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認知症について

認知症の治療には薬物療法と非薬物療法の2種類がある

【医師監修】認知症の薬物療法と非薬物療法とは|方法とその効果

認知症の症状を緩和させるの手段としては「薬物療法」と「非薬物療法」の2種類があります。 薬物療法に使用される薬の効果や使用のポイント。また、非薬物療法にはどのような方法があるのか具体的に説明します。認知症の方の性格や症状にあわせた療法を選択してください。 認知症の治療は「薬物療法」と「非薬物療法」の2種類 現在の医学では、認知症を完治することは不可能です。認知症の治療は病気の進行を遅らせて、少しでも症状をやわらげることを目的としています。 認知症の治療は薬を使っておこなう薬物療法と、薬を使わない非薬物療法があります。それぞれの内容を見ていきましょう。 薬物療法 中核症状に対する薬 認知症はまだ完全に治療することはできないので、あくまで認知症の中核症状を緩和する薬を使用します。中核症状に効果がある認知症の薬を認知機能改善薬、または抗認知症薬と言います。 認知機能改善薬は「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗剤」の2種類が主に使用されます。それぞれどのような効果があるのでしょうか。 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬 アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症になると、脳内の神経伝達物質である「アセチルコリン」が分解、減少していきます。アセチルコリンは副交感神経や運動神経、記憶、学習面に重要な物質なので、減少すると脳全体が機能低下を起こします。 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は、アセチルコリンの分解、減少を抑えることができます。アセチルコリンエステラーゼ阻害薬の中では「アリセプト」が代表的です。 ただし、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬は副作用がでることがあります。食欲不振や下痢、吐き気のほかに、ふらついて歩行困難になったり、攻撃的になって暴力や暴言をふるうといった事例も見られるので、注意が必要です。 NMDA受容体拮抗剤 アルツハイマー型認知症では興奮性の神経伝達物質である「グルタミン酸」を受容するNMDA受容体が活性化しすぎることで、過剰な刺激が発生して脳の神経細胞に損傷が起きてしまいます。 NMDA受容体拮抗剤はNMDA受容体と結合して刺激を抑えることで、脳の損傷を防ぎ、認知症の進行を抑制する薬です。 副作用としてはめまい、便秘、頭痛などがありますが、症状が進行している認知症の方にも処方できるのが大きなメリット。代表的なNMDA受容体拮抗剤にはメマリー(メマンチン)などがあります。また、NMDA受容体拮抗剤は暴力的なBPSD(周辺症状)にも効果が期待できます。 行動・心理症状(BPSD)に対する薬 認知症になることで、本人が過剰なストレスや不安を感じて、暴力的な行動や興奮、妄想といった症状が引き起こされることを行動・心理症状(BPSD)といいます。 このような興奮や鬱状態などのBPSDに対して薬物療法をおこないます。処方されるのは睡眠薬や抗不安薬が中心になりますが、本人の気持ちが落ち着くことで、家族や周囲の人の負担を軽減することができます。 睡眠導入剤(睡眠薬) 認知症になると、時間の感覚が薄れてしまい、今が夜なのか昼なのか区別がつかなくなる人もいます。⽣活のリズムが崩れてしまって、睡眠不足に悩まされたり、夜中に徘徊したり大声をあげてしまう場合もあるようです。 誰でも睡眠が十分ではないと、脳は働かずに精神的にもイライラしてしまうものです。認知症の方にも睡眠薬を処方することで、ゆっくり眠って精神を安定させることができます。ただし睡眠薬にも副作用があり、ふらつきやせん妄症状があらわれることもあります。 抑肝散などの漢方薬 漢方薬も認知症の薬として良く利用されています。漢方薬は他の認知症の薬と比べて副作用が少ないのが特徴です。 抑肝散は怒りやイライラを抑える効果があると言われ、子どもの夜泣きや女性の更年期などにも使われます。 抗不安薬、抗精神薬、抗てんかん薬など 抗不安薬、抗精神薬、抗てんかん薬なども認知症のBPSDに対する薬物療法としてよく処方されます。これらは異常な興奮や焦りの症状を和らげることができます。 ただし、効き目に個人差があるので、効きすぎると会話がうまくできなくなったり、嚥下障害を発症するリスクもあります。副作用と症状に応じて抗不安薬や抗てんかん薬が処方されるときもあります。 薬物療法のポイント 副作用や異常がないか注意する 薬物療法を始めたら、副作用が起きていないか、本人に合っているかをしっかり観察しましょう。本人がどのような状態なのか確認して、日付や状態、起きたことをメモや記録を残しておくことをおすすめします。 メモや記録があれば、何かあった場合に医師に正しい情報を伝達することができます。家族と医師、薬剤師が同じ情報を共有して、信頼関係を構築することは薬物療法を続ける上で非常に重要です。 医療機関や薬の情報をまとめる 認知症の治療をしているだけではなく、ほかの病院にもかかっている場合は、薬の情報をまとめておきましょう。 それぞれの病院で情報を連携していないまま薬が処方されていると、飲み合わせによる副作用や悪影響が起きる可能性があります。薬局の窓口でお薬手帳を見せて、薬剤師の方がすべての薬を把握しておくことが重要です。 もし可能であれば、病院や薬局も一元化しておくと、情報の伝達もスムーズで管理しやすくなります。 非薬物療法 認知症の非薬物療法には、主に以下のような方法があります。 認知機能のリハビリテーション 生活リハビリテーション 運動療法 回想法 音楽療法 美術療法 園芸療法 認知刺激療法 アニマルセラピー(動物介在療法) リアリティ・オリエンテーション 以下、その具体的な方法について説明していきましょう。 認知機能のリハビリテーション 認知機能のリハビリテーションはゲームやパズルといったいわゆる脳トレのグッズを使って、脳の認知機能の回復、機能維持を図るものです。 認知機能のリハビリテーションには、なるべく本人が興味を持ったり好きなものを使っておこなう方が効果が出ると言われています。 麻雀が好きな人は麻雀、歴史が好きな人は歴史のクイズなど。頭を使って考えることであれば、比較的自由な内容で実践することができます。 生活リハビリテーション 日常生活で必要な料理や掃除といったことも立派なリハビリテーションのひとつです。過度なサポートはかえって、その人の生活する能力を奪ってしまうことになります。認知症になっていても、毎日のルーティンを続けることは本人の自信回復のためにも必要です。 食事のときにお箸を使うことが難しければ、スプーンやフォークにかえたり、服装も前開きのものを意識して着るようにすれば、自力で食事や着脱も可能になります。生活リハビリテーションは環境を変えることで、手軽に自宅でおこなうことができます。 運動療法 運動を通して身体を動かすことで筋肉量を維持して寝たきりになることを防ぎます。 ウォーキングや筋肉バランス訓練などの軽い運動は、抑うつ効果や介護をしている家族の負担を減らしてくれます。体を動かすことで睡眠の質を改善させるメリットもあるため、本人の能力や身体状況に応じて運動療法を取り入れても良いでしょう。 また、椅子に座ってできる運動もあるので、転倒に気をつけながら自宅で実践してみるのも良いかもしれません。 回想法 回想法は認知症の特徴である遠い過去の記憶は喪失しづらいという点を利用し、過去の思い出を共有する作業療法です。 むかしの苦労話や楽しかったエピソード、幼少期、学生時代の記憶などを共有することで脳に適度な刺激を与えます。この療法は特別な資格を必要とせず誰でも気軽におこなうことができるので、近年知名度も高まってきています。 また、行うコツとしては話のきっかけになるアルバムや思い出の品などを用意することです。記憶のトリガーとなるものを示し、一緒に会話をすることで本人の認知能力の低下を抑制することができるのです。 音楽療法 音楽療法は、懐かしい音楽や思い出の曲を聴くことで過去の記憶を取り戻したり、リラクゼーション効果が期待できる療法です。 音楽にはリラックス効果があり、リフレッシュしながらリハビリをおこなうことができます。認知能力を維持するだけでなく、精神的な安定を取り戻す効果があるのも魅力的です。 なお、音楽療法を通して効果を得るためには、旋律だけではなく歌声や歌詞の意味なども理解する必要があります。 美術療法 美術療法とは絵を描いたり、造形などを作るといった創造的な活動をすることによって、認知機能の回復、維持を目指す非薬物療法のひとつです。 なにかを創り上げることはイメージを膨らませて、脳に良い刺激を与えることができます。また、言葉ではなかなか伝えられない自分の気持ちを表現することもできるので、精神の安定にもつながります。 出来上がった絵については批評したり、良し悪しを判断することは避けて、作品を完成させたことや、良い点をたくさん褒めてあげるようにしましょう。 美術療法はあくまで創作物をつくる過程が大切なので、あまり指導したり急がせることなく、自分のやりたいように自分のペースでおこなうように配慮することが大切です。 園芸療法 植物や花には癒しの効果があると言われています。植物を大事に育て、成長した植物に花や実がなることは誰もが喜びを感じることです。毎日の植物に水をあげることで「自分が役に立っている」という満足感を得ることもできます。 園芸を通じた認知症の非薬物療法は、介護施設などでも積極的に取り入れられています。自然に触れることで心地良い刺激を受けて、日頃のストレスを忘れることにもなります。 また、認知症になると時間や季節、場所の意識があいまいになって、不安にかられることが多くなります。季節を感じさせてくれる植物とふれあうことは、季節や時間の感覚を思いだすきっかけにもつながります。 認知刺激療法 認知刺激療法は会話だけではなく、目で見て楽しむ、自分で手を動かして何かを作るなど、五感も刺激することで脳をさらに活性化させ、認知機能低下の抑制を図る療法です。 具体的には塗り絵や折り紙、習字などの創作活動。音楽や芸術などに触れることで、脳を活性化させる効果が期待できます。 認知刺激療法は実際にさまざまな介護施設で取り入れられています。また、マッサージなどを行うことで気持ちがいいといった触覚を刺激して気分の安定を図る方法もあります。 アニマルセラピー(動物介在療法) アニマルセラピーは動物と触れ合うことでストレスの軽減や、精神的な安定を得られるというもの。日常生活における活動性の向上を促すことを目的に行われている療法です。 動物という人間に対して心を開き懐いてくれる存在によって、自分が必要とされているという自信がつき、他人の世話をしたいといった欲求を生み出すこともできます。 リアリティ・オリエンテーション 日本ではあまりなじみのない言葉にも感じるかもしれませんが、欧米では1960年代にはじまっているオーソドックスなリハビリ療法です。 認知症になると見当識障がいが見られる方が多く、そのような方に日常会話の中に今の季節や、日付、時刻などを理解してもらう取組みです。 自分と自分のいる環境を正しく理解できるような話題を取り入れることで、現実を正しく把握してもらい、症状の改善をはかる訓練法です。 非薬物療法のポイント 本人が好むものを取り入れる 非薬物療法はさまざまな方法がありますが、重要なポイントは本人が好むものを上手に療法に取り入れることです。 一般的に効果が高いといわれている非薬物療法でも、本人の気が進まないものであれば効果は半減してしまいます。本人が楽しみながら前向きに取り組める内容にすることが大切です。 頑張りすぎない 非薬物療法に取り組むときは、無理をせずマイペースで続けることが大切です。少しでも良くなってもらいたくて家族や周囲の人はどうしても熱くなりがちです。 しかし本人は、普段から認知症によって不安やストレスを感じています。新しいことに取り組むことにもエネルギーが必要なので、少しの療法でも大きな負担になっているケースもあります。 必要以上に頑張りすぎず、少しずつ取り組んでいきましょう。 可能なかぎり毎日取り組む 頑張りすぎないことは大切ですが、治療は毎日休まず取り組むことが大切です。一日休んでしまうことで、認知症は少しずつ進行してしまいます。 必要なのは、できるだけ毎日、一定の刺激を脳に与え続けることです。本人と家族だけではくじけてしまいそうなときは、外部の介護サービスを利用すると良いでしょう。 日常生活も大切 日常生活の中で、今までやってきた家事や趣味に取り組むことも、大事な非薬物療法のひとつです。 認知症になると、それまで普通にできていたことができなくなり、本人も大きなストレスを感じています。やろうとしてもできないことも多いでしょう。同居している家族の人もイライラしたり、声を荒げることがあるかもしれません。 家族や周囲の人が本人とどう接するかは、症状の進行にも影響します。家族の方は落ち着いた優しい態度を心がけて、認知症の方が安心を感じられるように心がけましょう。 在宅と施設のどちらで生活するか 少し前までは認知症の方も在宅介護が中心でした。しかし現在では、認知症の方でも入れる介護施設が増えたこともあり、約半数が在宅、残りの半数が施設入居という状況です。 施設は特別養護老人ホームや介護老人保健施設、医療施設が多くなっています。 在宅での認知症介護は、介護する家族の負担が非常に大きくなります。大事な家族をいつまでも自宅で過ごさせてあげたい、みんなで見守りたいと思っても、介護する側の疲労も増していきます。 認知症は完治することなく、少しずつ悪化していくものです。認知症の症状が進んで在宅介護に限界がきているようであれば、施設入居についても検討することをおすすめします。 「薬物療法」と「非薬物療法」に関するよくある質問 薬物療法ではどんな薬が使用されますか? 認知症に使われる薬は中核症状に対してのものと、周辺症状に対してのものと2種類あります。 中核症状については認知機能改善薬、抗認知症薬などが使用され、主に「アセチルコリンエステラーゼ阻害薬」と「NMDA受容体拮抗剤」の2種類が使用されます。また周辺症状に対しては、精神を安定させる睡眠薬や抗不安薬が使用されます。 非薬物療法とは何ですか? 主に「運動療法」「回想法」「音楽療法」「美術療法」「園芸療法」などさまざまな方法が挙げられます。直接、薬を服用することはなくその人にあった方法で脳に良い刺激を与えることで認知症の進行を遅らせます。 薬物療法の注意点はありますか? 薬物療法をおこなう際は、副作用が起きていないか、本人に合っているかをしっかり観察する必要があります。またさまざまな情報をメモにまとめておくことも重要で、主に日付や状態、医療機関や薬の情報などが挙げられます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "薬物療法ではどんな薬が使用されますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/22

