本人や家族が介護保険サービスを受けるとき、「費用はどのくらいかかるの?」「毎月払い続けるのは大変」といった疑問や不安を持っている方は多いのではないでしょうか。 介護保険サービス費は、所得に応じて料金の1割から3割を自分で負担しなければなりません。さらに、介護保険の支給限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担となってしまいます。 そこで、介護費用の負担が重くなりすぎることを防ぐため、高額介護サービス費という制度があります。 本記事では、限度額を超えた自己負担分を還付してくれる高額介護サービス費について、その対象サービスや申請方法などを紹介しています。サービスを利用する際の参考にしてみてください。 高額介護サービス費とは 高額介護サービス費は、介護保険サービスの利用者の経済的負担が重くなり過ぎないように設けられた制度です。月々の自己負担額に上限を設け、自己負担が限度額を超えた場合、超過分が払い戻されます。 自己負担の限度額は、サービスを利用する方の世帯所得や個人所得に応じて定められています。 高額介護サービス費の対象となるサービス では、具体的にどのようなサービスが高額介護サービス費の対象となるのでしょうか。以下の3つのサービスに関して見ていきましょう。 居宅サービス 介護施設サービス 地域密着型サービス 居宅サービス 居住サービスは、自宅で生活しながら受ける介護サービスです。 自宅で介護を受けられる訪問型、施設に通い介護を受ける通所型、短期間の宿泊をともなう短期入所型の3種類がこれに該当します。 例えば、訪問介護や訪問入浴、デイサービス、ショートステイ、などが居住サービスにあたります。 施設介護サービス 施設介護サービスは、介護施設に入居して受ける介護サービスです。 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の4施設が施設介護サービスにあたる公的施設です。 地域密着型サービス 地域密着型サービスは、要介護者が慣れ親しんだ地域で生活を続けられるように提供される介護サービスであり、事業所のある市区町村に住む方のみ利用できます。 主に夜間対応型訪問介護、認知症対応型デイサービス、グループホームなどが地域密着型サービスにあたります。 高額介護サービス費の対象にならないサービス 施設利用時にかかる食費や居住費、日用品の購入にかかる費用は、介護保険の対象外であり、高額介護サービス費の支給対象に該当しません。また、介護保険が適用されていても、高額介護サービス費の支給対象にならないものがあります。対象外のサービスは以下の通りです。 特定福祉用具購入や住宅改修にかかる費用 施設における居住費(ショートステイの場合は滞在費)および食費 理美容代などの日常生活に要する費用 生活援助型配食サービスにかかる費用 高額介護サービス費の負担限度額 高額介護サービス費の負担限度額は、介護サービスを受ける人が属する世帯の所得と本人の所得によって決まります。2021年(令和3年)8月には、限度額に変更があり、高所得者の上限額が引き上げられました。 区分負担の上限(月額)生活保護を受給している方など15,000円(個人)前年の「公的年金等収入額」と「その他の合計所得金額」の合計が年間80万円以下24,600円(世帯)15,000円(個人※1)世帯の全員が市区町村民税を課税されていない方24,600円(世帯)市区町村税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,400円(世帯)課税所得380万円(年収約770万円)~課税所得690万円(年収約1160万円)未満93,000円(世帯)課税所得690万円(年収約1160万円)以上140,100円(世帯※1) 出典:高額介護サービス費の負担限度額が見直されます(厚生労働省) 表中の世帯は、世帯合算ができるという意味です。そのため、個人では上限を超えていなくても、同じ世帯に介護サービス利用者がいれば合算できるということです。例えば、夫婦2人とも介護認定を受けていた場合、合算した利用額が上記の自己負担限度額を上回れば、超えた分が払い戻されます。 例として、世帯の自己負担の上限が月24,600円の世帯で、1か月間の自己負担の合計40,000円だった場合は15,400円が払い戻される計算になります。 高額介護サービス費の申請の流れ 介護サービスの利用料が負担限度額を超えると、自治体から支給申請書が送られてきます。受取口座などの必要事項を記入し、捺印して窓口に提出しましょう。一度申請すれば、次回該当月からは自動的に手続きがおこなわれます。 なお、受取口座を変更したい場合は、別途手続きが必要です。 上限額を超えた際、お住まいの自治体から払い戻しの通知と高額介護サービス費の支給申請書が送られてきます 申請書に必要事項を記入・押印します 必要書類を自治体指定の窓口に持参または郵送します 申請が受理されると申請時に指定した口座に振り込まれます 2回目以降については初回に指定した口座に自動的に振り込まれます 申請に必要な書類高額介護サービス費支給申請書 介護保険被保険者証 印鑑 振込先の確認ができるもの(本人名義) マイナンバー※自治体による 高額介護サービス費の申請には期限がある 高額介護サービス費の申請は、介護サービス利用日の翌月1日から2年以内におこなう必要があります。期限が過ぎてしまうと、該当するサービス料の払い戻しができなくなるので、申請書が届いたら早めに手続きをおこないましょう。 高額介護サービス費の支給方法 高額介護サービス費には、自治体から利用者に直接支給される「本人償還」と、利用者が施設に支払う金額を限度額までとし、超過分は自治体から施設へ支払われる「受領委任払い」の2通りの支給方法があります。 本人償還 通常の支給方法です。利用者が介護サービス料を全額施設に支払い、限度額を超えた金額が後日指定の口座に振り込まれます。 受領委任払い 利用者が全額窓口で支払う場合、利用するサービスによっては高額になってしまう可能性があります。そこで、利用者の施設への支払いは限度額までとし、超過分を直接、自治体から介護施設に支払う方法が受託委任払いです。 ただし、この制度の利用には施設の同意が必要となるため、利用を希望する際は事前に確認しましょう。 よくある質問 高額介護サービス費とはなんですか? 高額介護サービス費は、利用者の費用負担を軽減する制度です。個人や世帯の所得によって決められている月々の負担限度額を超えた場合、払い戻しがおこなわれます。 高額介護サービス費はいつまでに申請すれば良いですか? 介護サービスを利用した月の翌月1日から2年間の間が申請期間です。期間を過ぎてしまうと申請できなくなるので、申請書が届いたら速やかに手続きしましょう。 高額介護サービス費の申請書はいつ送られてきますか? 介護サービスを受けた月の翌々月末頃に送付する自治体が多いようです。例えば、1月に利用した介護サービスの費用は、3月末頃に申請書が届きます。 送付時期は自治体によって異なるので、お住いの自治体に問い合わせておくと安心です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "高額介護サービス費とはなんですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2023/03/31
公的介護保険だけでは介護費用をまかなう自信がない方や、将来的に有料の介護サービスを利用する可能性がある方は、民間の介護保険を検討しておくと安心です。 まずは、民間介護保険の特徴や仕組み、メリット・デメリットを理解しておきましょう。 民間介護保険は保険会社が販売する保険商品 民間介護保険とは、生命保険会社などの民間企業が取り扱う保険商品です。公的介護保険の自己負担分などを補完する存在として利用され、介護にかかる経済的負担を軽減します。 公的の介護保険には要介護度に応じた利用限度額があり、自己負担が発生します。場合によっては、介護にかかる費用負担を要介護者やその家族だけでは補えないケースもあり、民間の介護保険の必要性が高まります。 ただし、民間の介護保険は自助努力の位置づけです。さまざまな民間企業が販売する保険商品の中から、自分に合った商品を選ぶことが重要です。 認知症保険も販売されている 民間の介護保険商品の中には、被保険者が認知症になったときに保険金や給付金を受け取れる「認知症保険」も販売されています。所定の認知症と診断されると保険料や給付金がまとまった一時金として支払われ、認知症の治療にかかる医療費など介護にかかるさまざまな費用に利用できます。また、認知症の行動が引き起こす他人にケガを負わせたり、お店の商品を破損してしまうなどのトラブルによる損害に備えるためには、損害保険会社が販売する「個人賠償責任保険」を利用できます。「個人賠償責任保険」は、法律上の損害賠償責任を負った場合に発生する賠償金を補償します。 民間介護保険と公的介護保険の違い 民間介護保険公的介護保険給付現金支給現物支給加入任意加入強制加入(40歳以上)給付の対象者被保険者65歳以上の方は要介護(要支援)度に応じて40歳以上65歳未満は特定疾病の方のみ給付額金額設定は任意要介護度に応じて保険料(設定・徴収法など)年齢・加入条件などに応じて65歳以上の方は自治体ごと40歳以上65歳未満の方は公的医療保険の保険料と一括徴収税制優遇介護保険料の一部控除社会保険料の全額控除保険料支払い免除保険商品によるなし手続き先各保険会社各自治体申請にかかる期間各保険会社による1カ月 表の通り、民間の介護保険と公的介護保険の仕組みにはさまざまな違いが存在します。ここからは、最も大きな違いについて詳しく説明します。 民間介護保険は現金支給 公的介護保険と民間介護保険における最も大きな違いは、給付方法の違いです。公的介護保険は、かかる費用の一部を公的保険がまかなうことで介護サービスそのものを給付するのに対し、民間介護保険は現金支給という形で給付します。 さらに民間介護保険では、支払われる金額や支払い方法などの契約内容が、各保険会社によって異なります。そのため、多くの民間企業から販売されている複数の介護商品を比較して、被保険者またはその家族の状況に合った適切な介護保険商品を選び取ることができるのです。 民間介護保険は任意加入 公的介護保険と民間介護保険では、加入方法も異なります。公的介護保険とは異なり、民間介護保険は絶対に加入しなければいけないものではありません。 民間介護保険は、自分から申し込まなければ利用できない任意加入であるからこそ、自分の人生設計に必要性を感じたときに、自分の生活やニーズに合う商品を選択して加入することが大切です。 