デイサービスでは、複数の職種の職員が連携して介護サービスを提供しています。どのようなサービスを受けられるかを知るために、職種ごとの仕事の内容や人員基準を知っておきましょう。
また、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなど、ほかの介護施設の人員基準についても紹介します。
デイサービス(通所介護)は、入浴や食事などの介護や機能訓練を受けるために日帰りで通う施設です。利用者に適切なケアを提供するため、5つの職種について人員基準が決められています。
職種 | 人員基準 |
---|---|
介護職員 | 利用者の数が15人までは1人、利用者の数が16人以上の場合は、1人につき0.2人を加えた数が必要 |
看護職員 | 単位ごとに専従で1名以上必要 |
生活相談員 | 専従で1名以上必要 |
機能訓練指導員 | 1人以上必要 |
管理者 | 専従で1名 |
それでは、職種ごとの仕事内容と人員基準を詳しく見ていきましょう。
介護職員は、介護や機能訓練、レクリエーションなどが主な仕事です。施設によっては送迎や食事作りを担当する場合もあります。
人員基準は、利用者の定員15名までは1人、15人を超える場合は5人ごとに+1名以上の介護職員を専従で配置するよう決められています。
専従とは、サービス提供時間帯にほかの業務をおこなわないことを指します。なお、デイサービスでは同じ施設内に生活指導員などの有資格者が必ず配置されているため、初任者研修や実務者研修などを受けていない人でも介護職員になることができます。
人員基準は実際の利用者数ではなく、定員に対して設定されています。このため、例えば定員が20人のデイサービスでは、利用者が1人だったとしても2名以上の介護職員が必要です。
看護職員は、「看護師」または「准看護師」の資格が必要です。利用者の服薬管理、バイタルチェックなどを主に担当し、人員基準は「単位ごとに専従で1以上」と決められています。
単位とは同時に提供される通所介護のことで、午前と午後で利用者を入れ替える場合は午前と午後がそれぞれ1単位です。
看護職員は単位ごとに必要な健康管理をおこなえれば、サービス提供時間を通じて専従する必要はありません。このため、常勤の看護職員ではなく、連携する訪問看護ステーションから派遣される場合もあります。
また、定員が10名以下の小規模デイサービスの人員基準は「看護職員又は介護職員のいずれか1名の配置で可」となっているため、看護職員は配置されていないこともあります。
基本的に看護師が医療行為をおこなうには医師の指示が必要です。このため、デイサービスで看護職員が提供できるサービスは、バイタルチェックに基づく入浴可否判断や軽い擦り傷などの処置、塗り薬の塗布や湿布薬の貼り付け、口腔ケア、耳垢掃除、糖尿病などがない利用者の爪切り、カテーテルによる自己導尿の介助、グリセリン浣腸器の利用などに限られます。
生活相談員はデイサービスの利用者やその家族の相談に乗り、介護の専門的な立場からアドバイスをおこないます。また、ケアマネジャーや各関係機関との連絡調整、利用者一人ひとりに合わせたデイサービスの計画作成や利用手続きのための調整や契約なども生活指導員が担当します。
専従で1名以上の配置が必要ですが、兼任で2名(0.5名ずつ)も認められています。
機能訓練指導員は、利用者が可能な限り自立した生活を営めるよう「通所介護計画書」に基づいて機能訓練をおこないます。配置は単位ごとに1人以上で、必要な機能訓練が実施できれば専従や常勤である必要はありません。
管理者は、職員のシフト調整や利用者のサービス実施状況の把握、建物や物品管理など、デイサービスの管理業務を担います。
管理者の資格要件はありませんが、職員への指導や施設を管理するためには介護の知識が必要です。なお、管理業務に支障がなければほかの職種との兼任も可能ですが、兼務は同じ敷地内に限られます。
在宅での介護が困難になったときに備えて、ほかの介護施設の人員基準についても知っておきましょう。
介護付き有料老人ホームは、主に介護を必要とする高齢者が介護や生活支援を受けながら生活する施設です。
介護付き有料老人ホームの人員配置の最低基準は、要支援2以上の入居者3名に対して介護職員または看護職員を1名配置する「3:1」と決められています。施設によっては「2.5:1」「2:1」「1.5:1」などさらに手厚い配置にしている場合もあり、サービスが向上する分上乗せ介護費用が発生することもあります。
その他の主な人員は下記の通りです。
住宅型有料老人ホームは、食事や洗濯、清掃といった生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。
管理者を1人配置する必要がありますが、そのほかの職種の配置義務はありません。このため、介護職員や看護職員といった職種の配置は施設ごとに異なります。
サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリー化された高齢者向けの賃貸住宅です。一般型と介護型があり、一般型は介護施設のような人員基準は特にありません。
一方、介護型は「特定施設」の認定を受けているため、入居者3人に対して介護職員1人以上の配置義務があります。
サービス付き高齢者向け住宅とは、基本的に介護の必要性がない自立している高齢者のための住まい。「一般型」と「介護型」の2種類に分けられます。
「一般型」では介護が必要になった場合、訪問介護事業所など外部サービスとの契約をすることで必要な分だけのサービスを利用します。生活の一部だけ介護が必要な方に向いていると言えます。
対して「介護型」では、介護スタッフが24時間常駐しているため、夜間の介助が必要な場合も柔軟に対応可能です。看護師も日中に常駐しているため、持病がある方の服薬管理なども任せられます。
グループホームは認知症を持つ高齢者を対象とした施設で、ユニットと呼ばれる5~9名のグループで家事などを分担しながら共同生活を送ります。
介護職員は入居者3人に対して1人以上配置され、夜間も見守りが必要なことから24時間体制で常駐しています。また、ケアプランを立てる計画作成担当者と管理業務をおこなう管理者が、それぞれユニットごとに配置されます。
特別養護老人ホームは基本的に要介護3以上の高齢者が入居する施設で、介護だけでなく医療ケアにも対応しています。人員基準は入居者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置が定められています。
また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。
デイサービスは医師の配置義務がなく、基本的に常駐していません。このため、通所で医療ケアを受けたい場合は、デイケアを利用すると良いでしょう。デイケアは身体機能や日常生活の維持・回復、認知機能の改善などの医療的ケアに重点を置いており、常勤の医師が1名以上勤務しています。
デイサービスに勤務する看護師の主な役割は、体温や血圧測定などのバイタルチェックや、デイサービス利用中に生じた小さな傷の手当などです。経管栄養や胃ろうなどの医療行為には基本的に対応していません。
デイサービスの介護職員の人数は、利用者の定員により決まります。15名以内は1名以上ですが、15名を超える場合は次の計算式で算出できます。
例えば、定員が30名のデイサービスは「(30名-15名)÷5+1=4」となり、4名以上の介護職員が専従しています。
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