認知症の症状としてあてもなく歩き回る徘徊がある

【医師監修】認知症による徘徊とは|その原因と効果的な対応方法

認知症の中でも「徘徊」の症状があると、家族にとって心配は尽きません。 認知症の方はどのような理由で徘徊するのか、徘徊の原因とその適切な対応方法を詳しく説明していきます。 徘徊とは 徘徊とは、認知症の中核症状の影響で現れる行動・心理症状(周辺症状・BPSD)のひとつで、あてもなく歩き回る行動のことを言います。 徘徊は、認知症になると必ずしも現れる症状ではありません。しかし本人の命の危険や介護者の心身にかかる負担も大きくなることから、その原因と対策について事前に把握しておく必要があります。 本人には目的のある行動 傍から見ていると、家の中や外をあてもなく歩き回ることに目的などないように思われますが、徘徊をする本人にとっては、明確な理由があることが多くあります。 過去の生活習慣や行動が影響している場合や、大事なものを探し物をしているということもあります。本人にとっては、どれもしっかりとした目的のある行動なのかもしれないということを理解して対応しましょう。 何かを探している 徘徊する理由のひとつとして、何かを探すために歩き回っていることが多くあります。しかし、探しているはずのものも見つからず、本人自身も探していることさえ忘れてしまうこともしばしばあります。 自宅の中を徘徊しているときは、トイレや自分の部屋がわからなくなってしまったというケースも多くあるようです。 目的の場所に行きたい 記憶障害の影響もあり、過去の長い習慣や仕事をしていた頃の自分と錯覚し、職場や親族の家へ向かおうと外出して徘徊してしまうこともあります。 常日頃からの「行かなければならない」という強い思いが影響していると考えられます。 帰宅願望 見当識障害により、今いる場所がどこであるか把握できず、ご自身の自宅を自宅であると認識できないため落ち着かず、徘徊してしまうこともあります。また、記憶障害によって、昔住んでいた家や実家に帰ろうとしてしまうケースもあるようです。 いずれにしても、今いる場所から自分の家に帰りたいという願望が原因になっています。 事故や行方不明になる危険性 認知症になると判断力が低下するため、注意して行動したり、周りを気にかけて動くことは難しくなります。 自宅や屋内での徘徊には、あらかじめ安全対策を取るなどの対応ができますが、屋外での徘徊となると、長時間の歩き回りによる怪我や骨折、脱水症状・熱中症や低体温症の危険が高くなります。それ以外にも自転車や自動車に注意できず他人を事故に巻き込んでしまう危険や、線路内で立ち往生し事故に遭う危険も考えられます。 また、自宅に戻ることができず、行方不明となってしまう事態も想定しなればなりません。 認知症による徘徊がすべての要因であるとは限りませんが、令和2年の認知症の方の行方不明者数は、1万7,000人を超えています。行方不明になってから5日経過した場合の生存率は0%になるという、悲しい研究結果も発表されています。 出典:『令和2年中における行方不明者の状況』(警察庁) 徘徊の原因 認知症による徘徊を引き起こす原因には、主に以下のようなものが考えられます。 記憶障害見当識障害判断力の障害不安やストレス前頭側頭型認知症の常同行動 記憶障害 記憶障害とは、過去にあったことや自分が体験したことなどの記憶が、自覚もなく抜け落ちてしまう症状のことをいいます。加齢による自覚のある物忘れとは異なり、本人の自覚がないため、日常生活で困ることも多くなります。 新しい出来事が覚えられない、覚えてもすぐに忘れてしまうという性質から、眼鏡を探していたのに、眼鏡を探すという目的すら忘れて歩き回るというような徘徊の症状を引き起こします。 見当識障害 見当識障害とは、今ここで起きていることを正しく認識できなくなる症状のことをいい、認知症になるとほとんどの人に現れる中核症状のひとつです。 年月日や時刻、場所、人と自分との関係を正しく認識する機能が低下していくため、症状が進行すると、いつも一緒に過ごす家族のことすらわからなくなることもあります。そのため、今いる場所を自宅と認識できず、居心地が悪さを感じてしまい、本人にとっての「自宅」に帰ろうと徘徊し始めてしまうのです。 また、屋外などでは、慣れた道順であっても、突然どこにいるのかわからなくなり道に迷い、そのまま徘徊してしまうこともあります。 判断力の障害 認知症の症状として、物事の理解することが難しくなり、適切な判断をする力が低下していくことが多くあります。 これは判断力の障害であり、暑さ寒さを判断できず、適した服装が選べなくなるなど、日常の些細なことであっても、頭の中で物事について考え、目の前の状況に合わせて判断することができなくなります。 そのため、外出中に道に迷ってしまったとしても誰かに道を尋ねるなどの判断ができず、あてもなく歩き続けて徘徊してしまうというケースもあるようです。 不安やストレス 認知症の中核症状に加えて不安や焦燥感などの心理的ストレスも、徘徊の原因に大きな影響を及ぼしています。その不安や焦燥感は、食事の支度をしなければならない、仕事に行かなければならないというような過去の習慣からくるものが多くあります。 記憶障害によって現状を忘れてしまうと、過去の習慣を行わなければならないという焦燥感に襲われて、家から飛び出し徘徊してしまうのです。 そのため、徘徊症状の改善には、日頃から認知症本人をよく観察し、徘徊の原因を聞き出すなどして、不安やストレスを軽減させることも重要になってきます。 前頭側頭型認知症の常同行動 認知症には複数の種類があり、それぞれの種類で徘徊症状の現れ方が異なる場合があります。 前頭葉や側頭葉が委縮して起こる前頭側頭型認知症の場合は、同じ行動を繰り返す常同行動の症状がみられることがあります。たとえば、同じ時間に同じコースで散歩するなどの行為を毎日繰り返します。 何かを探したり目的の場所へ行こうと歩き回るアルツハイマー型認知症などの徘徊症状とは違い、行方不明になりにくいと言えますが、事故などのリスクを考え見守りが必要です。 徘徊が起きたときの対応方法 徘徊とはいえ、認知症の方にとっては、健康であった頃の「外出」と気持ちは変わりません。そのため、無理に徘徊を止めることは難しいと考えておきましょう。 しかし、徘徊のリスクや危険を低減させる対策をとることはできます。下記のような対応も参考にしてみてください。 理由を聞く 徘徊する方は、それぞれの理由や不安があって歩き回っている可能性が多いため、本人に寄り添い、話すことに耳を傾けることが大切です。徘徊する本人に、歩き回ることにどのような理由があるのか、優しく尋ねてみることで、不安が和らいで徘徊を止めるかもしれません。 明確な理由が得られないままであっても、今後の対応に繋がるヒントを見つけられる可能性があります。 繰り返し傾聴を行うことで、本人の気持ちを理解できれば、徘徊の原因となる不安を取り除けるかもしれませんし、本人が安心することにより、症状の改善を期待できるかもしれません。 責めない 徘徊する方に対し、徘徊をとがめたり、感情的に怒鳴ることは避けましょう。 認知症の方は、知的機能の衰えによって、責められている理由を理解できないことが多くあります。しかし、感情の機能はなくなるわけではありません。そのため本人には、介護者から理由もなく何度も叱られたという不愉快な感情だけが残ってしまい、介護者へ不信感を抱き始めてしまいます。 その結果として、徘徊や妄想などの周辺症状をエスカレートさせてしまうことがありますので、意識的に穏やかに対応することを心がけましょう。 気をそらす 徘徊をしようとしている姿を見かけた場合は話しかけ、ほかのことに気をそらすなどの対処をしてみましょう。 例えば、認知症の方が、自宅を自宅であると認識できなくなり、落ち着かず外に出ようとした時は「とりあえず、お茶を飲んでからにしませんか」と世間話などをしながら、意識をそらしましょう。そのうちに、徘徊しようとしていた理由を忘れ、落ち着くことがあります。 これは、認知症の専門的な知識がなくともできる効果的な対処法なので、家族だけではなく近所の方などに協力してもらうことも効果的です。 自由に動いてもらう 徘徊を無理に止めるのは、逆効果になることが多くあります。 本人は、無理に止められると感情的になり逃げ出し、転倒や怪我をしてしまう可能性があるからです。安全に歩かせられる状況にあり、介護者が付き添えるようであれば、自由に歩かせることも効果的な対処法となります。 自分の歩きたいように自由に歩くことで、気持ちが落ち着くことが期待できます。自宅や屋内であれば、トイレへ行くタイミングを把握できますし、屋外の場合では、一緒に歩くことで、いつも立ち寄る場所や迷いやすい道、注意が必要な個所もわかるので、その後の徘徊行動の参考にすることもできます。 徘徊に備えての工夫 徘徊が生じた時に起こり得るさまざな危険を回避するために、以下のような工夫が考えられます。 徘徊のタイミングを把握するGPSを活用する服や持ち物に名前をつける生活のリズムを整えるデイサービスを活用する地域と密に連携する 徘徊のタイミングを把握する 徘徊に気づける住環境づくりをすれば、徘徊を早期発見し、見守ることができます。自室のドアにベルを付けることや玄関にセンサーを設置することで、周囲の人が認知症の方の動きに気づけ、徘徊のタイミングを把握できます。玄関に、鏡や本人の興味のあるものを置くなどの気をそらす工夫も合わせると、徘徊をとどまらせるための時間稼ぎに役立ちます。 GPSを活用する 徘徊の症状が頻発し、行方不明になりやすい場合に有効なのがGPSの利用です。GPSとは、人工衛星を利用して場所を特定する技術のことをいい、スマートフォンには必ず搭載されています。 このGPS機能は、認知症による徘徊の所在確認に大変役立ちますが、徘徊をする方が常にGPS機器を身に着けていないと、その機能を発揮できません。現在では徘徊用見守りGPSとして、普段身に着ける靴などに装着するものや、キーホルダータイプもあるので検討してみましょう。 また少数ではありますが、無料でGPSの貸し出しを行う自治体もあるので、地域包括支援センターに問い合わせてみるのもよいでしょう。 服や持ち物に名前をつける 行方不明になってしまった時の備えとして、あらかじめできる簡単な対策は、衣服や持ち物などに名前や連絡先をつけておくことです。たとえ、本人が名前や住所を伝えることができなくとも、保護した方や警察から連絡をもらえる可能性があります。 ただし、本人の自尊心を傷つけることがないよう、襟の内側など目立たない箇所に名前や連絡先を記入したり、連絡先のカードをバッグの内側にいれるなどの工夫も必要です。 生活のリズムを整える 体調の管理をおこない、生活のリズムを整えることで、普段から気持ちを落ち着かせておくことも大切です。特に、体調が悪く夜に眠れない時や生活のリズムが崩れている時に、夜間徘徊を引き起こしてしまうことが多くあります。 本人はもちろん、介護者にとっても無理のない範囲で、毎日同じ時間に起床・就寝や食事の時間を定めて生活のリズムをつくり、日光浴と適度な散歩など軽い運動を心がけて体調を整えることが大切です。徐々に、夜間徘徊の抑制などに良い効果が出てくるでしょう。 デイサービスを活用する デイサービスなどの介護サービスを利用することも、徘徊の抑制に役に立ちます。程度な運動や定期的な外出の習慣ができることで、心身ともに良い影響をあたえます。 認知症や徘徊に関する専門的な意識を持ったスタッフに適切なケアをしてもらえることで、介護者や家族の負担を軽減することも可能です。本人が安全に通える場所を増やし、地理にも興味を持ち出せば、自宅への帰り道を覚えられる可能性もあるでしょう。 地域と密に連携する 徘徊のリスクや危険や回避するためには、家族だけでなく、近所の方や地域の自治体などの第三者に協力をお願いしておくことも大切です。 お住まいの地域の方や自治体に、徘徊の症状がある要介護者がいることを知らせておくことで、介護者が徘徊に気づかなかった場合などでも、すぐに見つかる可能性が高くなります。 同じく、立ち寄りそうなお店や近くの交番や駅にも、身長や髪型などの身体的な特徴を合わせて伝えておくことができれば、声をかけてもらえる機会が増えることも期待できるでしょう。 徘徊SOSネットワーク 徘徊SOSネットワークとは、各地方自治体が主体となり、地域の人々や団体、介護保険事業所などと協力し、行方不明となった認知症の方や高齢者を早期に発見し保護するための仕組みのことを言います。地域によっては、見守りSOSネットワークなどと名称や仕組みが異なることもあります。 この徘徊SOSネットワークは、警察に行方不明の通報があった場合に捜索協力をするだけでなく、徘徊予防のための積極的な高齢者への見守りや声掛けをおこなう役割を担い、介護者にとっても大変心強い仕組みとなっています。徘徊ネットワークの利用には事前の登録が必要なため、窓口である各自治体や地域包括センターに問い合わせてみましょう。 本人が行方不明になったら 認知症の本人が徘徊し行方不明になった場合、家族だけで探すのは効果的ではありません。 警察はもちろん、ご近所の方や地域包括センター、担当ケアマネジャーなど地域の多くの方々に、ためらわず捜索の協力をあおぎましょう。特に認知症の高齢者の方は事故などによる命の危険性も考えられるため、速やかに警察に通報し見つけ出すことが最善の策となります。 本人が立ち寄りそうな場所やなじみのお店、駅など交通機関をさがすことから始め、地域保活センターやケアマネージャーなどの専門家の視点から捜索方法のコツや対策方法のアドバイスや協力を得ながら、たくさんの手を借りて捜索することが大切です。 徘徊に関するよくある質問 何故、徘徊が起きてしまうのでしょうか? 徘徊の原因は本人の認知機能の低下が挙げられます。家族や知人の顔がわからず不安が生じると、感情がコントロールできず衝動的に外へ飛び出してしまいます。 また、自分の持ち物をどこに置いたのか忘れてしまい、持ち物を探すために外に出て徘徊してしまうといったことも原因のひとつとして挙げられます。 徘徊をする人はそれぞれの理由や不安があって歩き回っている可能性が高いので、本人に寄り添い、傾聴することが大切です。 徘徊に対して効果のあることはありますか? 本人が履く靴などにGPS端末を入れたり、ドアセンサーなどの福祉用具を活用することで徘徊したときにいち早く気づくことができます。 また徘徊してしまった際に、服や持ち物に名札を付けておくことで保護した人や警察から連絡をもらえたり、日頃から近所の人々や自治体に協力を仰いでおくことで、徘徊の際にすぐに見つかる可能性も高いです。 徘徊していることに気づいたらどこを探せば良いですか? 主によく立ち寄っている場所や馴染みの店、コンビニ、公園、駅などを探しましょう。また探しつつ、早めに警察へ捜索願を出し、担当のケアマネジャーや近所の人々にも協力を仰ぎましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "何故、徘徊が起きてしまうのでしょうか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/21