民間介護保険は基本的に給付の年齢制限がない 公的介護保険の給付対象は、65歳以上もしくは40歳以上65歳未満の特定疾病と認定された介護サービスが受けられる方に限定されているのに対し、民間介護保険の給付条件に年齢制限は、基本的にありません。 よって、契約内容によっては40歳以下の方の場合でも、民間介護保険の給付を受けることは可能です。 民間介護保険のメリット・デメリット 民間介護保険は任意加入だからこそメリット、デメリットを徹底的に比較して、加入する必要性があるかないかを見極めましょう。 民間介護保険のメリット 民間介護保険を利用するメリットには、次のようなものが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきます。 介護の経済的な負担を軽減することができる 現金で給付が受けられる 65歳未満でも給付を受けられる 介護の経済的負担を軽減できる 民間の介護保険を利用する最も大きなメリットはやはり、介護にかかる経済負担の不安を軽くできることです。 介護には、介護サービスを受ける費用の他にも、自宅のリフォーム費用やタクシーなどの移動費、介護度によってはおむつなどの消耗品に多くの費用がかかります。 民間介護保険を利用することによって、これらのような介護にかかる経済的な負担を少しでも和らげることができれば、本人だけでなく支える家族の不安感を減らせます。 現金で給付が受けられる 民間介護保険は、現金で支給されることも大きなメリットのひとつです。介護には介護サービス以外にもさまざまな費用が必要になります。しかし、公的介護保険は介護サービスの一部の費用を負担する形で給付されるので、利用用途が限定されます。 民間介護保険で受給した現金は、介護サービスの費用はもちろん、自宅のリフォーム代やおむつ代、さらには生活費などさまざまな費用に利用できます。 65歳未満でも給付を受けられる 民間介護保険では、65歳未満であっても保険金を受け取れるという点も見逃せないメリットです。 65歳未満の働き盛りに介護が必要になってしまう可能性は、まったくないとは言い切れず、そうなってしまうと家計に大きなダメージを与えることになります。年齢を問わず保険料を受給できる点に利点を感じる人も多いでしょう。 公的介護保険の給付対象は、65歳以上もしくは国が指定する16の特定疾病と認定され介護サービスを受けられる人のみです。しかし、民間の介護保険では65歳未満の方であっても保険会社が定めた給付条件を満たしていれば、保険料を受け取ることができます。 民間介護保険のデメリット 民間介護保険を賢く利用するためには、次のようなデメリットをしっかり理解しておくことも大切です。 健康状態によって加入できないケースもある 保険会社が定める給付条件を満たす必要がある 健康状態によって加入できないケースもある 民間の介護保険に加入手続きをおこなう際には、他の保険商品と同じく、保険会社に申込者の現況の健康状態を正しく伝えなければなりません。 ケガや病気などの既往歴がある場合や健康状態によっては、民間介護保険に加入できない可能性があります。 保険会社が定める給付条件を満たす必要がある 民間の介護保険の保険金は、保険会社が定める給付条件を満たしていなければ受け取ることはできません。この給付条件は、公的介護保険に準じている場合もありますが、保険会社独自の基準が定められている場合もあります。 すなわち、民間の介護保険では、要支援・要介護認定を受けていても必ず保険金を受け取れるわけではないということ。 公的介護保険では給付の対象となる要支援や要介護1のケースでも、保険会社の定める給付条件によっては給付対象にならないことが多くあります。 民間介護保険の必要性が高い人・低い人 では、どういった人が民間介護保険の加入の必要性が高い人なのでしょうか? 必要性の高い人と低い人を比べてみましょう。 加入の必要性が高い人 民間介護保険の加入の必要性が高い人には、次のような特徴があります。詳しく説明していきましょう。 介護にかかる費用を自分や家族が支払えない 身近に介護や身の回りの世話をしてくれる人がいない 介護にかかる費用を自分や家族が支払う余裕がない人 図のように、介護に必要な費用は、自宅の改装工事や車いすやベッドなどの設備にかかる一時金が平均74万円、また、介護サービスの費用やや紙おむつなどの消耗品などにかかる費用には月々平均8.3万円ほどかかります。 これらの費用を本人または家族で支払う余裕がない人は、民間介護保険に加入して備えておく必要があります。 身近に身の回りの世話をしてくれる人がいない人 身近に介護や身の回りの世話をしてくれる人がいない方は、有料の介護サービスに身の回りの世話を依頼する可能性が高くなります。そのためにも、民間介護保険を活用して、将来の介護費用を多めに用意しておくことをおすすめします。 加入の必要性が低い人 一方、民間介護保険に加入する必要性が低い人の特徴には、次のようなものが挙げられます。 十分な貯蓄があり保険で補う必要がない人 家族などに身の回りの世話を頼める人 十分な貯蓄があり保険で補う必要がない人 年金やその他の収入、もしくは十分な貯蓄があり、介護費用を自分でまかなえる可能性が高い人は、無理に民間の介護保険に加入する必要はないでしょう。 民間の介護保険に加入する目的は、公的介護保険でまかなえない負担を補うことにあります。よって、自分の預貯金で介護費用をカバーできる場合は、加入する必要性がありません。 家族などに身の回りの世話を頼める人 家族や身近な人に身の回りの世話を頼める人は、有料の介護サービスを利用する必要がなく、介護にかかる費用を抑えることができるので、民間の介護保険を利用する必要性も低くなります。 ただし、介護は家族や身近な人の心身にただならぬ負担をかけます。あまり負担をかけたくないと思うのであれば、民間の介護保険を検討するのも良いでしょう。 民間介護保険を選ぶ際に押さえておきたい4つのポイント ここからは、自分に合った民間介護保険を選ぶために必ず押さえておきたい4つのポイントを紹介していきます。 貯蓄の有無 民間の介護保険は、次のような2つの型に分かれます。それぞれの特徴などから、自分に合っているタイプを選択しましょう。 掛け捨て型 貯蓄型 掛け捨て型 月々支払う保険料をできるだけ低く抑えたい方には、「掛け捨て型」がおすすめです。「掛け捨て型」の介護保険の保険料は低めに設定されていることが多く、家計にかかる経済負担を無理のない範囲内に抑えることができます。 ただし、「掛け捨て型」の介護保険では、解約返戻金や死亡保険金、満期保険金がないケースが多くあります。つまり、介護保険に加入していても、所定の要支援・介護状態にならない限り、何も受け取れない可能性があることを理解しておかなければなりません。 貯蓄型 介護保険にも、他の保険と同じく「貯蓄型」があります。「貯蓄型」の介護保険は貯蓄としての機能もあるため、所定の要支援・介護状態にならない場合でも、解約時に一定の返戻金を受け取ることができます。 ただし、「掛け捨て型」と同じ保険金額に設定した場合でも「貯蓄型」の方が月々の支払う保険料が割高になります。 保証期間 民間の介護保険では保証期間を自分で設定する必要があり、次のどちらかから選びます。 定期型 終身型 定期型 「定期型」の介護保険には、保証期間が10年や20年など一定期間に設定されている商品と、ある一定の年齢まで保証される商品があります。「定期型」の介護保険のほとんどは「掛け捨て型」で、保険料を安く抑えられるところが最大のメリットです。 ただし、「定期型」の介護保険では、一定の保証期間が終了した後に介護状態になった場合には、保険金の給付が受けられないことを覚悟しておく必要があります。 終身型 生きている限り介護保険の保証を受けたい場合には、一生涯保証が続く「終身型」を選ぶことをおすすめします。 ただし、「掛け捨て型」の「定期型」に比べ、保険料が割高なことはデメリットになるでしょう。また「終身型」では、保険料の支払い負担が長く続くことも理解しておかなければなりません。 受け取り方法 介護保険の受け取り方法は3つのタイプに分かれており、それぞれの特徴から自分に合ったものを選びます。 一時金 年金 併用 一時金 一時金タイプの介護保険では、被保険者に介護が要介護の状態になった時点で、契約時に設定した金額を一時金としてまとめて受け取ります。初期費用など、まとまったお金が必要になったときに役立ちます。 ただし、一時金を受け取った時点で契約が終了するので、介護が長期化した場合は資金が不足してしまう可能性があります。 年金 年金タイプの介護保険では、公的の介護認定を受けたとき、または保険会社独自の支給条件を満たしたときから、1年に1回など契約時に設定した期間に継続して保険金を受け取ります。ただし、まとまったお金が必要になった場合には役立ちません。 年金タイプでは契約時に有期年金と終身年金のどちらかを選びます。終身年金の場合は一生涯、保険料を受け取れるので便利です。 併用 民間介護保険に手厚い保証を求める人におすすめなのが、一時金タイプと年金タイプを掛け合わせたハイブリット型の商品です。被保険者が要介護状態になった時点で、まず一時金を受け取り、その後も継続して定期的に保険金を受け取ります。 併用型の介護保険は良いとこどりの商品ですが、当然ながら保険料が割高になるのがデメリットと言えます。 給付条件 保険会社は次のような2つのタイプの給付条件を設定しており、被保険者は、それぞれの条件を満たしていなければ保証を受け取ることはできません。 連動型 独自型 連動型 「連動型」とは、各自治体が運営する公的介護保険の要介護認定の条件に連動するわかりやすいタイプの商品です。 ただし、自治体が定める要介護認定を受けてからではないと、保証を受けることができません。なんらかの理由によって介護認定が遅れてしまった場合は、民間の介護保険の保証を受けられるまでに時間がかかることがあります。 独自型 「独自型」の保険商品とは、保険会社が定めた独自の給付条件によって保証を受けるタイプです。条件に当てはまるかどうかは、保険会社独自の基準によって判断されますが、基準を満たした場合はすぐに給付金を受け取れます。 ただし、保険会社が定める基準はさまざまです。契約する前に、給付条件をきちんと把握しておくことが大切です。 よくある質問 民間介護保険はどのような人が加入した方が良いですか? 介護にはさまざまな費用が必要になります。介護が必要になったときに、本人もしくはご家族に介護費用を支払う余裕がない方や、身近に身の回りの世話をしてくれる人がいない方は、民間介護保険に加入することをおすすめします。 要介護認定を受けていれば民間介護保険で給付金が受け取れますか? 民間の介護保険の給付基準は、商品によって異なります。自治体が定める要介護・支援認定を受けている場合であっても、保険会社の定める独自の給付条件を満たしていなければ、給付金を受け取ることはできません。 民間介護保険の特約はつけるべきですか? 民間介護保険の特約を付けて保証を手厚くした方が安心ですが、当然のことながら、保険料も高くなります。特約を付けるか否かは、保険料が家計を圧迫してしまわないよう、それぞれの経済状況を踏まえてから決めると良いでしょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "民間介護保険はどのような人が加入した方が良いですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2023/03/30
