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老人ホームの種類

障害者向けグループホームの費用|必要な金額と自治体の補助制度について

障害者向けグループホームの入居を考えた場合「費用はいくらかかるの?」「費用に対する補助金や支援制度を知りたい」など、不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。 入居時、また月々の利用料としていくら必要なのか、また補助金や自治体からの支援があるのかどうかが最初からわかっていれば安心ですよね。 そこでこの記事では、グループホームの利用にかかる費用や、家賃の助成制度、自治体による独自の支援制度などについてご紹介します。 障害者向けグループホームの費用 障害者向けグループホームに入居した場合、以下の費用が必要です。 家賃 食費 水道光熱費 障害福祉サービス利用料 日常生活費 一般的な賃貸住宅に住むのと同様に、家賃や食費、水道光熱費などの費用がかかります。加えて、「障害福祉サービス利用料」も必要です。サービス利用料は原則として費用の1割を利用者が負担することになっています。 障害福祉サービス利用料とは? 障害福祉サービス利用料とは、その名の通り障害福祉サービスを利用する際にかかる費用のこと。グループホームでは、障害福祉サービスを利用して支援を受けるため、利用料がかかります。 以下の表のとおり、障害福祉サービスの自己負担分は、所得に応じて4区分の負担上限月額が設定されています。ひと月に利用したサービス量にかかわらず、負担上限月額以上の費用はかからない仕組みになっています(応能負担)。 障害者の利用者負担 区分 世帯の収入状況 負担上限月額 生活保護 生活保護受給世帯 0円 低所得 市町村民税非課税世帯(注1) 0円 一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 9,300円 一般2 上記以外 37,200円 (注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。 障害者の利用負担 障害児の利用者負担 区分 世帯の収入状況 負担上限月額 生活保護 生活保護受給世帯 0円 低所得 市町村民税非課税世帯 0円 一般1 市町村民税課税世帯(所得割28万円(注)未満) 通所施設、ホームヘルプ利用の場合 4,600円 入所施設利用の場合 9,300円 一般2 上記以外 37,200円 (注)収入が概ね890万円以下の世帯が対象となります。 障害児の利用負担 生活保護世帯や非課税世帯は負担額は0円となりますが、課税世帯は所得に応じて負担額が変わります。また、所得を判断する際の世帯の範囲は、次のとおりです。 種別世帯の範囲18歳以上の障害者(施設に入所する18、19歳を除く)障害のある方とその配偶者障害児(施設に入所する18,19歳を含む)保護者の属する住民基本台帳での世帯 障害者向けグループホームで受けられる家賃補助 障害者向けグループホームでは、家賃補助の制度である「特定障害者特別給付」が利用できます。 以下では、制度の概要や、申請方法について詳しくご紹介していきます。 特定障害者特別給付 特定障害者特別給付とは、全国の自治体で実施されているグループホーム入居者の家賃を補助する国の制度です。 家賃補助の上限は1万円で、支払う家賃が1万円に満たない場合は実際の家賃額を補助してくれます。 この制度を利用できるのは、生活保護を受給している世帯や市町村民税が非課税世帯の障害者の方です。年齢制限はなく、給付金はグループホームに入居している期間、受け取ることが可能です。また、障害の程度で給付額が変わることはありません。 ただし、あくまでも補助の対象は家賃のみであり、光熱水費や日用品費などの費用は対象外となることは覚えておきましょう。 特定障害者特別給付は入居者本人に給付されない 特定障害者特別給付は入居者本人には給付されず、グループホームが代理で補助金を受け取ります。その後グループホームは、受け取った補助金分を差し引いて利用者へ家賃請求をおこないます。 給付を受けられているか確認したい場合は、グループホームからの家賃請求額に内容が記載されているため、確認すると良いでしょう。 なお、注意点として、1年ごとに家賃補助の対象者か否かの確認が市区町村によって行われるため、収入の増額等があった場合は、補助が受けられなくなる可能性があります。 また、家賃の変更があったり、グループホームを退所した場合には速やかに変更の手続きをおこないましょう。 特定障害者特別給付を受けるにはどうする? 特定障害者特別給付を受けるには、自治体への申請が必要です。申請は入居者またはその家族が、住所地の市区町村の窓口に出向いておこないます。 申請には、申請書と合わせてグループホームの家賃を証明する書類が必要となるため、事前に入居先で証明書を作成してもらいましょう。 なお、前述した通り、特定障害者特別給付の対象者は生活保護を受給している世帯と市町村民税が非課税世帯の障害者の方に限定されています。課税世帯の方は給付の対象外です。 自治体独自の支援 特定障害者特別給付以外に、自治体独自で家賃の補助金制度を設けている場合もあります。 例1:東京都立川市 東京都立川市では、収入が一定額以内の障害者グループホームの入居者を対象に補助金制度を設けています。 ただし、特定障害者特別給付費(補足給付)で家賃の補助を受けている方は、下記の表の区分による家賃助成額から補足給付分を差し引いた額が助成されます。 利用者の所得額家賃助成額区分1月額73,000円未満全額。ただし、月額24,000円を限度にする区分2月額73,000円以上97,000円未満半額。ただし、月額12,000円を限度にする 例2:兵庫県神戸市 兵庫県神戸市では、以下の要件を満たす方が家賃の助成対象となります。 障害者総合支援法第19条第1項の支給決定障害者のうち、共同生活援助の支給決定を受けていること。 現にグループホームに入居していること。 援護の実施者が神戸市であること。 非課税世帯であること(生活保護世帯を除く)。 利用者が支払う家賃月額が「10,000円超」であること。 助成金額は(当該利用者が支払う家賃月額-10,000円)×2分の1(1円未満切捨て)で、補助の上限額は15,000円です。 1万円以下の家賃は特定障害者特別給付費により支給されるため、1万円を超える場合のみ、助成制度が利用できます。 例3:千葉県船橋市 千葉県船橋市では、市町村民税が非課税の方を対象に家賃の2分の1(上限月額25,000円)を助成しています。 ただし、特定障害者特別給付費の支給対象者は、家賃から特定障害者特別給付費を引いた額の2分の1(上限月額20,000円)です。 申請した月以降が家賃補助の対象となるため、申請を希望する場合はすぐに手続きを行いましょう。 例4:神奈川県小田原市 神奈川県小田原市では、入所施設又は精神医療機関からグループホームに生活の場を移した方を対象に、家賃の一部助成があります。 助成額は家賃月額(特定障害者特別給付費を受けている場合はその額は控除)の1/2の額で、上限は3万円です。グループホームに入居した月から3年間が助成期間となっています。 なお、収入に関わる要件はなく、住民税が課税の方も対象です。 障害者向けグループホームの費用についてよくある質問 障害者向けグループホームの費用にはどんなものが含まれますか? 障害者向けグループホームの費用には、家賃・食費・水道光熱費・日常生活費が含まれます。さらに、課税世帯の方は原則1割負担の障害福祉サービス利用料も必要です。金額は応能負担となっており、所得に応じて負担額が決まっています。 障害者向けグループホームを利用するとき補助金は出ますか? 家賃の一部補助をしてくれる特定障害者特別給付という制度があります。1万円を限度としており、家賃が1万円に満たない場合は実際の家賃分を補助してくれます。 自治体ごとに補助はあるの? 自治体独自で補助をおこなっている場合があります。特定障害者特別給付以外の補助については、対象者や金額が自治体ごとに変わります。 詳しくはお住まいの市区町村の担当窓口へお問い合わせください。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "障害者向けグループホームの費用にはどんなものが含まれますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/03/09