認知症の音楽療法にはカラオケを歌ったりする能動的音楽療法がある

【医師監修】認知症治療の音楽療法とは|得られる効果や注意点

音楽療法というワードを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。音楽療法は認知症治療の予防や治療のサポートとなるため、介護サービスや介護施設で取り入れられていることがあります。 この記事では、認知症治療の音楽療法について説明していきます。自宅でも簡単にできるものなので、ぜひ実践してみてください! 音楽療法とは 音楽療法とは、心や体の障害の機能を回復したり健康の維持などを目的としたリハビリテーションのひとつで、音楽の持つ特性を活かしたプログラムを実施します。 音楽療法を受ける方は、障害や疾病に関係なくすべての年齢や性別の方が対象です。 介護施設や病院、自宅へ音楽療法士事務所から音楽療法士が派遣されることが多いです。 音楽療法士に必要なことは、音楽の技術があるのはもちろん、「音楽の特性やリハビリテーションの目的を理解すること」「クライアントの心身の状態やリクエストを把握したうえで適切な働きかけができること」「療法をおこなうことによりクライアントの目的を達成できること」などが挙げられます。 音楽療法は2種類ある  音楽療法には以下の2種類があります。 受動的音楽療法 能動的音楽療法 それでは詳しく説明していきましょう。 受動的音楽療法 受動的音楽療法とは、音楽を聴いたり、歌の歌詞や歌の情景に合った写真から思い浮かべるといった受け身的な療法になります。施設でCDを聞いたり、地域のボランティアの方に楽器を演奏してもらうなどがあります。 能動的音楽療法 能動的音楽療法とは、音楽に合わせて歌う、楽器を演奏するといった、自分でアクションを起こす療法のことです。介護施設で季節の歌を合唱したり、カラオケを歌うなどがあります。 音楽療法の効果 音楽療法は身体的なことに対して次のような効果があると言われています。 痛みやストレスの軽減 脳の活性化 表情や感情の表出 自尊心の向上 記憶の誘導(回想法) コミュニケーションの向上 どのような効果があるか、次にご説明していきます。 痛みやストレスの軽減  一般の方でもクラシック音楽など聞くとリラックスすることがあるでしょう。心地良い音楽を聴くことにより、認知症や痛みによって引き起こされる不安やストレスをやわらげる効果が期待できると言われています。 同様に、認知症の方特有の不安や緊張などから生まれる妄想や攻撃的な言動なども、音楽療法を受けることで軽減することがあります。 脳の活性化 認知症の方でも懐かしい音楽やリズミカルな音楽を聞くと、思わず歌ったり手拍子を叩いたり、体を揺らしたりすることがあります。そうすることにより、脳のさまざまな部位が活性化し、認知症に関する脳の箇所に良い刺激を与えることができます。 表情や感情の表出  感情の乏しい方や自発性の低い方でも、音楽療法をおこなうと笑顔が出てきたり、楽しそうにリズムを取りながら手拍子や体をリズミカルに動かしだすことがあります。 自尊心の向上 認知症は「忘れてしまう」「思い出せない」という不安がよくあります。そのため、音楽療法を受けている最中に昔の歌の歌詞がスムーズに出てきたり、良い思い出を正確に思い出す経験などを積み重ねることにより、本人の自尊心を向上させる効果があると言われています。 記憶の誘導(回想法) 一般の方も、子どもの頃に聴いた懐かしい曲や青春期に聴いた曲を聞くとその頃感じた感情が再び蘇ってくることがあるでしょう。 同様に、認知症の方も懐かしいメロディや好きだった歌謡曲を聞くことにより、リラックスし始めたり、周りの人と思い出話をするなど会話が増えることがあります。 コミュニケーションの向上 認知症や言語障害のある方でも、音楽療法を取り入れることでコミュニケーションの向上効果が見込めると言われています。 認知症の方は、不安などから心を開かないこともあり、言語機能障害の場合は、周りの人とうまく話せないことから孤独になる場合もあります。 そこで思い出の曲や同郷の校歌を口ずさんだり、簡単な振りを一緒に合わせて体を動かすことにより、会話をしたり心を開くきっかけとなる場合があります。 音楽療法の実施例 自宅または介護施設での音楽療法の実施例をご説明していきます。介護される方に合ったタイプを見つけてください。 自宅で音楽療法 住み慣れた自宅でも音楽療法をおこなうことは可能です。寝たきりの方でも、昔なじみの音楽を聴く、歌う、音楽に合わせて手拍子を打ったり、体をゆっくり動かしたりと簡単に取り組めます。 音楽療法を受ける方の趣味や希望に添った、無理のないプログラムを用意してもらうと良いでしょう。 介護施設で音楽療法 介護施設の中でも音楽療法は人気のレクリエーションのひとつ。受動的音楽療法として音楽療法士の演奏を聴いたり、コンサートを聴きに行くイベントを開催する介護施設などがあります。 また、伴奏付きの合唱や合奏、リズム体操、連想、手遊び歌といった能動的音楽療法をおこなう施設もあります。 音楽療法の注意点 音楽療法はただ音楽を流せば良いといったものではありません。音楽療法をおこなう上では、次のような注意点があります。 聴力の確認疲れやすさに注意本人の歴史や好みに注意状態の把握一緒に楽しむ 聴力の確認 高齢になると昔のように音楽が楽しめない場合があります。老化に伴い聴力が衰えることにより、慢性的な耳鳴りや高音域が聴き取りづらいことがあるからです。そのため、音楽療法をする際は、受ける方の聴力を確認しましょう。 日頃からテレビやラジオを大音量で聴いたり、補聴器を使用している方は音楽療法中にフォローが必要となることがあります。 疲れやすさに注意 音楽療法をおこなう際は、認知症の方の疲れやすさに注意しましょう。 認知症の方は集中力や注意力を持続させづらく、脳も疲れやすいことが多いため、長時間の連想や集中が必要なことをさせすぎると、ストレスが溜まってしまうことがあります。そのため、休憩やちょっとした雑談など、音楽療法を受ける方がリラックスしている工夫が必要です。 本人の歴史や好み 認知症の方は、幼少期、青年期、新婚時代、子育て時代といったさまざまな時間を生きていることがあります。 子どもの頃の童謡や青春時代の歌謡曲など、その時々で楽しめる楽曲が変わっている可能性もあります。そのため、本人のタイムラインや好みに沿ったプログラムを構成すると良いでしょう。 状態の把握 音楽を流す際は、認知症本人の状態や楽曲の好みの傾向、そのときの心身の状態にフィットした楽曲を提供するよう心がけてください。「戦後のあの曲が聞きたい」と突然リクエストされることもあるでしょう。臨機応変に対応できるように、日頃からさまざまな楽曲を学んでおくことが大切です。 一緒に楽しむ 音楽療法は提供する側も一緒に楽しむことが大事なポイント。 介護施設で学生時代の合唱曲や流行した歌謡曲を歌いだすと、利用者や介護スタッフもなんらかの連帯感を味わいながら一緒に朗らかに口ずさむこともあるでしょう。家族内で共通の思い出の曲など歌えば、認知症の方でも楽しい家族の思い出などを正確に思い出すことがあります。 認知症の方も介護する方も、一緒に音楽に触れることで、その場の雰囲気もより明るく楽しくなることが多くなり、音楽療法の効果が高まります。簡単なものから日常の介護生活に取り入れてみるのも良いでしょう。 音楽療法に関するよくある質問 音楽療法とは何ですか? 音楽療法は、心や体の障害の機能を回復したり健康の維持などを目的としたリハビリテーションのひとつで、懐かしい音楽や思い出の曲を聴くことで脳に適度な刺激を与えます。また、音楽療法を受ける人は障害や疾病に関係なくすべての年齢や性別の人が対象です。 音楽療法にはどんな種類がありますか? 音楽療法には「受動的音楽療法」「能動的音楽療法」の2種類があります。 受動的音楽療法は、CDを聞いたり、ボランティアなどの合唱を聞いたりするといった受け身的な療法です。一方の能動的音楽療法は、音楽に合わせて歌う、楽器を演奏するといった、自分でアクションを起こす療法のことを指します。 音楽療法は誰がおこないますか? 音楽療法士が、介護施設や病院、自宅へ派遣されることが多いです。音楽療法士は基本的に楽器を利用しながら、対象の人に療法を提供するのが仕事です。 音楽療法の目的をしっかりと理解している、対象の人の心身状態やリクエストを把握した上で適切な働きかけができるといった音楽療法士は良いと言えるでしょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "音楽療法とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/20

ユマニチュードという認知症ケアの手法は、4つの基本概念と5つのステップで実行することができる

【医師監修】ユマニチュードとは|5つのステップと認知症への効果

介護、特に認知症の方との関わりを持っている方の中には、「ユマニチュード」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。 フランス人の体育学の専門家、イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したこの認知症ケアのプログラム。当然ですが、言葉だけを知っていても、方法や進め方を知っていなければ意味はありません。 そこでこの記事では、ユマニチュードについて詳しく解説。4つのアクション&5つのステップでより実践的に理解できるとともに、ユマニチュードの効果についても解説していきます。ぜひ参考にしてください! ユマニチュードとは? ユマニチュードとはフランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味をもつ造語です。フランス人の体育学の専門家、イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発した認知症ケアのプログラムのことで、最近では日本でも介護施設などで取り入れられています。 「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つのアクションで、人間がもともと持っている能力をできる限り引き出すことを、ケアの基本姿勢としています。 ケアを行う人は「あなたは大切な存在です」という心からのメッセージを相手に発信し続けることが重要です。 基本的な4つのアクション ユマニチュードには「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの基本的なアクションがあります。それぞれどのようなアクションか。具体的に見ていきましょう。 患者を「見る」 認知症の方をよく「見る」ということはユマニチュードにおいて非常に重要です。相手の立場にたって、相手の求めていることを理解することは、人間と人間の関係性のベースになります。 認知症の方は、新しい人や慣れない人に対して大きな不安感を抱きます。また、寝たきりの状態で見下ろされることによって、自分が見下されたと思うこともあります。 相手の目線と同じ高さから見ることで、敵ではなく大事な人だと相手に伝えることができると、ユマニチュードでは考えられています。 患者と「話す」 認知症の方のお世話をするときは、忙しさからつい命令口調になったり、ただ指示をするだけになりがちです。しかしユマニチュードでは「話す」ことも「見る」ことと同様に、相手に対して親愛の気持ちを持った存在であることを伝えます。 なるべく低めの安定した声で、言葉を選びながら話すことを心がけましょう。本人から返事や反応がない場合は、「オートフィードバック法」という技法を試してみると良いですよ。 オートフィードバック法とは? オートフィードバック法とは、介護者がこれからどのようなケアをするかについて説明しながら行うこと。オートフィードバック法によって介護者が話しかけることで、認知症の方も安心してケアを受けることができます。会話はなくてもコミュニケーションはできているといって良いでしょう。実際のオートフィードバック法の声かけは下記のようなものがあります。今からお顔を拭きますねお湯をかけていきます体を起こしますよ 患者に「触れる」 認知症の方を介助するとき、介助者は身体のどこかをつかんだり、さわったりすることになります。介助のために必要ではありますが、つかむことで相手の身体の自由を束縛していることにもなります。 触れるとき、は認知症の方を不安にさせないように気を付ける必要があります。そのためには敏感ではない足や背中、肩などから触ったり、なるべく広い面積を触ることで、患者の負担を軽減できます。 患者が「立つ」 人間は元来、直立して「立つ」ことが基本なので、身体の機能も立った時の状態をベースに設計されています。 一日20分程度でも立つ時間を作ることで、寝たきり状態を防ぐことになります。トイレに行くときや食堂への歩行など日常生活の中に意識的に「立つ」ことを心がけましょう。 ケアに必要な5つのステップ ユマニチュードの4つのアクションを実践するためにはどのようなことをすれば良いのでしょうか。基本は以下の5ステップです。 出会いの準備~来訪を伝える~ ケアの準備~相手との関係性を築く~ 知覚の連結~心地良いケアの実施~ 感情の固定~ケアの心地良さを記憶に残す~ 再会の約束~次回のケアを容易にするための準備~ 以下、それぞれについて詳しく説明します。 1.出会いの準備~来訪を伝える~ 部屋に入る前にまずは外から、認知症の方に来訪を伝えて、入室して良いか許可をもらいます。 突然、人が入ってきたという恐怖心を与えないように、本人が「自分が許可した」と認識することが大切です。ノックして反応を待ち、返事がないようならまたノックしてみましょう。それでも反応がないようであれば、ノックしながら部屋に入りましょう。 2.ケアの準備~相手との関係性を築く~ ケアの準備とは、認知症の方に「あなたに会うために来た」というメッセージをしっかりと伝えて、信頼してもらうことです。相手が警戒心をとくような態度をとることが大切で、相手の目線で目と目をあわせて、ゆっくりと話しかけましょう。 なるべくポジティブな言葉をつかって、これから行うケアについて説明します。もし相手が拒否するようであれば無理に行うことは良くないので、一旦やめることもあります。このような段階を経ることで、認知症の人の攻撃的な行動は減少すると言われています。 3.知覚の連結~心地良いケアの実施~ 「見る」と「話す」と「触れる」のうちの2つ以上の方法を使って、「あなたを大切に思っている」というメッセージを送り続けることです。 話しかける時は、行動と一貫性を持たせながら接することが重要です。優しい笑顔を見せながら、「身体を起こしますね」言ってから身体に触れるといった感じです。相手の五感すべてにこちらのポジティブな心が伝わるように、心地良いケアの実施を心がけましょう。 4.感情の固定~ケアの心地良さを記憶に残す~ 認知症の人は、ケアを受けた内容は忘れていても、その時どのような気持ちになったのかという感情的な記憶は残っています。ケアが終わったら「気持ち良くなりましたね」とポジティブな声掛けをしましょう。 また、「ケアをさせてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えることで、本人には良い記憶としてインプットされます。 5.再会の約束~次回のケアを容易にするための準備~ 認知症の人のはケアを受けたことを忘れてしまうことが多いので、次にまたケアに訪れたとしても初めて会った人のように接してきます。しかし、ケアが終わったら必ず次に来ることを約束することが大切です。 ケア自体が気持ちの良い体験として感情記憶に残されているので、「また来ますね」と相手と約束することによって、次回のケアをスムーズにすることができます。 言葉でいうだけではなく、メモを渡したり、ホワイトボードなどに書いておくのも良いでしょう。「自分に親切にしてくれた人がまたきてくれる」ということは、その時からワクワクする喜びに変わります。それを繰り返すことで、認知症の人の中でケアはさらに幸せな時間になります。 ユマニチュードの効果 フランスで生まれたこのユマニチュードは最近では日本の介護現場でも積極的に取り入れられるようになりました。 ユマニチュードのアクションやステップを実践することによって、認知症患者の心が穏やかになり、介護もスムーズになったという声が増えています。 認知症の人が暴力的になったり、介護者を敵視するのは、心の中に大きな不安を抱えているからです。相手の目をしっかり見てケアをしたり、優しい声掛けをすることで、認知症の人の不安感をやわらげ、暴力や暴言を減らすことになります。また、少しでも「立つ」ことで、寝たきり防止にもつながります。 ユマニチュードの効果は人によって差はあります。しかし認知症の人の尊厳を守り、尊重することで一定の効果をあげることができます。 そもそも認知症とは? 認知症は、病気や怪我で脳に何らかの障害が起きることで、脳機能が低下。脳の機能が損なわれることで起きる症状の総称です。認知症の症状は、記憶力や判断力が失われ、自分がいる場所や時間などがわからなくなったりします。認知症になると直接的な症状以外にも、心理的な不安や焦りが増長され、さらに症状を悪化させることがあります。 ユマニチュードの注意点 ユマニチュードを実践するためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。以下では、ユマニチュードの注意点をまとめました。 ゆとりを持った時間をつくる ユマニチュードを実施する際は、一つひとつ確認をしながらケアを進めるため、時間に余裕を持つことが必要です。人員が少ない施設では、ケアの時間が限られるので、ゆとりのある時間を確保するための工夫が重要です。 無理をさせない ケアを進めるための時間がなく、利用者に無理をさせてしまい、転倒してしまうリスクもあります。利用者の気持ちを尊重し、理解することもユマニチュードを実施する上で必要な要素です。 ユマニチュードに関するよくある質問 ユマニチュードとはどういう意味ですか? ユマニチュードとはフランス語の造語で「人間らしさを取り戻す」という意味です。またケアをする上での基本姿勢として「見る」「話す」「触れる」「立つ」というアクションが重要だとされています。 ユマニチュードにはどんな効果がありますか? 認知症の人の態度が攻撃的になるのは心に不安を抱えていることが原因とされています。 しかしユマニチュードのアクションなどを実践することによって認知症の人の不安感を和らげ、暴力や暴言を減らすこともできるとされています。 また、認知症の人だけではなく、介護職、看護職にもユマニチュードの効果はもたらされ、人手不足にも効果的であると考えられています。 ユマニチュードを実践することですぐに効果は出ますか? ユマニチュードを導入してもすぐに効果は現れません。ユマニチュードに関しては継続して長期間おこなうことが大切で、最低でも3年は継続する必要があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "ユマニチュードとはどういう意味ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/20