介護施設への入居の検討には、「保険料でまかなえるの?」「自己負担を軽減する方法はないの?」といった金銭的な疑問がつきものです。 介護施設を利用するには、かかった費用の1割(収入によっては2割、または3割)に加え、食費や居住費用を全額を負担する必要があります。それらは、要介護者やその家族にとって決して軽い負担ではありません。 経済的に介護施設の利用が難しい…という方には、負担額の減免を受けることができる介護保険負担限度額認定制度があります。 この記事では、介護保険負担限度額認定証の交付条件や申請の仕方について紹介します。 介護保険負担限度額認定証とは? 所得に応じて、介護施設での食費や居住費用を軽減してくれる介護保険負担限度額認定制度。介護保険負担限度額認定証とは、その制度の対象者に発行される証明書です。 認定書には、被保険者の名前や生年月日などの基本情報に加え、「食費の負担限度額」「居住費または滞在費の負担限度額」が記載されています。「居住費または滞在費の負担限度額」にはさらに細かく、ユニット型個室を利用する際の負担限度額、従来型個室を利用する際の負担限度額など、利用するサービスごとの限度額の記載があります。 なお、デイサービスやデイケア、有料老人ホーム、グループホームなどにおいての食費や居住費は対象になりません。 介護保険負担限度額認定証が交付される条件 所得と預貯金において一定の条件を満たしている人が、介護保険負担限度額認定証を受けることができます。認定には4段階の条件があり、段階ごとに負担限度額が設定されています。 所得に関しては、本人を含む世帯全員が住民税非課税であることが条件です。所得条件で記されている世帯は、住民票上世帯が異なる世帯分離の夫婦や、内縁関係も対象になるので注意が必要です。 下記表において第4段階に該当する人は減額対象になりません。しかし、第4段階にあたる夫婦のうち1人が施設に入所し、その食費や居住費を払うことでもう1人の在宅での生活が困難になる場合、条件に該当すれば、特例軽減措置により第3段階の負担限度額を適用することができます。 利用者負担段階所得に関する要件資産要件第1段階世帯全員(※1)が住民税非課税の老齢福祉年金受給者生活保護受給者単身1,000万円以下、夫婦の場合2,000万円以下第2段階世帯全員(※1)が住民税非課税で、本人の年金収入額(※2)とその他の合計所得金額の合計が年間80万円以下の方単身650万円以下、夫婦の場合1,650万円以下第3段階(1)世帯全員(※1)が住民税非課税で、本人の年金収入額(※2)とその他の合計所得金額の合計が年間80万円超120万円以下の方単身550万円以下、夫婦の場合1,550万円以下第3段階(2)世帯全員(※1)が住民税非課税で、本人の年金収入額(※2)とその他の合計所得金額の合計が年間120万円超の方単身500万円以下、夫婦の場合1,500万円以下<!--td {border: 1px solid #cccccc;}br {mso-data-placement:same-cell;}-->※1 世帯には、世帯分離の配偶者・内縁関係も含みます。※2 年金収入額には、非課税年金(障害年金・遺族年金)も含みます。※ 第2号被保険者(65歳未満の方)の資産要件は、単身:1,000万円、夫婦:2,000万円以下です。 預貯金に含まれるもの 預貯金などの要件には、手持ちの現金や銀行、郵便局の預貯金以外にも以下のものが含まれます。借金や住宅ローンなどの負債がある場合は預貯金額から差し引かれます。 <預貯金に含まれる資産> 預貯金(普通・定期) 有価証券(株式、国債、地方債、社債など) 金・銀(積立購入を含む)など、購入先の口座残高によって時価評価額が用意に把握できる貴金属 投資信託 現金 負担限度額の費用例 介護保険負担限度額認定を受けた人は、その所得や貯金に応じて4段階に分けられ、その段階に応じて利用者の負担限度額が設定されます。食費や居住費の自己負担額が負担限度額を超えた場合、超過分は介護保険から支給されます。 第1段階から第3段階(2)までの各サービスごとの負担限度額は以下の通りです。 居住費(滞在費)の負担限度額(円/日) 食費の負担限度額(円/日) ユニット型個室 ユニット型準個室 従来型個室 多床室 ショートステイ以外の特定介護サービス ショートステイ 特養 老健介護医療院 特養 老健介護医療院 第1段階 820円 490円 320円 490円 0円 0円 300円 300円 第2段階 820円 490円 420円 490円 370円 370円 390円 300円 第3段階(1) 1,310円 1,310円 820円 1,310円 370円 370円 650円 1,000円 第3段階(2) 1,310円 1,310円 820円 1,310円 370円 370円 1,360円 1,300円 介護保険負担限度額認定証の申請の仕方 介護保険負担限度額認定証の発行手続きは、各市町村の介護保険窓口でおこないます。 ここでは、手続きに必要な書類や手順を紹介します。 申請時に必要な書類 例として、千葉県印西市にて介護保険負担限度額認定証を申請する際に必要な書類を紹介します。 介護保険負担限度額認定申請書 同意書(資産調査に関するもの) 預金通帳の写し(名義のものすべて) 有価証券等換価性の高い資産の現在残高がわかる書類 必要な書類は自治体によって異なるので、詳細は各自治体に確認してください。 申請の手順 必要な書類を郵送、または直接持参して各市区町村の介護保険窓口に提出します。 書類に不備がなければ、申請後1週間程度で結果が通知されます。第1~3段階に認定された人には認定証が発行され、第4段階であれば給付に該当しない旨が通知されます。 万が一提出書類に不備があった場合、通知までに時間がかかってしまう可能性があるので、提出前にしっかり確認しておきましょう。 介護保険負担限度額認定証の申請時に気をつけること 申請時には、以下の2点に注意する必要があります。 不正申告には加算金の支払いがある 虚偽の申請により介護保険負担限度額認定され、食費や居住費の補助を受けた場合、介護保険法第22条第1項に基づき、負担が軽減された金額及び最大2倍の加算金を返還しなければならない可能性があります。虚偽の申告や不正受給は絶対にやめましょう。 ショートステイを利用する際の申請 ショートステイを利用している場合、申請書類の「介護保険施設の所在地」と「名称」の欄への記載は必要ありません。被保険者本人の名前を記載し、押印して提出しましょう。 特例減額措置とは? 課税世帯であり、介護保険負担限度額認定において減額対象にならない第4段階の世帯でも、入居者の食費や居住費を払うことで在宅者が経済的困難に陥ることがあります。その場合、特例減額措置として第3段階の負担限度額が適用されます。 尚、ショートステイにおける食費は、介護保険負担限度額認定制度では対象になりますが、特例減額措置では対象になりません。 以下6つの要件に該当すれば、特例軽減措置の対象者となります。 世帯人数が2名以上であること 世帯の年間収入から、施設の利用者負担の見込額を除いた額が80万円以下であること 世帯の現金、預貯金などが450万円以下であること 日常生活に不要な資産を所有していないこと すべての世帯員および配偶者が介護保険料を滞納していないこと 介護保険施設に入所または入院し、利用者負担第4段階の食費・居住費の負担をしていること 介護保険負担限度額認定証は更新が必要 介護保険負担限度額認定証の有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。市区町村によっては、毎年5〜6月頃に更新のお知らせを送ってくれます。忘れずに更新手続きをおこないましょう。 尚、前年の世帯所得と預貯金額に応じて毎年負担段階が見直されるので、前年度と同じ免除額になるとは限りません。 介護保険負担限度額認定証は再発行もできる 介護保険負担限度額認定証を紛失、または破損してしまった場合、再発行してもらうことができます。 各市区町村のHPからダウンロードできる介護保険負担限度額認定証等再交付申請書に記入し、介護保険の窓口にて申請します。郵送対応している市区町村もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。 介護保険負担限度額認定証に関するよくある質問 介護保険負担限度額認定証のメリットはありますか? 一般的には、介護保険施設に入居した際の食費や居住費は自己負担ですが、介護保険負担限度額認定されることで、所得や預貯金に応じて負担が軽減されます。各市区町村に申請して認定証を発行してもらいます。 対象となるサービスにはショートステイも含まれます。 介護保険負担限度額認定証に有効期限はありますか? 介護保険負担限度額認定証の有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間です。多くの市区町村では、毎年5〜6月頃に更新のお知らせや更新申請書類が送付されます。 更新書類送付の有無や時期については各市区町村によって異なります。 申請に必要な書類はなんですか? 申請には、介護保険負担限度額認定申請書、同意書、預貯金等を証明する添付書類などが必要です。負債がある場合は、借用証書なども必要になります。 必要書類は地域によって異なるので、事前に各市区町村に問い合わせておきましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護保険負担限度額認定証のメリットはありますか?", "acceptedAnswer": { ...
