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認知症について

【医師監修】認知症の原因|知っておきたい!タイプ別の認知症

認知症とは、さまざまな病気や障がいが原因で脳の働きが低下し、記憶力・判断力に支障が出て日常生活が困難になる症状を指します。一般的には高齢者が発症することが多いですが、30代の若い世代で発症することもあります。 この記事では認知症の原因と種類について説明します。また認知症に対する予防なども紹介しているので、参考にしてみてください。 認知症の主な原因 認知症は、脳の病気や機能の低下が原因で起こる病気です。 中でも患者数が多いと言われているアルツハイマー型認知症は脳神経の変性で起こり、脳血管性認知症は脳血管障害によって起こります。このように認知症の原因はさまざまです。 アルツハイマー型認知症の原因 認知症患者の約67%がアルツハイマー型認知症で最も多いと言われています。 アルツハイマー型認知症の原因は、脳にアミロイドβやタウタンパク質が蓄積され、脳細胞が損傷したり神経伝達物質が減少すること。アミロイドβは、加齢に伴い増えるので高齢者が発症することが多く、脳の一部の変性によりゆっくり病状が進行します。 一方、若年性アルツハイマーは30代から50代で発症することもあり、遺伝が関係していると言われています。 脳血管性認知症の原因 脳血管性認知症の原因は主に、脳出血や脳梗塞などの脳の血管障害。認知症の約19%が脳血管認知症で男性に多いと言われています。 脳出血は、脳の血管の損傷によって出血した血液が溜まり、脳細胞を圧迫して症状が出ます。 脳梗塞は、脳の血管が詰まり血が巡らなくなったことで、その部分の脳の働きが消えてしまう病気です。 レビー小体型認知症の原因 レビー小体型認知症の原因は、神経細胞にできたレビー小体が大脳皮質や脳幹に過剰に作られること。認知症のうち約4%を占めているのが、このレビー小体型認知症と言われています。 他の認知症に比べ進行が早く、高齢の男性に多いという特徴がありますが30代でも発症することもあります。 前頭側頭型認知症(ピック病)の原因 前頭側頭型認知症の原因は、思考や判断機能を司る前頭葉と、記憶や聴覚機能を司る側頭葉が萎縮すること。タウタンパク質などの性質が変異して蓄積することで血流が悪くなり、その部分の機能が低下します。 現在、前頭側頭型認知症がなぜ発生するのかはまだ解明されていません。 認知症につながりやすい主な疾病 脳腫瘍 脳腫瘍には、原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍があります。 どちらも軽い頭痛が初期症状として現れ、次第に頭痛の時間と痛みが増し治療をしないと激痛を伴うようになります。 意欲低下・物忘れ・聴力・判断能力の低下・耳鳴り・性格の変化などの認知症に似た症状が特徴で、遺伝子の変化が発症原因のひとつであると考えられます。 正常圧水頭症 正常圧水頭症は、脳内に過剰に脳脊髄液が溜まり脳を圧迫することで発症する病気です。 くも膜下出血や髄膜炎などに伴って起こる続発性と、原因がわかりにくい特発性にわけられますが、特発性正常圧水頭症が多くみられる傾向にあります。 認知症と症状は似ていますが、早期発見による治療で改善が期待できます。 通常は高齢者に多く、知人の名前が出てこなくなったり、判断能力、意欲の低下、歩行障害を伴います。特に歩行障害は、小幅で足を引きずる、がに股歩きなど、特徴的な歩行が見られます。 比較的異変に気づきやすい点から認知症と異なり、正常圧水頭症の診断をされることが多いです。 甲状腺機能低下症 甲状腺とは、喉仏のすぐ下にある小さな臓器です。 その中に甲状腺ホルモンという身体の発育を促進し、新陳代謝を高めるホルモンを作り血液中に分泌するためのホルモンがあります。この甲状腺ホルモンは多くても少なくても身体に重大な影響を与えます。 症状には、意欲の低下、体重増加、身体のむくみなどが挙げられ、高齢者になると記憶力の低下などが見られます。甲状腺が腫れている場合には、甲状腺機能低下症を疑ってください。 また、正常な甲状腺は柔らかく外から触ってもわかりませんが、腫れてくると触ったり首を見ただけでわかることもあります。 