認知症には中核症状と行動・心理症状(BPSD)にはと呼ばれる2種類の症状がある

【医師監修】認知症の症状|中核症状と周辺症状の違い

認知症を早期に発見するためには、どのような症状が現れるか知っておくことが大切です。 この記事では、認知症の中核症状と周辺症状について解説するとともに、認知症のサインとなる症状を紹介。予防や早期発見についても説明します。 「症状も出てないし、まだ大丈夫」なんて思っていたら手遅れになることもあるくらいです。きちんと理解して、予防と早期発見に気をつけてくださいね! 認知症の症状は2種類 認知症の症状を大きく分けると、脳の障害により直接引き起こされる「中核症状」と、中核症状に環境や人間関係、性格などが関係して発生する「周辺症状」があります。 中核症状は「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」など、認知機能に障害が現れます。一方、周辺症状は行動や心理症状に関わる症状で、抑うつや徘徊、暴力、介護拒否などの多様な症状が見られます。 まずは、中核症状ではどのような症状が現れるか解説します。 中核症状 中核症状とは認知症になると明確に症状としてあらわれるもので、以下のような障害が出ます。 記憶障害 見当識障害 実行機能障害 失行 失語 失認 理解・判断力の低下 症状としてはっきりしているので、中核症状の内容を知っていれば「認知症かも?」と早めに気づいて、早めに治療することができます。 記憶障害 記憶障害はその名の通り、「ものを覚える」ことができなくなる障害のことです。「もの忘れ」とも似ていますが、食べた料理を忘れることがもの忘れなら、食べたこと自体を覚えていないのが記憶障害の状態です。 見当識障害 見当識障害は、おもに時間と場所がわからなくなる状態のことです。 今が何月何年なのか、ここはどこなのかということがわからなくなります。季節感もなくなるので、冬なのに薄着をしたり、夏なのにコートを着ようとするといった症状が見られます。 実行機能障害 実行機能障害になると、食材を買い物して、料理を作るという物事の段取りがたてられなくなったり、なにかを計画することが難しくなります。いくつかの工程を経る動作に加えて、複数の動作を同時にこなすこともできません。 失行 それまで当たり前にできていたことができなくなることを、失行と呼びます。 テレビをつける、お風呂を沸かすといった日常の動作も理解できなくなります。自分で身体を動かすことはできますが、誰かの指示どおりに行動したり、お箸などの道具を使うことは難しいようです。 失認 失認は、脳の部位の中で頭頂葉、側頭葉、または後頭葉に損傷が起きたときに見られる症状です。 頭頂葉に障害がある場合は、例えばハサミをさわっても何か理解できなくなる一方で、目で見るとハサミだと理解できます。 後頭葉はその逆で、ハサミを見ても、ハサミだと認識することができません。側頭葉は音が聞こえているのに、その音が何の音か判断することができない状況です。 失語 失語とは、その名の通り言葉を失ってしまう障害です。言葉を司る脳の部位に損傷が起きることによって、文字を読んだり書いたり、言葉を話したり、理解することが困難になります。 同じ失語でも、脳のどの部位に損傷がでたかで、症状はさまざまです。また、原因が進行性の病気なのか、脳卒中などの一時的なものかによって、進行性にも違いがあります。 理解・判断力の低下 理解するまでに時間がかかったり、適切な判断が難しくなります。いつもとは違う出来事に対応できず、混乱することもあります。 また、落ち着いていれば適切な判断ができる方でも、急かされると理解・判断力が低下する傾向にあります。このため、乗り物の運転や道路の横断など、瞬時の理解や判断を求められる場面から対応が難しくなっていきます。 行動・心理症状(BPSD) 認知症の周辺症状である「行動・心理症状」は、「Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia」を略して「BPSD」という略語で呼ばれることもあります。 中核症状に生活環境や人間関係、本人の性格などが関係して現れることから症状は個人により大きな差があります。 行動・心理症状には、暴力や暴言、徘徊など介護者の心的・身体的疲労につながりやすい症状も多いため、原因や対処方法を知っておくことも大切です。具体的な障害は以下の通りです。 暴力・暴言 介護拒否・服薬拒否 徘徊 妄想 無気力・抑うつ・不安 幻覚 それでは、主な行動・心理症状を見ていきましょう。 暴力・暴言 感情をコントロールする脳の前頭葉が萎縮したり脳が疲れやすくなることにより、認知症の初期の段階から感情を抑えるのは難しくなっていきます。このため納得できないことがあったり尊厳が傷つけられたと感じると、暴言を吐いたり暴力を振るってしまうことも。 このような状況で介護者も感情的になると状況は悪化してしまいます。少し時間を置くなどして落ち着いてから話を聞くようにしましょう。 介護拒否・服薬拒否 環境の変化に対する不安や意欲の低下のほか、薬を飲むことを理解できなくなったり、妄想などによっても介護や服薬を拒否することがあります。 無理に介護したり薬を飲ませたりすると嫌な印象を植え付けてしまい、より一層拒否する場合もあります。不安による拒否ならその原因を解消するなど、嫌がる理由を探りながら本人に合わせて介護するようにしましょう。 徘徊 徘徊は事故や事件に巻き込まれる恐れがあるため、介護者にとって特に心配な症状です。 場所の見当識障害が進むにつれて現れるようになり、外出先で道に迷うほか、見慣れているはずの自宅や施設などを知らない場所と感じて外に出てしまう場合もあります。 また、引っ越しなどによる環境変化のストレスや、今いる場所に安心感を抱けないなども徘徊の原因になります。このため、落ち着ける環境づくりも徘徊の予防には大切です。 妄想 妄想とは、現実にはあり得ないようなことをほかの人が訂正できないほどに思い込む症状で、認知症初期からしばしばみられます。これらの妄想は、認知症による不安や焦りが要因となるようです。 代表的な症状に、周囲の人にものやお金を盗まれたと主張する「もの盗られ妄想」や、いじめられたなどの「被害妄想」、配偶者が浮気しているといった「嫉妬妄想」などがあります。 無気力・抑うつ・不安 認知機能障害では、日常生活でできないことが徐々に増えていきます。これに不安を感じ、気分が落ち込んで抑うつ状態になることも珍しくありません。 通常の抑うつでは悲観的な気持ちになることが多いですが、認知症ではあらゆることに無関心になることが多いです。 ストレスが大きな原因となるため、ストレスの元を見つけて軽減するのが重要です。また、ゆったり落ち着ける、居心地の良い環境作りも大切です。 幻覚 幻覚は、実在しないものが見えたり聞こえたりする症状です。レビー小体型認知症で多くみられますが、そのほかの認知症でも薬物や水分不足、睡眠不足などにより引き起こされることがあります。 「床に落ちたゴミが虫に見える」のようなほかのものとの見違えから、「自分の部屋に知らない人がいる」など実際にはありえないものがはっきりと見える「幻視」まで、症状は人により異なります。 認知症のサイン 認知症の初期症状は、認知症の種類によっても異なりますが、「もの忘れ」がきっかけとなり気づくことが多いようです。 また、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力・判断力の低下も、比較的初期からはじまります。これにより、これまでできていたことができなくなくなったり、精神的に混乱するなどのさまざまな兆候が現れます。 ここからは、認知症のサインとなる症状を紹介します。 もの忘れ 少し前の出来事をすぐに忘れてしまう同じことを何度も聞いたり話したりする置き忘れやしまい忘れが増え、いつも何かを探している約束をすっぽかしたり、約束をしたこと自体を忘れてしまう人やものの名前が出てこなくなり、「あれ」や「それ」で指すことが増える同じものを何度も買ってきてしまう 時間や場所がわからない 今日の日付が言えなくなったり、今の季節がわからなくなる普段から通っている道でも迷ってしまう過去の出来事がどれくらい前のことなのかわからなくなる 理解力・判断力の低下 役所の手続きやATMでのお金の出し入れができなくなるテレビドラマの筋が途中でわからなくなる運転ミスが増えたり、事故を起こす 仕事や趣味、身の回りのことができない 仕事や趣味の段取りが悪くなったり、時間がかかるようになる料理の手順がわからなくなったり、味付けを間違える季節に合わせた服装を選べなくなる家電の使い方がわからなくなる入浴の仕方や服を着る順番がわからなくなるトイレが間に合わないことが多くなる 精神的混乱や落ち込み 一人になるのを不安がったり、怖がったりする趣味などの好きなことにも興味が持てなくなり、ふさぎこんだり、何をするにもおっくうがるイライラしたり怒りっぽくなる存在しない人やものを見えると言う自分のものを盗まれたと疑う目的があって出かけても、途中で目的がわからなくなり混乱する もの忘れと認知症の違い 年をとると誰でも記憶力が低下します。加齢によるもの忘れと認知症は混同されやすいのですが、まったく別のものです。 もの忘れの場合は、自分がなにかを忘れてしまったという自覚はありますが、認知症の場合は自覚そのものがありません。自分がしたこと自体を忘れてしまうのが認知症です。 もの忘れと認知症の具体的な違いは下記の通りです。 加齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ体験した記憶一部を忘れるすべてを忘れている学習能力維持されている新しいことを覚えられないもの忘れの自覚あるなくなる時間や場所見当がつく見当がつかない探し物に対して(自分で)努力して見つけられるいつも探し物をしている誰かが盗ったなどと他人のせいにすることがある症状の進行極めて徐々に進行進行する 認知症は予防と早期発見が大切 認知症の平均発症年齢は51歳と言われています。そのため大切になるのが、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて、適度な運動も大切です。適度な運動をすることで、筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また運動は、身体だけではなく脳にも良い刺激をもたらします。 認知症の早期発見 認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。 他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療をうけておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。 認知症の症状に関するよくある質問 認知症の症状にはどんなものがありますか? 認知症の症状は、脳の障害により直接引き起こされる「中核症状」と中核症状に環境や人間関係、性格などが関係して発生する「周辺症状」があります。 中核症状は主に「記憶障害」「見当識障害」「実行機能障害」「失行」「失語」「失認」「理解・判断力の低下」などが挙げられます。 また周辺症状は主に「暴力・暴言」「介護拒否・服薬拒否」「徘徊」「妄想」「無気力・抑うつ・不安」「幻覚」などが挙げられます。中核症状、周辺症状に該当する行動があった場合は、早めに病院を受診しましょう。 認知症ともの忘れの違いは何ですか? もの忘れの場合は、自分が何かを忘れてしまったという自覚はあります。 しかし、認知症の場合は自覚そのものがなく、自分がしたこと自体を忘れてしまいます。症状が進行すると物事の計画が立てられなくなったり、時間や場所などもわからなくなるといった症状が出ます。不安な場合は早めに病院を受診しましょう。 認知症の進行スピードはどのぐらいですか? 認知症の進行スピードは人それぞれです。症状は比較的緩やかに8年~10年程かけて徐々に進行していきます。 初期症状として、あったことそのものを忘れてしまう記憶障害などが見られ始め、症状が悪化すると物事を順序立てて考えられなくなる実行機能障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害などの症状も現れます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症の症状にはどんなものがありますか?", "acceptedAnswer": { ...