2023/03/29
「介護保険証って、健康保険証と違うの?」「介護保険証を持っているだけで介護サービスを利用できるの?」と不安に思う方もいるでしょう。 この記事では、介護保険証を利用するまえに確認しておきたいポイントについて紹介します。 介護保険証とは? 介護保険証とは、介護保険の被保険者であることを証明するもので市区町村が発行します。医療保険が交付する健康保険証とはまったく別のものです。 介護保険の要介護認定の申請をするときや、介護サービスを利用するときに必要になります。 介護保険証の交付時期 40歳になると介護保険料の支払いが始まりますが、介護保険証はいつごろもらえるのでしょうか。介護保険証が交付される時期について解説します。 65歳以上の方は全員に交付される 65歳になると、自動的に介護保険の「第1号被保険者」になるので、65歳の誕生日ごろに「介護保険被保険者証」が1人に1枚、市区町村から交付されます。 介護保険証をすぐに利用する必要がないという場合でも、要介護認定を申請する際に必要になるので保管をしておきましょう。要介護認定を受けていない方の介護保険証に有効期限はありません。 40~65歳未満の方は特定疾病などが原因で介護認定を受ける際に交付される 40歳以上65歳未満の人で、末期がんなどの16の特定疾病に該当する場合は「第2号被保険者」となり、市区町村から介護保険証が交付されます。 要介護認定を申請して、要介護(要支援)の認定を受けると介護保険証は、要介護(要支援)認定の結果とともに送られてきます。 要介護(要支援)認定された人の介護保険証は、認定期間(有効期限)があるので、期間内に必ず更新手続きをおこないましょう。 16の特定疾病とは? がん(末期) 関節リウマチ 筋萎縮性側索硬化症 後縦靱帯骨化症 骨折を伴う骨粗鬆症 初老期における認知症 進性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 脊髄小脳変性症 脊柱管狭窄症 早老症 多系統萎縮症 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 脳血管疾患 閉塞性動脈硬化症 慢性閉塞性肺疾患 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 介護保険証を持っているだけでは介護サービスは受けられない 介護保険証を持っていればすぐに介護サービスを利用できそうですが、介護保険証を持っているだけでは介護サービスを受けられません。介護サービスを受けるためには、要介護認定を受ける必要があります。 40歳以上65歳未満で介護保険証を交付してもらった人はあらかじめ要介護認定をしてもらっていますが、65歳以上の方は要介護認定を受けていなくても介護保険証が交付されます。 65歳になってから介護保険証を受け取った人が介護サービスの利用を希望する場合は、まずは要介護認定を申請しましょう。 介護サービスを受けるためには要介護認定が必要 要介護認定は、どれくらい介護のサービスをおこなう必要があるかを判断するものです。そのため、その方の病気の重さと要介護度の高さとが一致しない場合があります。 介護を必要とする時間と認知症の度合いをもとに、要支援1・2、要介護1~5の7段階で介護度が判定されます。要介護認定に該当しない人は介護保険のサービスを利用できません。 介護保険証を使うタイミング 介護サービスを利用する際に必要な介護保険証ですが、提出が必要になる3つの場面について解説します。 要介護認定の申請 要介護認定を受けるには、市区町村に申請して、介護保険証とともに必要書類を提出します。 申請した日から原則30日以内に、非該当(自立)、要支援1・2、要介護1~5のいずれかの認定結果が被保険者に通知されます。 ケアプランの作成依頼 介護保険証は、ケアマネジャーが作成する「ケアプラン」の作成を依頼する際に必要です。 ケアプランは介護サービスの計画書です。ケアマネジャーは、介護保険証で依頼者の要介護度や認定の有効期間、介護サービスを利用できる上限(単位数)などを確認しながらケアプランを作成します。 要介護者の場合は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが担当し、要支援者の場合は「地域包括支援センター」のケアマネジャーが担当します。 介護給付費の支給申請 要介護(要支援)の認定を受けた方が、ケアマネジャーと相談したうえで、在宅で利用する福祉用具を購入したり、安全に生活するために住宅を改修した場合、市区町村などの保険者が「介護給付費」として利用料の7~9割を負担してくれます。 市区町村に支給申請をする際に、申請書や領収書などとともに介護保険証の提出が必要です。 介護保険証を紛失したらどうする?住所変更時の手続きの仕方 介護保険証をなくしてしまったり、引っ越しにともなって住所変更が必要になった場合について解説します。 紛失してしまった場合 介護保険証を紛失してしまったら、市区町村の窓口で再交付できます。 本人が申請して、健康保険の保険証や運転免許証などの本人確認書類があればすぐに手続きしてもらえます。本人が行けない場合は、同居の家族やケアマネジャーの代行も可能です。 市区町村によっては、パソコンやスマートフォンから電子申請できるところもあります。 住所を変更する場合 介護保険証の住所変更をする際に、引っ越し先が同じ市区町村内かそれ以外かで手続きが異なるため、それぞれケース別に解説します。 同じ市区町村内での転居 介護保険証の住所変更の手続きは、転居届を提出するタイミングで一緒におこなうと手間が省けます。転居届と介護保険証を提示するだけで、住所を変更してくれる市区町村もあります。 手続きに必要なのは、介護保険証と運転免許証などの本人確認書類です。 住所を変更した後も介護認定やサービス内容、有効期間はそのまま引き継がれます。 別の市区町村に転出 別の市区町村に引っ越す場合は、転出元と転入先の市区町村それぞれで手続きが必要になります。 転出する市区町村には介護保険証を返納して、「資格喪失手続き」をおこない「受給資格証明書」を受け取ります。 そのあと、転入する市区町村に「受給資格証明書」を提出します。転入日から14日以内に手続きすれば、転入先で新たに要介護認定を受ける必要がなく、今までの要介護度が引き継がれます。 14日を過ぎるとあらためて要介護認定を受けなければならないので、介護サービスを利用する予定のある人は、転入したら早めに手続きをしましょう。 介護保険証に関するよくある質問 介護保険証ってどんなものですか? 介護保険証は、65歳以上のすべての人、もしくは、40歳以上65歳未満の医療保険加入者で、「16の特定疾病」に該当し、要介護・要支援認定を受けた人に対して市区町村が交付するものです。 介護保険証はどうやって届きますか? 介護保険証は、65歳以上の方には誕生月に交付され自宅に送付されます。役場に出向く必要はありません。 40歳以上65歳未満の方の場合、「16の特定疾病」に該当し、要介護・要支援認定を受けたあとに自宅に送付されます。 介護保険証は更新する必要がありますか? 介護保険証の有効期限が廃止されたため、更新する必要はありません。ただし、介護サービスを受けるために必要な「要介護認定」には有効期間があります。期限が切れる前に更新をする必要があり、注意が必要です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護保険証ってどんなものですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2023/03/28
新しい介護サービスとして注目されているのが地域密着型サービスです。既存の介護サービスとの違いはどのような点にあるのでしょうか。また地域密着型サービスの利用条件や課題はどのようなものがあるのでしょうか。 この記事では、地域密着型サービスの概要について詳しく説明します。上手く活用して、介護生活をスマートに進めていきたいですね! 地域密着型サービスとは 地域密着型サービスは2006年の介護保険制度改正により創設された、比較的新しいサービスです。 地域密着型サービスの目的は、今後増加すると言われている認知症高齢者や介護度の高い高齢者が、住み慣れた地域で暮らし続けていけるような環境づくりをおこなうことです。そのために各市区町村が指定した事業者は地域住民に対して、幅広い介護サービスを提供しています。 また地域密着型サービスでは、施設が地域住民と交流ができるような場所につくられているというのも特徴。利用者やスタッフの人と顔なじみになりやすく、誰でも気軽に利用しやすくなっています。また施設も比較的小規模なので、利用者のニーズにきちんと応えられるようになっています。 なお、実際に提供されているサービス内容は各市区町村によって異なるので、詳しくはケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談しましょう。 地域密着型サービスを利用する3つの条件 地域密着型サービスを利用するには以下の3つの条件を満たしている必要があります。 サービス事業者のある市区町村に住民票がある方65歳以上(40~64歳で特定疾病により要介護を受けている方も含む)要介護認定を受けている方(介護度により利用できるサービスが異なる) 「地域密着型」と言うだけあって、基本的にサービスの対象者はサービス事業者と同じ市区町村に住んでいる人ということになります。その地域に住んでいる証明として住民票が必要になるので、利用を検討する場合には準備しておきましょう。 要支援の方は地域密着型介護予防サービスに 地域密着型サービスは、その地域に住んでいるという条件を満たし、かつ要介護認定を受けている方に限定されるため、要介護よりも介護度の低い「要支援」の方は地域密着型サービスを利用することはできません。 とはいえ、サービスがまったく受けられないというわけではなく、要支援の方を対象に介護予防を目的とした地域密着型介護予防サービスなども提供されています。 要支援の方が利用できる地域密着型の主なサービス内容は以下の3つです。 介護予防認知症対応型通所介護 介護予防小規模多機能型居宅介護 介護予防認知症対応型共同生活介護(要支援2の方) 居宅介護サービスとの違い 居宅介護サービスの中でも広く利用されているのは訪問介護や訪問看護ですが、それらのサービスと地域密着型サービスとはどのような点で異なるのでしょうか。 主な違いとしてよく挙げられるのが「同一事業者からサービスを提供してもらえるかどうか」です。 地域密着型サービスの場合は同一事業者を指定できるため、信頼感のある顔なじみのスタッフとアットホームな雰囲気でサービスを受けられたり、利用者のニーズを適切にくみとった上でサービスを提供してくれるという安心感を得ることができます。 また、サービス利用に際して、居宅介護サービスは居住地域にしばられることがない一方で、地域密着型サービスにはその地域に住んでいることが前提条件としてあるなどの違いもあります。 どちらのサービスが自分にあっているのかをきちんと考慮して利用すると良いでしょう。 地域密着型サービスの種類 続いて、地域密着型サービスにはどのようなものがあるのかについて説明していきます。 小規模多機能居宅介護 小規模多機能居宅介護とは、日常生活を送る上で介護が必要な方が自宅で生活を続けられるよう支援する、居住系サービスのことを指します。 具体的に提供してもらえるサービスは、通いから訪問、宿泊までなどあり、これらを組み合わせて日常生活の支援や機能訓練をおこなってくれます。 また、小規模多機能居宅介護はひとつの介護事業者がさまざまなサービスを提供しているため、複数の事業者と介護サービスに関する契約をする必要もなく、スタッフとも顔なじみになりやすいため、環境の変化に上手くなじめない方などにおすすめです。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、日中・夜間を通して定期的な巡回や随時必要な対応をおこなってくれるサービスのこと。介護だけではなく看護サービスも受けることが可能です。 具体的には、食事や入浴、排泄介助から療養上のケアなどをおこなってくれるほか、急な体調不良やトラブルがあった場合には訪問介護や訪問介護サービスを受けることもできます。 また、これらのサービスは24時間受けることが可能なので利用者に安心感を与えることができ、介護者自身の負担軽減にもつながります。 