高齢者の5人に1人が認知症に 現代の日本は65歳以上の高齢者の割合が20%を超えた超高齢社会に突入しています。そのなかで認知症の高齢者は、2020年現在で約600万人、2025年には700万人になると推定されています。 認知症になると本人も家族も負担が多く、不安を感じてしまいます。しかし、高齢者の約5人に1人が認知症になると言われるほど、発症率が高く、誰でもかかり得る症状です。 だからこそ認知症をむやみに恐れるのではなく、認知症に対する正しい理解を深めることが必要。わたしたちはこれから認知症になっても困らない共生社会をつくっていくことが重要です。 認知症は予防と早期発見が大切 認知症の予防 大事なのは、認知症にならないように早い段階から意識しておくこと。認知症予防を生活に取り入れていることで、認知症になったとしても、その進行を緩やかにすることもできます。 認知症の予防として大切なのが食生活です。バランスの取れた食生活を意識することは、あらゆる病気のリスクを軽減します。認知症も同様で、多くの食材をバランスよく食べることが大切です。 また、アルツハイマー型認知症は糖尿病や脳血管障害など生活習慣病との関連が強いとも言われているので、低塩分、低糖質の食事を心がけましょう。 あわせて適度な運動も大切です。適度な運動をすることで筋肉量の低下を予防し、いつまでも元気な足腰を維持することができます。また、運動は身体だけではなく、脳にも良い刺激をもたらします。 認知症の早期発見 認知症には早期発見、早期治療が重要です。認知症の初期症状である記憶障害は単なるもの忘れとして見逃されることも多いのですが、早く対処すれば進行を遅らせることもできます。 他の病気と同様に、放置しておくことは非常にリスクがあります。早い段階からさまざまな治療を受けておくことで、たとえ認知症でも、症状を抑えて生活することも可能です。 認知症介護を続けるための5つのポイント 認知症は完治することがなく、長期戦のリスクも高い病気です。認知症の人を介護することはとても負担が大きく、ストレスをためやすくなります。認知症介護にめぐり、痛ましい事件が起きることもあります。 認知症介護を続けるために、大切な心得を5つご紹介します。 1.自分も大切にする 愛する家族が認知症を発症することは、とてもショックなことです。家族が変わっていく姿を見ることは辛いですし、ストレスを感じてしまいます。 介護をするときに大切なのは、必要以上に頑張りすぎたりせずに、自分自身の健康や時間も大切にすることです。 2.溜め込まない 認知症の家族を介護する中で、不満や悲しみは生まれてきます。その気持ちをずっと自分だけでしまっておくと、いつか爆発してしまいます。 負の感情は溜め込まないことが一番です。ときどきは友人に愚痴をこぼしたり、家族につらいと本音を漏らしたり、カラオケで発散させたり。気持ちを切り替えながらやっていきましょう。 3.比較しない 誰かと比べるというのは、どうしてもマイナスの感情を生み出しやすくなります。特に認知症は、人によって症状の重さや症状のあらわれ方は違います。 ほかの認知症の人と比べてどうということは考えても仕方ありません。誰かと比較して、悲しい気分になるのはやめましょう。 4.まわりにも頼る 介護をしているときは大変すぎて、自分一人で抱えてしまいがちです。しかし、一人で介護するのは不可能です。周りの人や外部のサービスを上手に利用して、頼りながらやっていきましょう。 5.「今」を大切に 介護は大変なので、どうしても介護に手いっぱいで周りを見たり、今の時間を楽しむ余裕はなくなります。しかし、介護は永遠に続くわけではありません。長い目で介護についてとらえて、なるべく「今」を大切に過ごしましょう。 認知症の原因に関するよくある質問 認知症は誰でもなりますか? 認知症は、誰でもかかる可能性があります。認知症の高齢者は2020年時点で約600万人、2025年には700万人にもなると推定されています。認知症は発症率が高く、高齢者の約5人に1人が認知症になる可能性があると言われています。 認知症につながりやすい病気はありますか? 「脳腫瘍」「正常圧水頭症」「甲状腺機能低下症」が主な疾病として挙げられます。 主に脳内の疾病は認知症に直結しやすく、脳腫瘍は、意欲低下・物忘れ・聴力・判断能力の低下・耳鳴り・性格の変化などが特徴で、遺伝子の変化が発症原因のひとつであると考えられます。 