グループホームは「地域密着型」|その概要とサービスができた背景

高齢の親がいる方の中には「最後まで住み慣れた地域で生活を送ってほしい」と思う方も多いのではないでしょうか。 そんな方々のために、介護保険で受けられるサービスの中には、住み慣れた地域での生活をサポートする「地域密着型サービス」という仕組みがあります。 そこで、本記事では、地域密着型サービスについて解説し、地域密着型サービスで利用できる施設を紹介していきます。 地域密着型サービスとは? 地域密着型サービスとは、高齢者が中重度の要介護者や認知症となっても、できる限り住み慣れた地域で自分らしい生活が送れるように支援するサービスです。2006年4月の介護保険制度改正により創設されました。 市区町村が地域密着型サービスの事業者の指定や監督をおこなうため、地域に密着した身近で細やかなサービスが受けられるように整備されています。 地域密着型サービスを利用できるのは、原則としてその地域に住んでいる方(その地域に住民票がある方)に限られます。そのため、地域密着型サービスで利用できる施設は定員が30名未満の小規模な施設が多く、顔なじみのスタッフからサービスを受けられるため大きな安心感を得られます。 地域密着型サービスができた背景 地域密着型サービスは、国が提唱する地域包括ケアシステムの一環として創設されました。 地域包括ケアシステムとは、高齢者が重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で最期まで暮らし続けられるよう、住まい、医療、介護、予防などの多様な生活支援サービスを地域で一体的に提供する体制のことです。 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、介護保険の保険者である市町村や都道府県などが中心となって、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築を目指しています。 その一環として、2006年に地域密着型サービスが創設され、地域のニー ズに応じたバランスの取れたサービスの提供が可能となりました。 地域密着型の施設「グループホーム」 グループホームは、地域密着型サービスで提供される施設サービスのひとつです。 「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれ、認知症の高齢者が5〜9人のユニット単位で、介護や支援を受けながら共同生活を送ります。 グループホームに入居するには、以下の5つの条件をすべて満たす必要があります。 65歳以上の方 要支援2以上の認定を受けた方 医師から認知症の診断を受けた方 集団生活を営むことに支障のない方 施設と同一の市区町村に住民票がある方 なお、40歳から64歳までの方で、若年性認知症の診断を受けた方も入居対象です。 グループホーム以外の地域密着型の施設 次に、グループホーム以外の地域密着型の施設サービスを紹介します。地域密着型サービスで利用できるグループホーム以外の施設は、以下の2つです。 地域密着型特定施設入居者生活介護 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護とは、定員29名以下の小規模な入居施設のことです。 介護保険の特定施設入居者生活介護事業者の指定を受けているため、介護や日常生活上の支援などのサービスが保険適用で受けられます。 また、少人数の施設であるため、入居者とスタッフの距離が近く、顔なじみの関係になりやすい環境です。アットホームな雰囲気のなかで、きめ細やかなケアを受けたい方におすすめです。 利用対象者 施設のある地域に住民票がある要介護1〜5の認定を受けている方と、その配偶者が利用対象です。要支援1・2の方は利用できません。 特定施設とは? 特定施設とは、施設設備や人員配置、運営が厚生労働省の定める一定の基準を満たしている介護施設のことです。介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付高齢者向け住宅、養護老人ホームなどが特定施設にあたります。 サービス内容 施設の中で、身体介護や生活支援、食事、機能訓練などのサービスを24時間体制で受けられます。多くの施設で看護師が配置されており、医療ケアにも対応しています。 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム) 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護とは、入居定員が29名以下の小規模な介護老人福祉施設(地域密着型特別養護老人ホーム)のことです。 常に介護が必要な方の入居を受け入れ、住み慣れた地域で、可能な限り自立した日常生活を送ることができるようサポートしています。また。地域の高齢者の相談拠点としての役割を担っているほか、明るく家庭的な雰囲気で、地域や家族との結びつきを重視して運営されています。 なお、地域密着型特別養護老人ホームには、単独型と本体施設の近くにあるサテライト型の2つタイプがあります。 利用対象者 利用対象者は、施設と同じ地域に住民票を持つ要介護3以上の方です。要支援1・2の方は利用できません。また、新たに入居する要介護1・2の方は、やむを得ない理由がある場合以外は利用不可です。 サービス内容 看護、介護スタッフが常駐し、入浴や排泄・食事といった介護や日常生活上の支援、機能訓練、健康管理、療養上のお世話などのサービスを24時間体制で提供しています。 特別養護老人ホームとの違いは? 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)と通常の特別養護老人ホームでは、定員数と入居対象に大きな違いがあります。地域密着型特別養護老人ホームは、定員数は29名以下の小規模な特別養護老人ホームです。原則として、施設のある市区町村に住んでいる方のみ申し込めます。一方で、通常の特別養護老人ホームの定員数は30名以上です。「広域型特別養護老人ホーム(広域型特養)」とも呼ばれ、居住地域に制限なくどこの地域に住んでいても入居の申し込みが可能です。 地域密着型のグループホームについてよくある質問 地域密着型サービスとは何ですか? 地域密着型サービスとは、高齢者が中重度の要介護者や認知症となっても、できる限り住み慣れた地域で自分らしい生活が送れるように支援するサービスです。 施設などの規模が小さいため、利用者のニーズにきめ細かく応えることができると期待されています。地域を離れず暮らしたいという高齢者やサポートする家族にとって役立つサービスと言えるでしょう。 地域密着型サービスはどんな人が受けられますか? 地域密着型サービスを利用できるのは、要介護認定を受けていて、原則としてサービス事業者と同じ地域に住んでいる方です。地域密着型介護予防サービスであれば、要支援の方も利用できます。 グループホームの定員は何名ですか? グループホームは、認知症の診断を受けた高齢者が1ユニット5〜9人で共同生活を送る施設です。認知症ケアの専門スタッフが常駐し、認知症の進行を抑えながら家庭的な雰囲気のなかで暮らすのが特徴です。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", ...

2023/03/08

グループホームの入居には要支援2以上の介護度が必要

グループホームに入居するための介護度|要介護度ごとの費用の差や他施設との比較

グループホームに入居する際は、介護度をはじめ、さまざまな条件が設けられています。 そこで本記事では、入居条件のほか、要介護度ごとの介護サービス費用を解説。また、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなど他施設との違いも説明します。 「グループホームの入居を考えているんだけど親は入居できるのかな?」などと疑問に思っている方は、是非、参考にしてみてください。 グループホームの入居に必要な介護度は「要支援2以上」 グループホームは介護保険法の規定に基づく施設のため、入居するためには要支援2~要介護5の認定を受けている必要があります。そのため、自立して生活できる方や要支援1の方は入居できません。 要介護度ごとの介護サービス費 グループホームでの介護サービス費は、利用した分を支払う従量制ではなく1ヵ月単位の月額制です。必要なサービスは介護度によって変わり、介護度が上がるにしたがって介護サービス費も高くなります。 グループホームは1施設につき、1~3つのユニットの構成ですが、このユニット数によっても金額が異なります。加えて、地域によっても金額に多少の差が生じます。 介護サービス費には介護保険が適用され、多くの方は1割、一定以上の所得がある方は2~3割が利用者の自己負担です。 要介護度やユニット数、所得ごとの自己負担額は次の表で見てみましょう。 1ユニットの場合 要介護度 1割負担 2割負担 3割負担 要支援222,800円45,600円68,400円 要介護122,920円45,840円68,760円 要介護224,000円48,000円72,000円 要介護324,690円49,380円74,070円 ...

