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老人ホームの種類

介護付き有料老人ホームのケアマネジャーの仕事内容|居宅介護や他施設との違い

介護付き有料老人ホームにもケアマネジャーは働いています。ではどんな仕事をしているのでしょうか。 また、施設で勤務しているケアマネジャーと施設で勤務していないアマネジャーは何が違うのかも気になるところ。仕事内容に大きな違いはあるのでしょうか。 この記事では、介護付き有料老人ホームに勤務しているケアマネジャーの仕事内容を解説します。また、施設に勤務していないケアマネジャーとの違いも解説するのでぜひ参考にしてみてください。 介護付き有料老人ホームでのケアマネジャーの仕事内容は? 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーのメインの仕事は、施設入居者のケアマネジメントです。 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーは、入居者やその家族の話を聞き、何気ない会話や行動から入居者の希望や状態を確認し、新しいケアプランを作成して入居者がより良い生活ができるよう配慮します。 また、ケアプランを作成するだけでなく、入居者のモニタリングもします。ケアマネジャーが作成したケアプラン通りの介護サービスが入居者に対しておこなわれているか、作成したケアプランに変更の必要はあるのかどうかなどの経過をチェックします。 介護付き有料老人ホームでのケアプランとは? 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーがケアプランを作成するには、施設内で提供されるサービスの中から、入居者が日常生活に必要なサポートを組み合わせる必要があります。 ケアマネジャーがケアプランを作成した後は、一度、見直しと修正をおこないます。作成したケアプランが実施可能なのか、介護職員や看護職員など、ほかの職員や入居者本人、入居者の家族と相談し、必要であれば修正します。 ケアマネジャーは、ほかの職員や入居者本人、入居者の家族、それぞれの相談内容に適切な対応をおこない、解決策や必要なサービスを提案します。そして、全員の同意を得ると、ケアプランのサービスが入居者に提供されるようになります。 入居者へサービスの提供が始まった後も、ケアマネジャーは入居者に対して定期的なモニタリングや必要に応じケアプランの見直しをします。地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などとの連携も大切な業務のひとつです。 ケアマネジャーが作成するケアプランは、6ヵ月ごとの更新が必要です。更新時に入居者に体調の変化や新たな希望がある場合はケアプランに反映します。 ケアプランの作成以外の仕事は? 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーは、ケアプランの作成以外にも仕事があります。 介護付き有料老人ホームは、24時間介護職員が常駐することで入居者の身の回りのお世話をしたり、必要に応じて介護サービスを提供したりします。そのため、施設によってはケアマネジャーが介護職員を兼務することもあります。 また、ケアマネジャーはケアプランの作成を事務所でおこなうため、事務所の来客や電話の対応、書類作成業務など事務系の業務を任されることもあります。 夜勤はあるの? 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーは、基本的には平日の日中に勤務することが多いです。ケアマネジャーは施設の入居者とその家族との相談業務や、介護サービス事業者、施設の職員、市町村役場などとの調整業務があるためです。 しかし、施設によっては、介護職員の仕事と兼務する場合があるため、ケアマネジャーも夜間に勤務することもあります。介護付き有料老人ホームは、24時間介護職員の常駐が必要なため、ケアマネジャーと介護職員を兼務する場合には、ケアマネジャーも夜間の業務を担当します。 介護付き有料老人ホームにケアマネジャーは何人いるの? 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーの人員基準は、施設の入居者100人に対して1人以上の配置です。ほとんどの介護付き有料老人ホームではケアマネジャーとして働いている職員は1人です。 介護付き有料老人ホームでの仕事で大事なこと 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーにとって、施設の職員との連携は欠かせません。ほかの職員と連携を取ることによって、入居者の情報や施設のサービスを正確に把握できます。 また、ケアマネジャーが作成したケアプランが入居者にとって理想的であっても、職員の負担が大きすぎる場合は質の良いサービスを継続して提供できません。 ケアマネジャーは、入居者や職員など施設の全体のバランスを考えながら、入居者にとって最適なケアプランの作成・実施と、職員の無理のない働き方を両立させることが求められます。 「施設のケアマネジャー」と「居宅のケアマネジャー」の違い 施設で働くケアマネジャーと、在宅介護を支援するケアマネジャーの仕事の違いはあるのでしょうか? 施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーについて説明するので参考にしてください。 そもそも「施設ケアマネジャー」とは 施設ケアマネジャーとは、介護付き有料老人ホームなどの有料老人ホームや特別養護老人ホーム、老人保健施設、グループホームなどの介護施設で業務をおこなうケアマネジャーのことです。 施設ケアマネジャーがケアプランを作る対象者は、勤務している施設の入居者となります。 「居宅ケアマネジャー」とは 居宅ケアマネジャーとは、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどに勤務するケアマネジャーです。自宅に訪問し、在宅介護を受けている利用者の支援をおこないます。 居宅ケアマネジャーは、介護を必要としている人の自宅に足を運び、利用者とその家族の悩みを聞いてケアプランを作成します。ケアプラン作成後は利用者がケアプラン通りの介護サービスを受けられるように、介護サービスや福祉用具を提供している業者などと連携を取ります。 利用者への介護サービスが始まったら、定期的に利用者の介護状況を確認して、ケアプランを見直したり、訂正したりします。 「施設ケアマネジャー」と「居宅ケアマネジャー」の違い 施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーの大きな違いは、担当する件数の違いです。 介護施設で働くケアマネジャーの人員基準は、入居者100人に対して最低1人と定められています。そのため、施設ケアマネジャーは、規模の大きな施設の場合、1人のケアマネジャーが最大100人を担当することもあります。 居宅ケアマネジャーは、担当の件数が最大35件と定められていて、施設ケアマネジャーの最大の担当数の3分の1程度です。 施設ケアマネジャーと居宅ケアマネジャーの担当件数が大きく違う理由として、担当する相手の違いが挙がります。 施設ケアマネジャーが担当するのは勤務する施設内の入居者のみ。施設内を巡回し、効率的にケアプランを作成することができるため、施設ケアマネジャーの担当件数の上限は多く設定されています。 対して、居宅ケアマネジャーは担当している利用者の自宅へ訪問してケアプランの作成などをおこないます。そのため、居宅ケアマネジャーはケアプランの作成に大幅な手間と時間を要してしまいます。 どちらが自分に向いているのか 施設ケアマネジャーは協調性やコミュニケーション力に長けている人が向いています。勤務している施設の入居者はもちろん、入居者の家族、同じ施設で働く職員との連携が欠かせないためです。 施設ケアマネジャーには、「介護業務を通して入居者に寄り添いたい」「現場の介護にも携わりたい」と考えている人にも向いています。施設ケアマネジャーは介護職員と兼務する場合が多いので、入居者に直接介護のサポートができるからです。 居宅ケアマネジャーは、集中して仕事をおこないたい人に向いています。単独行動が多く、コツコツと一つひとつの仕事に取り組むことが必要です。ただし、孤独やプレッシャーが付きもの。耐えられない人は施設ケアマネジャーの方が向いているかもしれません。 よくある質問 介護付き有料老人ホームにはケアマネジャーはいますか? 介護付き有料老人ホームのケアマネジャーの人員基準は100人に1人以上が義務づけられています。そのため、少なくとも1人は必ずケアマネジャーがいます。 「施設ケアマネジャー」と「居宅ケアマネジャー」とはなんですか? 施設ケアマネジャーは介護付き有料老人ホームなどの介護施設に勤務しているケアマネジャーです。居宅ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所に勤務するケアマネジャーで、自宅に訪問し、在宅介護を受けている利用者の支援をおこないます。施設ケアマネジャーが担当するのは勤務する施設内の入居者のみなので、施設内を巡回し入居者のケアプランを作成します。居宅ケアマネジャーは担当している利用者の自宅へ訪問してケアプランの作成などをおこないます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護付き有料老人ホームにはケアマネジャーはいますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/07/28