看護小規模多機能型居宅介護(複合サービス) 看護小規模多機能型居宅介護(複合サービス)とは、小規模多機能居宅介護と同様に、通いサービスを中心に訪問サービスや宿泊サービスなどを受けられる複合サービスのことを指します。 なお、小規模多機能居宅介護サービスで提供される訪問サービスは訪問介護のみですが、看護小規模多機能型居宅介護(複合サービス)サービスになると、訪問介護に加え訪問看護サービスも受けることができます。 同じ事業者で介護や看護のサービスを一体的に提供することができるので、より医療的ニーズの高い利用者にも対応することが可能になります。 地域密着型通所介護 地域密着型通所介護とは、利用者定員18名以下の小規模なデイサービスで、入浴や食事、その他の必要な日常生活上の支援や生活機能訓練などを日帰りで提供するサービスのこと。要介護の方が対象であり、要支援の方はこれらのサービスを利用することができないので注意が必要です。 夜間対応型訪問介護 夜間対応型訪問介護とは、夜間にホームヘルパーが自宅を定期巡回し、安否確認や排泄介助などをおこなってくれるほか、急な体調不良や転倒して自力で起き上がれないなどの予期せぬトラブルが起きた場合に適切な対応をとってくれるサービスのことを指します。 ただし、ペットの世話や家族のための家事など利用者に直接関わらない支援サービスは受けることができません。また、要支援の方はこれらのサービスを利用することはできません。 認知症対応型通所介護 認知症対応型通所介護とは、利用者を認知症の方に限定した小規模な通所介護サービスのことを指します。 一般の通所介護サービスでは、施設側が認知症の方に対応しきれなかったり、本人がスタッフや環境に馴染めなかったりすることがありますが、認知症対応型通所介護は認知症の方にケアをおこなうことを目的としているので、専門的なケアを受けることができます。 なお、認知症対応型通所介護は大きく以下の3つに分かれています。 併設型:特別養護老人ホーム等に併設されている 単独型:認知症対応型デイサービスとして単独で設置されている 共用型:グループホームのリビングや食堂の共用スペースで提供する 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の高齢者がグループホームに入所することで食事や入浴などの日常生活における介護支援や機能訓練などを受けることができるサービスのことを指します。 グループホームでは、専門的な援助体制のもと5〜9人の利用者をひとつユニットとして共同して、それぞれの能力を活かしながら生活を送ります。 地域密着型特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護では、介護保険を利用できる居宅サービスのひとつで、地域密着型特定施設サービス計画に基づいて、入浴、排せつ、食事などの介護サービスや、機能訓練などを受けることができます。 ここでいう特定施設の対象となる施設は、入居定員が30人未満の小規模な介護専用の有料老人ホームや、軽費老人ホーム、養護老人ホームなどをいいます。 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは、定員30人未満の特別養護老人ホームで入浴、排せつ、食事などの介護や機能訓練を受けることができるサービスのこと。要支援の認定を受けている方は利用できないので注意しましょう。 地域密着型サービスの運営推進会議 運営推進会議はサービスの質を確保することを目的に設置されており、地域密着型サービスを提供する事業所が、提供しているサービスの内容を利用者や市区町村職員、地域住民の代表者に明らかにすることで、サービス内容を地域全体にひらかれたものとしています。 介護保険制度の改正に伴い、地域密着型通所介護事業所と認知症対応型通所介護事業所においても運営推進会議の設置が義務づけられています。 運営推進会議の目的 運営進捗会議は地域密着型サービスを提供する事業者自身が設置するものですが、設置する主な目的としては以下のようなものが挙げられます。 サービス内容を明らかにし、運営内容の透明性を確保事業者による利用者の「抱え込み」防止サービスの質の確保地域との連携 運営推進会議の構成員 運営進捗会議の構成員については以下のようになっており、これらの人たちにどういったサービスを提供しているのかについて説明をおこないます。 利用者とその家族地域住民の代表者(町内会役員、民生委員など)事業所がある市町村の職員や、地域包括支援センターの職員 運営推進会議の開催頻度 運営進捗会議は提供しているサービスの種類によって開催頻度が異なります。具体的な開催頻度については以下をご参照ください。 サービス種別開催頻度小規模多機能型居宅介護2ヵ月に1回以上看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)地域密着型特定施設入居者生活介護地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護3ヵ月に1回以上地域密着型通所介護6ヵ月に1回以上認知症対応型通所介護 地域密着型サービスにおける課題 地域密着型サービスは、従来の在宅介護などでは行き届かなかったニーズに応じたきめの細かいサービスを受けられる点が魅力です。 しかし、高齢化社会の受け皿として期待や関心が高まる一方で、制度がつくられてから事業者や利用者が想定よりも増えていないという現状もあります。 ここではそんな地域密着型サービスの課題点についてご紹介していきます。 地域密着型サービスにおける事業者側の課題 採算性が低く、かつ人材確保が難しい 地域密着型サービスを運営する側の事業者視点で考えると、そもそも定められている施設定員が少ないうえに介護報酬も低いことから、採算が取れないというデメリットがあります。 また、介護業界の慢性的な人手不足という状況に加え、地域密着型サービスの魅力であるきめ細やかなサービスを担保するためには長時間のサービス提供かつサービス内容の対応範囲を広げる必要があり、さらに人材確保が難しくなっています。 利用定員が少ないとはいえ、小規模事業所だと少人数で運営しているところも多く、介護職員一人ひとりの負担が大きくなってしまうことも問題になっています。 ケアマネジャーへ周知できていない そもそも地域密着型サービスというサービスの存在自体が、ケアマネジャーの間でもあまり認知されていない現状もあります。そのため、ケアマネジャーが提案するケアプランに地域密着型サービスの項目はなく、利用者が増加しないのです。 また、地域密着型サービスを利用すると担当のケアマネジャーが変わってしまう点も課題として挙げられます。 施設関係者とケアマネジャーが円滑に情報共有を行えるシステムを構築し、きちんと利用者に伝える体制を整える必要があります。 地域密着型サービスにおける利用者側の課題 担当のケアマネジャーが変わる 地域密着型サービスを利用すると、利用する事業所に所属しているケアマネジャーがケアプランを作成することになります。そうなると必然的に、前任のケアマネジャーとの関わりは薄くなってしまうため、その点を不安に思う利用者へのケアが課題となります。 施設定員が設けられているために希望するサービスが受けられない可能性がある点も、課題のひとつと言えるでしょう。 地域密着型サービスにはまだまだクリアするべき課題が多くあります。利用する人が感じる心理的不安を乗り越えるための仕組み作りや現場の労働条件の改善などは、今後の課題になりそうです。 地域密着型サービスに関するよくある質問 地域密着型サービスとは何ですか? 地域密着型サービスは、施設が地域住民と交流ができるような場所につくられ、利用者が住み慣れた地域で暮らし続けていけるように支援するサービスです。またサービスを通して利用者とスタッフが顔なじみになりやすく、施設も比較的小規模なので、利用者のニーズにきちんと応えられます。 地域密着型サービスを利用する際に条件はありますか? 「サービス事業者のある市区町村に住民票がある人」「65歳以上(40~64歳で特定疾病により要介護を受けている人も含む)」「要介護認定を受けている人」が条件です。 ただし、特例として市区町村間で利用の協議がおこなわれ、同意が得られている場合は、ほかの市区町村の地域密着型サービスを受けられる場合があります。 地域密着型サービスはいつできましたか? 地域密着型サービスは2006年4月1日に新しくできたサービスです。可能な限り住み慣れた地域で生活できるようにするため創設されました。実際に提供されているサービス内容は各市区町村によって異なるので、詳しくはケアマネジャーや地域包括支援センターなどに相談しましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": 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2022/01/17
介護保険サービスを利用した場合に、一定の条件により、サービスを受け支払った自己負担額から所得税の医療費控除を受けることができます。 今回は、介護保険サービスを利用した際に、医療費控除を受けるためのポイントを説明します。 医療費控除とは 出典:「医療費を支払ったとき」(国税庁) 控除とは、納税額から条件により一定の金額を差し引くことを指します。その中で医療費控除とは、その年に自分または自分と生計を共にする配偶者や親族のために医療費を支払った場合に、確定申告時に負担した医療費の一部を所得から控除することを言います。 医療費控除の対象となる介護保険サービス ここからは、所得の医療費控除の対象となる介護保険サービスについて説明します。 医療費控除の対象となる居宅サービス等 介護保険サービスの中で、居宅サービスはよく利用されていますが、そのうち多くは支払った額が医療費控除の対象となります。以下が医療控除対象のサービスです。 要支援の方 介護予防訪問看護介護予防訪問リハビリテーション介護予防居宅療養管理指導介護予防通所リハビリテーション介護予防短期入所療養介護 要介護の方 訪問看護訪問リハビリテーション居宅療養管理指導通所リハビリテーション短期入所療養介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用する場合に限る)看護・小規模多機能型居宅介護(上記の居宅サービスを含む組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)に限る) 条件付きで医療控除の対象となる居宅サービス また、日常生活上に必要な世話に該当するような居宅サービスの中で、上記の居宅サービスと併用して利用することで、医療費控除の対象となる居宅サービスもあります。以下がその対象です。 要支援の方 介護予防訪問入浴介護介護予防認知症対応型通所介護介護予防小規模多機能型居宅介護介護予防短期入所生活介護 要介護の方 訪問介護(生活援助(調理、洗濯、掃除等の家事の援助)中心型を除く)夜間対応型訪問介護訪問入浴介護通所介護地域密着型通所介護認知症対応型通所介護小規模多機能型居宅介護短期入所生活介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護(一体型事業所で訪問看護を利用しない場合及び連携型事業所に限る)看護・小規模多機能型居宅介護(上記の居宅サービスを含まない組合せにより提供されるもの(生活援助中心型の訪問介護の部分を除く)に限る)地域支援事業の訪問型・通所型サービス(生活援助中心のサービスを除く) 医療費控除の対象となる施設サービス 介護施設に入所して利用した施設サービスのうち、介護サービス費、食費、住居費も医療費控除の対象となります。一方で、理美容代など日常生活でも通常必要となるものの費用は控除の対象外となるので注意が必要です。以下が医療費控除の対象となるサービスです。 支払う自己負担額が対象の施設 介護老人保健施設介護療養型医療施設介護医療院 支払う自己負担額の2分の1が対象の施設 特別養護老人ホーム指定地域密着型介護老人福祉施設 条件付きでおむつ代、交通費も対象となる 条件によっては、自分で負担したおむつ代と交通費も、確定申告により所得の医療費控除の対象となります。 おむつ代 すでに医師により治療を受けていて、治療を受けるための費用という扱いで、自己負担したおむつ代も医療費控除の対象です。 