2023/03/07

グループホームに入居するとき住民票はどうする?|住民票を移すメリット・デメリット

家族のグループホーム入居を検討されている方の中には「ホームへの入居が決まったら、住民票を移さなくてはいけないの?」という疑問をもっている方が多いのではないでしょうか。 そこで、グループホームに入居する際の住民票の手続きについて、移した後のメリットやデメリットも合わせて紹介します。 グループホームに入居するときは住民票を移す必要がある グループホームに入居する際は、ホームの所在地に住民票を移す義務があります。入居してから14日以内に転居届を提出しましょう。 そこで気になるのが住所地特例制度。元の住まいとは異なる地域の施設へ入居する為に住民票を移す場合、住所を移す前に住んでいた市区町村に介護保険料を払い、保険料を受給することができる制度です。 グループホームは、認知症の高齢者の方が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるようにと設けられた「地域密着型」のサービスです。施設と同じ市区町村に住民票がある人だけが入居できる仕組みのため、残念ながら住所地特例制度の対象にはなりません。 「遠くに住む親を、自分の自宅近くのホームに入居させたい」など、居住地とは別の地域にあるグループホームに入居したい場合は、前もって施設のある市区町村に住民票を移しておく必要があります。 自治体によっては、住民票を移してから一定期間が過ぎないとホームに入居できない場合があるので注意が必要です。特例で、施設のある市区町村長などの同意があれば、ほかの地域の居住者でも入居可能な施設もあるようです。 グループホームに住民票を移すメリット グループホームに入居する際、住民票の移動は必須です。では、住民票を移すとどんなメリットがあるのでしょうか。 具体的なメリットは以下の2つです。詳しく見ていきましょう。 利用者に郵便物が直接届く 介護保険料が安くなる場合がある 利用者に郵便物が直接届く 役所などからの郵便物は住民票の住所に送られてきます。住民票を移しておけば重要な書類が直接ホームに届くので、見逃しがなく安心です。 ただし、すべての郵便物を新しい住所に届けてもらうには、郵便局に転居届を出しておく必要があります。 介護保険料が安くなる場合がある グループホームに住民票を移すことで単独世帯になります。それまで収入のある家族と同居していた場合、本人の所得金額によっては介護保険料の負担が軽減されたり、毎月の介護サービスの負担上限額が下がることがあります。 グループホームに住民票を移すデメリット グループホームへの住民票の移動は、メリットだけではなく、以下のようなデメリットもあります。あらかじめ確認しておきましょう。 プライバシー管理が難しくなる 介護保険料が高くなる可能性がある プライバシー管理が難しくなる 住民票を移動することにより公的な書類がグループホームに送られます。さらに、郵便局に転居届を提出するとプライベートな手紙まですべて転送されるので、入居者の交友関係などの情報がホームに知られてしまいます。 ホームの職員に確認してもらう書類、入居者に手渡してもらう手紙、家族の所に転送してほしい手紙など、事前にホームに相談しておくと良いでしょう。 介護保険料が高くなる可能性がある 保険料は住んでいる地域によって異なります。グループホームに入居するために、前もって施設のある市区町村に住民票を移した場合や、特例でホーム所在地の自治体から入居が許可された場合、住民票を移すことで介護保険料が高くなる可能性があります。 グループホームへの入居の場合、住所地特例制度を活用できないので、ホームのある地域の保険料を支払わなければなりません。 また、世帯が分かれることにより、国民健康保険の負担が増えたり扶養控除から外れてしまうこともあるので、事前に各市区町村の役所で確認しておくと安心です。 住民票を移すときの手続き方法 グループホーム入居の際の住民票の移動は、同じ市区町村内の転居になるので比較的簡単です。 転居して14日以内に、身分証明書を持って管轄の市役所に行き、「住民異動届」の転居届にチェックを入れて必要項目を記入し、窓口に提出すれば完了です。 他の地域のグループホームに住民票を移す場合は、現在住んでいる地域の役所に転出届を、ホームのある地域に転入届を提出します。 要介護認定を受けている方が地域をまたいで住民票を移すときは、必ず受給資格証明書を発行してもらい、転入から14日以内に転居先の役所に提出してください。前住所での介護認定が引き継がれます。マイナンバーカードの情報連携の運用に合わせて発行不要になった地域もあるので、役所の介護保険窓口で確認してください。 必要な書類など 住民票を移動する際に必要な書類は以下の通りです。 写真付きの本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード・写真付き基本台帳カード・パスポートなど) マイナンバーカード(持っている場合) 国民健康保険被保険者証 介護保険被保険者証 印鑑 受給資格証明書 委任状(家族が代理で届け出る場合) 代理人が届出をおこなう場合は、委任状と代理人の本人確認書類、印鑑が必要です。 本人が手続きをする場合、印鑑が不要な自治体もありますが、国民健康保険や介護保険などの住所変更手続きで必要になる場合もあるので、念のため持っていくと安心です。 受給資格証明書とは 要介護認定や要支援認定を受けている方が、他の市区町村に住民票を移す際、それまで使用していた介護保険証を返納しなければなりません。 返納する際に発行されるのが受給資格証明書です。証明書を転入先の住所の介護保険窓口に提出すると、新たな介護保険証がもらえます。 転入日から14日以内に申請しないと、再度介護認定の審査を受けなければならなくなるので、早めに申請しましょう。