また正常圧水頭症は、脳内に過剰に脳脊髄液が溜まり脳を圧迫することで発症する病気です。知人の名前が出てこなくなったり、判断能力、意欲の低下、歩行障害を伴います。ただし正常圧水頭症の場合、早期発見による治療で改善が期待できます。 認知症にならないための予防策はありますか? 認知症の予防として大切なのは「食生活への意識」「適度な運動」「良質な睡眠」「ストレスを溜めない」などといったことが挙げられます。また、アルツハイマー型認知症に予防として、低塩分、低糖質の食事は必須です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症は誰でもなりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/07

認知症高齢者のリハビリ方法

【医師監修】認知症のリハビリ(作業療法)とは|得られる効果やその内容

認知症の治療法は、薬を使う薬物療法と薬を使わない非薬物療法に分けられます。 この記事では非薬物療法に焦点をあて、どのような治療が行われるのか、どのようなメリットがあるのかについて紹介します。 認知症治療のリハビリ(非薬物療法) 認知症の治療法は薬物療法と非薬物療法の2つに分類することができます。そして非薬物療法の治療として主におこなわれているのがリハビリです。 認知症のリハビリは、「脳を刺激して認知症の進行を遅らせること」を目的としておこなわれ、薬に頼らずに脳を活性化し、残っている認知機能や生活能力を高める効果が期待できます。 認知症治療にはリハビリが大切 薬を使わない非薬物療法は欠かすことができない治療法のひとつです。 薬に頼らずに、現在の認知機能や生活能力を高めるリハビリをおこなうことで、判断能力や衰えるスピードを抑制するのです。 認知症が進行すると日々の生活が困難になるだけではなく、何もしない日々続くことにより、脳や身体を使う機会も減少。結果的にさらに認知機能を低下させてしまいます。 こういった点からも、認知症の進行を遅らせるため、リハビリを通して心や体を刺激し、認知機能および本人が自力でできる状態を維持することはとても重要なのです。 主なリハビリは作業療法 認知症患者向けにおこなわれるリハビリによる非薬物療法は、作業療法と呼ばれています。ここで言う「作業」とは入浴、食事、排泄、家事など日常生活にかかわる活動のことを指します。 作業療法はこういった日常生活における活動を通して心身機能の維持や強化を図ります。自立した生活だけではなく社会との繋がりの回復なども目的としています。 また主に上肢筋力や手指の精密な動きなどの身体機能と判断能力などの心理機能を統合的に活用しておこなわれるので、非常に高いリハビリ効果を得ることが可能です。 このようなリハビリは主に作業療法士が実施します。しかし、作業療法とはあくまでも日常生活における活動をサポートして、健康や幸福を促進させるためのものです。専門家がついていなくても自宅でおこなわれる実践などは作業療法のひとつと言えるでしょう。 作業療法の特徴 ではつづいて、作業療法の特徴について以下で紹介していきます。 生活に関係している 作業療法では、日々の生活にかかわる作業に焦点をあてておこなわれるため、生活をしていくうえで必要な能力やスキルを維持することが可能になります。 料理や洗濯などの家事は生活の一部です。編み物などの趣味もこれまで生活してきた中の知恵として取り入れることができるでしょう。 障害や疾患により日常生活を送ることが困難になってしまった方に対して日常生活動作を回復させることも作業療法の大切な役割です。 このように作業療法は生活に密接に関係している作業を通しておこなわれるので意欲的に取り組むことができます。 目的や成果がみえやすい 目的がはっきりしないものに対して何かを継続しておこなうことに難しいと感じる方も多いです。作業療法で行う多くの作業はなぜそれをおこなうのかという目的がはっきりとしています。また創作物などの成果も目に見える形で残ります。 作業療法は目的意識を持ち、無理なく取り組み続けることができるのも特徴のひとつと言えるでしょう。 人や社会とのつながりが得られる 認知症になると、社会から孤立してしまいがちです。孤独は精神状態を悪化させやすく、社会性や交流をする機会も失われていきます。 