2021/12/20

【医師監修】認知症の被害妄想とは?|妄想の種類別の接し方を解説

認知症の症状のひとつに被害妄想が挙げられます。認知症の人を介護している中で、認知症の本人から「物を盗られた」「私は邪魔な存在だ」と言われてしまうこともあるでしょう。 認知症による被害妄想は相手を傷つけようと悪意を持って言っているのではなく、本人が現状に対する不満を伝えたり、助けを求めるメッセージのような手段的要素があります。 もし、本人から被害妄想による訴えを聞いた際には頭ごなしに否定せず、本人の話をよく聞いて、本人が発言した内容に隠れている不安な気持ちや孤独に寄り添うことが大切です。 この記事では、認知症による妄想の具体的な症状や対応方法について紹介します。ぜひ参考にしてください。 この記事を読めばこれがわかる! 認知症による被害妄想の具体的な内容がわかる! 被害妄想への対応方法がわかる! 被害妄想への対応に困った際の相談窓口がわかる! 認知症による被害妄想とは 認知症の症状のひとつに「妄想」があります。妄想の多くの症状は、事実ではないにもかかわらず自分が被害を受けたと思い込んでしまう「被害妄想」であるとされています。 被害妄想をしてしまう原因は、認知症を発症してたことによる認知機能の低下に加え、認知症を患っているという現実に対する、やるせなさや認知症の症状に対する苦しみ、周囲への不満などさまざまな感情が複雑にからみ合い、影響し合うことであらわれるとされています。 しかし、そういった被害妄想は相手を傷つけようと悪意を持って言っているのではなく、本人が現状に対する不満を伝えたり、助けを求めるメッセージのような手段的要素があります。 無意識に自分を被害者という守られやすい立場におき、相手に伝えたいことを必死に訴えかけているのです。 被害妄想の種類 認知症の人が発症する妄想の種類は主に以下です。 被害妄想 物盗られ妄想 見捨てられ妄想 対人妄想 嫉妬妄想 迫害妄想 帰宅願望 それぞれ詳しく見てみましょう。 被害妄想 認知症の人が発症する妄想の代表的なものが「被害妄想」です。 具体的な被害妄想の例は主に以下です。 看護師や介護スタッフなどに悪口を言われる 家族に邪魔者扱いされる・のけ者にされる 被害妄想とは、認知機能の低下により、うまく状況を認識できないために起きる妄想です。本人が周囲の人間から「直接的な攻撃を受けている」と訴えることもあります。 物盗られ妄想 認知症の人が発症する妄想の中でも「物盗られ妄想」は多くの人が引き起こす症状です。 具体的な物盗られ妄想の例は主に以下です。 家族に現金を盗られた 介護スタッフに宝石を盗まれた 物盗られ妄想は財産に関連するものを盗まれたと思い込むことが多いです。また、家族や介護スタッフなど、介護をする時間が長い比較的身近な人に対してあらわれる場合が多いのも特徴です。 この物盗られ妄想が引き起こされる要因として記憶能力の低下はもちろんですが、自分の機能低下を認めたくないという不安や焦りの感情も大きいとされています。 「財布をどこかに置いたけれど思い出すことができない、でも自分が認知症であることは認めたくない」という思いにより、本人は誰かが盗ったと結論づけてしまいます。 このように、現実と思考が乖離してしまうことで記憶違いが生まれ、物盗られ妄想へとつながっていくのです。 見捨てられ妄想 認知症の人が発症する妄想に「見捨てられ妄想」もあります。 具体的な見捨てられ妄想の例は主に以下です。 自分は家族に必要とされていない 自分は家族にとって邪魔な存在だ 自分は家族に迷惑をかける存在だ 認知症になると、いままでできていた料理や掃除といった家事が次第にできなくなり、症状が進行していくにつれ、日常生活を家族や介護スタッフなどに支えられて送ることになります。 「今までできていたことができなくなった」という自信の喪失が日を追うごとに負い目を感じるようになり、それが次第に自分は邪魔な存在だ、誰からも必要とされていないといった見捨てられ妄想へと転じていきます。 見捨てられ妄想がひどくなり、家族のことを信用できなくなってしまうと部屋に閉じこもってしまう場合もでてきます。 そうなってしまうと運動する機会が減り身体能力が低下することに加え、人とのコミュニケーションをとる機会も減ってしまうため認知症の症状も悪化してしまう恐れがあります。 対人妄想 認知症の人が発症する妄想に「対人妄想」もあります。 具体的な対人妄想の例は主に以下です。 「知らない男」など特定の人物が家に入ってきた 「知らない男」など特定の人物に冷蔵庫の料理を食べられた 対人妄想は、妄想の内容が細かくリアルであることが多いです。例えば、「知らない男が家に入り込み、冷蔵庫の中のおかずを食べた。その後、男は証拠隠滅をするために使用した皿を洗っていた」など、認知症の症状であることを知らない第三者が聞けば事実だと思ってしまいそうな内容の場合もあります。 対人妄想は本人が家庭内での役割を失い頼られなくなる悲しみや、自分の価値が失われる寂しさが原因で起こる可能性があります。 対人妄想を周囲の人に何度も訴えると、次第に本人の信用がなくなり孤立してしまうこともあるので注意が必要です。 嫉妬妄想 認知症の人が発症する妄想に「嫉妬妄想」もあります。 具体的な嫉妬妄想の例は主に以下です。 妻(夫)が浮気をしている 妻(夫)が浮気相手を家に連れ込んでいる 妻(夫)が浮気相手と駆け落ちをしたかもしれない 嫉妬妄想とは、配偶者に対して浮気をしているのではないかと誤解してしまう妄想です。 配偶者の帰りが少し遅くなったり、自分と接する時間が昔と比べて短くなったりした時に「外で誰かと会っていたのではないか」などと思い込み、激しく嫉妬してしまいます。 嫉妬妄想が起こる原因も見捨てられ妄想と同じように、認知症を患ったことで自分は迷惑がかかる邪魔な存在だと思い込んでしまうことにあります。 認知症になったことで配偶者に嫌われてしまうのではないか、離れて暮らさなくてはいけないのではないかといった不安が必要とされていないという考えに至り、浮気をされているかもしれないという思い込みへとエスカレートしていくのです。 迫害妄想 認知症の人が発症する妄想に「迫害妄想」もあります。 具体的な迫害妄想の例は主に以下です。 家族に暴力を振るわれている 若い男に命を狙われている 迫害妄想とは「誰かに狙われている」など、誰かが自分に危害を加えようと企てている・攻撃されていると訴える妄想です。 自分に危害を加える相手は「見知らぬ誰か」の場合もあれば「家族」「介護スタッフ」など身近な人の場合もあり、周囲の人から虐待を疑われてしまう可能性があるので注意が必要です。本人に迫害妄想の症状があらわれたと感じたら、すぐにケアマネジャーなどと状況を共有しましょう。 帰宅願望 認知症の人が発症する妄想に「帰宅願望」もあります。 帰宅願望は「家に帰りたい」と訴える症状です。本人が自宅にいても病院や施設にいても、そこではないどこかへ「帰りたい」と訴えます。本人が「家に帰りたい」と考えて、実際に外に出てしまうこともあります。 帰宅願望は認知症の代表的な症状である見当識障害により、自分の場所が正確に理解できないことが原因で起こるとされています。 幻覚との違いは? そもそも幻覚とは「幻視」「幻聴」「幻臭」「幻触」「幻味」の5つに分類され、認知症を患っている人の多くは、幻視が症状としてよくあらわれるとされています。具体的な症状としては、亡くなった人が部屋にあらわれたと言うようになったり、誰かがいる感じがすると言ったりするなど幻を見るようになります。また、幻視に悩まされる認知症のひとつとしてレビー小体型認知症が挙げられます。レビー小体型認知症を患っている場合、幻を見るだけではなく、見ることで怯えてしまったり、奇声をあげてしまったりする場合もあるようです。 被害妄想の基本的な接し方 認知症による被害妄想があらわれた場合、症状が出た本人との基本的なおすすめの対応方法は主に以下です。 本人の話を否定しないで聞く 本人の話に共感する 自尊心を取り戻してもらう 一人で抱え込まずに周囲に相談する 本人と距離をとる それぞれ詳しく見てみましょう。 本人の話を否定しないで聞く 認知症を患っている本人に被害妄想が見られたときには、本人の話を頭ごなしに否定せず落ち着いて話の内容を聞きましょう。 認知症を患っている本人に物盗られ妄想や見捨てられ妄想があらわれ、泥棒呼ばわりされたり浮気を疑うような発言をされ、嫌な思いをすることもあるかもしれません。しかし、認知症の本人に嫌なことを言われても頭ごなしに否定をしていると状況を改善することはできません。 認知症ではない人にとっては理不尽な発言かもしれませんが、認知症を患っている本人にとっては真実を訴えています。本人は訴えた真実を否定をされると怒りや悲しさ、疎外感といった感情が増幅し、被害妄想が悪化してしまう可能性もあります。 まずは言われたことに対して肯定も否定もせず、きちんと話に耳を傾けるましょう。 認知症による被害妄想が現れてしまった人と接するには、本人が発言した内容に隠れている不安な気持ちや孤独をきちんと聞くことが大切。そして抱えているつらさを受け止め、本人が感情を落ち着けるようにしましょう。 本人の話に共感する 認知症を患っている本人に被害妄想が見られたときには、本人の話に共感するのも大切です。本人の話を否定をせず相手の言葉を受け入れるのと同時に、話を聞く際に「大変ですね」「お気持ちわかります」などと相槌をうち共感をすると、なお効果的です。 認知症が原因で起こる被害妄想はその訴えている内容自体に意味があるというよりも、不安に思っていることを理解してほしい、やるせなさを理解してほしいというような大切なメッセージが隠されていることが多いです。 そして、不安な感情は話に共感し寄り添ってくれることで認知症を患っている本人も口に出しやすくなります。そのため、日々の会話の中で不安な感情に気付くきっかけを作るためにも共感することを心がけながら話をすると良いでしょう。 自尊心を取り戻してもらう 認知症による被害妄想が本人の自尊心が傷ついているのが原因であれば、本人のプライドを取り戻せる工夫をすることも、おすすめの対応方法のひとつです。 本人が手芸が好きな場合は本人から手芸のやり方を教わったり、本人料理が得意な場合はとっておきの得意料理レシピを教えてもらったりするなど、コミュニケーションにを工夫してみましょう。何かを教えるという行動を通じて本人の自信を取り戻していくことは自尊心の向上につながります。 一人で抱え込まずに周囲に相談する 被害妄想の矛先が介護をしている人自身に向いている場合、否定もせず一人で対応し続けるのには大変な心労を負い、精神的に参ってしまうことも。少しでもつらいと感じたら、ひとりで対応せずに、できるだけ早くケアマネージャーや医師に相談するしましょう。 「自分のことよりも認知症の人をどうにかしたい」「相談しても理解してもらえないかもしれない」といった焦りや不安から相談することをためらう人もいるでしょう。しかし、まずは介護者自身が心身ともに健康である状態を守り保ち続けることが重要です。 また、どうしても相談することに前向きになれない場合には、被害妄想に悩む人たちのための家族会や定期的に勉強会を開催している団体に頼るという手もあります。 同じ悩みを抱える人たちで話し合うことから始めてみると、そういった場所があるだけでも気持ちが落ち着くはずです。 本人と距離をとる 認知症を患っている本人に被害妄想が見られ、被害妄想の矛先が介護者自身に向いているのであれば、周囲の人の協力を得て本人と距離をとりましょう。思い切って距離をとることは自分の健康を維持するためには大切です。 別の人に介護を頼めるのであれば代わってもらったり、病院への短期入院を検討してみても良いでしょう。その間は介護から離れ自分の趣味ややりたかったことにトライするなど、自分を労る時間として使い、心にエネルギーをため込み心身の休養を取るのがおすすめです。 すぐには距離をとることが難しい場合でもひとりで抱え込むようなことはせず、医者やケアマネージャーなどの第三者に相談をし適切な距離の取り方を検討しましょう。 被害妄想の種類別での接し方 認知症による被害妄想の種類別でおすすめの対応方法を紹介します。 物盗られ妄想への接し方 見捨てられ妄想への接し方 対人妄想への接し方 嫉妬妄想への接し方 被害妄想・迫害妄想への接し方 帰宅願望への接し方 幻覚への接し方 それぞれ詳しく見てみましょう。 物盗られ妄想への接し方 本人に物盗られ妄想物が現れた際に、本人から「物を盗んだでしょう」と言われても否定も肯定もせず、「大切なものがなくなってしまい困っている」「早く見つけなければと焦っている」といった感情に寄り添い共感して訴えを聞きましょう。 訴えを聞いた後は、なくなったと言っている物を一緒にに探すのがおすすめ。自分が最初に発見した場合にはわかりやすい位置に置きなおしたりして、本人に発見してもらうようにしてください。なぜなら、本人が盗られたと言い張っていた物を他人に発見されてしまうと、本人としてもばつが悪く「盗った物を元に戻したんだろう」と新たな被害妄想に発展してしまうこともあるためです。 また、自分で発見できたという安心感はもの忘れに対する不安も拭ってくれます。 見捨てられ妄想への接し方 本人に見捨てられ妄想が現れた際には、本人とのコミュニケーションの機会を増やしたり、本人が憂鬱になる場面を減らしたりしましょう。例えば、一緒に散歩をする、本人が無理なく参加できる家事をお願いする、などがおすすめです。 見捨てられ妄想は本人の自信の喪失が原因であることが多いため、本人が自信を取り戻せるような行動を取ってもらうことが大切です。本人が得意なことや簡単な作業、家事などを頼み、それができた際には感謝を伝えることで本人は達成感を得られます。 対人妄想への接し方 対人妄想は、大切な人とのつながりが薄れてく恐怖や本人自身の居場所が失われるのではないかという不安が引き金となり発症しやすいのが特徴です。本人が失われたと思っている人との関係や居場所について、実際はその人との関係や居場所が失われていないことを再認識させて、不安を取り除き安心感を与えることが大切です。 また、本人の「自分は邪魔な存在だ」という不安や疎外感をなくすため、「自分は役に立つ存在だ」と認識できるような体験をしてもらうのがおすすめです。 例えば、本人が以前得意だった趣味を少しずつ始めてみたり、周囲の人とコミュニケーションが取れる場を作ってあげたりするなど。本人が新たな役割や価値を見出せる環境を作りましょう。 嫉妬妄想への接し方 本人に嫉妬妄想が現れた際には妄想の内容に応じて対応するのがおすすめ。本人の妄想の内容から、誰のどのような行動に対して不安を抱えているのかを考えることが大切です。 例えば、本人が「配偶者が浮気している」と感じている場合は「配偶者は浮気などしていない。家族はみんな元気で仲良くいる」と伝えましょう。また、本人と配偶者が関わる時間を増やし、一緒に出かけるなどして、本人が配偶者に大切にされていることを実感してもらいましょう。 嫉妬妄想は特定の相手に対する寂しさや焦燥感から現れることが多いです。日頃から本人と丁寧に接することで安心感が生まれ、寂しさや焦燥感を和らげることができます。 被害妄想・迫害妄想への接し方 被害妄想・迫害妄想の中でも、暴言や暴力などの被害を訴える妄想への対応は特に注意が必要です。なぜなら、認知症による被害妄想・迫害妄想をしてしまうことを知らない周囲の人が、本人の被害妄想の内容を聞き「本人の家族などが虐待をしているかも…」と勘違いをしてトラブルを招くことがあるためです。 周囲の人から良からぬ誤解を生ませないためには、ケアマネージャーなどの第三者などを介して一人で抱え込まないようにするのがおすすめです。特に、自分自身が暴言や暴力などの被害妄想の加害者として対象にされている場合は、精神的な安定をはかるためにも心理的、物理的な距離をとるようにしましょう。 また、本人が訴える暴言や暴力などが妄想ではなく事実である場合もあります。 被害妄想・迫害妄想があらわれた場合には、はじめから被害妄想だと決めつけずに、きちんと状況を確認し慎重に対応するようにしましょう。 帰宅願望への接し方 本人に帰宅願望が現れた際には、まず本人がなぜ帰ろうとしているのかを聞きましょう。本人の訴えを聞いている際は「家はここだよ」「今日は帰れないよ」などと否定せず、本人の話に同調するのが大切です。 本人の話を聞いた後は「今日はもう遅いので泊まっていきましょう」などと答えることで、落ち着く場合があります。 幻覚への接し方 もし、本人に認知症による幻覚が現れた場合には、物盗られ妄想の時と同様に否定もせず肯定もしないということを意識して接しましょう。 幻覚には以下の症状があります。 幻視:他人に見えないものが見える症状(床に虫がいる、など) 錯視:現実に存在するものが別のものに見える症状(壁のしみが人の顔に見える、など) 幻聴:他人には聞こえない音や声が聞こえる症状(誰も居ない部屋から話し声が聞こえる、など) 幻覚は周りの人には見えませんが、本人はとっては現実に見えています。そのため、本人は家族や周りの人に「そんなことはない」と否定されると混乱したり、拒絶されたと感じてしまいます。本人に幻覚などの症状が現れた際には、「追い払いましたよ」などの声をかけて安心させることが大切です。 また、本人の幻覚の話を下手に肯定をしてしまうと肯定されたことでさらなる妄想を引き起こす可能性もあるため注意が必要です。 それでも幻覚症状がひどく、家族への負担が大きくなる場合には早めに医師に相談するようにしてましょう。 認知症による被害妄想について困ったときの相談窓口 認知症による被害妄想について、「どうやって対応をしたらいいのか」「病院に行くべきなのか」などと困った場合は専門家に相談しましょう。 主な相談窓口は以下です。 地域包括支援センターなどの自治体 市区町村の保健所 精神保健福祉センター 社会福祉協議会 また、厚生労働省のホームページでは認知症の相談窓口を紹介しているので、どこに連絡すれば良いのかわからない場合には検索してみましょう。 認知症による被害妄想を完全に消失させることは困難かつ、かなりの時間を必要とします。その間にも認知症は進行し、できなくなることも増える中で苦しさも増していくことがあります。 そんな中で大切になるのは、被害妄想をなくすことよりも認知症を患っている本人、そして家族が安心して心身ともに健康に過ごせることです。 本人や家族が互い健やかに過ごしていくためにもひとりで抱え込んだりせず、介護や医療サービスの力を借りましょう。 よくある質問 何故、被害妄想が起きるのでしょうか? 認知症を患っているという現実に対するやるせなさや症状に対する苦しみ、周囲への不満などから症状が起きるとされています。 しかし認知症による被害妄想は、相手を傷つけようと悪意を持って言っているのではなく、相手にメッセージを必死に訴えかけているケースが多いです。 被害妄想の症状が出ている人にはどう接すべきですか? 「否定しないで聞く」「話に共感する」「周囲に相談する」「距離をとる」「自尊心を取り戻してもらう」などが挙げられます。 特に否定をしないで聞くということは重要で、認知症ではない人には理不尽な発言に思えるものも、認知症を患っている人にとっては真実を訴えているだけです。 そこで否定をされると怒りや悲しさ、疎外感といった感情が増幅し、場合によっては暴言・暴力につながる可能性も出てきます。 物盗られ妄想にはどう接すれば良いですか? 否定も肯定もせず、共感して聞きましょう。なくなったと言っている物を一緒に探し、わかりやすい位置に起くことで本人に発見してもらうようにしてください。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "何故、被害妄想が起きるのでしょうか?", "acceptedAnswer": { ...