2023/03/07

【図解】グループホームの「ユニットケア」|仕組みとメリット・デメリット

「グループホームの存在は知っているけれど、グループホームの生活や『ユニットケア』についてはよくわからない」という方も多いはずです。 まずは、グループホームの仕組みとメリット・デメリットを知ることから始めてみましょう。 グループホームにおける「ユニット」とは グループホームにおける「ユニット」とは、それぞれの居室と共有スペースからなる生活空間です。1ユニットは5~9名で構成され、1つの施設に原則として3ユニットまでと定められています。 現在は、多くのグループホームで2ユニットが採用されています。定員が18名程度という小規模で運営されている理由には、認知症や障がいのある方々にアットホームな環境で穏やかに生活してもらう、という目的があるからです。 グループホームではユニットケアが基本 グループホームを利用する認知症高齢者の方は、従来型の集団生活に困難を感じることがあります。そこでグループホームでは、できるだけ自宅に近い環境の中で徹底した個別ケアを提供する「ユニットケア」を基本としています。 グループホームの入居者は個室で生活し、リラックスできる時間を確保できます。そして、それぞれにとって最適なタイミングで食事や入浴、睡眠ができるような介護支援が受けられます。 また、施設内の共有スペースなどで他の入居者との交流を育むこともできるので、孤独感を減らすこともできます。 ユニットケアのメリット グループホームの生活のメリットには、次のようなものが挙げられます。1つずつ詳しく見ていきましょう。 自分の時間が持てる 併設スペースで交流できる 介護スタッフの目が行き届きやすい 自分の時間が持てる ユニット型のグループホームの入居者は、それぞれの個室で生活します。自分だけの時間を過ごせることに安心感を感じる入居者にとって、プライベートな空間が確保されていることや個人の尊厳が守られることは大きなメリットとなります。 併設スペースで交流できる 入居者は基本的にそれぞれの自室で自由な時間を過ごしますが、併設されたリビングなどの共有スペースで他の入居者と交流を持つこともできます。 それぞれの個室でプライバシーを守りながらも、他の入居者たちと同じ時間を過ごしたり協力し合うことで入居者の孤立を防げる点は、ユニット型グループホームの大きな強みです。 介護スタッフの目が行き届きやすい ユニットケアの介護スタッフは、ユニットの入居者だけを担当します。よって、いつも同じスタッフが入居者と接することでお互いの距離は自然と縮まり、家族のような信頼関係を築けます。すると、グループホームの入居者は、気になることを介護スタッフに伝えやすくなり、安心してケアを任せられます。 一方の介護スタッフも、担当する入居者の個性を深く理解できるので、それぞれの入居者にあった最適な介護を効率よく提供できます。 このような介護スタッフの目が入居者一人ひとりに行き届きやすいという点は、ユニットケア最大のメリットです。 ユニットケアのデメリット グループホームのユニットケアでは、次のようなことがデメリットとなってしまう可能性があります。 孤独を感じる人もいる トラブルが起きた際、入居者間で気まずい思いをする 孤独を感じる人もいる ユニット型のグループホームは個室で構成されているため、就寝時間やプライベートな時間は、それぞれの空間で過ごします。しかし中には、ひとりの時間を過ごすことに孤独や不安を感じてしまう入居者もいます。 トラブルが起きた際、入居者間で気まずい思いをする ユニット型のグループホームでは、毎日同じメンバーが顔を合わせます。問題が起こらなければ穏やかな生活を送ることができますが、トラブルやいさかいがあった場合には、気まずい思いをするでしょう。 また、トラブルによっては別のユニットに転居しなければならず、新しい環境で他の入居者や新しい介護スタッフと触れ合うことに、ストレスを感じてしまうことがあります。 ユニットケアで期待できること ユニットケアには個室があり、それぞれの入居者に寄り添った個別ケアを受けられることで、効率的な機能の改善を期待できます。認知症高齢者の場合には、自立を促す最適なサポートと一人ひとりの生活が大きなリハビリ効果をもたらし、症状の緩和や進行を遅らせる可能性を高めます。 さらには、ユニットケア施設にあるリビングや共同生活室などの共有スペースで他の入居者と触れ合うこともできるので、社会性の取り戻しや向上も期待できます。 グループホームのユニットケアについてよくある質問 グループホームの「ユニットケア」とは何のことですか? グループホームのユニットとは、入居者がプライベートな時間を過ごす個人用の居室と、リビングや食堂、キッチンなどの共有スペースからなる生活空間のことです。 認知症高齢者向けのグループホームでは、1つのユニットが5~9名で構成され、1施設3ユニットまでと定められており、最大で27名の入居者が共同生活を送ります。 ユニットケアではどんな介護が提供されますか? ユニットケアとは、自宅に近い環境の介護施設において他の入居者や介護スタッフと共同生活を送りながら、入居者ひとり一人の個性や食事や入浴、睡眠などの生活リズムに応じて個別ケアをおこなう介護手法のことを言います。 ユニットケアでは入居者のプライバシーを尊重しながら、それぞれに合った最適なサポートを提供することを目標としています。 ユニットケアは他の施設でも導入されていますか? ユニットケアをおこなう施設は徐々に増えています。しかし実際のところ、食事や入浴のタイミングが決められているなど、徹底した個別ケアを提供する本来のユニットケアをおこなえている施設は多くありません。 その理由には、施設にユニットケアを導入するためには、工事や改修などに多額な費用がかかるという背景が見られます。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームの「ユニットケア」とは何のことですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/03/07

統合失調症の方がグループホームに入居する方法|他施設の受け入れ状況と利用するメリット

統合失調症の方が家族にいる方は、日々の看護・介護で悩みや迷いを抱く場面が多いことでしょう。 「グループホームに入居できるのだろうか?」「入居したらどのよな支援が受けられるのだろうか?」。そんな疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。 そこでこの記事では、統合失調症の方がグループホームに入居するメリットや注意点、グループホーム以外で統合失調症の方を受け入れている施設について紹介します。 精神障害者向けグループホームで受け入れが可能 統合失調症の方が入居できる施設のひとつに「精神障害者向けのグループホーム」があります。 精神障害者向けのグループホームは、精神に障害のある方が必要な支援を受けながら共同生活を送る施設です。統合失調症の方も対象となっており、年齢を問わず利用できます。 グループホームで受けられる支援は、主に以下の3つです。 食事の調理や掃除などの支援 通院や服薬管理、金銭管理などのサポート 就労移行に関わる支援 精神障害者向けのグループホームでは、精神障害のある方が地域の中で自立した生活を送れるようにサポートをおこなっています。また、共同生活を送る中で、他の入居者との交流を通じて社会性を身につけることができます。 入居には「精神障害者保健福祉手帳」が必要 統合失調症の方がグループホームに入居するには「精神障害者保健福祉手帳」の所持が必須です。 精神障害者保健福祉手帳は、精神障害の程度を基準に判定され、等級は1~3級まであります。 障害等級精神疾患の状態1級統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるもの2級統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため、人格変化、思考障害、その他の妄想幻覚等の異常体験があるもの3級統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくはないが、思考障害、その他の妄想・幻覚等の異常体験があるもの なお、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けるには「精神障害の初診日から6か月以上経過していること」が条件です。 