作業療法を通して他者と交流することで、そういった機会を回復することができ、人や社会とのつながりを持つことができます。 作業療法をおこなうメリット 作業療法をおこなうメリットはどういったものがあるのでしょうか。以下で詳しく説明していきます。 拒否感なく取り組める 認知症の方は、認知症と判断される過程で自尊心が傷つき不安を抱えている場合があります。また、認知能力を調べるためのテストや認知症を改善するための課題に対して拒否感を持つ方も多く、リハビリに積極的に取り組まないケースが多いと言われています。 リハビリをおこなうことに対して嫌悪感や拒否感を感じていると、本来得られるリハビリの効果もあまり期待できません。 しかし作業療法では、日常的な家事や作業をおこなうので、リハビリに対するハードルが下がり、嫌悪感や拒否感を感じることなく取り組むことができます。 自尊心や安心感を取り戻せる 認知症を発症してしまうと、今まで自分自身でできていたことができなくなってしまいます。 得意だった料理が作れなくなったり趣味が楽しめなくなったりなど、本人以外から見れば年をとったので仕方のないと割り切れることでも、本人にとっては違います。衰えを経験する瞬間であり、精神的に落ち込んでしまう人も少なくありません。 作業療法では作業能力の回復を目指しており、リハビリなどを通して作業能力を向上させ、さらに自尊心や安心感を取り戻すメリットがあります。 いきいきした感覚を取り戻せる 認知症を発症すると、経験したことがないことや、なじみのない行動に苦手意識を抱くようになります。新たにリハビリを始めるときに、内容や目的を説明しても理解できないケースも多く見られます。 また、リハビリに対してやらされていると感じて怒りを覚える方もいます。無理強いするのは逆効果です。 一方で認知症の方は、今までの人生経験の中で「体で覚えたこと」や「なじみのある作業」は覚えている傾向があります。作業療法ではこのなじみのある記憶や作業を活用するため、ストレスを感じることなく取り組める方が多いです。 なじみのある記憶や作業を通して昔の記憶を取り戻し、作業の喜びや懐かしい感覚を思い出すことができます。このように作業療法には記憶の回想法としての側面もあり、感情的なメリットもあるのです。 介護施設での作業療法 具体的に作業療法はどのようにおこなわれているのでしょうか。以下では介護施設でおこなわれている作業療法の内容や実践方法について紹介します。 実践する施設と実践方法 作業療法は病院やデイケアなどの医療施設をはじめ、デイサービスなどを提供する通所施設やグループホームなどの入居施設、訪問リハビリなどをおこなう訪問サービスといったさまざまな施設でおこなわれています。 作業療法の中には個人でおこなうものもあれば、集団でおこなうものもあります。所要時間に関しては数時間から数十分のもの、連続して取り組むプログラムや単発で終わるプログラムなどさまざまです。内容は多種多様なものがあり、個人の状況に応じて使い分けられています。 作業療法の核とは 目的を持たずにただ漠然と作業をおこなうだけでは良い効果は期待できません。 リハビリ効果を高めるには本人の身体状況や考えをきちんと情報収集し、その人にとって適切とされるプログラムを設定することが重要です。 また、プログラムを実践した後には適切なフィードバックをおこない、それらの結果に応じ再アセスメントやプログラムの修正をおこなっていきます。これらの一連の過程こそが作業療法の核と言えます。 作業療法士が担わないことも 作業療法を専門とするのは国家資格を持つ作業療法士ですが、実践は必ずしも作業療法士がおこなうとは限りません。そもそも「作業」の概念はとても広い意味があります。日本作業療法士協会によれば「作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す」としています。広い意味でいえば多くの家庭でおこなわれているリハビリも作業療法と言えるのです。 .point { position: relative; border: 3px solid #f08d18; margin-top: 40px !important; } .point::before { background: #f08d18; content: "POINT"; color: ...