介護付き有料老人ホームの問題点とは|良い点・悪い点を紹介

介護施設への入居を検討するにあたって、候補のひとつに「介護付き有料老人ホーム」が挙がることもあるでしょう。 介護付き有料老人ホームへの入居を検討した際に、「入居後に何かトラブルが起きてしまうのではないか」と心配になることもあるかもしれません。 そこでこの記事では、介護付き有料老人ホームの良い点、悪い点を解説していきます。ぜひ参考にしてください。 介護付き有料老人ホームとは? 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。生活支援や介護サービス、看護サービスが受けられ、それらのサービスには介護保険が適用されます。24時間介護職員が常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 介護付き有料老人ホームは主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から、介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設もあり、幅広い選択肢の中から、自分に合った施設を選べます。 また、看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 介護付き有料老人ホームについては下記ページでも詳しく説明しているので、そちらも参考にしてください。 介護付き有料老人ホームの良い点 介護付き有料老人ホームに入居すると次のようなメリットがあります。 24時間体制で介護サービスを受けられる。 少なくとも日中は看護師が常駐していて安心感がある。 施設の数が多く幅広い選択肢がある。 介護以外のサービスも充実している。 介護保険負担額が介護度による定額制なので、費用の変動が少ない。 また、介護度が上がっても入居し続けられたり、看取り対応が可能な施設が多いのも安心材料のひとつ。介護付き有料老人ホームは充実した介護サービスを重視する人のほか、身体機能や認知機能を維持しつつ、健やかな生活を希望する人に向いています。 介護付き有料老人ホームの「体制面」の問題点 では、介護付き有料老人ホームにはどういった問題点があるのでしょうか。まずは「体制面」を見てみましょう。 入居者にストレスがかかることがある 介護付き有料老人ホームの主な入居対象者の要介護度は要介護度1~5の方々です。実際に入居者の要介護度の割合は、要介護度3以上の入居者が4割以上を占めています。 参考:「特定施設入居者生活介護について(要介護度)」(厚生労働省) 介護付き有料老人ホームにはさまざまな介護度の入居者がいるため、介護度の低い方と高い方の共同生活は、介護度が低い入居者にとって話し相手が少ないなどがストレスとなる場合があります。 また、介護付き有料老人ホームは認知症の方の入居を受け入れている施設が多く、そうした人の中には、日常生活に支障をきたす、意思疎通が困難な症状の方もいます。 認知症の方から突然大きな声で怒鳴られたり暴力をふるわれたときに、「病気が原因だから仕方ない」とは被害者側が簡単に割り切れない思いをしたり…。認知症特有の症状によって人間関係のトラブルが発生することもあります。 設備やサービスにばらつきがあることもある 介護付き有料老人ホームは施設の数がとても多いうえに、主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は多種多様です。 例えば、24時間体制で医師が常駐して医療ケアに特化した施設や、認知症の入居者の専門フロアがある認知症ケアに特化した施設、大浴場やカラオケルームなどの設備が充実している施設や、専属シェフが腕を振るうレストランを併設する施設などもあります。 その一方で、介護職員の不足によって十分なサービスを受けられない…という施設もあります。 介護付き有料老人ホームは長く生活する施設なので、自分に合った施設選びをすることが大切です。入居する施設を検討する際には、入居者本人に必要な介護サービス、設備、入居者本人の希望などを明確にしましょう。 また、口コミや実際の入居者、ケアマネジャーなどの意見も踏まえたうえで施設選びをするのがおすすめです。ほとんどの施設で、事前見学や入居体験もできるので利用してみましょう。 重度の要介護度、入院だと退去の可能性がある 介護付き有料老人ホームの多くは、重度の要介護度に達した場合や、3ヵ月以上の長期入院が必要になった場合、退去しなければなりません。 入居中の介護付き有料老人ホームからいきなり退去するように求められると、冷静に対処できなくなってしまいます。あらかじめ、どれくらいの医療依存度まで入居可能なのか、入居の契約前にしっかりと確認しておきましょう。 介護付き有料老人ホームの「費用面」の問題点 介護付き有料老人ホームの「費用面」にはどういった問題点があるのでしょうか。 介護付き有料老人ホームでかかる費用とともに2点解説しますので、参考にしてください。 そもそも介護付き有料老人ホームの費用は? 介護付き有料老人ホームの費用は、入居時にかかる費用(入居一時金)と入居後に毎月かかる月額費用に分けられます。入居時費用は、0~数千万円。月額費用は、15~35万円です。 入居時費用は賃料の前払いにあたります。 入居費用は施設によってさまざまで、豪華設備や充実した医療体制を備えた施設では数千万円以上かかることも。一方で、入居時費用が0円の介護付き有料老人ホームもあり、その場合は家賃の前払いをしていないため月額利用料が高くなります。 また、施設ごとにサービスや配置人員も異なるため、月額費用にも大きな開きがあります。15万円程度に抑えられる施設がある一方で、豪華な食事や手厚い医療体制などを提供する施設では30万円以上かかることもあります。 介護付き有料老人ホームの費用については下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 介護利用が少ない場合、費用が高く感じることも 介護付き有料老人ホームの介護サービス費は毎月定額です。この定額は要介護度によって決められているもので、利用する介護サービスが多くても少なくても、支払う介護サービス費は毎月同じ額となります。 要介護度が高く介護サービスを多く利用したい場合は、どれだけ介護サービスを受けても介護サービス費が変わらない介護付き有料老人ホームがおすすめです。しかし、介護サービスの利用が少ない場合には負担が大きい可能性があります。 上乗せ介護費用がかかることもある 介護付き有料老人ホームでは、施設によっては上乗せ介護費用がかかることもあります。上乗せ介護費用とは、簡単に言うと施設の職員の人件費です。 介護付き有料老人ホームでの介護職員・看護職員の人員基準の最低人数は「3:1」です。「3:1」というのは、施設の入居者3人に対し、介護職員または看護職員が1人配置されている、という意味。施設の職員の人員配置が「2.5:1」「2:1」「1.5:1」など、比率が低くなるほど、手厚い体制になっているということです。 施設の職員の人員配置の比率が低くなる場合には、入居者の支払う費用に上乗せ介護費が加算されます。人員の比率が低くなれば、その分施設の職員の人数が多くなるからです。 上乗せ介護費は、介護保険の適用外になるため、サービスにかかる費用の全額が入居者の自己負担になります。 よくある質問 介護付き有料老人ホームの問題点はどこですか? 介護付き有料老人ホームの問題点はいくつかありますが、主には介護付き有料老人ホームの施設数が多く、施設やサービスもさまざまなので自分に合った施設選びをするのが大変な点として挙げられます。また介護付き有料老人ホームの介護サービス費は毎月固定なので、介護サービスの利用が少ない人には介護サービス費が負担に感じるかもしれません。 介護付き有料老人ホームの良い点はどこですか? 介護付き有料老人ホームの良い点は、介護が24時間体制で提供され、介護サービスが充実しています。少なくとも日中は看護師が常駐しており、安心感があります。また、介護度が上がっても入居し続けられたり、看取り対応が可能な施設が多いところも特徴です。介護付き有料老人ホームは、充実した介護サービスを重視する人のほか、身体機能や認知機能の維持をしつつ健やかな生活を希望する人に向いています。 介護付き有料老人ホームなら介護費が安く済みますか? 介護付き有料老人ホームの介護サービス費は毎月定額です。入居者が介護付き有料老人ホームの提供する介護サービスを多く利用しても、少なく利用しても、支払う介護サービス費は毎月同じ額となります。要介護度が高く、介護サービスを多く利用したい場合は、どれだけ介護サービスを受けても介護サービス費が変わらない、介護付き有料老人ホームがおすすめです。しかし、介護サービスの利用が少ない場合には負担が大きい可能性があります。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護付き有料老人ホームの問題点はどこですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/07/28

介護付き有料老人ホームの看護師の人員基準|施設でできる医療ケアの内容

介護施設への入居を考えたとき、「介護付き有料老人ホーム」が候補のひとつに挙がると思います。 普段の生活の中で医療のサポートが必要な場合、入居する施設の医療体制が気になるところ。介護付き有料老人ホームでは、看護師は配置されているのでしょうか。また、介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアはどんなものがあるのでしょう。 この記事では、介護付き有料老人ホームでの看護師の人員基準や、施設で受けられる医療ケアを解説します。ぜひ参考にしてみてください。 介護付き有料老人ホームには看護師がいる? 主な介護施設の看護師と医師の人員配置、医療体制の一覧です。 施設の種類看護師の配置義務医師の配置義務医療体制の充実度介護付き有料老人ホームありなし施設による住宅型・健康型有料老人ホームなし(任意)なし施設によるグループホームなし(任意)なし充実していない老人保健施設ありあり充実している特別養護老人ホームありあり(非常勤可)施設による 看護師と医師の配置義務や、医療体制の充実度は施設によってさまざまです。 例えば、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)には医師の配置義務がありますが、有料老人ホームにはありません。また、介護付き有料老人ホームは看護師の配置義務はありますが、対応できる医療的ケアは施設により異なります。 看護師の配置人数にも規定があります。看護師の人員基準について見てみましょう。 介護付き有料老人ホームの看護師の人員基準は? 看護師の人員基準は、介護職員との合計で配置する人数が決められています。介護職員・看護師の人員基準の最低人数は、施設の入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10に対して1人です。 このうち、看護師の配置は、施設の入居者が30人以下の場合、原則、日中1人以上と義務づけられています。さらに入居者が50人増えるごとにプラス1人の看護師の配置が必要です。 介護付き有料老人ホームのそのほかの職員の人員基準は? 介護付き有料老人ホームには、看護師以外、以下の職員の配置が義務づけられています。 施設長などの管理者 生活相談員 介護職員 看護師 機能訓練指導員 ケアマネジャー それぞれの職員の詳しい配置人数と仕事内容を見てみましょう。 施設長などの管理者 施設経営の責任者で施設の運営を担います。施設長などの管理者は、施設ごとに1人必要です。 生活相談員 入居者や家族からの生活上の相談に乗ったり、行政的な手続きをおこないます。常勤で1人以上(要介護者100人以上の場合は、100人に対して1人以上)の配置が義務づけられています。 介護職員 介護職員は、看護師との合計で配置する人数が義務づけられています。施設入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10人に対して1人です。 機能訓練指導員 機能訓練指導員は、以下のいずれかの資格取得者が従事します。 看護師 准看護師職員 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 柔道整復師 あん摩マッサージ指圧師 鍼灸師(はり師・きゅう師) 利用者ごとの身体機能に合わせたリハビリプランの作成や実施をおこない、施設ごとに1人以上の配置が義務づけられています。 ケアマネジャー 介護保険を使ったサービスを利用するための利用計画書「ケアプラン」の作成や、プラン通りに実施されているかをチェックします。 施設ごとに1人以上の配置義務がありますが、小規模の施設では管理者や介護職員などと兼務していることも多いです。 そのほかの職員 ほかにも、人員配置の義務がない職員もいます。例えば、入居相談員や事務員など。食事に力を入れている施設であれば、栄養士や調理員がいる場合もあります。 人員基準の「3:1」とは? 施設の人員基準に「3:1」という数字があります。「3:1」というのは、施設の入居者に対して配置される職員の人数です。施設の人員配置の項目が「3:1」とあれば、入居者3人に対し、介護職員または看護師が1人配置されているという意味です。 職員の人員配置が「2.5:1」「2:1」「1.5:1」のように、「3:1」の前項の数字が小さくなるというのは、1人の職員が対応する入居者の人数が少ないということ。1人の職員が対応する入居者の人数が少なければ、その分、目が届きやすくなるのでケアが手厚くなります。 介護付き有料老人ホームは夜間も看護師がいるの? これまでに解説した介護付き有料老人ホームの人員基準は日中に限られます。夜間は介護職員または看護師が1人以上いれば良いとされています。 介護付き有料老人ホームで夜間に配置されている職員は平均3.1人です。夜間はほとんどの入居者が眠っており、見守りや急病への対応、トイレの誘導など、職員による入居者へのケアの人手が日中ほど必要ないと考えられているため、日中より少ない人員でも良いのです。 出典:「高齢者向け住まいの実態調査 報告書」(厚生労働省) また、介護付き有料老人ホームの夜間に配置されている職員は介護職員であることがほとんど。夜間に看護師が配置されている介護付き有料老人ホームは、全体の約2割ほどです。施設に看護師がいない時間帯は、訪問看護ステーションなどの医療機関と連携体制を取っている施設が多いです。 出典:「高齢者向け住まいの実態調査 報告書」(厚生労働省) 夜間に看護師が配置されていない施設では、夜間の医療行為ができません。人工呼吸器や在宅酸素を常時使用しているなど、夜間にも医療行為が必要な場合は、夜間にも看護師が配置されている施設への入居を検討する必要があります。 介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアは? 介護付き有料老人ホームでは、看護師から医療行為を受けられるほか、介護職員からも一部の医療行為を受けられます。 看護師、介護職員、それぞれから受けられる医療行為を見てみましょう。 看護師による医療行為 介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、専門性を必要としない医療行為を受けられます。 看護師が提供可能な医療行為には、次のようなものがあります。 インスリン注射 痰の吸引 胃ろうなどの経管栄養 褥瘡の処置 在宅酸素や人工呼吸器の管理 導尿、バルーンカテーテルの管理 ただし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や時間帯などが異なるためです。 介護職員による医療行為 介護職員は、基本的に医療行為はできません。ただし、下記については厚生労働省が「医療行為に含まれない」としているため、介護職員から医療行為として受けられます。 体温測定 血圧測定(自動血圧計のみ可能) 軽傷の治療(ガーゼ交換や絆創膏を貼るなど) 湿布を貼る(麻薬は不可) 点眼薬の点眼 内包薬の内服介助(一包化された内服薬のみ可能) 座薬の挿入 爪切り(爪に異常があると不可) 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去は不可) 鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助 自己導尿の介助 加えて、喀痰吸引等研修を受けた介護職員は、以下の実施が認められています。 痰の吸引 胃ろうなどの経管栄養 介護職員が痰の吸引や胃ろうなどの経管栄養をおこなうためには、施設が都道府県に対して医療行為を実施できる施設と登録をしている必要があります。また、設備や医療体制が整っていなければ、入居者は痰の吸引や胃ろうなどの経管栄養は受けられません。 自分に合った医療体制の介護付き有料老人ホームを探そう 介護付き有料老人ホームは施設によって医療体制や設備がさまざまなので、身体状況に合った医療体制が整った施設を選ぶことが大切です。 医療体制強化のための取り組みはさまざまですが、以下の条件に合う施設は医療体制が充実しているといえます。 病院・クリニックが併設 看護師が24時間常駐 運営母体が医療法人 それぞれ解説しますので、医療体制が充実している施設を探すときの参考にしてください。 病院・クリニックが併設 同じ建物や敷地内に病院やクリニックが併設していれば、急な体調変化にも迅速に対応してもらえます。いざというときも普段から診察を受けている医師に診てもらえるため、すぐに適切な処置が受けられます。 また、入院設備のある病院が併設している場合は、入院が必要になった際も連携がスムーズで、優先的にベッドを確保してもらえるのもメリットもあります。 看護師が24時間常駐 介護付き有料老人ホームでは、看護師の常駐が義務づけられています。しかし、夜間の配置義務はないため、看護師による医療行為は日中のみというのが一般的です。 看護師が24時間常駐する施設では、夜間や早朝でも胃ろうや痰の吸引、インシュリン投与や点滴などの医療行為を受けられます。 ただし、医療行為が必要な方でも安心して入居できる反面、費用は高くなります。 運営母体が医療法人 医療法人が運営している介護付き有料老人ホームでは、関連病院から医師が往診に来るため夜間に体調が急変したときなども安心です。 また、職員は病院でおこなうような研修を受けている場合が多く、一般的な介護施設の職員よりも医療の知識や技術を身につけている可能性が高いです。 運営母体が医療法人の老人ホームを見学する際は、病院との連携や職員の研修についても質問してみましょう。 よくある質問 介護付き有料老人ホームに看護師は何人いますか? 看護師の人員基準は、介護職員との合計で配置する人数が義務付けられており、施設の入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10に対して1人です。このうち看護師の配置は、施設の入居者が30人以下の場合、原則、日中は1人以上と義務づけられています。さらに入居者が50人増えるごとにプラス1人の看護師の配置が必要です。 介護付き有料老人ホームには夜間にも看護師はいますか? 介護付き有料老人ホームの夜間の人員基準は日中の人員基準の「3:1」より少なくても良いとされています。そのため夜間の人員配置は平均3.1人です。介護付き有料老人ホームの夜間に配置されているスタッフは介護職員であることが多く、夜間に看護職員が配置されている施設は全体の約2割です。 介護付き有料老人ホームで医療ケアのサービスはありますか? 介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、インスリン注射、痰の吸引、在宅酸素や人工呼吸器の管理など、提供可能な医療行為もあります。しかし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や配置の時間帯などが異なるためです。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護付き有料老人ホームに看護師は何人いますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/07/28

