが口腔環境の改善です。口腔環境を保つことは、健康に年をとるためにとても重要な役割を果たしています。口の健康は、噛む力を長く維持するだけではありません。きれいな発語はコミュニケーションを楽しくしてくれます。 口の力が弱まることで、誤嚥性肺炎などの危険もあります。美味しいものが食べられなくなると、生きる楽しみも減ってしまいます。 定期的に歯科に通うなどして、口腔環境を良い状態にキープするようにしましょう。 人とのコミュニケーション 人と良い関係を築いて、コミュニケーションをとることは非常に大切です。軽度認知障害と診断がおりることで、人付き合いに消極的になってしまうこともあります。しかしそれでは、症状は悪化してしまいます。 たくさんの人と話をすることは、脳へ良い刺激を与えてくれます。家族や友人と明るい会話をすることをおすすめします。 ときには趣味のサークルや町内会などの活動に参加するのも良いでしょう。ただし、人と話すことがストレスになるという人の場合は、無理をしないで大丈夫です。自分のペースで気持ちの良いコミュニケーションを心がけましょう。 脳の活性化 脳の活性化というとクイズやゲームのような脳トレが思い出されますが、それだけではありません。好きな音楽を聴いたり、楽しい映画をみたりということも脳の活性化のエネルギーになります。 趣味の世界を広げてみたり、好きなものを見たり聞いたりするだけでも十分です。病気の進行におびえて、くよくよして過ごすことは脳にも良くありません。脳に良い刺激を与えながら、前向きに生活することが大切です。 軽度認知障害(MCI)に関するよくある質問 軽度認知障害(MCI)とは何ですか? 軽度認知障害(MCI)は、認知症になる一歩手前の段階を指し、症状を見落とすと認知症へ進行する可能性があります。認知症とは違い、食事をしたり出かけたりといった日常生活をひとりで送ることもできます。 どんな症状が出たら軽度認知障害を疑った方が良いですか? 主に「何度も同じ話をすることが多くなった」「お金や予定の管理ができなくなった」「友人の名前が分からなくなった」「頭がぼんやりして、無気力になった」などが挙げられます。歳をとったからという理由でそのままにせず、異変を感じたら早めに病院を受診しましょう。 何も対策しない場合はどうなりますか? 何も対策をしない場合、そのまま認知機能が低下して、半数以上が5年以内にアルツハイマー型認知症に進行すると言われています。 アルツハイマー型認知症は、発症すると完治することはありません。しかし、軽度認知障害の状態であれば早期の治療で元の状態に戻ることも可能です。 ▶「いい介護」で認知症でも入居相談可能な老人ホームを探してみる { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "軽度認知障害(MCI)とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

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