2021/12/17

認知症サポーターの役割や、サポーターになるために必要な資格

認知症サポーターとは?|その役割や具体的な活動内容について

将来、5人に1人が認知症になるといわれ、年々認知症の方が増えている中、認知症の方々を支える大きな柱となる認知症サポーターが注目を集めています。 認知症サポーターとはどのような役割があるのか、具体的な活動事例とともに詳しく解説していきます。 認知症サポーターとは? 認知症サポーターとは、認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域の認知症の人やそのご家族に対して、自分のできる範囲で手助けを行う人のことをいいます。 認知症サポーターは、特別な資格や技術ではありません。認知症に関する理解を持ちたい、支援したいと行動できる方であれば、およそ90分の養成講座を受講するだけで、どなたでも認知症サポーターになれるのです。 近年、認知症の人は右肩上がりで増え続けているため、これからの社会においては、多くの人や地域による認知症支援が必要不可欠。現在では約1300万人以上の方が認知症サポーターとして活動に参加しています。 認知症サポーターに求められる3つの役割 認知症サポーターに求められる3つの役割があります。 認知症に対して正しい知識を持ち、偏見を持たない 近くの認知症の人に対して、見守りなど簡単なことから実践する 住みやすいまちづくりを担うリーダーとして活躍 ここからは、それぞれの役割について詳しく説明していきます。 認知症に対して正しい知識を持ち、偏見を持たない 現在の日本においても、まだ認知症への偏見や誤解が少なからずあり、そのことで本人のみならず、支えるご家族も悩まれていることが多くあります。 認知症サポーターとして認知症の正しい知識と理解を得ることで、認知症の方とそのご家族などの心の負担を軽くできるだけでなく、後にサポーター本人が認知症になった場合にも、ご自身の状況を受け入れやすくなることが考えられます。 また、認知症サポーターとして、ご自身のまわりの人々に認知症の理解を広めることも、大きな役割となります。 近くの認知症の人に対して、見守りなど簡単なことから実践する 認知症サポーターとして、専門的な技術はなくとも認知症の理解と知識があるだけで、できることは充分あります。認知症の方が道を歩いていたら見守ることができ、危険だなと感じた場合は、優しく話しかけ誘導することもできます。 また、認知症のご家族を支える人々に対し、介護の難しさや苦労話を聞いて共感することもできます。 そんな小さなことを、サポーター一人ひとりによって増やしていくことができれば、大きな支えになっていくのです。 住みやすいまちづくりを担うリーダーとして活躍 認知症サポーターが認知症の正しい知識や理解をもったうえで、地域の方への手助けを率先的に行ったり、積極的に情報を発信するなど、地域に認知症への理解を広める行動をとることで、認知症の方が暮らしやすい社会をつくることも重要な役割のひとつです。 認知症の方々を支えられる社会は、地域に住む外国人や子供、または、社会的に弱い立場に人々にも優しくできる社会となるでしょう。 認知症サポーターの証であるオレンジリングを身に付け、あらゆる人が住みやすくなるためのまちづくりに参加すれば、地域のさまざまな人と認知症の知識を共有することもでき、優しい未来を築く手助けができるのです。 認知症サポーターの具体的な活動例 実際に、認知症サポーターはどのような活動をおこなっているのでしょうか?詳しく見ていきましょう。 悪徳商法に騙されていないかを確認 高齢者をターゲットにした悪徳商法を行う業者は、後を絶ちません。その中でも、相手が認知症であるとわかっている上で契約書にサインをさせたり、押し売りをする業者もいます。 あなたの回りの高齢者の方で、高額な商品をたくさん売りつけられていたり、振込を迫られているようなことがあると耳にしたら、すすんで悪徳商法に騙されていないか確認してあげましょう。 怪しいと思われた場合は、ご家族やご親族に連絡をしてください。連絡ができない場合は「消費者センター」に契約内容を確認しても良いでしょう。 道に迷っているときの手助け 高齢者などが、道に迷い困っている場面に遭遇した時には、認知症であることも疑い、手助けをしてみましょう。 認知症の症状ひとつに見当識障害があり、ご自身がいる場所を認識できなくなり、自分がどこへ向かっているかもわからず、ご自宅に帰れなくなってしまうことがあります。その場合はさりげなく話しかけ、身の安全を確保したうえで警察に連絡し、保護をお願いしてみましょう。 オレンジカフェの開催・参加 オレンジカフェとは、認知症のご本人やその家族、医療関係者や介護に携わる方々、地域の人々など、どなたでも自由に参加でき、交流できる集いの場のことです。 認知症を抱える当事者やご家族が、気軽に情報交換や介護相談をしたりレクリエーションを楽しみながら、住み慣れた地域で、引き続き安心して生活していくことを目的に活動します。認知症サポーターが参加することはもちろん、主催することも可能です。 認知症サポーターになるには? ここでは、認知症サポーターになる方法を説明していきましょう。 認知症サポーター養成講座 認知症サポーターになるためには、自治体や全国の職域団体が主催する認知症サポーター養成講座の受講が必要です。 養成講座の講師はキャラバン・メイトが務め、講座の時間は90分程度で、テストなどはありません。受講料は原則無料で、講座終了後には、認知症サポーターカードとオレンジリングが配布されます。 オレンジリングとは? オレンジリングとは、認知症サポーター講座を受講し、認知症サポーターとして認定された際に配られるオレンジ色のリストバンドのこと。オレンジリングは認知症の知識と理解を持って支援する人の目印でもあり、他のサポーターや支援団体と連携してサポートをおこなっていく証にもなります。 養成講座の内容 認知症サポーター養成講座では、キャラバン・メイトと呼ばれる講師とともに、認知症の知識を学び、認知症の方と接する心がまえと介護をするご家族の気持ちを理解し、認知症サポーターの役割を考えていきます。 養成講座への参加を希望する場合は、各自治体の担当窓口に直接問い合わせてみましょう。開催の予定などは、広報誌でも確認することができます。 おおむね10名程度の参加が見込まれるようなら、企業や学校など個別の開催も可能です。また、全国キャラバンメイト連絡協議会が主催するキャラバン・メイト養成研修を受講し登録されれば、キャラバン・メイトとして養成講座の企画・開催し、講師として活動することもできます。 認知症サポーターの誕生背景 高齢化に伴い認知症の人が増加し、介護施設や家族だけでは支えることが困難になってきたため、2005年より厚生労働省により「サポーターキャラバン」と名付けられた「認知症を知り地域を作るキャンペーン」として、サポーターの養成が始まりました。 2015年の「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」では、認知症高齢者等に優しい地域づくりを加速させるためには、認知症サポーターの活躍が最も重要であるということを認識し、その活動を支援していくことを約束しています。 多くの人の理解とできる範囲の支援によって、認知症の人やそうでない人にとっても、安心して住みやすい地域がつくられるのです。 認知症サポーターは地域に必要な存在 認知サポーターとなり、認知症の正しい知識と理解を広めることは、地域の認知症の方やそのご家族が安心して住み続けられるお手伝いができるだけでなく、将来、自分や家族が認知症になった場合でも、安心して暮らせるような地域づくりをも可能にします。 どなたでもなれる認知症サポーターは、地域にとって必要な存在。これからの地域やご家族のために、認知症の方と接する心構えを知りたいとお考えの方には、認知症サポーターの取得をおすすめします。 認知症サポーターに関するよくある質問 認知症サポーターとは何ですか? 認知症に関する正しい知識と理解を持ち、地域の認知症の人やその家族に対して、自分のできる範囲で手助けをおこなう人のことを指します。現在では約1300万人以上の方が認知症サポーターとして活動に参加しています。 認知症サポーターは誰でもなれますか? 認知症サポーターは、特別な資格や技術は必要なく、認知症に対する理解を深めたい、認知症の人の支援をしたいと思う人であれば養成講座を受講するだけで認知症サポーターになれます。 認知症サポーターはどんな活動をしていますか? 「悪徳商法に騙されていないかを確認」「道に迷っているときの手助け」「オレンジカフェの開催・参加」などが挙げられます。認知症の人やその家族を見守り支援することが主な活動内容として挙げられ、オレンジカフェなどを通じて相談活動もおこなっています。 ▶「いい介護」で認知症でも入居相談可能な老人ホームを探してみる { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症サポーターとは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/16

認知症予防の方法としてウォーキングなどの有酸素運動が効果的

【医師監修】認知症の予防方法|生活習慣を見直す3つのポイント

「最近もの忘れが多くなってきた気がする」と将来認知症になることを心配している方も多いのではないでしょうか。 認知症は現代の医学では完全に治すことは難しいとされています。しかし認知症予防は生活習慣病と関係していることがわかっており、生活習慣を改善することで予防できるのです。 この記事では、そんな認知症の予防について詳しく解説していきます。「まだ認知症じゃないし、大丈夫」なんて思わずに、認知症予防についての知識を蓄えておいてください! 認知症は予防できる? 認知症は、現時点おいては確立された予防法や治療法はありません。 趣味やボランティアの仲間とコミュニケーションをとることで、心や脳が活性化され認知症予防に繋がると聞いたことがある方もいらっしゃることでしょう。 近年では糖尿病などの生活習慣病と認知症に関する研究が多くなされ、生活習慣病の予防が認知症予防に繋がるということもわかってきました。 生活習慣病とは 厚生労働省において、生活習慣病とは「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」のことを定義します。 例えば、家族性のものを除くインスリン非依存糖尿病、肥満、脂質異常症、アルコール性肝疾患などが挙げられます。 認知症と生活習慣病の関係は? 生活習慣病は認知症の発症を高めると言われています。 主な生活習慣病と言われている高血圧や糖尿病、脂質異常症は、認知症の原因ともなる脳梗塞や動脈硬化、脳出血を引き起こしやすくなります。 家族性や遺伝子異常が原因なこともありますが、血糖値やコレステロールが高いとドロドロした血液になり血流が悪くなって、脳の細い血管を傷つけたり詰まりやすくなることで、脳梗塞などを引き起こすと言われています。 検診で、これらの項目に要注意または再検査が指摘された方は、いきなり自己流の糖質制限などをおこなうのではなく、病院に行き医師の指導を受けましょう。 では、これらの生活習慣病は日常生活の中で予防していけるのでしょうか?次の章で説明していきます。 生活習慣病は予防できる 生活習慣病のほとんどは予防できると言われています。なぜなら、日々の生活習慣が主な病気の原因であると言われているからです。 検診を受けて、まずは自分の健康状態を把握しましょう。メタボリックシンドロームやコレステロール過多、血圧が高めの方は、医師の指導を受けながら、普段の食事内容や飲酒、睡眠の質、運動などの見直しをおすすめします。 見直すことにより、生活習慣病の発症や進行を防いでいくことができます。なお、運動を新たに取り入れたり負荷をかける時は、無理をせず自分の体力や身体状況に適した内容にしてください。 認知症予防の主な3つのポイント 認知症予防の主なポイントは以下3点です。 食事 運動 コミュニケーション どれも日常生活に関わることですので、ぜひご参考にしてください。 食事 塩分・糖質を抑える 塩分や糖質を控えめにすることで認知症予防に繋がると言われています。 高塩分は高血圧や動脈硬化を引き起こす原因になり、脳血管性認知症のリスクを上げると言われています。特に高血圧の方は、血圧計で毎朝チェックすると良いでしょう。 また、糖尿病患者は糖質を抑えることでアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の発症を予防すると言われています。糖質制限や血糖値コントロールは我流でおこなうのではなく、必ず医師の指導を受けてください。 抗酸化成分を含む食品を摂取する 活性酸素は脳細胞の変性や動脈硬化を引き起こすと言われており、アルツハイマー型認知症や脳卒中、血管性認知症脳卒中を引き起こす作用があります。 抗酸化作用とは活性酸素を抑制する働きのことで、抗酸化成分を含む食品を摂取することにより認知症予防や進行を遅らせることが期待できると言われています。 具体的な食品として、不飽和脂肪酸DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)を含む青魚やレシチンを含む大豆製品、ナットウキナーゼを含む納豆、野菜などが挙げられます。どれも身近なスーパーで購入可能な食品ですので、普段の食事に取り入れると良いでしょう。 バランスの良い食事を心がける 一番おすすめなのが肉や魚、野菜、果物など、三食をバランスよく食べること。テレビなどでこの食材が良いといった情報や、ストイックな食事法などにこだわり過ぎないようにしましょう。 また、麺類やパンのみ、食事代わりのお菓子などはなるべく避けましょう。肉や魚、豆類といったたんぱく質やビタミンミネラルが摂取できる野菜など、いろいろな種類を食べると良いでしょう。臨機応変にサプリメントなども活用してください。 運動 有酸素運動 認知症予防に有酸素運動は効果的とも言われており、たくさんの酸素を消費しながら運動することを指します。血流が良くなるだけでなく基礎代謝量を増加させたり、心肺機能も高められるため、動脈硬化や糖尿病、がん予防が期待できると言われています。 ウォーキングは誰でも手軽に取り組め、水泳やサイクリング、エアロビクスなども試してみると良いでしょう。手足を動かしたり、ステップを覚えることにより、脳にも刺激が伝わります。健康に不安がある方は負荷が高い種目を始める前に、必ず医師にご相談ください。 ながら運動 ながら運動は室内で家事やテレビを見ながらストレッチや筋力トレーニングをすることです。スポーツジムにわざわざ行く必要もなく、天気に左右もされません。筋肉を鍛えることで筋肉も増えて基礎代謝も高まり、血行も良くなるためおすすめです。 コミュニケーション 家族や近所の方、趣味の仲間とコミュニケーションをとることで、脳の活性化が期待できると言われています。 例えば、「町内会の役員をする」「ボランティア活動をする」「一緒にガーデニングや畑仕事をする」といったことがおすすめです。遠く離れた家族とテレビ電話で話したりするのも良いでしょう。 認知症予防はいつから始める? 認知症は、加齢とともに発症の危険性が積み重なっていきます。脳の老化は40代後半から始まり、50代後半あたりから兆しが出てくると言われています。アルツハイマー型認知症の原因となる物質は、約20年前から蓄積し約20年後に発症を引き起こす要因になるとも言われています。認知症になったかというボーダーラインもあいまいなもので、軽度認知障害(MCI)という認知症一歩手前になった人も生活を普通に送れていることが多いです。認知症予防は、年齢が若くても日常生活の中で取り組んでいくことで、将来的に決して無駄にはなりません。若い人でも認知症予防を積極的に意識していくことが大事です。 認知症予防で大事なこと 「認知症になったらどうしよう」と考えすぎてストレスを溜めたり、認知症予防目的で無理な運動やストイックな食事制限をすることで体調不良や怪我をしてしまっては本末転倒です。 認知症予防は、毎日、無理なく楽しみながら、コツコツと継続していくことが大切です。健康を意識しつつ毎日ほがらかに過ごしましょう。 季節感を楽しんだり、遠く離れた家族や旧友とオンラインで話したり、配偶者や友人とサイクリングや登山など挑戦してみるといった、自分が心から「楽しい」と思えることをお試しください。 続きを読む 認知症予防事業に参加できる お住まいの自治体に認知症予防事業があれば、参加してみましょう。介護保険の要介護認定を検討している方にもおすすめです。65歳以上の年齢制限があるためご注意ください。 認知症予防の講座や脳トレ、体操教室などが開催されることがあるため、お住いの役所やホームページなどでご確認ください。 体操は強度が軽めのものを中心におこなうことが多いため、気軽に参加してみると良いでしょう。認知症の基礎知識や認知症予防に繋がる習慣を学んだり体を動かしたり、講座内の参加者とコミュニケーションを取れて一石二鳥です。 認知症の予防法に関するよくある質問 認知症予防に効果的なことは何ですか? 認知症予防として効果的なのは「食生活を意識」「適度な運動」「良質な睡眠」「ストレスを溜めない」「周囲とコミュニケーションをとる」などといったことが挙げられます。 特に、食生活を意識することは重要で、主に肉や魚、野菜、果物など、三食をバランスよく食べると良いでしょう。 認知症予防のために運動はどのぐらいすれば良いですか? まずは週2~3回以上、30分以上の運動から始めてみましょう。主にウォーキングをメインにおこない身体に負担がかからないようにしましょう。また、ウォーキングだけでなく、さまざまな運動を組み合わせることで認知症予防に有効です。 認知症のリスクを上げる食べ物は何ですか? 麺類やパンのみ、食事代わりのお菓子、ファーストフードなどが挙げられます。たんぱく質やビタミンミネラルが少なく栄養がほぼ摂取できません。主に肉や魚、野菜、果物などバランス良く栄養を摂取し、臨機応変にサプリメントなども活用しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症予防に効果的なことは何ですか?", "acceptedAnswer": { ...