介護付き有料老人ホームの人員基準「3:1」の仕組みを解説

介護付き有料老人ホームへの入居を検討した際に、「職員は何人くらい配置されているの?」「夜間にも職員は配置されてるの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、介護付き有料老人ホームの人員基準について詳しく説明します。また、ほかの施設の人員基準も紹介しますので、あわせて参考にしてください。 介護付き有料老人ホームの人員基準は? 介護付き有料老人ホームには、以下の職員の配置が義務づけられています。 施設長などの管理者 生活相談員 介護職員 看護職員 機能訓練指導員 ケアマネジャー それぞれの職員の詳しい配置人数と仕事内容を見てみましょう。 施設長などの管理者 施設長などの管理者は施設ごとに必ず1人配置され、施設経営の責任者として施設の運営を担います。 施設長など管理者の主な業務は、運営やマネジメントなどの管理業務が挙げられます。高齢者介護の知識や経験があることが管理者になる条件です。 生活相談員 生活相談員とは、入居者や家族から施設での生活の相談に対応する職員です。 生活相談員の人員基準は「常勤で1人以上の配置」と義務づけられています。施設に入居する要介護者が100人以上の場合、生活相談員は入居者100人に対して1人以上配置されています。 生活相談員は生活の相談に乗るほか、地域や外部関係者との窓口になって行政的な手続きもおこないます。 介護職員 介護職員とは、入居者の身の回りのお世話や、食事、入浴、排泄などの身体介護、食事や入浴の準備など、入居者が安心して生活を送れるようにサポートする職員です。 介護職員の人員基準は、看護職員との合計で配置する人数が義務づけられています。介護職員・看護職員の人員基準の最低人数は、施設入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10人に対して1人です。 看護職員 看護職員は、医療従事者である看護職員にしかできない医療行為をおこなう職員です。 看護職員の人員基準は、介護職員との合計で配置する人数が義務づけられており、施設入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10人に対して1人です。 このうち看護職員の配置は、施設の入居者が30人以下の場合、原則、日中は1人以上と義務づけられています。さらに入居者が50人増えるごとにプラス1人の看護職員の配置が必要です。 看護職員は、入居者の健康や薬の管理、医師の指導に基づく医療行為、通院や入退院、診察のサポートなどをおこないます。入居者の健康状態はさまざまなので、入居者の病状に応じた医療行為は、医師の指示に基づき看護職員が対応します。 人員基準の「3:1」とは? 施設の人員基準に「3:1」という数字があります。「3:1」というのは、施設の入居者に対し配置される職員の人数です。施設の人員配置の項目が「3:1」とあれば、入居者3人に対し、介護職員または看護職員が1人配置されているという意味です。 職員の人員配置が「2.5:1」「2:1」「1.5:1」のように、「3:1」の3よりも数字が小さくなると、1人の職員が対応する入居者の人数が少ないということです。1人の職員が対応する入居者の人数が少なければ、その分、目が届きやすくなるので、ケアが手厚くなります。 機能訓練指導員 機能訓練指導員は、入居者ごとの身体機能に合わせたリハビリプランを作成し、実施する職員です。 機能訓練指導員は、施設ごとに1人以上の配置が義務づけられています。 機能訓練指導員は以下のいずれかの資格を取得しています。 看護師 准看護師職員 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 柔道整復師 あん摩マッサージ指圧師 鍼灸師(はり師・きゅう師) ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護保険を使ったサービスを利用するための利用計画書「ケアプラン」の作成や、プラン通り実施されているかのチェックを担当します。 施設ごとに1人以上の配置義務がありますが、小規模の施設では管理者や介護職員などと兼務していることも多いです。 そのほかの職員 ほかにも、人員配置の義務のない職員もいます。例えば、入居相談員や事務員、食事に力を入れている施設であれば栄養士や調理員がいる場合もあります。 介護付き有料老人ホームは施設によってサービスや設備がさまざまなので、その施設独自のサービスに合わせた職員がいることもあります。 介護付き有料老人ホームの夜間の人員基準 これまでに解説した介護付き有料老人ホームの人員基準は日中に限られ、夜間は介護職員または看護職員が1人以上いれば良いとされています。 介護付き有料老人ホームで夜間に配置されている職員は平均3.1人です。夜間はほとんどの入居者が寝ているため、見守りや急病への対応、トイレの誘導など、職員による入居者へのケアの人手が日中ほど必要ないと考えられ、日中より少ない人員でも良いのです。 出典:「高齢者向け住まいの実態調査 報告書」(厚生労働省) また、介護付き有料老人ホームの夜間に配置されている職員は介護職員のみであることが多いです。ちなみに、夜間に看護職員が配置されている介護付き有料老人ホームは全体の約2割ほど。施設に看護職員がいない時間帯は、訪問看護ステーションなどの医療機関と連携体制を取っている施設もあります。 出典:「高齢者向け住まいの実態調査 報告書」(厚生労働省) 夜間に看護職員が配置されていない施設では、夜間の医療行為ができません。人工呼吸器や在宅酸素を常時使用しているなど、夜間にも医療行為が必要な場合は、夜間にも看護職員が配置されている施設に入居を検討する必要があります。 介護付き有料老人ホームの人員基準の注意点 介護付き有料老人ホームの人員基準について注意点が3点あります。 介護職員が常勤ではない場合がある 基準の「3:1」を超えない場合もある 上乗せ介護費用がかかることもある それぞれ詳しく見てみましょう。 介護職員が常勤ではない場合がある 介護付き有料老人ホームの介護職員・看護職員合わせての人員基準は入居者3人に対して1人以上のため、職員1人あたり最低でも入居者2~3人を対応します。 しかし、職員が全員常勤である必要はなく、1人以上の常勤職員がいればパートやアルバイトなどの臨時職員でも良い、ということになっています。このため、特に食事や入浴など人手が多く必要な時間帯では、非常勤職員が担当となる場合も多いです。 基準の「3:1」を超えない場合もある 施設の入居者3人に対して、介護職員・看護職員あわせて1人という比率は、実際に介護現場で働いている職員数ではなく、労働時間をもとに計算します。つまり、人手が多く必要な時間帯を手厚くした分、それ以外の時間帯の職員数を抑えていることもあります。このように実際に働く職員数は人員基準をもとに調節されるため、時間帯によっては既定の「3:1」を満たしていないこともあります。 上乗せ介護費用がかかることもある 介護保険法により定められている介護付き有料老人ホームでの介護職員・看護職員の人員基準の最低人数は「3:1」です。施設の職員の人員配置が「2.5:1」「2:1」「1.5:1」など基準より高い比率の場合には、「上乗せ介護費」が加算され、その分の費用を入居者が払う必要が生じます。 この上乗せ介護費は介護保険の適用外です。そのため、入居者は全額を自己負担することになります。 ほかの施設の人員基準は? 介護施設の人員基準とは、入居者に対して配置すべき職員の人数を定めたものです。介護付き有料老人ホームに限らず、ほかの介護施設にも人員基準が設けられています。 ほかの施設の人員基準はどれくらいか見てみましょう。 「サービス付き高齢者向け住宅」の人員基準 サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)には「一般型」と「介護型」があります。 一般型のサ高住の人員基準は、介護職員または看護職員が少なくとも日中1人以上常駐することが義務づけられています。一般型のサ高住には「3:1」などの配置義務はないので、施設ごとに職員の人数が違います。また、一般型のサ高住には夜間の職員の人員配置の義務はありません。 介護型のサ高住の人員基準は介護付き有料老人ホームと同じです。介護職員または看護職員は「3:1」、つまり入居者3人に対して、介護職員または看護職員が1人と義務づけられています。また、夜間は介護職員または看護職員が1人以上配置、とされています。 サ高住の詳細は下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 「認知症グループホーム」の人員基準 グループホームは以下の人員基準が義務づけられています。 管理者:1ユニットに対して1人以上 計画作成担当者:1ユニットに対して1人以上 介護職員:入居者3人に対して1人 グループホームの入居者は5~9人の「ユニット」といわれるグループで生活します。ユニットには管理者が1人配置されています。管理者は認知症の介護従事の経験が3年以上あり、厚生労働省の管理者研修を受けている必要があります。 計画作成担当者は、入居者一人ひとりに合わせたケアプランを作成する職員です。計画作成担当者は実務者研修基礎課程、または認知症介護実践者研修の修了が必須です。また、計画作成担当者が施設に複数いる場合、最低1人は介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格が必要です。 グループホームの入居者の見守りは深夜も必要なため、介護職員は24時間体制で常駐します。 グループホームの人員基準の詳細は下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 「特別養護老人ホーム(特養)」の人員基準 特別養護老人ホーム(以下特養)は以下の人員基準が義務づけられています。 医師:入居者の健康管理および療養上の指導に必要な人数 介護職員・看護職員:入居者3人に対して1人 機能訓練指導員:入居者100人に対して1人 栄養士:1人以上 ケアマネジャー:入居者100人に対して1人 生活相談員:1人以上 機能訓練指導員は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか資格が必要です。 特養の詳細は下記ページでも説明しているので、そちらも参考にしてください。 「介護老人保健施設(老健)」の人員基準 介護老人保健施設(以下老健)は以下の人員基準が義務づけられています。 医師:常勤1人 看護職員:9人 介護職員:25人 機能訓練指導員:入居者100人に対して1人 栄養士:入居者100人に対して1人 ケアマネジャー:入居者100人に対して1人 ソーシャルワーカー:入居者100人に対して1人 老健では介護職員と看護職員の割合を7:2以上にする、という基準があります。そのため、老健は他の施設に比べて看護職員の配置が多いのが特徴です。また、看護職員の夜勤も多いです。 機能訓練指導員は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれか資格が必要です。 老健には事務や調理員も必ず配置する必要があります。事務や調理員は、人数に関する人員基準はありません。 老健の詳細は下記ページでも説明しているので、そちらも参考にしてください。 よくある質問 介護付き有料老人ホームの人員基準はどうなっていますか? 介護付き有料老人ホームの人員基準は、施設長などの管理者が1人、生活相談員が入居者100人に対して1人、介護職員・看護職員は、施設の入居者の要介護者3人に対して1人、要支援者は10に対して1人、機能訓練指導員とケアマネジャーは施設ごとに1人以上と義務づけられています。また、施設によっては入居相談員や事務員、栄養士や調理員など、人員配置の義務がない職員もいます。 介護付き有料老人ホームには夜間にも職員がいますか? 介護付き有料老人ホームの夜間の人員基準は、日中の人員基準の「3:1」より少なくても良いとされていて夜間の人員配置は平均3.1人です。夜間に配置されている職員は介護職員であることが多く、看護職員を配置するケースは全体の約2割です。 介護付き有料老人ホーム以外の施設も人員基準は同じですか? 多くの施設は入居者3人に対して介護職員(もしくは看護職員)1人の配置が義務づけられています。しかし施設によって人員基準はさまざま。サ高住など、介護の必要のない元気な方向けの施設では人員が少なく設定されており、特養や老健など入居者へのサポートが手厚い施設は人員が多く設定されています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護付き有料老人ホームの人員基準はどうなっていますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/07/28