条件を満たしている場合には、申請書や診断書など必要な書類を市区町村の担当窓口に提出することで、手帳の交付を受けられます。 精神障害者向けグループホームの費用 精神障害者向けグループホームでは、月々約6~7万円の費用がかかります。費用の内訳は、家賃や食費、光熱費の他に日常生活に必要な物品の費用や障害福祉サービス費等です。 障害福祉サービス費は所得に応じて4段階に分けられており、負担上限額は以下のようになっています。 区分世帯の収入状況負担上限月額生活保護生活保護受給世帯0円低所得市町村民税非課税世帯(注1)0円一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)※入所施設利用者(20歳以上)グループホーム利用者を除きます(注3)9,300円一般2上記以外37,200円 障害者向けのグループホームでは、介護保険や医療保険は適用外のため、保険制度からの給付はありません。 ただし、一部の家賃を補助してくれる「特定障害者特別給付」を利用すれば、月額で最大1万円の家賃補助を受けられます。家賃が1万円未満の場合は全額が補助されます。 この制度を利用するには、市区町村の窓口で手続きが必要です。助成金は利用者へ給付されるのではなく、市区町村からグループホーム側へ直接給付されます。 統合失調症の方が施設を利用するメリット 統合失調症の方が施設を利用するメリットは、2つあります。 専門的なケアで症状改善が期待できる 家族の負担が軽減される 順番に解説していきます。 専門的なケアで症状改善が期待できる 障害者向けのグループホームでは、精神障害のある方の専門的なケアを受けられるため、症状の改善が期待できます。 統合失調症の症状を理解した専門スタッフから、一人ひとりの症状に合わせた最適な支援が受けられるでしょう。 家族の負担が軽減される 入居によって、家族の身体的・精神的な負担が軽減できることもメリットです。 統合失調症のケアは、精神的なサポートや内服管理などの支援が必要です。大切な家族であっても毎日となると、家族の負担が大きく、想像以上に疲れがたまってしまう場合もあるでしょう。 グループホームに入居すると、これらの支援のすべてを施設へ任せられるため、家族自身の時間を確保でき、負担の軽減に繋がります。 統合失調症の方が施設に入る際の注意点 統合失調症の方が施設に入る際は、以下の2点を確認しましょう。 提携する医療機関があるか 統合失調症の方の受け入れ実績があるか 提携する医療機関があるか 入居前には、グループホームが提携している医療機関があるかどうか確認が必要です。 一般的に、統合失調症の方は、薬物療法による治療を受けながら生活を送るため、グループホームに入居したあとも定期的な通院が必要です。 現在通院している病院に入居後も通うことができれば問題ありませんが、別の地域のグループホームに入居する場合には、通院先の変更が必要です。 グループホームが提携している医療機関があれば、新たに通院先を探す手間がなくなります。 統合失調症の方の受け入れ実績があるか 入居予定のグループホームで、統合失調症の方の受け入れ実績がどれくらいあるかという点も注意しておきましょう。 統合失調症の方を多く受け入れているグループホームは、経験に基づいた支援体制が整っています。経験豊富なスタッフから適切なケアを受けられるため、安心して生活を送ることができるでしょう。 グループホーム以外で統合失調症の方を受け入れている施設 グループホーム以外で、統合失調症の方を受け入れる主な施設は以下の通りです。 施設の種類施設の目的入居条件入居時費用月額利用料介護付き有料老人ホーム身体介助・食事・排せつ・入浴などの介護サービスの提供要介護1以上0~数千万円15~30万円住宅型有料老人ホーム要介護度が比較的軽度の高齢者の生活支援自立~要介護3程度0~数千万円11~25万円サービス付き高齢者向け住宅自立した高齢者・軽度の介護を要する方が安心して生活を送れる賃貸住宅自立~要介護1程度0~数十万円11~25万円 それぞれの特徴や入居条件、費用相場について詳しく解説します。 介護付き有料老人ホーム 介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴、排せつなどの介助や掃除・洗濯などの生活支援が受けられる民間の介護施設です。 看護師の配置が義務付けられた施設のため、医療ケアにも対応し、介護度が高くなっても終身にわたる利用が可能です。 ただし、民間施設であるため施設によってそれぞれ特色があり、設備やサービス内容、費用はさまざまです。 入居条件 原則として65歳以上で、要介護1以上の方が入居可能です。ただし、要支援・要介護認定を受けていれば、40歳以上の方も利用できます。 統合失調症の方の受け入れは施設によって異なるため、施設への問い合わせのタイミングで確認しておきましょう。 費用相場 介護付き有料老人ホームに入居する際には「入居一時金」と、毎月支払う「月額料金」の2種類の費用が必要です。 費用相場は、入居一時金が0〜数千万円、月額料金は15〜30万円です。ただし、施設によって金額に違いがあります。 なお、入居一時金が0円の場合は、月額料金が高くなる傾向があります。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、ある程度自立した方が入居できる民間の老人ホームです。 原則として、食事などの生活サービスだけを提供する施設であるため、入居時に介護が必要な方の入居は難しいでしょう。 入居後に、介護が必要となっても住み続けることができますが、介護サービスを利用する場合は、入居者が外部サービス事業者と個別で契約する必要があります。ただし、介護が重度化すると退去を求められる可能性があります。 入居条件 基本的に60歳以上で、入居時に自立している方が対象です。施設によっては要介護3程度の方まで入居できる場合があります。 統合失調症を理由に入居を断られることはありませんが、症状によっては要相談となる場合もあります。 費用相場 住宅型有料老人ホームの費用相場は、入居一時金は0〜数千万、月額料金は約11〜25万円となっています。ただし、外部の介護サービスを利用する場合には、介護保険の自己負担分の費用が別途必要となります。 サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は通称「サ高住」と呼ばれ、安否確認と生活支援サービスを受けられるバリアフリー対応の賃貸住宅です。 サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があります。 「一般型」は、基本的に介護サービスを必要としない自立度の高い方が入居できるサ高住です。生活の自由度が高く、外出や外泊などの制限が緩やかな点が特徴です。ただし、要介護度が高くなったり、認知症が進行した場合には、住み続けることが難しくなる可能性があります。 一方で「介護型」は、施設の介護スタッフから24時間体制で介護サービスを受けられるサ高住です。入居後に介護が必要となった場合でも住み続けることが可能です。 入居条件 「一般型」のサ高住では、基本的に一人で生活するため、自立〜要介護1程度の方が、入居対象です。施設によっては「認知症ではない方」「医療ケアが必要ない方」という条件が付く場合があります。 一方で「介護型」は、自立〜要介護5の方まで幅広く入居可能です。 看護師と介護スタッフが常駐し、24時間体制で介護サービスを受けられる施設のため、認知症の方や医療ケアが必要な方も受け入れています。ただし、受け入れる認知症の程度や、提供する医療ケアの範囲は施設によって異なります。 費用相場 「一般型」の費用相場は、敷金が0〜数十万円、月額費用が10〜17万円です。有料老人ホームと比べると、費用が安い点が特徴です。 一方で「介護型」の費用相場は、入居一時金が0〜100万円、月額費用が13〜22万円です。 受けられるサービスや設備の充実度の違いから、一般型より高めの費用設定となっています。