2021/12/16

認知症の症状である暴力・暴言の原因や症状の特徴、対処法や予防

【医師監修】認知症による暴言・暴力の対応方法|原因や予防策

認知症が進行した高齢者による暴言や暴力は介護する家族や周囲の人を危険にさらすことになり、とても大きな問題です。 認知症になるとなぜ暴言や暴力が起きるのでしょうか。原因について明らかにすることで、対応方法についても考えていきましょう。 暴言・暴力が起きる原因は? 認知症になると必ず暴言や暴力が起きるわけではありません。同じ認知症でも暴力的にならない人もたくさんいます。 暴言や暴力が起きる原因には、主に以下のようなものがあります。 感情のコントロールが利かない 不安を感じた 否定されたり自尊心が傷つけられた 薬の副作用 認知症の行動・心理症状(BPSD) ここからは、それぞれの原因を深く探るとともに、効果的な接し方をご紹介していきます。 感情のコントロールが利かない 認知症が進行して前頭葉部分が大きく萎縮すると、感情のコントロールが利かずに、軽度な刺激に対して激怒したり泣いたり、大笑いするような症状が出ます。それまで穏やかだった人が突然暴言を吐いたり暴力的になると、驚き、混乱してしまう方も多いです。 このように、感情をコントロールできずに、あふれてしまう状態を感情失禁と呼びます。感情失禁は暴言や暴力が起きる原因のひとつと言われています。 感情失禁は本人がストレスや不安を感じたときに起きるケースが多いです。普段であれば冗談として笑い飛ばせることでも、認知症になると大きなストレスに感じて過剰に反応してしまいます。 何かのきっかけで感情のコントロールが利かなくなると、周囲の人が同じように興奮したり怒鳴ったりすることは逆効果になります。このようなときは、冷静に対処することが大切です。 不安を感じた 認知症の方が暴言や暴力を振るうときは、もしかしたら今置かれている状況に不安を感じているのかもしれません。 認知症になると、上手く自分の気持ちを相手に伝える言葉が見つからずに、適切なコミュニケーションを取るのが難しくなります。 例えば、どこに行くかわからないまま外出させられようとしたとき。不安に思う気持ちを言葉で伝えられずに、力ずくで逃げようとしたり、周りの人から身を守ろうとした結果が暴言や暴力になってしまったのかもしれません。 否定されたり自尊心が傷つけられた 認知症の方の中には、自分が認知症であることを理解している方も少なくありません。 これからどうなるのか不安を感じ、周囲の人が自分をどう見ているかについて恐れを抱いている方もいます。家族や周囲の人が良かれと思って助けてあげたことが、逆に本人の自尊心を傷つけてしまうこともあります。 自分でできると思っていることに対して過度に手を差し伸べられると、傷ついて怒り出したり、怒鳴りつけたりします。高齢者の車の運転なども社会問題になっていますが、危険だからと車の運転を突然止めさせたりすると暴れだすというケースもあるようです。 薬の副作用 認知症の治療薬の中には、服用しているとさまざまな副作用が出るものもあります。代表的な治療薬である「ドネペジル塩酸塩」も、食欲不振や下痢といった軽い副作用から、幻覚や徘徊のようなBPSDを引き起こす場合があります。 認知症の方が突然暴力的になったりするのは、薬の影響の可能性もあります。特に高齢になると、認知症の薬だけではなく他の薬も服用しているケースがあり、飲み合わせが悪いために症状が出ているのかもしれません。 このような場合は、薬を変えたり、薬の量を減らすことで対処することができます。かかりつけ医や薬剤師、専門の医療機関で相談してください。 認知症の行動・心理症状(BPSD) 今まで説明したような原因もありますが、暴力的な言動がでやすい認知症のタイプもあります。特に、暴力的な傾向があるのが脳の「前頭葉」や「側頭葉前方」が萎縮するタイプの、前頭側頭型認知症です。前頭側頭型認知症は、他の認知症とは違って難病認定されています。 また、アルツハイマー型認知症の次に多い血管性認知症も、感情のコントロールが難しくなり暴力行為を起こしやすくなります。レビー小体型認知症の場合は、幻聴や幻覚症状による不安から暴言や暴力を引き起こすことがあります。 症状によるセクハラ行為 感情のコントロールができないことの延長で、人によってはセクハラ行為を行うケースもあります。介助者が女性の場合、身体を触ったり性的な発言をしたりする男性も多く見られます。これは介護スタッフだけではなく、家族にとってもショックなことです。 認知症の症状が進行すると、エスカレートした結果、下半身を露出したり、襲い掛かるといった行為に発展することもあり、専門家にとっても対応が難しくなります。 対応としては、まずは冷静に「やめてほしい」という意思を伝えることが大切です。そして女性ひとりで介護にあたるのではなく、なるべく男性がついて対応するように気をつけてください。 何かあったときは1人で悩まず、必ずケアマネジャーなどに相談しましょう。 暴言・暴力の対応方法 認知症による暴言や暴力の発生自体を防ぐことは非常に困難です。では、介護者や家族はどのような対応をすることが望ましいのでしょうか。 対応として望ましいのが以下の5つです。 物理的な距離を置く 感情的な距離を置く 力で対抗しない 注意をそらす ケアマネジャーや医師に相談する 物理的な距離を置く 認知症によるものとわかっていても、暴言や暴力を受けたら介護する家族は辛い気持ちになります。 本人が暴力的になっているときは、とにかく巻き込まれないように距離を置きましょう。自分の身を守るためにも、介護する家族は物理的な距離をおいて介護から離れることも大切です。 他に介護を任せられる人がいない場合は、施設やショートステイなども利用しましょう。1人で抱え込むことなく、問題を多くの人と共有するように心がけてください。 感情的な距離を置く 物理的な距離だけではなく、感情的な距離を置くことも必要です。 認知症の方は症状の影響で感情のコントロールが上手くできません。介護する側まで同様に感情的になってしまうと、ますます悪い方向に進んでしまいます。 暴力や暴言がある場合は別のことを考えたりして、できるだけ冷静にいるようにしましょう。 力で対抗しない 暴力や暴言を力で押さえつけようとするのは、決して良い解決策ではありません。認知症の方は恐怖や不安から暴力や暴言を起こすことがあり、力で対抗すると不安を増強させることにつながりかねません。 自分の身を守るために力を使うことはもちろん正当防衛として認められますが、事態は何も変わりません。身の危険を感じたときは、まずその場から離れましょう。 注意をそらす 暴力的になった人も、他のことに注意をそらすことで気持ちがおさまることがあります。 テレビをつけたり、食べ物で気を引いたり。または、好きな趣味の話をすることも有効です。興奮している人を介助者と一緒に連れ出して、外の空気を吸うことで気分転換を促すのも良い方法です。 ケアマネジャーや医師に相談する 認知症の方による暴言や暴力に悩んだら、まずはケアマネジャーや担当の医師に相談することです。暴言や暴力の原因がなににあるかといったことは、初めて体験する家族には理解ができません。また、愛する家族のことなので、なおさら複雑な感情を抱えてしまいます。 ケアマネジャーや医師は同じようなケースを何度も見てきているので、なにが原因か、最適な対応策は何かについて知見を持っています。1人で悩みを抱え込まずに、専門家のアドバイスをしっかり聞くようにしましょう。 まずは原因を探ることが大切 対処法を考えるより前に、暴言や暴力が出てしまった原因を探ることが何より大切。冷静に本人の話に耳を傾けて、気持ちに寄り添うようことが大事です。本人も暴力を振るおうと思っているわけではなく、病気の症状によるものだということも理解してあげてください。 日常で気をつける予防と改善策 認知症による暴言や暴力に対しての日々の予防と改善策についてまとめました。 不安や混乱にならないように 認知症の方は、自分が置かれている時間や場所がわからなくなったり、今までできていたことができなくなったりして、不安や混乱を感じていることがあります。 そのようなときには、不安にならないように優しい態度で、丁寧に何度でも繰り返し伝えることが大切です。書いたものを見せたり、メモを取るのも有効です。 否定しないようにする 認知症の方も自分の症状を理解し、懸命に対応しようと努力をしています。認知症の影響でできないことを頭ごなしに否定しないように気をつけてください。 違っているとしてもすぐには否定せず、まずは「そうだね」と肯定し、その上で正しい対応に導いてあげると良いでしょう。 自尊心を傷つけないようにする 認知症の方を否定しないのと同様に、自尊心を傷つけるような言動は避けた方が良いです。 障害の影響でできないことが増えているとしても、「できない」と馬鹿にしたり、批判するようなことは厳禁。認知症の方に対しても、礼儀を持って接することが大切です。 家族の体調不良に気をつける 認知症の方を在宅で介護し続けると、家族に大きな負担がかかります。暴言や暴力を受けたり、徘徊や幻覚症状などが出ると、介護者自身が体調を崩してしまうケースもしばしば見受けられます。 認知症になると子供のようになると言われますが、心の状態は子供でも体格は大きな大人です。また、自分の親が認知症になった場合、介護する子供は親の変わりようにショックを受けることもあります。 介護する側の誰かがストレスや疲れで身体を壊すことがないように、気を付けることが大切です。状況によっては施設への入所やショートステイの利用も検討しましょう。 認知症による暴言・暴力に関するよくある質問 認知症で暴言・暴力は何故起こるのでしょうか? 認知症により脳の機能が低下し、感情を抑制する部分のコントロールが上手くできず暴言や暴力といった行動をとってしまうことがあります。また、不安を感じたり、否定をされるなどから暴言・暴力を振るってしまうこともあり、原因はさまざまです。 認知症の薬が原因で暴言・暴力が起こることはありますか? 認知症の薬が原因で暴言・暴力が起こることはあります。認知症の治療薬である「ドネペジル塩酸塩」は認知症の進行の緩和に役立つ一方で、下痢・食欲不振・幻覚・暴力行為といった副作用が指摘されています。 高齢者の場合、認知症の薬だけではなく他の薬を服用し飲み合わせが悪く、症状が出ている場合も考えられます。少しでも異変を感じたら薬の変更や量の調整を医師や薬剤師に相談をしましょう。 認知症による暴言・暴力の対応はどのようにすれば良いですか? 「一時的に心理的・物理的な距離を置く」「力で対抗しない」「注意をそらす」「ケアマネジャーや医師に相談する」などが対応として望ましいです。 特に大切なのは、一人で抱え込まず専門家に相談することです。ケアマネジャーや医師は同様のケースを多々見てきているので、何が原因で、どのように対応すれば良いか最適なアドバイスをくれます。 また暴言・暴力以外にも悩みがある場合、相談してみると家族の負担も軽減できるでしょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症で暴言・暴力は何故起こるのでしょうか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/16