認知症の人が介護付き有料老人ホームに入居する方法|施設での認知症ケアについて

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 介護施設で代表的な「介護付き有料老人ホーム」では、認知症の症状があっても受け入れてもらえるのでしょうか。 こちらの記事では、「認知症でも介護付き有料老人ホームに入居できるのか」を解説します。また、介護付き有料老人ホームに認知症の方が入居する際の注意点や、認知症の方向けの施設「グループホーム」との違いについても解説します。参考にしてください。 認知症でも介護付き有料老人ホームに入居できる 介護付き有料老人ホームには、認知症の方も入居できます。 介護付き有料老人ホームは24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などが施設のスタッフにより提供される施設です。そのため、認知症で日常的に介護が必要な方でも十分にサポートしてもらえます。 また、介護付き有料老人ホームには、原則、日中1名以上の看護師が常駐しているため、介護サービスのほか、一部の医療行為を受けることもできます。 介護付き有料老人ホームについては下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」との違いは? 認知症の症状がある方が介護施設の入居を考える際、認知症ケアに特化した「グループホーム」も候補に挙がるでしょう。 では、「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」では、どちらの施設が認知症の方に向いているのでしょうか。違いを見てみましょう。 そもそもグループホームとは? グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。グループホームでは、認知症の専門知識と技術を持ったスタッフの援助を受けながら、要支援2以上の認知症高齢者が共同生活を送ります。 グループホームでは、「ユニット」と言われる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割を分担をします。調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をすることで認知症の症状の進行を防ぎ、能力をできるだけ維持するのです。 グループホームについては下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」との違いは? 介護付き有料老人ホームとグループホームには主に以下のような特徴があります。 介護付き有料老人ホーム 介護度が高くても入居できる 医療面でのサポートも整っている 少なくとも日中は看護師が常駐している 費用面での負担が大きい可能性がある グループホーム 認知症の専門ケアのスタッフが常駐している 認知症に特化したサービスが受けられる 要支援2以上の認定を受けている必要がある 看護師の配置義務がないため医療ケアに限りがある 介護付き有料老人ホームとグループホームの違いはいくつかありますが、特に大きな違いは「医療ケアの手厚さ」と「認知症のケアの手厚さ」の違いです。 介護付き有料老人ホームは医療ケアが充実している 介護付き有料老人ホームでは、介護サービスの他に医療ケアも受けられます。施設には少なくとも日中1名以上の看護師が常駐し、検温、血圧や脈拍のチェック、服薬管理などの毎日の健康管理サービスが受けられます。また、胃ろうやインスリン注射などの一部の医療行為も看護師から受けられます。 認知症が進行し、医療ケアが必要になった場合に対応できるのが介護付き有料老人ホームの強みでしょう。 グループホームは認知症ケアに特化している グループホームでは、認知症の専門知識と技術を持ったスタッフの支援を受けながら、入居者の能力に合った家事を役割分担して自分自身でおこないます。ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事をおこなうことで認知症の症状の進行を防ぎ、“できる能力”の維持につなげます。 グループホームの大きな特徴は、認知症ケアに長けた専門スタッフの介助を受けながら日常生活を送れることです。 ただ、グループホームには医師、看護師の配置義務はありません。そのため、グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義している施設が多くあります。持病があるなど医療のサポートが必要な場合は、医療ケアを受けられる施設を選ぶことが必要です。 認知症の方が介護付き有料老人ホームに入る際のポイント 介護付き有料老人ホームでは認知症の方を受け入れている施設が多くあります。しかし、施設によって認知症のケアの内容はさまざまなので、入居する前に認知症への対応内容を確認することが重要です。 認知症の方が介護付き有料老人ホームに入居する前に、施設に確認するおすすめのポイントは以下の5点です。 認知症ケアの資格を持っているスタッフはいるか どんな症状なら対応できるか 過去にどんな症状の人を受け入れたか 認知症に対する医療体制はどうか 症状によっては退去を求められるのか それぞれのポイントの内容を、こまかく見てみましょう。 認知症ケアの資格を持っているスタッフはいるか 入居を検討している介護付き有料老人ホームに、「認知症のケアに関する資格を持っているスタッフはいるのか」「何人いるのか」を事前に確認しましょう。 認知症の方への対応は高度なスキルや経験が必要です。認知症ケア指導管理士や認知症ケア専門士など、認知症に対する知識や理解が深いスタッフが常駐している施設なら、安心した生活を送れるでしょう。 また、認知症ケアに手厚い介護付き有料老人ホームでは、認知症介護に関する研修を受講した介護スタッフが勤務。介護スタッフに対して定期的な研修をおこなっているため、より専門的なケアを受けられます。 どんな症状なら対応できるか 入居を検討している介護付き有料老人ホームで、「どういった認知症の症状に対応してもらえるのか」を事前に確認しておくと安心です。 認知症といっても、種類や重度など症状はさまざまです。認知症の症状によっては、入居を検討している施設に受け入れ体制が整っておらず、入居を断られるケースがあります。 過去にどんな症状の人を受け入れたか 入居を検討している介護付き有料老人ホームでどういった認知症の症状に対応してもらえるのかを確認する際に、同時に「どんな認知症の症状を持った人を実際に受け入れたか」も確認しましょう。 認知症にはいくつかの種類や重度があるため、施設が「認知症でも入居を受け入れている」というだけでは、認知症の入居者へどんな対応をおこなったかわかりません。入居を検討している介護付き有料老人ホームで、認知症の本人の症状と同じ症状の方を受け入れた実績があれば、より安心して生活できるでしょう。 認知症に対する医療体制はどのようになっているか 入居を検討している介護付き有料老人ホームで、「認知症の専門医と連携しているか」「認知症の方への訪問診療の有無」など、医療機関との連携が充分であるか確認しましょう。 介護付き有料老人ホームは、医療機関と協力契約を結ぶことが定められています。また、少なくとも日中は看護師が常駐しているため、医療ケアが充実しています。しかし、精神科や心療内科など、認知症の治療に特化した医療ケアを受けられるかは施設によって異なります。 認知症の専門医と協力しているのかどうか、認知症の専門医が訪問診療などを定期的におこなっているかなどを確認しておくと良いでしょう。 症状によっては退去を求められるのか 入居を検討している介護付き有料老人ホームで、「過去に認知症の症状により退去を命じられたケースがないか」を確認しておきましょう。 認知症の症状には、「ものを取られたかもしれない」という被害妄想や「怒りっぽくなる」などがあります。被害妄想や怒りっぽい症状などが原因で、他の入居者に迷惑をかけてしまうケースがあるかもしれません。 認知症による症状が原因で他の入居者に迷惑をかけてしまい、退去を命じられたケースが実際にあるのかを確認しておくと、万が一退去勧告を受けてしまった場合の準備をしておけます。退去条件など、施設のスタッフに聞いたり契約書で確認をしましょう。 介護付き有料老人ホームの費用は? 介護付き有料老人ホームの費用は、入居時にかかる費用(入居一時金)と入居後に毎月かかる月額費用に分けられます。入居時費用は、0~数千万円。月額費用は、15~35万円です。 入居時費用は賃料の前払いにあたります。金額は立地や設備などにより決められるため、施設ごとに大きな差があります。 入居費用は施設によってさまざまです。豪華設備や充実した医療体制を備えた施設では数千万円以上かかることも。一方で、入居時費用が0円の介護付き有料老人ホームもあり、その場合は家賃の前払いをしないことになるため月額利用料が高くなります。 また、施設ごとにサービスや配置人員も異なるため、月額費用にも大きな開きがあります。15万円程度に抑えられる施設がある一方で、豪華な食事や手厚い医療体制などを提供する施設では35万円程度かかることもあります。 介護付き有料老人ホームの費用については下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 施設探しは「早め」にするのがおすすめ 認知症の方の介護施設への入居は「早め」の時期に検討するのがおすすめです。 認知症はある日いきなり進行するものではなく、徐々に症状が進んでいくことがほとんどです。状況によっては、半年から1年ほどで認知症が進行してしまうケースも。認知症の症状が見られるようになったら、早いうちから施設探しを始めておきましょう。 早めに施設を探し始めるとどんなメリットがあるのか、3点解説します。参考にしてください。 本人の意思を反映できる 認知症は毎日進行していきます。認知症の発症が早い段階から入居する施設選びを始めれば意思疎通が充分に可能なので、本人の希望を聞くことができるでしょう。そのため、本人の希望に沿った施設選びができます。 本人の認知症が進行して判断力が下がってしまい、本人の希望を聞くことができなかった場合、家族の意見のみで入居する施設を判断することになるでしょう。家族の意見のみで施設を決めた場合、家族は「本当に本人の希望と合っていたのか」「この判断は間違っていたかもしれない」などと悩んでしまったり、後悔したりするかもしれません。家族、本人ともに後悔のない施設選びをするためには、早めの段階での準備が大切です。 家族の負担が少なくなる 認知症の発症が早い段階から入居する施設選びを始めると、家族の負担が少なく済みます。 長期にわたり介護を続けていると介護している家族に疲れが溜まってしまいます。加えて、入居する施設を選ぶことにも大きな負担と時間がかかります。介護の疲れが溜まった状態では、施設を選ぶ労力が心身ともにつらくなります。余力があるうちに、施設選びに取りかかりましょう。 施設に慣れやすくなる 認知症の症状が進行すると、新しい生活に慣れるのにも時間がかかります。認知症の症状が軽いうちに施設へ入居すれば、本人の適応力も見込めて、施設での生活に早めに慣れることができます。 また、認知症の症状が早い段階で施設へ入居すると、施設側もその方への対応に早めに慣れることができます。それはまだ意思疎通がしやすい状態のため、入居した方の性格や行動の傾向などを把握しやすいからです。早い段階で本人に合った対応をしてもらえるのは、大きなメリットといえるでしょう。 認知症の人の施設入居のタイミング 認知症の方の施設への入居は、「早め」に検討するのが良いと解説をしました。具体的にはどんなタイミングで施設選びを始めると良いのでしょうか。 3つの視点から解説します。 認知症の進行が見え始めたとき 介護施設への入居を検討するおすすめのタイミングは、「認知症の進行が見え始めたとき」です。 認知症の典型的な症状は、「過去に体験した出来事など、あったことそのものを忘れてしまう」「物事を順序立てて考えられなくなる」「時間や場所、人物がわからなくなる」などがあります。 また、うつ状態や妄想がひどくなったり、怒りっぽくなる、徘徊するなど、精神や行動にも症状が出ます。 中でも暴力や暴言、徘徊などは、介護している家族にもとても負担がかかります。無理に自宅で認知症の介護を続けると、認知症の本人や介護をする家族ともに大きなストレスとなってしまいます。本人にも家族にも大きなストレスがかかる前に、施設への入居を考えましょう。 認知症の症状については下記ページで説明しているので、そちらも参考にしてください。 介護度が上がったとき 「介護度が上がったとき」も介護施設への入居を検討するタイミングとしておすすめです。介護度が上がることは、介護の体制を見直すためのわかりやすい目安になります。 介護度が上がると、認知症を患った本人が認知機能や身体的な能力に衰えを感じ、自宅での生活に不安を抱くこともあります。常に見守れる家族がいない、自宅の設備では過ごしにくいなど、不安になる理由は人によってさまざまです。 また、認知症が進行すると正常な判断ができず、危険な目に遭う機会が出てくることがあります。夜中に家を出て行ってしまい、帰り方がわからなくなってしまったり、火の扱い方がわからなくなって火事を起こしてしまう可能性もあります。 常に家族がそばで見守っていないと危険なほどに認知症が進行してしまうと、家族への負担も増してしまいます。介護度が上がったときには、施設への入居を検討するタイミングにするのが良いでしょう。 「介護が負担」と感じたとき 「『介護が負担』と感じたとき」も施設への入居を検討するタイミングとして、とても重要です。 認知症に限らず、高齢者の介護は家族にとって負担が大きいもの。必要な介護の内容によっては、仕事やプライベートの時間もなくなり、人生設計にも大きく影響します。 また、介護をするには体力的な負担もあります。介護を受ける本人の足腰が弱っている場合には、排せつ・入浴の介助で体を持ち上げるために、力が必要なときもあります。無理な介護を続けていくうちに介護をしている家族の腰を痛めたり、疲労がたまってしまいます。 介護がつらいと感じ始めたら、まずは家族自身の体調を大切に、今後のケアを考え直すのが大切です。認知症でも入れる施設を探し、入居のタイミングを検討してみましょう。 施設への入居を決断できなくても、施設のスタッフや施設探しの窓口に相談してみるだけで気持ちが軽くなることもありますよ。 よくある質問 認知症があっても介護付き有料老人ホームに入れますか? 介護付き有料老人ホームには認知症の方も入居できます。介護付き有料老人ホームは24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などが提供されます。そのため、認知症で日常的に介護が必要な方でも安心して過ごせます。介護付き有料老人ホームのサービス内容や料金は施設ごとに異なり、認知症専門のフロアを設けているなど認知症のケアに手厚い施設もあるので本人に合う施設を探しましょう。 家族が認知症ですが「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」はどちらに入るのが良いですか? 「介護付き有料老人ホーム」と「グループホーム」の大きな違いは「医療ケアの手厚さ」と「認知症のケアの手厚さ」です。介護付き有料老人ホームは、日中1名以上の看護師が常駐し、一部の医療行為が受けられます。グループホームには認知症ケアの専門スタッフがおり、認知症のケアが充実しています。グループホームには看護師の配置義務はありません。持病があるなど、医療のサポートが必要な場合は医療ケアを受けられる施設を選ぶことが必要です。 認知症の家族が入居するのはどのタイミングが良いですか? 認知症の症状が見られるようになったら、早いうちから施設探しを始めましょう。認知症の発症が早い段階から入居する施設選びを始めれば意思疎通が充分可能なので、本人の希望を聞くことができます。本人の希望が聞けないと家族で施設を決めることになり、後悔するかもしれません。具体的には「認知症の進行が見え始めたとき」「介護度が上がったとき」「家族が『介護が負担』と感じたとき」が施設への入居を検討するタイミングです。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "認知症があっても介護付き有料老人ホームに入れますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/07/26