2023/03/06

グループホームでのリハビリの種類と内容|その目的と認知症ケアのポイント

グループホームは、自宅で過ごすことが難しくなった認知症の高齢者の方が、専門スタッフのサポートを受けながら共同生活をおこなう施設です。自立した日常生活を送れるよう支援するグループホームでは、生活能力を高めるためのリハビリが欠かせません。 しかし、実際の様子はあまり知られていないため、「どんなリハビリを受けられるの?」「リハビリはどれくらいの頻度でおこなわれている?」など疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、グループホームで実際に受けられるリハビリの種類や具体的な内容をご紹介。リハビリの目的や、リハビリ時のポイントなどをご紹介します。 グループホームでのリハビリのポイント グループホームでのリハビリは、入居者同士で掃除や洗濯などを分担し、適切な介助を受けながら日常生活にリハビリを取り入れる「生活リハビリ」が中心です。 自宅に近い環境で、介護スタッフの補助を受けながら、各自の能力に応じて家事の一部を担当します。 目的 QOL(Quality of Life)を維持しながら、自立した日常生活を送れるように導くことが、グループホームでのリハビリの目的です。 自分でできることを増やして自分に自信を持たせたり、適度な刺激で認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。 リハビリの頻度と時間は決まっている? グループホームには、リハビリの頻度などを定める規定はありません。そのため、創作活動や体操、散歩などのリハビリの頻度は施設ごとに異なります。 食事の準備や掃除、入浴などを見守りながら介助する「生活リハビリ」は、日常生活のすべてがリハビリであるため、頻度は高いと言えるでしょう。 誰がリハビリを担当する? グループホームでは、日常生活に根差したリハビリが中心になるので、認知症の専門知識を持った介護スタッフのサポートが必須です。 介護スタッフは、入居者3人に対し1人以上の配置が義務付けられており、深夜帯には、1ユニット(5~9人)に常時1人以上の勤務が定められています。この人員で、日中の買い物や調理、夜間のトイレ移動などをサポートします。 グループホームには、作業療法士や理学療法士などのリハビリ専門職の配置義務がありません。そのため、介護スタッフがリハビリを担当するホームが多いのですが、なかには外部の理学療法士からアドバイスを受けたリハビリメニューを提供しているホームもあります。 グループホームでのリハビリの種類 生活能力の向上に加え、認知症の進行防止を目的としたグループホームでのリハビリですが、具体的にはどんな種類のリハビリが提供されているのでしょうか。詳しく見ていきましょう。 作業療法 適切な介助を受けながら洗濯、食事の準備などの家事をこなしたり、折り紙、描画などの作業を行うリハビリです。手順を考えたり、指先を動かすことで脳に刺激を与え、認知症の進行を抑えることができます。 「自分でできる」という自信に繋がり、BPSD(行動心理症状=ストレスや不安が原因で起こる意欲減退や暴力行為などの症状)の予防にもなります。 運動療法 ボール運動やラジオ体操、散歩など、身体を動かすリハビリです。身体機能の維持、向上による動作改善や転倒予防が期待できます。 また、脳への血流促進による認知症の進行予防の効果があります。スタッフのサポートを受けながらの散歩や買い物は、気分転換やストレス発散になるだけでなく、地域社会との関わりを持つ機会にもなります。 回想法 写真や映像を見て昔の出来事を再体験したり、自分の過去を人に話すことで脳に刺激を与えるリハビリです。同世代の入居者同士で体験を共有し仲を深めたり、自分の歴史を振り返り自信を取り戻すなどの効果もあります。 他人とのコミュニケーションは脳を活性化させ、気持ちを安定させてくれるので、BPSDの軽減も期待できます。 音楽療法 音楽療法には、受動的音楽療法と能動的音楽療法の2種類があります。 受動的音楽療法は、音楽を聴くことでリラックスし、イライラをやわらげることができます。どなたでも楽しく取り入れることができる手軽なリハビリです。童謡などの懐かしい音楽を聴くことで、昔の自分を思い出し脳に刺激を与える効果もあります。 能動的音楽療法は、皆で音楽に合わせて歌ったり身体を動かしたりすることで、孤独感や疎外感を取り除き心を落ちつかせてくれます。 どちらも、楽しむことでストレスの軽減や脳の活性化、感情や表情の変化が期待できます。 認知刺激療法 五感を刺激して脳を活性化させる療法です。足湯やホットパックによる温かみの体感や、珍しいお菓子を味わう味覚の体感、花の香りをかぐ嗅覚の体感など、感覚を刺激することで脳の活性化を図ります。 比較的自由なグループホームの生活では、多くの認知刺激療法を体験することができます。 グループホームでのリハビリの注意点 日常の中にリハビリを取り入れながら、自分らしく暮らすことができるグループホームですが、「リハビリを定める規定がない」「専門のスタッフがいない」などのデメリットもあります。 ここでは、入居を検討する際に知っておきたい注意点を紹介します。 リハビリのための人員が充実していない 認知症の方が、できる限り自宅に近い環境で日常生活を送れるように補助することが目的のグループホーム。リハビリ専門スタッフや看護師の設置義務がなく、医学的なリハビリテーションを受けることができるホームは限られています。 また、入居者3人に対し介護スタッフを1人以上配置することが義務付けられているのですが、大幅に増員しているホームは少なく、個人の能力に合わせた個別リハビリの実施は難しいのが現状です。 そのため、グループホームでのリハビリは、日常生活を介助する生活リハビリに加え、介護スタッフによる体操や散歩などの集団リハビリテーションが主になります。 介護度が高いとリハビリの対応ができない場合もある 認知症の方が少人数(最大9名)でグループを組み、役割分担をしつつ協力し合って共同生活を送るのがグループホームです。集団生活が可能な方たちが対象になっているため、介護度の高い方はリハビリを受けることが難しい場合もあります。 与えられた作業ができないことが自信喪失、意欲低下に繋がる可能性もあり、注意が必要です。 訪問リハビリなどの外部サービスは利用できない グループホームは施設での介護にあたるので、居宅サービスである訪問リハビリを、介護保険制度を使用して受けることはできません。医師が個別のリハビリが必要だと判断した場合には、医療保険制度を利用して外部のサービスを受けることができます。