2021/12/07

軽度認知障害(MCI)の特徴や対策、認知症との違いについての解説

【医師監修】軽度認知障害(MCI)とは|症状や発症後の対策、認知症との違い

認知症とよく似た症状として軽度認知障害(MCI)と呼ばれるものがあります。 軽度認知障害とはどのようなものなのでしょうか。認知症との違いや具体的な症状、診断された場合の取り組みについて解説します。 軽度認知障害(MCI)とは? 軽度認知障害=MCI(Mild Cognitive Impairment)は、認知症になる一歩手前のグレーゾーンの段階のことです。そのまま見落としたままにしてしまうと、認知症へと進行する可能性があります。 ただし、適切な予防と対策をすれば、発症を遅らせたり、健常な状態へ戻ることもできます。 認知症との違い 認知症と軽度認知障害の違いは、自立した生活を送れるかどうかです。認知症になると頻繁な記憶障害や機能障害が起きて、生活全般に支障が生まれます。 それに対して軽度認知障害の場合は、食事をしたり出かけたりといった日常生活をひとりで普通に送ることができます。 もの忘れの頻度はあがりますが、認知症と違って自分が忘れているという認識があるので、メモをとったりして自分自身で対策ができます。 放置すると認知症へ進行 早期発見、早期治療が大切 軽度認知障害には早期発見、早期治療が大切です。何も対策をしないで放置すると、そのまま認知機能が低下して、半数以上が5年以内にアルツハイマー型認知症に進行すると言われています。 アルツハイマー型認知症は、発症すると完治させられない病気です。しかし軽度認知障害の状態であれば、発症を防いだり、早めに治療を開始すれば元の状態にもどることも可能です。 軽度認知障害の疑いがある場合は、放置しないで早期発見、早期治療を心がけましょう。 軽度認知障害(MCI)の特徴 軽度認知障害にはどのような特徴があるのでしょうか。また認知症との違いはどのような点でしょうか。 厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」というサイトでは、軽度認知障害の特徴は下記のように定めています。 同年代の人に比べて、もの忘れが頻繫におきている もの忘れが多いという自覚はある 日常生活に大きな支障はでていない 思い当たることがあれば、念のために専門医を受診することがおすすめします。 軽度認知障害(MCI)の原因と症状 軽度認知障害(MCI)の原因 軽度認知障害は、アルツハイマー型認知症の前段階とも言われています。原因についてもアルツハイマー型認知症と同様に、特定のたんぱく質が脳内に蓄積されて、脳の細胞が破壊されることにあるようです。 軽度認知障害の予防や治療法についても、残念ながら現在のところ確立されていません。 軽度認知障害(MCI)の症状 症状についても、記憶障害、実行機能障害というアルツハイマー型認知症と似たものが現れます。初期症状なので、それほど目立ったものではありません。しかし下記のようなことに思い当たる場合は注意が必要です。 何度も同じ話をすることが多くなったお金や予定の管理ができなくなった友人の名前が分からなくなった料理の味付けが変わった運転の仕方が変わった頭がぼんやりして、無気力になった疲れやすくなり、何もしたくなくなった 「健忘型」「非健忘型」の大きく2種類ある 軽度認知障害は、記憶障害があるかないかで2つのタイプに分類されます。記憶障害がある場合を「健忘型」、記憶障害がない場合は「非健忘型」といいます。 記憶障害は、軽度認知障害やアルツハイマー型認知症の典型的な症状です。記憶障害がない場合は物事を順序だてておこなうことが難しくなる実行機能障害が目立ってきたりします。 また、「健忘型」でありながら、実行機能障害や見当識障害などを併発している場合もあります。どのタイプにあてはまるかによって、進行した場合の症状もある程度予測できます。 軽度認知障害(MCI)の診断方法 軽度認知障害の診断方法は今のところ確立されていません。あくまで面談や認知機能検査、脳画像検査などの結果から、医師が総合的に判断します。 医師は軽度認知障害かどうかを判断する根拠として、主に下記のような検査をおこないます。 認知機能検査(「長谷川式スケール」や「ミニ・メンタルステート試験」)一般検査(血液検査や尿検査など)MRI検査、CT検査(脳の状態を調べるための画像検査)その他検査(アルツハイマー病との関連物質の量を調べる脳脊髄液検査など) 軽度認知障害は、脳内出血、甲状腺機能低下症などと症状が似ています。そのため軽度認知障害と判定するためには、脳の画像などで脳内の出血がないか、甲状腺に異常はないかについても調べる必要があります。 