医療費控除の条件は、疾病によりおおむね6か月にわたり寝たきりの状態であり、医師より「おむつ証明書」を発行してもらった場合に限ります。 医療控除を受けるためには、確定申告時に医療費控除の明細書とともに、「おむつ証明書」の添付もしくは提示が必要です。 交通費 介護保険サービスを利用するために施設に移動する際に負担した交通費も、医療費控除の対象となります。ただし、自家用車で移動した場合にかかる、ガソリン代や駐車場代には控除の対象にはならず、電車やバスなどの公共交通機関やタクシーを利用した場合のみ医療費控除の対象となります。 確定申告時には、公共交通機関利用の場合は施設への移動と交通費が照合できるもの、タクシー利用の場合は領収書が必要です。 医療費控除の対象外の居宅サービス 介護保険の居宅サービスの中でも、医療を目的としていないサービスについては、基本的には医療費控除の対象外になりません。以下が控除の対象外となるサービスです。 訪問介護(生活援助中心型)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)介護予防認知症対応型共同生活介護特定施設入居者生活介護【有料老人ホーム等】地域密着型特定施設入居者生活介護介護予防地域密着型特定施設入居者生活介護福祉用具貸与介護予防福祉用具貸与看護・小規模多機能型居宅介護(生活援助中心型の訪問介護の部分) その他、医療費控除の対象・対象外となる事例 介護保険サービスについて、医療費控除の対象になるもの、対象にならないものを説明してきましたが、ここでいくつか事例を紹介いたします。 医療費控除の対象事例 以下のサービスを受けた場合は、医療を受けたとして自己負担した額が医療費控除の対象になります。 病院、歯科医院等で受けた診療費、治療費、入院費治療・療養のための医薬品、漢方薬など購入費用(市販薬も含む)治療上必要となった松葉杖、医療器具などの購入費用(コルセットなど)治療による、あんまマッサージ指圧師、柔道整復師、はり師、きゅう師等による施術費 基本的に、これらのサービスで支払った金額を医療費控除をするためには、確定申告時に領収書が必要になります。領収書は失くさないように大切に保管しましょう。 医療費控除の対象事例 一方で、以下のサービスを受けて、自己で支払った場合でも医療費控除の対象となりません。現状病気ではなく、健康の維持や予防のために支払った費用、美容整形や歯の矯正なども対象外です。以下は控除の対象外となります。 病気予防、健康増進のための医薬品、漢方薬、健康食品の購入費健康診断、人間ドックの費用(疾病が発見され、継続して治療を行う場合を除く)美容整形、審美目的での歯列矯正の費用健康維持、疲労回復を目的とした、あんまマッサージ指圧師、柔道整復師、はり師、きゅう師等による施術費自家用車で通院する場合のガソリン代、駐車場料金自己都合により発生する差額ベッド代 これらのサービスは、領収書をもらったとしても医療費控除の対象外となりますので注意が必要です。 医療費控除の対象者 介護保険サービスを利用した際に、医療費控除の対象となるのは、自分また自分と同じ生計で暮らしている配偶者や子ども、もしくは親族などのために費用を払った場合です。 その人が自分と同居していない場合でも、自分がその人の生活費をほぼ負担している場合には、同じ生計で暮らしているという扱いで医療費控除の対象になります。 医療費控除の手続き 医療費控除を受けるためには、確定申告時に医療費控除の対象となるサービスを受けたことの証明が必要です。 申請するために、確定申告書と一緒に提出する医療費の明細書を作成します。その際、「医療を受けた人」「病院や薬局などの名称と所在地」「治療内容」「支払った医療費」「保険で補填される額」などの記載が必要になるため、サービスを受けた際に、それを忘れないように記録を残しておくことが大切です。 また、支払った費用が証明できるレシートや領収書も必要になるので、これらも大切に保管しましょう。 控除の対象期間 医療費控除の対象となるのは、所得税の対象期間と同様、該当年度の1月1日から12月31日までの間に、実際に支払った医療費です。 確定申告の申請期間は、医療費を支払った翌年の2月16日から3月15日までとなります。例えば、忙しくて申請ができなかったというような場合でも、医療費を支払った翌年の1月1日から5年間は遡っての控除の申請が可能です。 介護保険サービスにおける医療費控除に関するよくある質問 医療費控除とは何ですか? その年に自分または自分と生計を共にする配偶者や親族のために医療費を支払った場合に、確定申告時に負担した医療費の一部を所得から控除することを指します。 医療費控除を受ける際、どんな書類が必要ですか? 医療費控除を受ける際、特別な書類は必要なく「医療費控除の明細書」「確定申告書」「医療通知書」「本人確認書類」などが挙げられます。 介護用品は医療費控除の対象ですか? 介護用品の購入、介護にかかった交通費、介護サービスの利用も医療費控除の対象です。 おむつ代などは、確定申告時に医療費控除の明細書とともに、「おむつ証明書」の添付もしくは提示が必要です。 また交通費については、自家用車で移動した場合にかかる、ガソリン代や駐車場代は控除の対象にはならず、電車やバスなどの公共交通機関やタクシーを利用した場合が医療費控除の対象です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "医療費控除とは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/29
介護保険の利用を検討しているため詳しく内容を知りたいと考えていたり、「将来のために介護保険について学んでおきたい」と考えている人もいるでしょう。 今回は、利用した介護サービスの費用が1~3割の負担で済む介護保険について紹介。受けられるサービスや、介護保険への加入条件、給付限度額についても解説します。 介護保険とはどんな制度? 介護保険とは介護が必要な人に対して、介護費用が軽減される制度です。 満40歳に達すると介護保険加入者となり、運営する全国の市区町村から保険料の徴収が始まります。介護保険サービスを受けられるようになるのは65歳から。ただし要介護認定を受けなければ、サービスの対象外となります。 介護保険サービスの自己負担は原則1割。ただし、前年度の所得によっては自己負担率が2~3割になる可能性もあるため、注意が必要です。 介護保険の仕組み 介護保険は「保険者」「被保険者」「サービス提供事業者」の3つに役割が分けられています。 「保険者」とは、介護保険を運営する全国の市区町村のこと。「サービス提供事業者」は介護保険サービスを提供する企業や団体のことです。 そして、実際に介護保険料を支払い、介護保険サービスを受ける人が「被保険者」。65歳以上の「第1号被保険者」と、40~64歳までの「第2号被保険者」に分類されます。 被保険者は、65歳以上になると介護認定の申請が可能に。要介護認定もしくは要支援認定を受けることによって、介護保険サービスが利用できるようになるのです。 いつから加入する?支払い方法は? 介護保険は、満40歳に達したら加入を義務付けられています。40歳になった誕生月から保険料の徴収が始まります。 年齢によって保険料の徴収方法が異なり、40~64歳の第2号被保険者は、加入している健康保険料と一緒に支払います。65歳以上の第1号被保険者は、原則として年金からの天引きです。 また保険料は、加入している健康保険組合によって決め方が違います。次項からは、健康保険組合と国民健康保険組合で、どのように保険料が決定されるかを見ていきましょう。 健康保険組合に加入している方の場合 国民健康保険を除く、協会けんぽや共済組合などの医療保険に加入している場合、給与や賞与に介護保険料率を掛けて、介護保険料を算出します。さらに算出した介護保険料を、事業主と被保険者で折半した額が徴収されます。 介護保険料率は組合によって異なり、さらに定期的に改定されるため、変動があるのが特徴です。 また被扶養配偶者は、被保険者の支払う介護保険料でまかなわれるため、納める必要はありません。 国民健康保険組合に加入してる方の場合 国民健康保険に加入している場合、自治体が「所得割」「均等割」「平等割」「資産割」の4つを独自に組み合わせて計算をおこないます。 例えば「所得割」は、被保険者の前年度の所得に応じて算出。「資産割」は、土地や家屋などの固定資産税に応じて算出されます。これらの組み合わせと各項目の金額や割合は、各市区町村が決定します。 また介護保険料率も自治体によって異なります。気になる場合は、居住している自治体に確認しましょう。 サービス対象となる被保険者は? 介護保険料の支払い義務は、第1号被保険者と第2号被保険者の両方にあります。ただしサービスを受けられるのは、原則として第1号被保険者であり、要介護認定または要支援認定を受けた方のみです。 第2号被保険者は、加齢に伴う疾病が原因で要介護認定もしくは要支援認定を受けた際に介護保険サービスの対象となります。介護保険サービスを受けられる疾病(特定疾病)は決まっており、全部で16個あります。 介護保険が対象となる特定疾病 がん(末期) 関節リウマチ 筋萎縮性側索硬化症 後縦靱帯骨化症 骨折を伴う骨粗鬆症 初老期における認知症 進性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病 脊髄小脳変性症 脊柱管狭窄症 早老症 多系統萎縮症 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症 脳血管疾患 閉塞性動脈硬化症 慢性閉塞性肺疾患 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 介護保険被保険者証の交付 介護保険被保険者証(以下、介護保険者証)は、65歳以上の第1号被保険者全員に、運営主体である市区町村から交付されます。紛失したり引っ越しなどで住所が変更になる場合は、市区町村の介護保険担当窓口で手続きをおこないます。 また、40~64歳までの第2号被保険者には、介護保険者証は交付されません。介護保険対象の特定疾病により、要介護認定か要支援認定された人のみ発行されます。 要介護認定の方法 介護保険者証は、所持しているだけではサービスを利用できません。利用したい場合は、要介護認定が必要です。 では、要介護認定を受けるにはどのような手順を踏めば良いのでしょうか。要介護認定を受けるまでの流れをご紹介します。 要介護認定の申請は、住民票のある市区町村の役所や役場でおこないます。病気やケガで入院しているなどの事情で、本人が申請できない場合は、家族が代わりに申請することも可能です。 また家族や親族からの支援が難しいときには、地域包括支援センター・居宅介護支援事業者・介護保険施設に申請を代行してもらうこともできますので、相談してみましょう。 介護保険で利用できるサービス 要介護認定を受けると、以下の介護保険サービスを利用できるようになります。 居宅介護サービス 施設介護サービス 福祉用具の貸与、購入費の助成サービス 住宅改修サービス この中でも、居宅介護サービスは次のように分けられます。 訪問系サービス 通所系サービス 宿泊系サービス 複合型サービス ただ、介護保険サービスを受けるためには、始めに居宅介護支援を利用する必要があります。これは、ケアマネジャー(介護支援専門員)が介護保険サービスの利用計画書を作るサービスです。 次項から、各サービスを紹介していきます。 居宅介護支援 居宅介護支援では、ケアマネジャーと利用者・家族が相談しながら、必要な介護保険サービスの計画書(ケアプラン)を作成していきます。また、定期的なケアプランの見直しや、関係機関との連絡調整もサービスに含まれます。 居宅介護支援のサービスを受けるには、市区町村の担当窓口で申請後、居宅介護支援をおこなう事業者を選び、契約を交わしましょう。 訪問系サービス 介護職員や看護師が、自宅などに訪問してケアを提供する介護保険サービスがあります。訪問系サービスには、下記の種類があります。 訪問介護 介護職員が自宅などに訪問し、洗濯、掃除、買い物の代行といった生活援助や、食事、入浴、排泄などの介助を提供します。 訪問看護 看護師が自宅などに訪問し、健康チェック、医師の指示を受けたうえでの医療処置をおこないます。 訪問入浴介護 ...