介護付き有料老人ホームで訪問看護は利用できる?|利用時の条件を全解説!

介護施設への入居を検討するにあたって、候補のひとつに「介護付き有料老人ホーム」が挙がることもあるでしょう。もし現在、訪問看護を受けている方が介護付き有料老人ホームへ入居した際、医療ケアはどうなるのでしょうか。 この記事で「介護付き有料老人ホームで訪問看護は利用できるのか」「どんな医療ケアが受けられるのか」解説しますのでぜひ参考にしてみてください。 介護付き有料老人ホームで訪問看護を受けるには条件がある 介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用するには、条件があります。例えば、末期がんといった特定の病気の場合は訪問看護を利用できることがあります。 そもそも介護付き有料老人ホームは、介護保険を利用して施設内で介護サービスや看護サービスが受けられる施設です。 介護付き有料老人ホームでの介護サービスには介護保険が適用され、月々一定の自己負担が生じます。自己負担額は介護度により変わるほか、所得によっても1~3割の差があります。介護付き有料老人ホームでは、介護保険を上限まで利用して介護サービスと看護サービスを提供しています。 そのため、介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用する際、介護保険は原則として利用できず、医療保険を利用した訪問看護の利用となります。 医療保険を利用した訪問看護の条件は、以下の通りです。 主治医から訪問看護の許可を受けている方 厚生労働大臣が定める疾病を患っている方 それぞれの条件を詳しく見てみましょう。 主治医から訪問看護の許可を受けている方 介護付き有料老人ホームに入居している方が訪問看護の利用をしたい場合には、主治医から「特別訪問看護指示書」の交付を受ける必要があります。「特別訪問看護指示書」の交付は末期がんといった特定の病気の場合に限られます。 「特別訪問看護指示書」とは、施設で提供される看護サービス以上のケアが必要と主治医が判断した場合に発行される書類です。主に入居者の持病の悪化などが理由で、入居している施設内で提供される看護サービスでは足りない場合に発行されます。 また、「特別訪問看護指示書」の指示期間は原則として月1回、14日以内と決まっています。 厚生労働大臣が定める疾病を患っている方 厚生労働大臣が定める疾病を患っている方も、医療保険で訪問看護が利用できます。 該当するのは、以下の19種類の疾病と1つの状態です。 末期の悪性腫瘍 多発性硬化症 重症筋無力症 スモン 筋萎縮性側索硬化症 脊髄小脳変性症 ハンチントン病 進行性筋ジストロフィー症 パーキンソン病関連疾患 多系統萎縮症 プリオン病 亜急性硬化性全脳炎 ライソゾーム病 副腎白質ジストロフィー 脊髄性筋萎縮症 球脊髄性筋萎縮症 慢性炎症性脱髄性多発神経炎 後天性免疫不全症候群 頸髄損傷 人工呼吸器を使用している状態 参考:「訪問看護のしくみ」(厚生労働省) 「主治医から『特別訪問看護指示書』の交付を受ける必要がある」「症状が厚生労働大臣が定める疾病である」という2つの条件を満たさなければ、介護付き有料老人ホームで訪問看護を受けられません。 そもそも「介護付き有料老人ホーム」とは? 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。生活支援や介護サービス、看護サービスを提供しており、介護保険が適用されます。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 介護付き有料老人ホームでは介護サービスのほかに医療ケアも提供しています。施設によって医療ケアの手厚さが違うので、希望した医療ケアを提供する施設を探しましょう。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 介護付き有料老人ホームの詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。 介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアもある 介護付き有料老人ホームでは、一部の医療ケアも受けられます。介護付き有料老人ホームには看護師が配置されているからです。また介護スタッフからも一部の医療ケアを受けられます。 看護師、介護スタッフ、それぞれから受けられる医療ケアを見てみましょう。 看護師による医療行為 介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、専門性を必要としない医療行為を受けられます。 看護師が提供可能な医療行為には、次のようなものがあります。 インスリン注射 痰の吸引 胃ろうなどの経管栄養 褥瘡の処置 在宅酸素や人工呼吸器の管理 導尿、バルーンカテーテルの管理 ただし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や配置の時間帯などが異なるためです。 例えば、夜間に看護師が配置されていない施設では、夜間の医療行為ができません。人工呼吸器や在宅酸素を常時使用しているなど、夜間にも医療行為が必要な場合は、夜間にも看護師が配置されている施設への入居を検討する必要があります。 介護スタッフによる医療ケア 介護スタッフは、基本的に医療行為はできません。ただし、下記については厚生労働省が医療行為に含まれない行為としているため、介護スタッフによる提供が可能です。 体温測定 血圧測定(自動血圧計のみ可能) 軽傷の治療(ガーゼ交換や絆創膏を貼るなど) 湿布を貼る(麻薬は不可) 点眼薬の点眼 内包薬の内服介助(一包化された内服薬のみ可能) 座薬の挿入 爪切り(爪に異常があると不可) 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去は不可) 鼻腔粘膜への薬剤噴射の介助 自己導尿の介助 加えて、施設が都道府県に対して医療行為を実施できる施設だと登録をしており、喀痰吸引等研修を受けた介護福祉士は、以下の実施が認められています。 痰の吸引 胃ろうなどの経管栄養 介護付き有料老人ホームでの医療ケアでは足りない場合 介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアを紹介しましたが、それでも足りない場合、介護付き有料老人ホームよりも医療体制が充実している施設を検討することをおすすめします。 どの施設では手厚い医療ケアが受けられるのでしょうか。2つの施設を紹介します。 介護医療院を検討してみる 「介護医療院」は、高齢者に対する「医療」と「介護」のニーズに応えるための生活施設です。特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)と並ぶ公的な介護施設のひとつです。 介護医療院には医師が常駐しているため、基本的な介護サービスはもちろん、痰の吸引や経管栄養といった医療的処置にも対応可能。さらには、看取りの役割も担っています。 入居条件は以下の通りです。 介護医療院の入所には、要介護1以上の認定が必要です。また、「伝染病などにかかっていないこと」や「病気での長期入院が必要ないこと」など、施設ごとに条件が決められています。 なお、介護認定は基本的に65歳以上が対象ですが、特定疾患がある場合は65歳未満でも申請可能です。 介護医療院の詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。 ホスピスも視野に入れてみる 「ホスピス」とは、末期がんなどで死期が近い患者が、安らかな最期を迎えるための治療やケアをおこなう施設です。 ホスピスの入居は末期がんや難病の人など終末期患者が中心です。基本的に年齢や病気の進行具合によってホスピスへの入居を断られるということはなく、穏やかに人生の終末を迎えたいと思うすべての人が対象となります。ただし、認知症が進行して身体の拘束が必要になる場合などは個別相談が必要です。 また、ホスピスに入居するには、本人に死期が近いことを告知していることが条件です。知らないまま入居すると、スムーズなケアや治療がおこなえません。本人と家族の気持ちが同じであることは、ホスピスに入居するうえでとても重要です。 ホスピスの詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。 よくある質問 介護付き有料老人ホームに入居しても訪問看護は利用できますか? 介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用するには条件があります。末期がんといった特定の病気など厚生労働大臣が定める疾病を患っており、主治医から訪問看護の許可を受けている方に限ります。また、介護付き有料老人ホームで訪問看護を利用する際、介護保険は原則として利用できません。医療保険を利用した訪問看護の利用となります。 介護付き有料老人ホームで医療ケアのサービスはありますか? 介護付き有料老人ホームには必ず看護師が配置されており、インスリン注射、痰の吸引、在宅酸素や人工呼吸器の管理など、提供可能な医療行為もあります。しかし、すべての介護付き有料老人ホームで医療行為が可能とは限りません。施設によって、看護師の配置人数や配置の時間帯などが異なるためです。 医療ケアが必要な場合、他に入れる施設はありますか? 医師が常駐している介護医療院やホスピスは医療体制が充実しているので、介護付き有料老人ホームよりも医療のサポートを安心して受けられます。介護付き有料老人ホームで受けられる医療ケアもありますが、それでも医療のサポートが足りない場合、介護付き有料老人ホームよりも医療のサポートが充実している施設を検討することをおすすめします。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "介護付き有料老人ホームに入居しても訪問看護は利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/07/26