2023/03/06

グループホームでの看取りケア|メリットや注意点、看取りの手順について

「グループホームで最期まで看取ってもらえるの?」「グループホームでの看取りで気をつけることはある?」といった疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。 この記事では、グループホームでの看取りケアについて解説し、グループホームで看取りをするメリットや注意点などを紹介します。 グループホームで看取りケアは可能  回復の見込みがない方に対し、無理な延命治療などはおこなわず、自然に亡くなるまでの過程を見守ることを「看取り」と言います。 高齢化の進展に伴い人生の最期を過ごす「終の住処」として、看取りケアに取り組むグループホームが増えています。 ただし、看取りケアをおこなっていないグループホームもあるため、施設を選ぶ際には確認が必要です。 グループホームに看取りが求められるようになった背景 グループホームに看取りが求められるようになった背景には、以下のような理由があります。 医療ケアを必要とする利用者が増えた 利用者が入院環境に適応できない 利用者本人や家族の希望 医療ケアを必要とする利用者が増えた グループホームに看取りが求められるようになった背景には、高齢化の進行に伴い医療ケアを必要とする入居者が増えたことが挙げられます。 元気なうちにグループホームに入居しても、認知症の進行や身体状況の変化によって、胃ろうなどの経管栄養やたん吸引、カテーテルなどの医療ケアが必要となるケースもあります。 医療ケアが必要となっても慣れ親しんだグループホームでの生活を継続し、施設で最期を迎えたいという入居者や家族の希望に対応するため、看取りケアに取り組むグループホームが増えているのです。 利用者が入院環境に適応できない グループホームは医療の提供を目的とした施設ではないため、医療依存度が高まると医療機関へ入院するケースが一般的です。 しかし認知症患者は、入院すると環境の変化に対応できず、不安や混乱が続くこともあり、治療を継続できない場合があります。 そのため、入院環境に適応できない利用者が可能な限りグループホームで生活を続けられるように、提携する医療機関や訪問看護ステーションと連携して、医療ケアの提供から看取りケアまで対応する施設が増えているのです。 利用者本人や家族の希望 無理な延命治療を望まず、自然な形で最期を迎えたいと考える利用者本人や家族が増えてきたことも要因のひとつです。 グループホームでは、入居時に本人や家族から最期の時をどのように迎えたいと考えているのかを確認します。 ただし、入居するグループホームによって、看取りケアの方針や体制に違いがあるため、すべての要望に応えられるわけではありません。 入居を検討する際には、看取りができるグループホームであるか、また看取りケアをおこなっている場合には、施設の方針や内容、これまでの実績などを確認する必要があります。 グループホームで看取りケアがおこなわれるメリット グループホームで看取りをおこなうことで、本人や家族が得られるメリットは以下の2つです。 環境を変えず支援を受けられる きめ細やかな対応が可能 環境を変えず支援を受けられる 1つ目のメリットは、環境を変えずに看取りケアを受けられることです。 認知症の方は、環境や人の変化に対応することが苦手です。大規模な施設や病院では、スタッフや入居者の入れ替わりが多いため、不安や混乱を起こしてしまう可能性があります。 グループホームで看取りケアを受けることができれば、環境を変える必要がないため、慣れ親しんだ環境で穏やかに最期のときを過ごすことができます。 また、グループホームは少人数制で人の入れ替わりも少ないため、精神的な安定を保てることもメリットと言えるでしょう。 きめ細やかな対応が可能 グループホームは少人数制のため、入居者とスタッフの距離が近く、一人ひとりの状態に合ったきめ細やかなケアが受けられることもメリットです。 これまでの生活習慣やこだわりなど、利用者のことをよく理解しているスタッフから支援が受けられるため、安心感を得られます。 また、グループホームは家族と施設の関係性も近いため、不安や悩みを相談しやすく、細やかな要望が伝わりやすい点もメリットです。 グループホームの看取りの手順 グループホームにおける看取りの大まかな流れは、以下の通りです。 看取りを前提として入居した際の説明を聞く 生活の中で看取りに備える 体調が悪化し始めたとき 最期のときを迎える 看取りを前提として入居した際の説明を聞く グループホームに入居する際には、施設の理念や看取りケアの方針、対応可能なケアの範囲などについて詳しく説明してもらえるでしょう。 家族側も、本人と家族がどのような看取りケアを受けたいのか、施設への要望や終末期が近づいた際の考えを伝え、疑問点などがあれば施設側へ確認しましょう。 ポイント)施設の看取りケアの実績はホームページやパンフレットには記載されていないことが多いため、施設側に確認が必要です。 看取りケアの実績が多いグループホームは、看取りに関する知識や経験豊富なスタッフが多いため、安心して大切な家族のケアを任せられるでしょう。 生活の中で看取りに備える グループホームの環境やスタッフに慣れてくると、看取りケアに対する考え方や意向が変わる可能性もあります。 本人と意思疎通が図れるうちに、もう一度、看取りケアの希望や意向に変化がないか、話を聞いておきましょう。本人の意志がある程度明確にあれば、家族は終末期の方向性を固めることができます。 また、家族の気持ちが揺らいだ時にも本人の意思を尊重できるため、看取りに際しての家族の迷いや後悔を最小限に抑えることができるでしょう。 また、施設側とも本人と家族で話し合った内容を共有し、いざというときに備えて連携できる体制を整えておくことも大切です。 体調が悪化し始めたとき 精神的・身体的に不安定で、改善が見込めず全身の機能が低下して衰弱した状態となります。その要因は、急な病気や転倒などの事故、食事を受け付けない、体重減少など人それぞれです。 終末期の判断は医師がおこない、現在の状況や今後予想される経過について説明してもらえるでしょう。 また、看取り直前の時期になると、心身の状態に合わせてケアプランの見直しをおこなうため、ケアマネジャーを中心に、医師や施設スタッフ、提携する医療機関、家族などの関係者が集まり、今後の方向性について話し合います。 施設や医療機関からは、今後を予測した具体的なケア方法の提案や、対応できるケアの範囲などの説明がおこなわれます。家族からも、受けたい支援の内容や意向のほか「最期の時は立ち会いたい」といった要望も伝えましょう。 看取りケアの方向性が固まると、看取りケアの同意書やケアマネジャーが作成したターミナルケアプランにサインをします。 最期のときを迎える 精神的・身体的に不安定な状態が継続し、回復が見込めない時期です。 「眠っている時間が長くなる」「反応が少なくなる」「食事や水分がほとんど摂れなくなる」といった状況が訪れます。できるだけ本人のそばにいて声掛けやスキンシップを図りましょう。 施設側は、病状や心身の状況を詳細に家族に伝え、できるだけ最期に家族と過ごせるように配慮してくれます。施設によっては、入居者と同じ居室に泊まれたり、施設内に家族が宿泊可能な部屋を備えていたりする場合もあります。 多くのグループホームでは、臨終の場面に医師が立ち会うことはほとんどありません。家族や施設スタッフで最期を看取ります。 医師が死亡を確認した後は、希望すれば家族も一緒にエンゼルケア(身体を清める、化粧をする、着替えるなど)ができる場合もあります。 グループホームにおける看取りの注意点 グループホームにおける看取りの注意点は2つあります。 看取りをしない施設もある 医療体制が整っていない 看取りをしない施設もある すべてのグループホームが看取りに対応しているわけではありません。 医療機関との連携が難しいグループホームや、小規模なグループホームでは看取りに十分な体制が取れないため、看取りに対応していない場合があります。 そのようなグループホームでは、介護が重度化したり、医療ケアが必要な状態となったら、医療機関へ搬送したり、あるいは看取りケアに対応する別の介護施設への転居を促されたりするのが一般的です。 最後まで生活環境を変えたくないと思う方は、施設を探す際に、看取り対応をおこなうグループホームや、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホームなど看取りケアに積極的な施設を選択すると良いでしょう。 医療体制が整っていない グループホームは、医療体制が十分に整っていない場合がほとんどです。法律でも医師や看護師の配置は義務付けられていません。 そのため、多くのグループホームでは、医療体制を整えるため、以下のような対応を取っています。 提携する医療機関の医師が定期的に往診する 提携する訪問看護ステーションの看護師が訪問する 同一法人内の医療サービスを利用する 看取りケアを希望するにあたり、施設の医療サービスの充実度は気になるところです。グループホームの医療体制は、施設ごとに異なるため事前に確認しておきましょう。 親族内で方針を決めておくのが大切 グループホームで看取りケアを希望する場合には、本人と家族で看取りについて話し合い、親族内で方針を決めておきましょう。 看取りに関する話は、家族であってもなかなか話題にしにくい内容ですが、グループホームへの入居をきっかけにして、本人や家族間で話し合う時間を持ちましょう。 認知症によって本人の意向が聞き取れない場合でも、家族の間で介護の方針を決めておけば、その後のトラブルを回避できる可能性があります。 また、家族だけで方針を決められない場合には、施設側と相談しながら考えることも可能です。 グループホームでの看取りケアに関するよくある質問 グループホームで看取りはしてくれますか? グループホームで看取りをおこなうことは可能です。ただし、すべてのグループホームが看取りに対応しているわけではありません。看取りを希望する方は、施設選びの際に、看取りに対応したグループホームを選択しましょう。 グループホームで看取られるメリットはありますか? 住み慣れた環境の中でケアを受けられます。また、少人数体制で入居者とスタッフの距離が近いため、一人ひとりの状態に合わせたきめ細やかなケアが受けられることもメリットです。 グループホームは医療体制が整っていますか? グループホームには、医師や看護師が常駐していないことがほとんどです。そのため、医療体制が十分に整っていない可能性があります。 多くのグループホームでは、医療ケアに対応するため、提携する医療機関の医師や訪問看護ステーションと連携して必要な医療体制を整えています。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "グループホームで看取りはしてくれますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", ...

2023/03/01

障害者向けグループホームの「サテライト型」|特徴や受けられる支援、入居期限について

障がい者向けのグループホームでは、自立を目指す入居者のニーズに応え、一人暮らしに近い形態で生活を送るサテライト型が増設されています。 そこで今回は、サテライト型グループホームの特徴と受けられる支援について説明し、気になる入居期限についても解説します。 グループホームのサテライト型の特徴 支援を受けながら共同生活を営むグループホームの本体住居では、通常2名以上の入居者が共同生活を送りますが、サテライト型グループホームの入居者は、グループホームの本体住居と密接な連携を取りながら、近くにあるアパートやマンションなどで一人暮らしに近い形で生活します。 「一人暮らしを目指しているがまったく支援がないのは不安」という方や、「将来的に一人暮らしを目指して練習している」といった方が、サテライト型グループホームを利用しています。 どんな支援が受けられる? サテライト型グループホームの入居者は、普段はアパートなどの自室で生活し、それぞれの活動場所へ通います。本人の希望があれば、食事や家事、その他の余暇活動はグループホームの本体住居を利用することも可能です。 サテライト型グループホームの入居者は、単身生活で困ったことや相談があれば、本体住居のスタッフに連絡をして助けを求めることができます。また、本体住居のスタッフが巡回し、1日数回は入居者の様子を確認してくれるので、いつでも安心して過ごせます。 生活を支援するスタッフ サテライト型グループホームの入居者は、一人暮らしのような環境の中で、さまざまな方の支援を受けながら生活を送ります。 世話人 障がい者向けのグループホームには、入居者の自立した生活を支援する世話人がいます。世話人には、入居者に直接接して身の回りの世話をする役割があり、具体的な業務内容には下記のようなものが挙げられます。 掃除・洗濯・食事など家事のサポート 金銭管理 健康管理 服薬管理 生活相談 サービス管理責任者 障がい福祉サービスを提供するグループホームには、サービス管理責任者の配置が義務付けられています。サービス管理責任者は、個別支援計画の管理やスタッフへの指導・助言、関係各所との連携などをおこなう形で、入居者の生活を支援します。 生活支援員 グループホームでは、生活支援員も入居者の生活を支えます。生活支援員の業務や役割は、施設によって異なりますが、入浴や排泄、食事介助などの介護業務がメインです。そのほかにも、日常生活のサポートや生活相談、家族との連携など総合的な支援をおこないます。 グループホームのサテライト型の入居期限 サテライト型グループホームの入居期限は基本的に3年で、永続的に利用できるわけではありません。一定の期間を定めることで、単身生活を目指す入居者の長期利用を回避し、効率的に支援しています。 そのため、サテライト型グループホームでは、入居期限が3年を過ぎたときには一般住宅へに移行できるよう、他の障がい福祉サービスなどと連携を取りながら、計画的な支援や配慮をおこないます。 また、将来的に一人暮らしができる可能性が高い場合には、市町村審議会の協議の結果、3年を超える利用が認められるケースもあります。 サテライト型と他施設との違い グループホームの形態は、サテライト型のほかにも「戸建て型」と「アパート型」に分けられ、それぞれの特徴の中から本人にあった形態を選択することが大切です。よって、ここでは、それぞれの特徴とサテライト型との違いを見ていきます。 戸建て型 戸建て型グループホームはその名の通り、戸建ての住宅で支援やサービスを受けながら、シェアハウスのような共同生活を送ります。 戸建て型のグループホームにも自分の部屋はありますが、食堂やリビング、トイレや風呂をほかの入居者と共有します。必然的にほかの入居者と過ごす時間が長くなり、プライベートな時間が作りにくい点はデメリットと言えます。 しかし、スタッフ、世話人、生活支援員の目が届きやすく、安心して生活できるというのは大きなメリットでしょう。施設によっては、食事や入浴などの介助を受けられるケースもあり、障がい区分が比較的重い方の利用が多い傾向です。 アパート型 アパート型のグループホームの入居者は、アパートやマンションのような建物の個室にそれぞれ住みながら、支援やサービスを受けて生活を送ります。 交流室や共有スペースも設置されていますが、プライベートな空間が確保されていることに、安心感を感じる入居者もいます。 しかし、戸建て型のようにスタッフの目が行き届かないという点は否めません。よって、アパート型のグループホームは、比較的障がいが軽く、基本的な日常生活は1人でこなせる入居者でなければ利用できません。また、自立や就労支援を受けて働くことを目指す準備施設として利用される場合もあります。