若年性認知症の症状や治療法、予防法について

【医師監修】若年性認知症とは|原因や症状、効果的な予防法について

高齢者の病気と思われがちな認知症。実は、現役世代でも発症してしまう可能性があることをご存知でしょうか。比較的若い世代の人が発症する認知症のことを、まとめて若年性認知症といいます。 この記事では、若年性認知症の具体的な症状や治療方法、予防方法から活用できる社会保障制度などについて、詳しく紹介していきます。 若年性認知症とは? 若年性認知症とは、18歳〜65歳未満で認知症を発症した場合の総称を指します。また、若年性認知症の中でも18歳から39歳までに発症した場合を若年期認知症。40歳〜64歳までに発症した場合を初老期認知症と言います。 2017~2019年度に実施した日本医療研究開発機構(AMED)の調査では、18歳~64歳の若年性認知症者の総数は約3.57万人(推計)。患者数はそこまで多くないため、医療・介護の現場での認識が不足している場合もあるようです。 また、若年性認知症はまだまだ現役で仕事をしている世代が発症することも多く、自分自身だけではなく家族にも影響を及ぼす可能性が高いという点が特徴です。 若年性認知症の特徴 発見が遅れがち 認知症は高齢者がかかる病気であるという価値観が世間に浸透しているため、年齢が若いために本人も周囲も認知症であると気づかずに、発見が遅れやすい傾向があります。 また、初期症状が性格の変化、言葉が出にくいといった、一見すると認知症の症状とは断定しにくい症状からあらわれるため、うつ病や更年期障害と誤診されやすく、経過観察を経てようやく診断がつくといったこともあるようです。 経済的な打撃を受ける 現状では若年性認知症を発症した方が仕事を続けていくのは困難な状況があり、一度発症してしまうと収入が減少し、経済的に厳しくなってしまうことも。 若年性認知症は、高齢者の認知症とは違い若い世代が発症する認知症。まだまだ働き盛りの方も多く、住宅ローンや子どもの教育資金などさまざまな支払いを抱えている方もいるため、そのような方にとって若年性認知症による経済的困窮は非常に深刻な問題といえます。 加えて、家族が介護離職をせざるを得なくなるケースもあり、経済格差生み出す要因になっています。 専門サービスや支援が少ない 若年性認知症は高齢者が発症する認知症に比べ圧倒的に少ないために、若年性認知症の方を対象としたサービスや支援も少ないという現状があります。そのため若年性の場合でも、高齢者向けや障がい者向けのサービスを利用しなくてはならない場面が多くなります。 若年性認知症の原因 若年性認知症は病名ではなく、18歳〜65歳までに発症する認知症の総称です。原因はさまざまですが、なかでも多いのはアルツハイマー型認知症で全体の半分を占めています。 また、高齢者の認知症に比べると、アルコール性認知症や、前頭側頭型認知症の割合が高くなっているのも若年性認知症の特徴として挙げられています。 若年性認知症の症状 若年性認知症も、高齢者が発症する認知症も、中核症状は脳の生物学的な機能低下が原因です。症状があらわれる状況に違いはあれど、症状自体には大きな違いはありません。 一方で外的要因の影響を受けやすい心理症状や行動といった二次的な症状に関しては、若者ならではの苦しみや不安があらわれることもあるようです。 中核症状 記憶障害 新しいものごとを覚えられなくなったり起きた出来事を忘れてしまうなど、記憶する能力が高齢者と同様に低下します。 何度も同じ話を繰り返したり取引先との打ち合わせを忘れてしまったりなど、日常生活や仕事でトラブルになることが多いようです。 見当識障害 現在の時刻や、ここはどこなのか、友人や家族など親しい人の顔を忘れるなど自分が今置かれている状況を理解する能力が低下します。 朝や昼、夜といった時間の認識ができず、食事をしたことを忘れてしまったり、ここがどこなのかを理解することができないために、外出すると家まで戻ってくることが困難になる場合もあるようです。 実行機能障害 ものごとに優先順位をつけ、計画的におこなうというようにプランニングから問題解決までを考え実行する能力が低下します。 食事の準備ができなくなったり、電化製品の使い方がわからなくなったりと、生活をしていく上で必要な能力が低下し、自立した生活を送りづらくなってしまいます。 理解・判断力障害 物事を理解し判断する能力が低下することで、良し悪しが判断できなくなったり、言われたことをきちんと理解することが困難になったりします。 買い物の支払いにとまどったり、上司に言われたことを理解して行動することが難しくなったりするなど、日々の生活に支障をきたします。 行動・心理症状(BPSD) 不安や焦り 認知症をまだ若い年齢で発症してしまったという事実は想像よりもショックなものです。 これから先どうなるのだろうという将来に対する不安や、家族がいる方であれば経済的な面を考えるあまり焦りが生じることも。 そういったことが原因で閉じこもりがちになり、抑うつ状態に陥ってしまうなど、精神的な症状があらわれる場合もあります。 幻覚や妄想 若年性認知症を発症し、記憶能力が低下していきます。 それにより、ミスが増え自尊心が傷つけられたことをきっかけに、自分で片付けたものや失くしてしまったものを誰かに盗られたと言い出したり、自分のミスを誰かが自分を陥れようとしていると言い出したりするなど、妄想や幻覚が生じることもあります。 攻撃的な言動 若くして認知症を発症してしまったショックや、今後どう生活していけば良いのかといった焦り、仕事を続けられなくなってしまう悔しさなど、さまざまな感情を抱えています。 複雑な心情から攻撃的な発言や態度を取ってしまうこともあるでしょう。 徘徊 自分のいる場所がどこかわからなくなり、徘徊してしまうこともあります。また、高齢者と違い体力も脚力もあるので、かなり遠くの場所で道に迷ったり行方不明になることもあるようです。 一見するとあてもなくうろついているように見えますが、家に帰るため、職場に出勤するためなど目的があっての行動です。 早期発見・早期診断が大切 高齢者が発症する認知症と同じように、若年性認知症も早期発見、早期診断が大切です。 若年性認知症の場合、まだ現役で仕事をしている方や、日々の家事、育児を担っているような若い世代が発症することが多いのがポイント。認知症の初期症状である「忘れっぽくなった」といったことも日々の疲れと誤認し、受診が遅れてしまいがちです。 しかし、まずは異変を感じたらすぐに受診をすることで、診断までの時間を短くできることに加え、早めの治療を開始することで進行を早い段階で遅らせ、生活の改善を図ることができます。 若年性認知症は進行が早い 最近、物忘れがひどくなったと感じたらまずは受診をしてみてほしい理由のひとつに、若年性認知症の進行の早さが挙げられます。 若い世代で若年性認知症を発症すると、進行スピードは高齢者の2倍以上になることもあると言われており、月単位で進行が進んでいくことも。そのため、いつもと何か違うと感じたときには受診をし、診察してもらいましょう。 若年性認知症の治療 薬物療法 現在の医療では若年性認知症に対して、根本的に進行を食い止めるといった治療薬の開発はされていません。そのため、現在可能な認知症の薬物療法は認知症の症状に対応して薬剤を選択するといった対症療法が中心となります。 また、使用されている治療薬は中核症状の進行を抑えることを狙いとしたアリセプトなどの薬や、行動、心理症状の軽減を狙いとした抗不安薬・抗精神病薬といった薬などの2つに分類されています。 非薬物療法 若年性認知症の治療として薬物療法を取り入れることと同様に、生活習慣の見直しといった非薬物療法をおこなうことも非常に重要とされています。 特に食事は重要だとされていて、バランスの良い食事を心がけるのが重要。さらには、魚やナッツ類、アマニ油などの認知症の症状改善につながると言われている食材を食事に積極的に取り入れることで、認知症の進行を抑制することができるといわれています。 そのほかにもリラクゼーション効果や脳を活性化させるといわれているアロマなども認知症の症状に効果があるとされていて、介護施設などでも積極的に取り入れられています。 若年性認知症は予防できる? 高齢者が発症する認知症にも完全な予防法が存在しないのと同様に、若年性認知症にも完全に予防できる予防法はありません。 とはいえ、若年性認知症は脳血管障害などが原因で発症することが多くなっているという事実もあるため、そういった病気にならないための予防や、生活習慣病などの予防が大切になります。 食生活を改善したり、定期的に健康診断を受診したりするなど、日々の生活により目を向けることが、結果的に若年性認知症の予防につながるでしょう。 また、普段から人との交流を持つことで脳を刺激し、生活に豊かさをもたらしてくれます。共同作業を通して何かを作成する、人の前で成果を発表する機会を持つなど、人との接点を持つことに加え、達成感を味わえるような環境も認知症を予防するうえで大切です。 若年性認知症と診断を受けたら 若年性認知症を発症する方はご自身の年齢も若く、働き盛りの方が多いため、普段の生活に大きな影響を与える場合が多いです。 親の介護をしている方が若年性認知症を発症してしまうと、その方の介護と親の介護が重なることで介護負担が大きくなってしまいます。同様に若い世代で発症すると、親の介護がない場合でも、子どもがまだ成人していない場合も多いので介護負担は大きくなりがちです。 また、若年性認知症を発症したことで仕事を退職しなくてはいけなくなってしまうと、経済的に困窮し、生活のあり方を見直さなくてはならない場合も。 このように、若年性認知症を発症することで経済的な面でも介護のあり方という面でもさまざまな問題が発生します。そうなってしまった時には現行の制度やサービスを利用し、きちんと対処していく必要があります。 以下では、若年性認知症と診断された際にとるべき対応について詳しくご説明していきます。 職場との相談 現在の日本では、若年性認知症に対する認知度や理解度はまだまだ低いのが現状です。 実際に、厚生労働省の調査によると認知症であることを職場に説明したことで配置転換などの配慮があったと回答している人は全体の約2.5割にとどまっており、認知症であることを話すことをためらっているケースが多いことが伺えます。 しかし若年性認知症の方が一旦退職してしまうと再就職するのは難しいことも多く、できれば今の職場で働き続けることを考えるほうが良いでしょう。そのためにもきちんと上司や人事担当者と話し合い、職場の理解を得られるようにすることが大切です。 また、どうしても今いる職場での就労継続が難しい場合、障害者枠での雇用をおこなっている会社に再雇用をしてもらうという方法もあるので、まずは一度相談してみるのが良いでしょう。 社会保障制度の活用 現在の日本では、障害年金をはじめとした若年性認知症を発症してしまった方が利用できるさまざまな制度があります。どのような制度があるのかについて具体的にご紹介していきます。 障害年金 病気やけがなどで障害を負ったことで生活や仕事などが制限されるようになった際に受け取ることができる年金のことです。 障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があり、病気やけがで初めて医師を受診した初診日に国民年金に加入していた場合は障害基礎年金、厚生年金に加入していた場合は障害厚生年金が請求できます。 主な受給条件は以下の通りです。 初診日要件…障害の原因となった怪我や病気の初診日が、国民年金もしくは厚生年金の被保険者の期間内であること保険料納付要件…保険料を決められた期間きちんと支払っていること障害状態該当要件…障害の状態が障害認定日に、定められた障害等級表に該当すること 精神障害者保健福祉手帳、身体障害者手帳 若年性認知症と診断され日常生活に支障をきたす場合には、精神障害者保健福祉手帳の申請ができます。また、血管性認知症やレビー小体型認知症など身体症状がある場合は、身体障害者手帳に該当する場合もあります。 これらの手帳は社会復帰や自立支援を目的に交付され、税制の優遇措置や医療費の助成を受けられるほか就職時には配慮を受けやすくなるといったこともあるようです。 まずはお住まいの地域の役所の、障害福祉課などに相談してみると良いでしょう。 自立支援医療制度 自立支援医療制度とは、認知症などの精神疾患で通院している場合に医療機関や薬局で支払う医療費の自己負担額が1割に軽減されるというものです。 なお、所得に応じて負担額が変動するため、詳しくは通院中の医療機関やお住まいの担当窓口にお問い合わせください。 医療費、介護費の減免制度 高額療養費や高額介護サービス費、高額医療、高額介護合算療養費制度といった医療費や介護費が一定の期間のうちに支払う自己負担額を超えた場合には、超えた金額分を支払ってくれるという制度もあります。 運転免許証の返納 認知症と診断された方が運転免許を持っている場合、免許証は返納する義務があります。 本人に返納をお願いする場合には、認知症だから運転をすることはできないというような直接的な表現は避け、自尊心を傷つけないように配慮して伝えることも大切です。 また、家族内で話に折り合いがつけられなさそうであれば、運転適性相談窓口に相談したり、医師に協力をあおいだりして、いまの状態で運転することのリスクについて認識してもらう機会を設けるようにしましょう。 住宅ローン返済の相談 銀行などの金融機関で住宅ローンを組む場合には、団体信用生命保険といった返済する人に万が一のことがあった場合に、残りの住宅ローンを一括返済してくれる保険にも加入するのが一般的です。 そのため、若年性認知症と診断され、収入が減少してローンの返済が困難になった場合でも、高度障害と認定されれば保険が適用となり、返済が免除になることもあります。 詳しいことは住宅ローンを契約した窓口に相談してみてください。 成年後見制度 成年後見制度とは認知症などによって判断力が低下した人のために、介護施設の入所契約や医療契約の締結など生活や療養看護にかかる法的な手続きを補助し、財産の管理をおこなう制度のことです。 あくまで法律行為をサポートする制度であり、介護などの事実行為をおこなうわけではありません。また、後見人には親族や近親者選ばれるのが一般的ですが困難な場合には専門職が選任されることもあるようです。 日常生活自立支援事業 日常生活自立支援事業とは、認知症などで判断能力が低下した人が住み慣れた街で自立した生活を送れるように、地域の社会福祉協議会がおこなうサービス事業です。 具体的には福祉サービスなどの利用援助や、さまざまな支払い手続き代行などの金銭管理、重要書類の預かりなどをおこなってくれます。 障害福祉サービス 40歳未満の方は介護保険の被保険者ではありませんが、障害者総合支援法に基く障害福祉サービスの利用ができます。利用されるサービスの内容によっては、障害者支援区分認定が必要な場合があるのでご注意ください。 障害福祉サービスを利用することで就労継続支援などのサービスを保険適用で受けられるため、とても便利です。 介護保険サービス 介護保険を納めている人のうち40歳〜64歳までの介護保険2号被保険者の人は、認知症などの特定疾病を患っている場合に限り介護保険サービスを利用できます。 一方で、多くの介護サービスは高齢者向けの内容となっているため利用しにくい、という現状もあるようです。 近年は若年性認知症の人を積極的に受け入れている施設も出てきており、若い人たちでも利用しやすいサービスが登場してきているので、まずは問い合わせてみると良いでしょう。 若年性認知症に関するよくある質問 若年性認知症はどんな症状が出ますか? 若年性認知症の症状は、高齢者が発症する認知症と同様の症状が現れます。しかし、認知症を若い年齢で発症してしまったという事実に不安や焦りを感じ、抑うつ状態に陥ってしまうなどさまざまな弊害が生まれます。 若年性認知症の原因は何ですか? 若年性認知症の原因は、脳内出血やくも膜下出血、脳梗塞などの脳血管障害をはじめ、頭部の外傷や変性疾患など多種多様であるとされています。 脳血管障害は生活習慣の乱れにより起きる可能性があるので、適度な運動やバランスの取れた食生活を心がける必要があります。 若年性認知症の進行は早いですか? 若年性認知症の進行は早く、そのスピードは高齢者の2倍以上になることもあると言われています。 少しでも異変を感じたら病院を受診することが非常に重要です。現役で仕事をしている人や、日々の家事、育児を担っていると、つい後回しになりがちです。 しかし、早期発見、早期治療をおこなうことで進行を早い段階で遅らせ、生活の改善も図ることができます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "若年性認知症はどんな症状が出ますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

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