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で介護保険を利用する方法

施設への入居や、介護サービスを利用するにあたって、どうしても費用の心配というものが出てきます。「介護保険」が適用されるサービスには、介護保険を利用して負担を軽くできますが、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)も介護保険は適用されるのでしょうか? この記事では、「サ高住に入居していても介護保険を使えるのか」「そもそも、介護保険とは?」といった疑問について解説します。 サ高住には、「一般型」と「介護型」があります。そしてその約9割が「一般型」であるため、この記事では「一般型」のサ高住について解説します。 サービス付き高齢者向け住宅の費用に介護保険は使えない 介護保険は「介護」サービス費にのみ適用されます。そのため、サ高住で提供される家賃や生活面のサービスは、介護保険の適用外です。 サ高住に入居中の方で介護が必要になった場合は、外部の訪問介護事業者と契約し、介護サービスを受けます。介護事業者などで提供されているサービスは介護保険が適用されます。 介護保険を利用するには、さまざまな手続きが必要なので、まずは地域の相談窓口、サ高住の生活相談サービス、ケアマネジャーなどに相談しましょう。 そもそも「介護保険」とは? 私たちは、法律により、満40歳に達すると被保険者として介護保険に加入します。そして、全国の市区町村から保険料の徴収が始まります。実際に介護保険料を支払い、介護保険を受ける人が「被保険者」。65歳以上の「第1号被保険者」と、40~64歳までの「第2号被保険者」に分類されます。 介護サービスを利用できるようになるのは65歳から。ただし、介護保険を利用するには要介護の認定を受ける必要があります。市区町村(保険者)が実施する要介護認定において、要支援もしくは要介護の認定を受けることによって、介護保険が利用できるようになります。 介護保険の詳しい説明は下記ページにておこなっていますので、そちらも参考にしてください。 「介護保険」の限度額 介護保険を利用した場合の自己負担率は、介護サービスにかかった費用の原則1割です。例えば、1割負担で1万円分のサービスを利用した場合、支払う費用は1,000円です。 しかし、前年度の所得によっては自己負担率が2~3割に変動することがあります。さらに、要介護度別に1ヵ月に給付される限度額が決まっており、その額を超えた分は全額自己負担になります。 所得や要介護度によって金額が変わるため、あらかじめ費用を把握しておきましょう。 給付限度額と負担額は、以下の通りです。 要介護度1割負担2割負担3割負担要支援15,032円10,064円15,096円要支援210,531円21,062円31,593円要介護116,765円33,530円50,295円要介護219,705円39,410円59,115円要介護327,048円54,096円81,144円要介護430,938円61,876円92,814円要介護536,217円72,434円108,651円出典:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省) サービス付き高齢者向け住宅で介護保険が使えるケース サ高住で生活しながら介護サービスを利用した場合、その費用のみが介護保険が適用されます。 サ高住で利用できる「介護サービス」を解説します。 介護保険が適用されるサービス一覧 まずは、介護保険が適用になるサービスの一覧を見てみましょう。介護保険が適用されるサービスは、大きく6つに分けられます。 訪問系サービス 訪問介護(ホームヘルパー) 訪問入浴 訪問看護 訪問リハビリ 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 通所系サービス 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 福祉用具のレンタル・購入サービス 福祉用具の貸与 特定福祉用具の販売 宿泊系サービス 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 地域密着型サービス 小規模多機能型居宅介護 認知症対応型通所介護(デイサービス) 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 住宅改修サービス 住宅をバリアフリーにするための工事費 介護保険が適用になる上記サービスについて、詳しくは下記ページにて解説しています。参考にしてください。 サービス付き高齢者向け住宅で、介護保険が適用されるサービスは? 介護保険が適用になるサービス一覧の中で、サ高住に暮らしながら利用できるものは、どのサービスでしょうか。 例えば、下記のような介護サービスが挙げられます。 訪問介護 訪問看護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ 福祉用具貸与 サ高住に入居中の方が訪問介護事業者など外部と契約し、受けている介護サービスには、介護保険が適用されます。 訪問介護や通所介護のサービスは、利用した分の金額のみの支払いであることがほとんどです。 また、自己負担額は、1ヵ月に給付される金額が要介護度別に決まっています。自己負担額を超えた分は全額負担になるので注意が必要です。 外部の訪問介護事業者を検討する際の注意点 サ高住に入居後、介護サービスを受けたい場合は、外部の介護事業者を利用することになります。どの事業者を利用するか検討する際に注意してほしい点があります。それは悪質な「囲い込み」です。 本来、サービス付き高齢者向け住宅では、介護事業者やサービス内容、ケアマネジャーなど、自由に選択できます。入居前から利用していた介護サービスを入居後にそのまま利用することも可能です。 またサ高住では、介護施設を併設している場合もあります。その併設の施設との契約を強要される悪質な行為が「囲い込み」です。 さらに悪質になると、必要のない介護まで受けるように促され、過剰な介護費用を加算させようとする場合もあります。 ただ、「囲い込み」をおこなっている悪質な施設はごく一部です。併設している施設を利用すること自体には、施設同士が密な連携を取れるという利点もあるため、併設施設をおすすめされることもあるでしょう。その際に、入居者が意見を伝えられて、最終的に好きな施設を選べるかどうかが重要です。 サービス付き高齢者向け住宅で、介護保険が適用されないサービスは? 「介護サービス費」以外の費用には介護保険は適用されません。例えば、以下のサービスは適用外です。 居住費 管理費 食費 安否確認、生活相談などの生活面でのサービス これらは、サ高住に限らず、他の施設にも当てはまります。 当然、サ高住に入居していて、介護サービスを利用していない方は介護保険は使えません。介護保険が適用になるサービスを利用していないからです。 まずは相談窓口を利用してみましょう 「介護サービスを受けたい」「介護保険を利用したい」と思ったならば、まずは専門家に相談するのがおすすめです。相談窓口を紹介しますので、参考にしてください。 地域の相談窓口を利用してみましょう これから介護を始める方やその家族が、まず利用することが多いのが、地域包括支援センターや、自治体、社会福祉協議会などの地域の相談窓口です。 地域の相談窓口には、以下のものがあります。 地域包括支援センター 自治体の窓口 社会福祉協議会 市町村の役所には、地域包括支援センターをはじめ、高齢者向けの相談窓口が複数設置されているところも多くあります。役所のホームページには窓口の案内が載っているので、ホームページで相談内容に近い窓口を探してみましょう。ホームページで探すのが不安な方は役所に電話をし、内容を伝えれば、相談内容に合った窓口へ繋いでくれます。 地域包括支援センターや、高齢者向けの相談窓口では、「介護保険」の取得方法や手続きはもちろん、ケアマネジャーも紹介してくれます。何からすればいいかわからない場合は、まずは地域の相談窓口を利用してみましょう。 具体的な内容は「ケアマネージャー」に相談しましょう ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」と言います。利用者の心身状態に合わせたケアプランを作り、適切な介護サービスが提供されるよう支援します。 ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所や特別養護老人ホームなどの施設、自治体の介護相談の窓口となる地域包括支援センターなどに配属されています。それらの事業所や施設、自治体との連絡や調整を日々おこない、利用者の介護サービス全体をマネジメントしています。 サービス付き高齢者向け住宅なら「施設のスタッフ」に相談しましょう サ高住にすでに入居している場合には、「生活相談サービス」を利用してみましょう。「生活相談サービス」とは、サ高住での日常生活において困っていることなどを、施設のスタッフに相談ができるサービスです。 「生活相談サービス」では、健康や介護に関することも相談できます。あらゆる相談の窓口のような存在なので、具体的な地域の相談窓口やケアマネジャーを案内してもらえるでしょう。また、サ高住に常駐している介護や看護の資格を持っているスタッフからアドバイスをもらうことも可能です。 よくある質問 サ高住に住んでいても介護保険は使えますか? サ高住の入居費用などには介護保険は使えません。なぜなら、家賃や生活面のサービスは介護保険の適用外であるためです。介護保険は「介護」に関するサービスに適用されます。サ高住に入居中の方が外部の介護事業者と契約した介護サービスには、介護保険が使えます。 介護保険を利用すると費用の負担はどれくらいになりますか? 介護保険を利用した場合の自己負担率は、介護サービスにかかった費用の原則1割です。しかし、前年度の所得によっては自己負担率が2~3割になることがあります。要介護度別に1ヵ月に給付される限度額が決まっており、その額を超えた分は全額自己負担になります。所得や要介護度によって金額が変わるため、あらかじめ費用を把握しておきましょう。 介護保険を利用したいのですが、誰に相談すればいいですか? 「介護保険を利用したい」と思ったならば、「サ高住の生活相談サービス」「地域の窓口」「ケアマネジャー」などの相談窓口を利用しましょう。介護を視野に入れたとき、まず利用することが多いのが、地域包括支援センターや、自治体、社会福祉協議会などの地域の相談窓口です。サ高住に入居中であれば、サ高住の「生活相談サービス」を利用するのも良いでしょう。すでにケアマネジャーとやり取りをしているならば、ケアマネジャーに介護保険の相談もできます。自分の身近な相談しやすい窓口を選びましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "サ高住に住んでいても介護保険は使えますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/06/30

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)には家賃補助はあるの?