2023/02/28

グループホームで受けられる補助金制度|自治体独自の家賃補助もあり

障害者向けグループホームへの入居を考えたときに、「どのくらいの費用が必要なんだろう?」「費用を払い続けることができるだろうか…」と不安に思うこともあるでしょう。 そこで、本記事ではグループホームの入居者が利用できる補助金制度について詳しく紹介します。 グループホームで受けられる補助金制度 障害者グループホームは、障害のある人が自立した生活に向けて少人数で共同生活をする施設。入居すると家賃や食費、光熱水費やおむつ代などは保険適用外のため、入居者が全額自己負担します。 しかし、下記の制度を利用することで、金銭面の負担軽減が可能です。 特定障害者特別給付 障害福祉サービス 以下で詳しく説明します。 特定障害者特別給付 特定障害者特別給付は、グループホームの入居者の家賃を一部補助してくれる制度です。補助の支給額は上限1万円で、支払った家賃が1万円に満たない場合は実際の家賃額の補助を受けられます。 全国の自治体で実施されており、生活保護を受給している世帯や市町村民税が非課税世帯の障害者が対象となります。 ただし、あくまでも家賃のみを助成する制度であるため、光熱水費や日用品費など家賃以外の費用にあてることはできません。 特定障害者特別給付は入居者本人に給付されない 特定障害者特別給付は、入居者本人へ給付されるのではなく、自治体がグループホームへ直接給付します。 入居者本人が給付を受けられているか確認したい場合には、グループホームからの家賃請求額に内容が記載されているため、確認すると良いでしょう。 なお、家賃の改定や申請内容に変更が生じた場合には、住所地の市区町村の介護保険担当窓口で再申請の手続きが必要となります。 また、補助金の支給限度額は1年に1回、自治体が見直しをおこないます。そのため、1年間に収入の増額等があった場合には、補助が受けられなくなる可能性があります。 特定障害者特別給付を受けるには 特定障害者特別給付を受けるには、自治体への申請が必要です。申請は、入居者またはその家族が住所地の市区町村の担当窓口へ出向いて行います。 申請の際には、申請書と合わせてグループホームの家賃を証明する書類が必要となるため、事前に入居先で証明書をもらっておきましょう。 また、前述した通り、特定障害者特別給付の対象者は、生活保護を受給している世帯や、市町村民税が非課税世帯の障害者の方に限定されます。住民税が課税世帯の方は給付の対象外であるため、注意が必要です。 なお、障害者手帳と障害年金の等級によって、給付金額が変わることはありません。 障害福祉サービス利用料 障害福祉サービスの利用料は、原則として費用の1割を利用者が負担します。 利用者の負担が大きくならないように、所得に応じた負担上限額が設定されています。 以下は、所得に応じた負担上限月額の一覧です。 区分世帯の収入状況負担上限月額生活保護生活保護受給世帯0円低所得市町村民税非課税世帯0円一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※ただしグループホーム利用者、入所施設利用者(20歳以上は除く)9,300円一般2上記以外(市町村民税が課税世帯)37,200円 なお、グループホームの料金は、サービス内容や人員配置の状況などにより各施設で異なります。詳しくは入居先のグループホームへ確認が必要です。 自治体独自の家賃補助 自治体によって、独自に障害者グループホームの補助金制度を設けている場合があります。ここでは、4つの自治体の補助金制度を紹介します。 家賃補助の例1:東京都立川市 東京都立川市では、収入が一定額以内の障害者グループホームの入居者を対象とした家賃補助を行っています。 ただし、特定障害者特別給付費で家賃の補助を受けている方は、下記の表の家賃助成額から補助額が差し引かれます。 利用者の所得額家賃助成額区分1月額73,000円未満全額。ただし、月額24,000円を限度にする区分2月額73,000円以上97,000円未満半額。ただし、月額12,000円を限度にする なお、継続してグループホームに入居している方は、毎年7月のサービスの更新時期に合わせてグループホーム経由で申請の案内があります。 家賃補助の例2:兵庫県神戸市 兵庫県神戸市では、以下の要件を満たすグループホーム入居者が家賃助成の対象となります。 障害者総合支援法第19条第1項の支給決定障害者のうち、共同生活援助の支給決定を受けていること。 現にグループホームに入居していること。 援護の実施者が神戸市であること。 非課税世帯であること(生活保護世帯を除く)。 利用者が支払う家賃月額が「10,000円超」であること。 なお、家賃1万円以下の助成は特定障害者特別給付費により支給されるため、1万円を超える場合のみ、助成制度が利用できます。 助成金額は(当該利用者が支払う家賃月額-10,000円)×2分の1(1円未満切捨て)で、補助の上限額は15,000円です。 家賃補助の例3:千葉県船橋市 千葉県船橋市では、グループホーム及び生活ホームに入居している身体・知的・精神障害者及び難病患者等に家賃補助を行っています。 市町村民税が非課税の方(生活保護の住宅扶助受給者は除く)が対象です。助成金額は家賃の2分の1(上限月額25,000円)となります。 ただし、特定障害者特別給付費の支給対象者は、家賃から特定障害者特別給付費を引いた額の2分の1(上限月額20,000円)です。 家賃補助の例4:神奈川県小田原市 神奈川県小田原市では、入所施設又は精神医療機関からグループホームに生活の場を移した方を対象に家賃の一部を助成しています。 収入に関わる要件はないため、住民税が課税の方でも利用可能。助成額は家賃月額(特定障害者特別給付費を受けている場合はその額は控除)の1/2の額で、上限は3万円となっています。 助成される期間は、グループホームに入居した月から3年間と決められていることに留意しましょう。

2023/02/28

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