2021/12/28
介護サービスを利用するために必要となるケアプラン。このケアプランは、利用者本人はもちろん、家族にとっても非常に重要な介護計画書です。 この記事では、ケアプランの作成の流れやケアプランの作成方法について解説します。ケアマネジャーとの付き合いの中でも重要な項目なので、しっかり把握しておきましょう。 ケアプランとは? 要支援・要介護の認定を受けた高齢者が介護保険適用のサービスを利用するためにはケアプランが必要です。 ケアプランとは、介護を必要とする高齢者それぞれの身体状態や家庭の状況を踏まえて、利用者に対する支援の方針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた介護サービス計画書のことです。 基本的にはケアマネジャーが利用者本人、家族と話し合いをし、本人にとって適切な介護サービスやサポートの内容を組み合わせを決めていきます。 ケアプランに基づき介護保険給付がおこなわれるため、ケアプランは介護保険サービスを利用するためにとても重要な書類です。 ケアプランは3種類ある ケアプランは対象者とサービスの内容により3種類に分けられます。 居宅サービス計画 施設サービス計画 介護予防サービス計画 「居宅サービス計画」と「施設サービス計画」は要介護1から要介護5の認定を受けた人が対象。「介護予防サービス計画」は要支援1から要支援2の認定を受けた人や事業対象者が該当します。 ケアプランの作り方 ケアプランは基本的にケアマネジャーが利用者の状況に合わせて作成をします。ケアマネジャーは定期的に利用者の身体の状態や介護の状態を確認して、利用者本人や家族にヒアリングをしながらケアプランを作成します。 ケアプランは利用者が自立した生活を送るための目標を立て、目標達成に向けてサービスの種類や利用頻度などを考えていきます。ケアマネジャーに依頼をしてケアプランを作成する場合に、利用者の自己負担はありません。 ケアマネジャーとは? ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」といい、介護保険法に規定された専門職です。介護を必要とする高齢者が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(介護サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整をおこなうのが主な業務です。介護福祉士・社会福祉士・看護師などの保健・医療・福祉系の国家資格をもち実務経験が5年以上ある人が「介護支援専門員実務研修受講試験」を受けることができ、合格するとケアマネジャーの資格を取得できます。ケアマネジャーは介護サービス全体を管理する重要な役割を担っています。 ケアプラン作成の手順 ケアプランが完成するまでには手順があります。以下では、作成の手順に関してまとめました。 インテーク アセスメント ケアプラン原案作成 サービス担当者会議 ケアプラン完成 モニタリング インテーク 「インテーク」とは、ケアマネジャーが利用者の現状を把握するためのファーストステップを指します。利用者本人と家族に現在の身体の状態や、抱えている問題、希望、家庭環境などについて面談をおこないます。 面談は、対面または電話でおこなう場合などさまざまです。利用者と家族は現在の問題点や今後の希望をできるだけ明確に伝えることが大切です。 アセスメント 「アセスメント」では利用者の自宅に訪問をし、利用者本人の身体の状態、介護の状態、住居環境などを確認します。 利用者と家族がどのような生活を送りたいのか、どのようなサポートが必要なのかを明確にし、課題を分析して目標を設定します。 ケアプラン原案作成 アセスメント結果をもとに、「ケアプラン原案」を作成。利用者や家族の希望に合わせた目標を設定し、必要なサービスの検討をしてケアプランを組み立てます。 受け入れが可能なサービス事業者との連絡調整をおこない、利用者の希望と相違がないかを本人や家族に確認します。 サービス担当者会議 ケアマネジャーが作成したケアプラン原案をもとに、ケアマネジャーを中心として利用者本人と家族、介護サービス提供事業者の担当者、主治医などの関係者とケアプランに関しての協議をおこないます。 利用者や家族の状況や課題を共通認識し、設定している目標や介護方針・計画を共有するための会議です。このサービス担当者会議で本人や家族、関係者から意見を聞き、プランの内容に問題ないかを精査します。 ケアプラン完成 サービス担当者会議で得た意見や相違点などをもとに、必要に応じてケアプラン原案を修正・再提案し、利用者や家族に最終確認し同意を得ます。 問題なければ利用者・家族へ計画書を交付し、同意書に自署または記名・押印をもらい、ケアプランの最終決定をおこないます。完成したケアプランは介護サービス提供事業者にも交付します。 モニタリング 「モニタリング」とはケアプランに基づいた介護サービスが適切に提供されているかどうか、月1回以上利用者宅へ訪問し確認をすることです。モニタリングの結果、ケアプランに見直しが必要な場合は再度アセスメントし、ケアプランの修正・再交付をおこないます。 ケアプランは6カ月程度で必ず見直しをおこなう必要があります。 ケアプランに使用する書類内容 居宅サービスにおける標準的なケアプランの書類は、第1表~第7表の7枚から構成されており、このうち第4表と第5表を除く書類を、通常は利用者とケアマネジャーとで共有します。 第1表:居宅サービス計画書(1) アセスメントをもとにまとめた利用者と家族の意向総合的な援助の方針 第2表:居宅サービス計画書(2) 利用者の課題(ニーズ)、それに伴う長期と短期の目標課題の改善に向けた具体的な介護サービスの内容 第3表:居宅サービス計画書(3) 介護サービスを組み合わせた1週間のタイムスケジュール表 第4表:サービス担当者会議の要点 サービス担当者会議で話し合われた内容の記録(ケアマネジャーが所持) 第5表:居宅介護支援経過 ケアマネジャーとの相談内容が記載された記録(ケアマネジャーが所持) 第6表:サービス利用表 サービスを提供する各事業者の実施計画の月間表 第7表:サービス利用表別表 1ヵ月の介護サービスの利用単位数と費用 ケアプランを自分で作成する方法 ケアプランは基本的にケアマネジャーが作成しますが、利用者やその家族が作成することも可能です。 ケアプランを、素人である家族が作成するのは難しいものですが、そこにはメリットもあります。デメリットとあわせて紹介するので、参考にしてみてください。 自分で作成するメリット 自分でケアプランを作成するメリットは、自分で納得がいくサービスを検討してプランを作成できるという点です。 自分で利用するサービスやサービス提供事業者を直接選ぶことにより、利用者の意思をダイレクトに伝えられ、安心してサービスを受けることができます。 また、ケアプランをケアマネジャーに組み立ててもらう場合に必要なアセスメントや定期的なモニタリング、会議などのやり取りを省くことができます。 自分で作成するデメリット 自分でケアプランを作成するデメリットは、情報収集や複雑な事務手続き、調整をすべて自分でおこなわなければならないという点です。点数計算や制度など、専門的な知識が必要とされます。 介護事業所や施設の情報を自分で集めなければならないため、必要な情報が十分に得られない可能性もあります。また、介護のプロではないため、必要なサービスの精査が難しい場合もあります。 ケアプラン作成時の注意点 利用者に合ったより良いケアプランを作成するためには下記のポイントに注意をして作成しましょう。 ケアマネジャーに任せきりにしない ケアプランを作成するうえで大切なのは、利用者本人と家族が納得して少しでも理想の生活を送れるプランを立てることです。 ケアマネジャーは介護の専門家であり、利用者に適しケアプランを計画できるように力を尽くしてくれますが、利用者や家族についてすべてを知っているわけではありません。 利用者や家族の希望が正しくケアプランに反映されないというケースもあります。 ケアマネジャーに任せきりにするのではなく、本人や家族の意向や、希望していること、不安などを具体的に伝え、ケアマネジャーに理解をしてもらいましょう。 ケアプランの内容をしっかり確認する ケアマネジャーが作成したケアプランの内容はしっかり確認しましょう。確認をする際は、以下の項目に着目すると良いでしょう。 記載された内容で問題解決ができるか 利用するサービス内容や回数が合っているか 利用料の負担に無理がないか ケアプランの内容に不明点などがある場合は、早めにケアマネジャーに相談しましょう。 ケアプランを見直すのも大事 ケアプランは、一度作成して終わりではありません。月1回以上の本人や家族と面談をおこない、必要に応じてケアプランを見直す必要があります。 利用者の体調の変化、状況に変化はないか、サービスが適切に提供されているかを確認します。また利用者本人だけでなく、家族の状況の変化によってもケアプランの見直しが必要になる場合もあります。 利用者の介護度に変化があった場合は、要介護認定の区分見直しとともに介護度に応じたケアプランの見直しを必ずおこないます。 ケアプランの文例 では、実際にケアプランを作成する上での文例はどのようなものがあるのでしょうか。以下では、ケアプランの文例をまとめました。 モニタリング文例 デイサービス編 デイサービスで定期的に入浴することで身体の清潔が保たれているデイサービスを利用することで、生活の中で役割や生きがいを持てるようになり、活き活きと生活できているデイサービスの利用により、他者との交流が増え、本人も楽しみにされている アセスメント文例 ADL編 椅子への移乗は何もつかまらずにおこなうことができる椅子のひじ掛けにつかまれば1時間程度座位を保つことができる前傾姿勢のため歩行器を使用し、身体を支えながら歩行する 長期目標・短期目標文例 移動・移乗編 長期目標短期目標身体機能や体力の維持を図る足上げを5分間おこなう自分の足で歩いて買い物に行きたい歩行が安定するように、毎日運動をおこなう新聞受けまで新聞を取りに行ける室内で伝い歩きができる 長期目標・短期目標文例 転倒予防編 長期目標短期目標転倒することなく生活を継続できる毎日ストレッチをし、転倒のリスクを軽減する散歩を毎日できるようにする足をしっかり上げて歩行するように心がけ、転倒に気をつける歩行器での移動ができるようになる下肢筋力をアップさせる ケアプランは適切な介護サービスを受けるために大切な計画書 ケアプランは、利用者の日々の暮らしをサポートをするための大切な計画書です。 一人ひとりの心身の状態を理解し、本人と家族の希望に寄り添ったプランを作成することがとても重要。適切な介護サービスを受けることで、利用者はより良い生活を送ることができます。 利用者は希望に合ったサービスを受けるためにはケアマネジャーに任せきりにせず、自分の意思をしっかりと伝えて、ケアマネジャーに協力しながらケアプランを作成してもらいましょう。 ケアプランに関するよくある質問 ケアプランとは何ですか? ケアプランは、利用者に対する支援の方針や解決すべき課題、提供される介護サービスの目標と内容をまとめた介護計画書を指します。ケアマネジャーが利用者本人、その家族と話し合いサービス内容を組み合わせて決めていきます。 ケアプランは誰が作りますか? ケアプランは基本的にケアマネジャーが利用者の状況に合わせて作成します。 介護サービスを利用する前に、利用者本人の身体状況、介護状況を確認し、家族にもヒアリングをした上でケアプランの作成をおこないます。またケアマネジャーに依頼してケアプランを作成する際は、費用負担などはありません。 ケアプラン作成時に利用者本人、家族の希望は通りますか? ケアプランは基本的にケアマネジャーが作成するのが基本です。しかし、利用者やその家族が作成することも可能で、希望のサービスをケアプランに反映させることができます。 自分でケアプランを作成するメリットとして、納得がいくサービスをプランとして作成できること、直接サービス提供事業者と契約を結ぶことで利用者本人、家族の意思を伝えられるということが挙げられます。 ただしデメリットとして、情報収集や複雑な事務手続き、調整をすべて自分でおこなわなければならないという難点があり、専門的な知識も必要とされます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", ...