施設への入居を検討するにあたり、どうしても気になるのは費用です。さまざまな費用のなかで、金額が高いもののひとつが「施設の家賃」。サービス付き高齢者向け住宅の家賃には補助があるのでしょうか。 この記事では、「サービス付き高齢者向け住宅には家賃補助があるのか」について解説します。また、家賃のほかに「費用の負担を抑える工夫には何があるのか」についても解説しますので、参考にしてください。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に家賃補助の制度はない 現在、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)には家賃補助はありません。しかし、サ高住の家賃補助を調べようとすると、「高優賃に家賃補助がある」という説明が多くあります。これは一体どういうことなのでしょうか。 「サ高住と高優賃は同じ施設なのか」「サ高住と高優賃の関係性」を解説します。 「サ高住」と「高優賃」は同じ施設? 「サ高住」の正しい名称は「サービス付き高齢者向け住宅」です。基本的に介護の必要はなく、自立している高齢者のための住まいです。バリアフリーの設備が整っており、安否確認や、生活相談などのサービスを提供しています。 「高優賃」とは「高齢者向け優良賃貸住宅」のこと。高齢者向けの住宅は、高優賃のほかにもありましたが、2011年度「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により、サ高住に一本化されました。つまり、「高優賃」は「サ高住」の前身の施設なのです。 高優賃は、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、高齢者が安心して住めるように、国や自治体が家賃補助をおこなう制度を取り入れた住宅です。 「サ高住」の前身の「高優賃」には家賃補助があった! サ高住には家賃補助はありませんが、サ高住の前身である高優賃には家賃補助がありました。そのため、サ高住の家賃補助を調べると、「高優賃の家賃補助について」の説明が多くあります。 高優賃はすべてなくなったわけではなく、「地域優良賃貸住宅制度」として、ごく一部では現在でも運営されています。どの施設が制度の対象になっているかは自治体の判断によって違うので、住んでいる地域で調べてみてください。 しかし、高優賃はサ高住に比べて施設の数が少ないため、サ高住でなるべく費用を抑えるための方法をお伝えします。 サービス付き高齢者向け住宅で費用を抑える工夫 サ高住は、文字通り「サービス」が提供されています。サ高住で提供されているのは、安否確認や生活相談などの「生活面」のサービスで、「介護面」のサービスは提供されません。 もし、サ高住に入居中の方が介護のサービスを受けたい場合は、外部の介護事業者と契約する必要があります。 サ高住で提供される「生活面」のサービスと外部の介護事業者から受ける「介護面」のサービス。どちらのサービスも見直しをすることで費用を抑えられます。 「生活面」のサービスを見直してみる サ高住では、主に生活面のサービスを提供しています。どの施設でも必ず受けられる安否確認と、生活相談のほかに、有料オプションサービスもあります。 例えば、もっとも多いのは「食事提供サービス」。そのほかに、通院や買い物に付き添うサービスもあります。 食事や付き添いなどのオプションのサービスは、1ヵ月ごとの料金になっている場合もありますが、多くの施設はその都度、料金が発生する仕組みになっています。そのため、利用する回数を少なくすれば、その分、費用が抑えられます。 食事提供サービスであれば、自室や共有の台所で自炊をする。通院や買い物に付き添うサービスであれば、なるべく自分で買い物に行ったり、付き添いを家族にお願いする、などの工夫ができます。 自分の都合に合わせて、サ高住で受けているサービスを見直してみましょう。 「介護面」のサービスを見直してみる サ高住は、介護サービスを外部と契約するので、自分で好きなように介護サービスを組み合わせられます。いろいろな介護サービスを契約している場合は、契約内容を見直しましょう。 訪問介護事業者など、外部で受ける介護サービスは、使えば使う分だけ費用がかかります。介護サービスに頼らず、家族が協力するのもひとつの手。家族のサポートがあれば、利用する介護サービスを限られたものだけにできます。 ただし、「無理のない範囲での協力」という点が重要です。家族だけで無理に介護しようとすると、お互いに大きな労力がかかり、場合によっては共倒れになってしまうかもしれません。 サ高住は、自分で好きなように介護サービスを組み合わせられるのが魅力です。自分に合った、一番良い組み合わせを考えましょう。 「生活保護」を受給するという手段も サービスの見直しなどで費用を抑える工夫をしても費用が払えそうにない、という方は「生活保護」を受給するのもひとつの手です。 サ高住は生活保護を受給していても入居できます。しかし、すべてのサ高住で生活保護の受給者が入居可能なわけではありません。生活保護の受給者を受け入れ可能なサ高住は、全体の約2割ほど。そのため、希望の施設、あるいはすでに入居中の施設が、生活保護を受給しても入居できるとは限りません。 出典:「平成25年度有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する実態調査研究事業報告書」(公益社団法人全国有料老人ホーム協会) 生活保護受給者が入居可能な施設でも、受け入れ人数を制限している場合もあります。生活保護受給者の定員が埋まっていれば入居できません。 「生活保護受給者を受け入れてくれる施設は少ない」「定員が制限されている」ということを考えて、希望の地域だけではなく広い地域の施設を検討しましょう。 よくある質問 サ高住に家賃補助の制度はありますか? サ高住に家賃補助の制度はありません。しかし、サ高住の前身の高優賃には家賃補助があります。高優賃はごく一部で残っていますが、施設の数がとても少ないです。どうしても家賃補助を利用したいのであれば、ご自身の住んでいる地域で調べてみましょう。サ高住はサービスを自分で選んで利用できる特徴がありますので、工夫次第ではサ高住でも費用を抑えることができます。 「サ高住」と「高優賃」は同じ施設ですか? 「高優賃」は「サ高住」の前身の施設です。高齢者向けの住宅は高優賃のほかにもありましたが、2011年度「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により、サ高住に一本化されました。サ高住に一本化されて以降は「高優賃」と呼ばれる施設は新しく出来ていません。しかし、法の改正前より存在していた「高優賃」のごく一部は今でも存在しています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "サ高住に家賃補助の制度はありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/06/30