最終的には「認知機能レベルの低下が見られる」「認知領域での障害と思われる症状が1つ以上ある」「生活機能が自立している」「認知症とはいえない」といった判断になります。 軽度認知障害(MCI)と診断されたら 軽度認知障害は放置するとアルツハイマー型認知症に発展する症状ですが、早期に発見して対処することで、症状を緩和したり改善させることが可能です。 もし診断がおりた場合でも、あせらず対処していきましょう。具体的になにをすると良いかまとめました。 食生活の改善 軽度認知障害の対策に食生活の改善は非常に重要です。糖質はなるべく控えて、たんぱく質やビタミンを意識して摂取するようにしましょう。年をとると食事が面倒になったり、ついつい簡単に食べれるものに偏ってしまうことがあります。 健康な身体になるには、ごはんと一緒に肉や魚・野菜・牛乳・乳製品・果物などをバランスよく食べることが大切です。これは認知症だけのことに限りません。 また、新鮮な食材を定期的に届けてくれるサービスを利用して、栄養バランスを考えた献立を考えることも脳に良い影響を与えてくれます。 適度な運動 ヨガや体操といった軽い運動で身体を動かすことは、軽度認知障害だけではなく、生活習慣病の予防にもなります。 突然ハードな運動をしようとせずに、まずは散歩やストレッチといった軽いものから始めてみましょう。無理ない範囲で継続していくことで、自然と運動することに抵抗がなくなります。 身体を動かすことは病気の予防だけではありません。心身を刺激することで、気分もリフレッシュできて毎日を明るく過ごすことができます。 口腔環境の改善 見逃されがちなのが口腔環境の改善です。口腔環境を保つことは、健康に年をとるためにとても重要な役割を果たしています。口の健康は、噛む力を長く維持するだけではありません。きれいな発語はコミュニケーションを楽しくしてくれます。 口の力が弱まることで、誤嚥性肺炎などの危険もあります。美味しいものが食べられなくなると、生きる楽しみも減ってしまいます。 定期的に歯科に通うなどして、口腔環境を良い状態にキープするようにしましょう。 人とのコミュニケーション 人と良い関係を築いて、コミュニケーションをとることは非常に大切です。軽度認知障害と診断がおりることで、人付き合いに消極的になってしまうこともあります。しかしそれでは、症状は悪化してしまいます。 たくさんの人と話をすることは、脳へ良い刺激を与えてくれます。家族や友人と明るい会話をすることをおすすめします。 ときには趣味のサークルや町内会などの活動に参加するのも良いでしょう。ただし、人と話すことがストレスになるという人の場合は、無理をしないで大丈夫です。自分のペースで気持ちの良いコミュニケーションを心がけましょう。 脳の活性化 脳の活性化というとクイズやゲームのような脳トレが思い出されますが、それだけではありません。好きな音楽を聴いたり、楽しい映画をみたりということも脳の活性化のエネルギーになります。 趣味の世界を広げてみたり、好きなものを見たり聞いたりするだけでも十分です。病気の進行におびえて、くよくよして過ごすことは脳にも良くありません。脳に良い刺激を与えながら、前向きに生活することが大切です。 軽度認知障害(MCI)に関するよくある質問 軽度認知障害(MCI)とは何ですか? 軽度認知障害(MCI)は、認知症になる一歩手前の段階を指し、症状を見落とすと認知症へ進行する可能性があります。認知症とは違い、食事をしたり出かけたりといった日常生活をひとりで送ることもできます。 どんな症状が出たら軽度認知障害を疑った方が良いですか? 主に「何度も同じ話をすることが多くなった」「お金や予定の管理ができなくなった」「友人の名前が分からなくなった」「頭がぼんやりして、無気力になった」などが挙げられます。歳をとったからという理由でそのままにせず、異変を感じたら早めに病院を受診しましょう。 何も対策しない場合はどうなりますか? 何も対策をしない場合、そのまま認知機能が低下して、半数以上が5年以内にアルツハイマー型認知症に進行すると言われています。 アルツハイマー型認知症は、発症すると完治することはありません。しかし、軽度認知障害の状態であれば早期の治療で元の状態に戻ることも可能です。 ▶「いい介護」で認知症でも入居相談可能な老人ホームを探してみる { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "軽度認知障害(MCI)とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2021/12/07

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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