2021/12/14
介護保険施設に入居して受けるサービスのことを施設介護サービスと呼びます。 介護保険施設とは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「介護医療院」の3つのことで、一般的には“公的施設”と呼ばれています。 では、その公的施設それぞれで受けられる介護サービスにはどのようなものがあるのでしょうか。それぞれの施設の特徴とあわせて解説していきます。 施設介護サービスとは? 施設介護サービスの対象となる公的施設は「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」の4つがあります。 超高齢社会にある現在、まだまだ施設の数が足りないので、新規建設は補助金の対象となったり、法人税の軽減措置があるなどの優遇措置もあります。運営母体は民間ではなく、地方公共団体や社会福祉法人や医療法人が多くなっています。 4つの介護施設は、介護の内容や入所条件が異なります。それぞれの特徴を見ていきましょう。 特別養護老人ホームで提供される介護サービス 特別養護老人ホームは、社会福祉法人や地方自治体が運営している介護施設の中で、サービス内容が幅広く、値段も低価格で人気があります。内容について説明します。 栄養を考えた食事 特別養護老人ホームでは、栄養士が作成した献立をもとに食事が作られます。栄養バランスが整っているだけでなく、入所者の持病やそのときどきの健康状態、好みなどにも配慮されます。 また、咀嚼・嚥下能力に応じて、硬い食材をミキサーにかけたり汁物にとろみをつけるなどの対応も可能です。 さらに、毎日同じ時間に食事をすることで、生活のリズムが整うというメリットもあります。 施設職員・委託業者による定期的な清掃・洗濯 特別養護老人ホームでは、共有スペースはもちろん居室内の掃除も、施設の職員や委託業者によりおこなわれます。洗濯物も、外部のクリーニングに出す必要のあるものを除き施設内で洗濯してもらえます。 日常生活のための能力や身体機能の維持のため、スタッフの援助を受けながら自分で掃除や洗濯ができる場合もあります。このような「自立支援」を希望する場合は施設担当者に相談してみましょう。 入浴は最低でも週2回以上 多くの特別養護老人ホームでは週2回の入浴機会が設けられ、スタッフの介助により安全に入浴できます。健康上の利用等で入浴できない場合は、清拭などで体を清潔に保ちます。 施設によっては寝たままの姿勢で入浴できる「機械浴槽」が設置され、寝たきりの入所者でも定期的な入浴が可能です。 介護スタッフによる排泄介助 一人で排泄するのが難しい入所者は、介護スタッフによる排泄介助が受けられます。排泄を介助することで、清潔を保つとともに感染症の予防にもなります。 尿意や便意を感じにくくなっている場合は排泄の間隔を考慮してトイレに誘導したり、寝たきりなどトイレでの排泄が困難な方には尿器やおむつで対応するなど、入所者ごとの状態に合わせた介助がおこなわれます。 豊富なレクリエーション 特別養護老人ホームでは、入所者に楽しんでもらうためだけでなく身体機能や認知機能低下防止も目的として、手芸やゲーム・カラオケなどのさまざまなレクリエーションがおこなわれます。 また、誕生日会のほかクリスマスやお花見・七夕といった季節のイベントが毎月のように開催されたり、美術館やショッピングなどで外出することも。 さらに、外部から演奏者を招いて音楽会を開いたり、近隣の幼稚園や小学校と提携して子どもと触れ合うイベントをおこなっている施設もあります。 筋力維持のリハビリテーション 特別養護老人ホームでは、食事や排泄などの日常的な動作が自分自身でできるよう「自立支援」を目的とした「生活リハビリ」を中心にリハビリメニューが組まれます。 集団での体操のほか、ゲームや運動などがレクリエーションの一環として提供されます。 医療ケア 特別養護老人ホームには最低でも1人以上の看護師が配置され、日々の健康管理や服薬管理がおこなわれます。看護師は、介護スタッフとともに入所者の体調の変化をチェックし、医療機関での診察が必要な場合には受診のサポートもしてくれます。 施設によっては、胃ろうなどの経管栄養法や、人工肛門・インスリン療法・人工透析・疼痛管理などの医療ケアが受けられることも。対応できる施設は限定されるため、これらのケアが必要な場合は施設の担当者に確認しましょう。 看取り体制を整えた施設も多い 従来特別養護老人ホームでは、入所者の急変時は救急車を呼んで搬送するという対応が主流でした。しかし現在では、看取りに対応できる施設も多くなっています。 看取り介護加算の算定が認められている施設では、医師や看護・介護スタッフが連携して終末期に適したケアが施されます。 ただし設備面での条件もあるなど、すべての施設が看取りに対応しているわけではありません。施設での看取りを希望する場合は、看取りの実施状況について事前に確認しましょう。 老人保健施設で提供されるサービス 介護老人保健施設は、長期入院していた高齢者が自宅に戻る前のリハビリや療養に一時的に利用する施設です。介護を必要とする高齢者が、在宅で生活できるようになるまでを支援しています。 リハビリ回数:1週間で2回以上 リハビリ時間:1回20~30分 充実したリハビリテーション 老健には、入所者1人に対して週2回以上のリハビリをおこなうという規定があります(そのうち週1回は集団リハビリでも可)。1回のリハビリの時間はだいたい20~30分程度。起き上がりやベッドから車椅子への移乗、歩行訓練など、その方の状況に合わせたリハビリがおこなわれています。 施設によっては、入所後の短期間のうちは集中的にリハビリをおこなっているところも。週3回以上など多くリハビリをおこなっている施設もあるので、よくチェックしておきましょう。 手厚い医療・看護体制 介護老人保健施設(老健)には医療従事者の配置に明確な基準が設けられており、入所者100人あたり1人以上の医師の常駐が義務付けられています。 医師は、診断や診療をおこなうだけでなく、看護や介護・リハビリのアドバイザーとしての役割も。3カ月に1度の入所判定をおこなうのも医師の役割で、この判定によって入所を続けるかどうかが決まります。 身体状況に合わせた介助サービス 特別養護老人ホーム(特養)が要介護3以上しか入所できないのに対して、介護老人保健施設(老健)は要介護1から入所が可能。入所のハードルはやや低めと考えて良いでしょう。 介護医療院で提供されるサービス 介護医療院とは必要な医療・看護体制と看取りやターミナルケア。そして日常生活支援やリハビリテーションなどの機能を総合的に兼ね備えた施設のことです。具体的には下記のようなサービスがあります。 手厚い医療・看護体制 介護医療院の人員配置基準はⅠ型とⅡ型で異なります。以下に比較表を用意しましたが、わかりやすく言うと、Ⅰ型は「介護療養型医療施設(療養機能強化型)に相当する」、Ⅱ型は「介護老人保健施設に相当する」ということになります。 介護療養型医療施設 介護療養型医療施設とは、比較的重度な要介護者を対象に必要な医療や介護をおこなう施設です。 手厚い医療・看護体制 介護療養型医療施設の入居条件は、原則65歳以上、かつ「要介護1」以上の介護認定を受けていることです。介護療養型医療施設では医師が最低1名常駐しており、24時間たん吸引やインスリン注射、カテーテルといった医療ケアを万全におこなう体制ができています。 病院と併設されているところも多く、病状が悪化した時は、すぐに同じ施設内の病棟で対応することができます。要介護度が高い方や、寝たきり状態の方でも安心できる環境が整っていると言えるでしょう。 充実したリハビリテーション 介護療養型医療施設には、理学療法士や作業療法士といった専門家が配置されているので、リハビリテーションのメニューも豊富です。重度な要介護の人でも機能訓練ができるような環境や設備も整っています。 ただし医療ケアや機能訓練に重点がおかれているので、レクリエーションや生活支援のようなサービスはほとんどありません。 必要なサービスを提供している介護施設を選ぼう 以上のように、公的介護施設はそれぞれ対象とする人やサービス内容がそれぞれ異なります。 看取りまでの生涯の住処として考えるなら特別養護老人ホーム、入院からの在宅復帰を目指すなら介護老人保健施設、総合的な介護を考えるなら介護医療院が良いでしょう。 入居する本人の状況や意思と介護する家族の希望などを鑑みながら、最も良いと考える介護保健施設を選ぶようにしましょう。 施設介護サービスに関するよくある質問 施設介護サービスとは何ですか? 介護保険施設に入居して受けるサービスのことを施設介護サービスと呼びます。介護保険施設に該当するのは「介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」「介護医療院」の4つです。 特別養護老人ホームではどんなサービスが受けられますか? 特別養護老人ホームは、介護施設の中でサービス内容が幅広く、食事や入浴、レクリエーションからリハビリテーションまでさまざまです。また、施設によっては医療的ケアにも特化した施設も増加傾向にあります。 ただし、要介護3以上からが入居条件として設定されているので検討する際は注意が必要です。 介護老人保健施設ではどんなサービスが受けられますか? 介護老人保健施設は特別養護老人ホーム同様に、食事や入浴、排泄介助などの基本的なサービスを受けることができます。特別養護老人ホームと大きく異なる点としては、理学療法士や作業療法士といったリハビリの専門職による充実した機能訓練が受けられることです。 ただし、介護老人保健施設の目的はあくまで在宅復帰です。原則として入居期間が3カ月~6カ月と決まっているので注意が必要です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "施設介護サービスとは何ですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...
2021/12/13
介護保険サービスは要支援状態にある65歳以上の高齢者と40歳~64歳までの特定疾患の患者であれば誰でも受けることができます。 介護保険サービスを利用した場合の費用はどうなっているのでしょうか?利用者の自己負担額について詳しく見ていきましょう。 介護保険サービスの自己負担割合とは? 基本的には1割負担 介護保険サービスを利用する時にかかる費用は、サービス利用者が支払う分と、社会保険制度全体で負担する「介護給付」の2つから成り立っています。 サービス利用者自身が負担する金額のことを「自己負担額」といいます。利用者が負担する金額は介護保険サービス料金の1割で、残りの9割は介護給付から支払われます。 介護給付のうち半分は介護保険料から支出されています。残りの50%は半分を国、半分をお住まいの都道府県、市区町村で負担しています。 合計所得により2割負担、3割負担に 少子高齢化社会が進むにつれて、介護保険費用の増大が深刻な社会問題になっています。そのために近年では、一定以上の収入がある高齢者の自己負担額の割合は2~3割に引き上げられました。 自己負担額の割合が1割なのか、2割または3割なのかは、その人の合計所得金額と65歳以上の世帯人数によって変わります。 現役世代と同じくらいの収入を得ている方については、自己負担額も大きくなります。今後もまた法改正などで自己負担額の増加が検討されているので、制度の改正には注視しておきましょう。 自己負担割合はどうやって決まる? 自己負担額は、世帯人数と合計所得金額によって変わります。どのようなパターンがあるか具体的に見ていきましょう。 世帯に65歳以上の方が1人の場合(単身者含む) 世帯に65歳以上の方が2人以上の場合 自己負担割合はいつ判明する? 自己負担割合がいくらになるかは要介護認定と同時に決定し、通知されます。計算根拠となる合計所得金額は、その前年の所得に基づきます。 要介護認定を受けるには市町村窓口に必要書類を提出して申請します。審査を経て約1ヵ月ほどで要介護認定の度合いが決定し、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証が発行されます。介護保険負担割合証に自己負担額の記載があるので確認しましょう。 負担割合は更新される 要介護認定の更新は毎年7月におこなわれます。いつ認定を受けたとしても、認定の適用期間は基本的に8月1日から翌年の7月31日までです。 負担割合は毎年その世帯構成や所得状況によって見直され、7月末までには新たな負担割合証が郵送されます。 施設介護サービスの自己負担額 施設介護サービスは種類が多岐にわたります。それぞれの施設介護サービスを利用した場合の自己負担額について説明します。 施設介護サービス 特別養護老人ホームや特定施設、グループホームを利用した場合の自己負担額については要介護度によっても変わります。詳しく見ていきましょう。 特別養護老人ホームの自己負担額 特別養護老人ホームは要介護度3以上の人を対象とした公的な介護施設です。入居一時金などの初期費用がかからないので、高齢者施設の中でも最も人気があります。 特別養護老人ホームの利用には月々の施設サービス費用がかかります。施設サービス費は介護保険でカバーできますが、施設の体制や居室の広さやタイプによって金額が変わります。 さらに要介護度によっても金額が変わってきますので注意が必要です。要介護の度が高い人ほど金額は上がります。 また日々の食費や日用品費などは実費ですが、おむつ代は施設利用料金に含まれています。 要介護度 1割負担 ...
2021/12/13
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。