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の問題点|入居後に困らないために

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)への入居を検討するにあたり、入居後に起きるかもしれないトラブルについて心配される方もいると思います。入居後に困らないようにするためには、問題点をよく理解し、事前に防いだり、対処法を用意しておくことが重要です。 この記事では、サービス付き高齢者向け住宅に入居した際のよくある問題点と対処法を解説していきます。ぜひ参考にしてください。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは? サービス付き高齢者向け住宅とは、基本的に介護を必要性とせず自立している高齢者のための住まい。バリアフリーの設備が整っており、安否確認、生活相談などのサービスを提供しています。 また、サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2種類あります。「一般型」は、安否確認や、生活相談などの生活面でのサービスの提供のみで、基本は一般的な賃貸住宅と同じように生活ができる、自由度の高い施設です。介護が必要になった場合は、訪問介護など外部のサービスと契約をすることで必要な分だけのサービスを受けられます。 「介護型」は、特定施設入居者生活介護の指定を受けており、介護サービスも提供します。 現在では、サービス付き高齢者向け住宅の約9割が「一般型」のため、この記事では「一般型」の問題点・解決策について解説していきます。 サービス付き高齢者向け住宅の「サービス面」での問題点は? サービス付き高齢者向け住宅の問題点を「サービス面」「金銭面」「生活面」の3つの視点から解説します。 サービス付き高齢者向け住宅の「サービス」とは、安否確認や、生活相談など「生活面でのサービス」のことを指します。サービス付き高齢者向け住宅には「介護のサービス」提供はありません。 サービス付き高齢者向け住宅で「介護サービス」の提供がないことによって、どんな問題点があるのでしょうか。まずは、「サービス面」の問題点を2点見ていきましょう。 施設に介護体制がない サービス付き高齢者向け住宅の「一般型」は、基本的に介護の必要がない自立している高齢者のための住まいのため、介護サービスの提供はありません。 法律によりバリアフリー設計となってはいるものの、介護の設備はなく、施設のスタッフが直接、介護サービスを提供することはありません。また、介護や看護の資格を持っているスタッフが必ず常駐しているとは限りません。 サービス付き高齢者向け住宅に入居中の方が介護サービスを受けたい場合は、外部の介護業者と契約し、介護サービスを受けることになります。 実際に国土交通省のアンケート調査結果では、「職員の数が少ない」「サービスと提供する職員のレベルが低い(経験不足など)」など、入居者に対してのケアが足りないという声があります。 長く入居している間に介護度が上がる可能性や、認知症が始まる可能性もあります。そういった場合にサポートが受けられず、困るという問題点があります。 参考:「サ高住の供給状況等に係るデータ」(国土交通省調査) 実際は介護の必要な入居者が多い 介護の必要がない自立している高齢者も多くいますが、実際のサービス付き高齢者向け住宅には、介護度の高い方や認知症の方も入居している現実があります。 2020年に発表されている国土交通省の懇談会資料によると、サービス付き高齢者向け住宅に入居している方の3割強が要介護3以上です。また、認知症を持つ入居者も増えています。 サービス付き高齢者向け住宅には、介護や認知症に対応できる体制が整っていない施設が多くあります。そのため、要介護度の高い方や認知症の方と共同生活するうえで、トラブルが起きる可能性が高くなります。 出典:「情報提供サービス付き高齢者向け住宅の現状等」(国土交通省) 入居者の高齢化 では、どうして「サービス付き高齢者向け住宅は自立している高齢者向けの施設」とうたっているにもかかわらず、要介護度の高い方や認知症の方が入居している実情があるのでしょうか。 それには、サービス付き高齢者向け住宅の入居者の高齢化が考えられます。2020年の国土交通省の懇談会資料によると、サービス付き高齢者向け住宅の入居者の年齢層は、85歳以上が5割強と一番多く、75歳〜84歳が3割、全体の9割弱が75歳以上という結果が出ています。 加えて、入居時は元気であっても、長く暮らし、年齢を重ねるとともに要介護度が高くなることもあるでしょう。 また、空室を埋めたい運営管理者の希望により、利益を優先して要介護度の高い方や認知症の方を受け入れてしまっている施設も一部にはあるようです。 出典:「情報提供サービス付き高齢者向け住宅の現状等」(国土交通省) サービス付き高齢者向け住宅の「金銭面」での問題は? 施設を利用するにあたって、金銭面の悩みは必ずついてくるもの。サービス付き高齢者向け住宅にはどういった「金銭面」の問題点があるのでしょうか。 3点解説しますので、参考にしてください。 一般の賃貸住宅よりも家賃が高い サービス付き高齢者向け住宅は、一般的な賃貸住宅よりも費用が高い傾向があります。その理由は、バリアフリー設計のためコストがかかり、家賃自体が高くなってしまうことと、安否確認や、生活相談などのサービスを提供していることです。 さらに、サービス付き高齢者向け住宅は、家賃に加えて「食費」「光熱費」「生活サービス費」など、一般的な賃貸住宅にはないサービスの費用がかかります。 しかし、有料老人ホームなどの施設と比べると、費用を抑えられる場合があります。サービス付き高齢者向け住宅は、初期費用が有料老人ホームより安い場合が多いからです。また、サービス付き高齢者向け住宅は介護サービスを提供していないため、介護費用はかかりません。 一般的な賃貸住宅よりは費用がかかるとはいえ、スタッフが見守ってくれることを考えると、安心な住まいと言えます。 介護サービス費が別途でかかる サービス付き高齢者向け住宅は、介護サービスを提供していないので、介護が必要になった場合には訪問介護などの外部のサービス業者と契約する必要があります。つまり、家賃などの施設自体にかかる費用に加えて、介護の費用がかかるのです。 介護サービスが必要ない方、あるいは必要だとしても少ない方は安く済みますが、多くのサービスが必要な方は費用がかさんでいきます。ただし、訪問介護などの介護サービスについては、ほとんどの場合で介護保険が適用されます。 もし、サービス付き高齢者向け住宅に入居してから介護が必要になった際には、施設の生活相談を利用したり、ケアマネジャーに相談してみましょう。 ごく一部で悪質な「囲い込み」がある場合も サービス付き高齢者向け住宅に入居中、介護サービスを受けたい場合は、外部の介護事業者を利用することになります。数ある介護事業者の中で、どの事業者を利用するかは入居者が自由に選べます。入居前から利用していた介護サービスを、入居後にそのまま利用することも可能です。 サービス付き高齢者向け住宅では、介護施設を併設している場合もあります。ただ、ごく一部では、その併設した介護施設のみの利用を強要される「囲い込み」が発生しているので注意が必要です。 本来、サービス付き高齢者向け住宅では、介護事業者やサービス内容、ケアマネジャーなど、自由に選択できます。しかし、強制的に利用する介護事業者を指定される悪質な行為が「囲い込み」です。 さらに悪質になると、必要のない介護まで受けるように促され、過剰な介護費用を加算させようとする場合もあります。 併設している施設を利用すること自体には、施設同士が密な連携を取れるという利点もあるため、併設施設をおすすめされることもあるでしょう。その際に、入居者の意見をきちんと聞いて、最終的に好きな施設を選べるかどうかが重要です。 サービス付き高齢者向け住宅の「生活面」での問題点は? サービス付き高齢者向け住宅に入居した後、普段の生活はどういったものになるのでしょうか。ここでは、「生活面」の問題点はどんなものがあるのか、2点解説します。 生活の自由さの認識にズレがある場合も 「自由な生活が送れる」のが魅力のサービス付き高齢者向け住宅ですが、施設によってはその自由が制限されることもあります。なぜなら、自分の欲しい設備が自室ではなく、共有スペースにある場合があるからです。 昨今では、自室にトイレがあるのは一般的ですが、それでも浴室やキッチンまで設置されているサービス付き高齢者向け住宅は多くありません。そうした施設の場合、好きな時間にお風呂に入れなかったり、ちょっとした料理を気軽にできないでしょう。 時間を気にせずゆっくりお風呂に入りたいなら浴室が自室にある施設、入居後も自炊をしたければキッチンが自室にある施設を選ぶ必要があります。 入居後に「思ったより自由じゃなかった…」とならないよう、入居後の生活をしっかりイメージし、自分の希望に合った施設を選ぶのが大切です。 食事が口に合わない…なんてことも サービス付き高齢者向け住宅の多くは食事を提供していますが、その食事が口に合わないこともあるかもしれません。 サービス付き高齢者向け住宅協会(サ住協)の実施したアンケートでは、「実際入居してみて期待外れの点」に「食事」が一番多く挙げられています。 例えば、調理師が栄養バランスを考え、毎日手作りする施設もありますが、人件費や材料費を抑えるために、電子レンジや湯煎で温めただけのレトルト食品を提供する施設もあります。特にレトルトなどの食事は、普段食べ慣れておらず口に合わない人もいるでしょう。 入居前に事前見学や体験入居をした際には、施設の食事を一緒に摂れます。事前見学や体験入居を積極的に利用して、食事が自分の口に合うか試してみましょう。 参考:「サービス付き高齢者向け住宅に関するアンケート調査の結果のご報告」(サ住協) 事前見学や体験入居で不安点を確認する サービス付き高齢者向け住宅に入居した際の問題点を見てみましたが、その多くは、入居前のチェックで回避できます。そのために、事前見学や体験入居を利用しましょう。 事前にスタッフとどれだけ打ち合わせをしていても、実際に見てみないとわからないことはたくさんあります。事前見学や体験入居では、実際の生活リズムやスタッフの対応などを肌で感じられるので、入居後の生活のイメージを作りやすいです。 また、見学する施設が少ないと十分に比較ができず、誤った判断をしてしまう可能性があります。反対に見学する場所が多すぎても、時間がかかってしまい大変です。最低でも2ヵ所はまわり、余裕があれば3〜4ヵ所見学すると良いでしょう。 入居後を具体的にイメージして見学を 事前見学や体験入居といっても、ただ過ごすだけではせっかくの訪問がもったいないです。 注意するポイントはたくさんあります。以下のチェックポイントリストを参考にしてください。 見学の時のポイント アクセス 外出しやすい場所にありますか? 家族が訪問しやすい距離ですか? 周囲の環境 騒音はありませんか? 治安は良いですか? 周りの建物は希望に合っていますか? 入居スペース 広さは充分ですか?閉鎖感はありませんか? 収納は足りていますか? トイレ、洗面所、台所はどこにありますか? ベッドは高すぎたり、低すぎたりしませんか? 手すりは使いやすいところにありますか? コンセントは使いやすい位置にありますか? 緊急通報ボタンの位置は使いやすいところ、すぐに手の届く場所にありますか? 持ち込みたい物(家電など)のスペースは充分ですか? 共有スペース テーブルの高さは使いやすいですか? 手すりは使いやすいところにありますか? 通路や入り口は、人や車椅子が通りやすくなっていますか? 浴室 手すりは使いやすいところにありますか? スタッフは声掛けや安全確認をおこないますか? 設備メンテナンス、清掃 清潔ですか? 嫌なにおいはありませんか? 備品は壊れているもの、経年劣化しているものを使い続けていませんか? 掲示物や飾り付けは放置されていませんか? 緊急時の避難経路はどこですか? スタッフ 入居者と挨拶を交わしていますか? 清潔感はありますか? 入居者 入居者の雰囲気は希望に合っていますか? 食事 味は好みですか? 健康状況によって内容は調整してくれますか? アレルギーや苦手な食材は配慮してくれますか?※見学時に試食しましょう レクリエーション レクリエーションはおこなっていますか? 参加は自由ですか? サービス付き高齢者向け住宅に入居前に確認しておきたいこと サービス付き高齢者向け住宅に入居する前に、事前見学や体験入居を利用して、確認したいポイントを紹介しました。事前見学や体験入居では、普段の生活を快適に過ごせるかをイメージできます。 普段の生活のイメージの他に、「もしも」のときに備える施設であるかどうかのチェックも大切です。 ここでは事前見学や体験入居でのチェックのほかに、「もしも」のときに備える、入居前に確認したいポイントを紹介します。 スタッフ体制について 日中のスタッフの人数体制※1 夜間のスタッフの有無、人員体制 夜間にスタッフが居ない場合、緊急時はどういった対応になるのか スタッフ不在時の連絡先 ※1 15~20世帯につき1人以上、要介護者・認知症高齢者の場合は、10人につき相談員が2人以上 緊急時について 緊急時のマニュアル、研修はあるのか スタッフに緊急時の対応経験があるのか 緊急通報のボタンの位置は生活動線にあるか 緊急通報のボタンはハンズフリーか 施設について 将来、要介護・認知症を発症した際の医療ケアはどこまでしてくれるのか 施設の運営期間は1年以上か、入居率は50%を下回ってないか 入居条件 退去条件 入居後に想定と違った場合の選択肢も用意しておく 入居前に念入りにチェックしていたとしても、身体状況の変化などによって「入居前の想定と違った…」ということもありえます。入居したサービス付き高齢者向け住宅に住み続ける中で、問題が解決できれば良いですが、状況によっては「転居」が解決につながる場合もあります。 そのため、入居後に転居を考えた際に困らないために、施設をいくつか候補に挙げておくと安心できます。 しかし、どういった場合に転居を考えるのでしょうか。「介護が必要になった場合」と「想像していた生活環境と違った場合」の2つのパターンにおいて、転居先の選択肢となる施設を見てみましょう。 介護が必要になった場合の選択肢 サービス付き高齢者向け住宅に長く暮らしていくうちに、介護が必要になったり、認知症を発症する可能性は大いにあり得ます。 しかし、サービス付き高齢者向け住宅は介護や認知症のケア体制がないので、満足のいくサポートが受けられないことも。外部の介護サービスを使えば生活ができる場合は心配ありませんが、手厚いサポートが必要な場合には、希望に合ったケアを提供している介護施設への転居を考える必要があります。 介護が必要になってから探すと時間がかかってしまうため、入居前に介護が必要になったときの転居先の候補も、一緒に見つけておくことがおすすめです。 想像していた生活環境と違った場合の選択肢 サービス付き高齢者向け住宅に入居してみたら、想像していた生活スタイルと異なることもあり得ます。 「入居時には自炊するつもりだったけれど、全然料理しなかった」「トイレが共有でも良いと思っていたけれど、やっぱり自室に欲しい」など、生活していくなかでの施設面の希望の変化もあります。 また、「食事がどうしても口に合わない」「スタッフや他の入居者と気が合わず馴染めない」など、困りごとも出てくるかもしれません。 長く住む場所ですから、嫌なことはなるべく少ないに越したことはありません。どうしても住み続けられないと思ったら、他のサービス付き高齢者向け住宅や別の形態の施設など、転居を視野に入れられるよう、事前に候補を用意しておくといいでしょう。 よくある質問 サ高住の問題点はどこですか? サ高住の問題点は、大きく分けて3つ挙げられます。1つ目は「サービス面」。サ高住には介護サービスがないため、「自身に介護が必要になったときに困る」「介護が必要になった場合に、外部のサービスを利用しなければいけない」などの問題点があります。2つ目は「金銭面」。「一般の賃貸住宅よりは費用がかかる」「介護サービス費の費用が、サ高住の費用と別途でかかる」などの問題点があります。3つ目は「生活面」。「浴室、キッチンなどが共有スペースになっており自分の自由に使えない」「食事が合わない場合もある」などの問題点があります。 サ高住に入る前に確認しておくことはありますか? サ高住に入居する前にスタッフの人数体制、緊急時の対応などを確認しておくことをおすすめします。また、施設までのアクセス、周辺の環境、施設自体の使い勝手、設備などもチェックしておきましょう。サ高住に入居後の生活をよくイメージし、そのイメージと大きな差異がないことが大切です。 サ高住はどんな雰囲気なのですか? ほとんどの施設は、事前見学や体験入居ができます。サ高住に入居した際に「思っていた雰囲気と違う」とならないために、実際に自分の目で確認できる事前見学や体験入居を利用しましょう。施設の広さや周囲の環境だけでなく、職員と入居者の空気感、普段はどう過ごしているのかも肌で感じることができます。また、その際に施設の食事を摂ることをおすすめします。入居後に食事が口に合わないという不満を抱えている方が多いからです。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "サ高住の問題点はどこですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/06/30

老人ホームと介護施設の違いは?各施設の費用や特徴、向いている人を解説

施設探しをしているときに、「老人ホーム」や「介護施設」という言葉を見かけて「何が違うの?」と混乱した方もいるかもしれません。 そこでこの記事では、「老人ホーム」と「介護施設」の違いを解説。さらに、いくつもある施設の違いや、その施設に向いている方についても紹介します。施設探しで迷っている方はぜひ参考にしてください。 「老人ホーム」と「介護施設」の違いは? 老人ホームと介護施設の違いは、「介護サービスを提供しているかどうか」です。 例えば、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームといった、施設が介護サービスを提供しているのは「介護施設」にあたります。 対して、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなど、施設が介護サービスを提供しておらず、介護サービスを利用するときは外部事業者と契約する必要がある入居型の施設は「老人ホーム」にあたります。 また、入居するタイプの施設だけではなく、デイサービスやショートステイといった在宅介護で利用できる施設も「介護施設」に該当します。 しかしながら、一般的には「老人ホーム」と「介護施設」という言葉を区別して使っていないことがほとんど。同じものとして考えても差し支えありません。 老人ホーム・介護施設は、民間施設と公的施設に分けられる ここからは老人ホームや介護施設の中でも、入居型の施設について解説していきます。 老人ホームや介護施設は、運営主体によって「民間施設」と「公的施設」の2種類に分けられます。 民間施設とは 株式会社などの民間企業が運営している施設は「民間施設」と呼ばれます。企業が入居者の満足度を上げるために、レクリエーションやイベントが充実している傾向があります。 また、スーパーなどへの買い物代行サービスや病院などへの付き添いサービスなど、オプションサービスを提供している施設もあります。ただし、そうしたサービスが充実している分、公的施設よりも費用が高くなります。 主な民間施設には以下ものがあります。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円要介護1以上○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ 公的施設とは 社会福祉法人や医療法人などが運営している施設は「公的施設」と呼ばれます。費用が安く、人気が高いのが特徴です。 ただ、要介護度が高い方のみに入居を制限していたり、所得の制限を設けている場合もあり、民間施設よりも入居の難易度は高め。また、レクリエーションやイベントが少ない傾向があるのもデメリットです。 主な公的施設には以下ものがあります。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ それぞれの施設の特徴と向いている方 老人ホームや介護施設には、それぞれの種類ごとの特徴があります。また、入居するのに向いている方の傾向があります。 ここからは、各施設の特徴と向いている方について紹介します。 民間施設の特徴と向いている方 民間施設は公的施設よりも料金が高いものの、サービスが多様であるのが特徴です。 同じ種類の施設でも運営方針によって雰囲気が大きく異なることもあるので、入居を検討するときには事前の確認が重要です。 介護付き有料老人ホーム:要介護度の高い方向け 介護付き有料老人ホームは、介護認定を受けていない自立の方から「要介護5」の認定を受けている方まで幅広く受け入れています。ただし、介護付き有料老人ホームの中には、「入居時に自立の方のみ」「要介護1以上」など個別で要介護度の指定をしている場合もあります。 また、介護体制や医療体制が整っていることも特徴。介護職員が24時間にわたって常駐しており、昼夜問わず介護サービスを提供しています。 さらに介護サービスだけでなく、季節のイベントやレクリエーション、地域のボランティアによる演奏会といった催しも充実しています。 介護付き有料老人ホームの費用 入居時費用 0~数千万円 ...

2023/06/09

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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2021/10/28

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