思うように外出できない要介護者の生活は単調になりがちです。
そんな利用者に楽しんでもらうため、多くのデイサービスでは、季節の移り変わりが感じられるイベントをたくさん企画、開催しています。
季節感を取り入れたイベントは、利用者の生活にメリハリを与え、利用者同士のコミュニケーションを深めて孤独感を解消してくれます。また、曖昧になりがちな時間や日時の感覚を取り戻すきっかけにもなります。
本記事では、利用者に楽しんでもらえるイベントの工夫やアイデア、イベントをおこなう際の注意点などを紹介します。
Contents
デイサービスのイベントには、運動機能や認知機能の維持、向上、ストレス発散、他者とのコミュニケーション促進などの目的があります。
定期的におこなわれるデイサービスのイベントに季節感を取り入れることで、楽しみながら参加してもらうイベントとなります。
では、季節感を取り入れたイベントにはどんなものがあるでしょう。ここでは、季節の行事を取り入れたイベント例を、月ごとに紹介します。
季節の行事 | |
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1月 | 新年会 |
2月 | 節分 |
3月 | ひな祭り |
4月 | お花見 |
5月 | 端午の節句、母の日 |
6月 | 父の日 |
7月 | 七夕 |
8月 | 夏祭り |
9月 | 敬老会 |
10月 | 運動会 |
11月 | 紅葉狩り |
12月 | クリスマス会、忘年会 |
1月は新しい1年がスタートする大切な月です。おめでたい雰囲気が味わえる華やかな飾りつけは、新年会をおおいに盛り上げてくれます。利用者の家族を招待して交流したり、福笑いやおみくじなどを楽しむのもおすすめです。
みんなで初詣に出かけたり、施設内に手作りの鳥居をたててお参りするなどの工夫をしている施設もあります。
その他にも、絵馬づくりや餅つき大会、羽根つきなど、日本の伝統的な行事を取り入れたさまざまなレクリエーションが実施できる月です。
お餅をふるまうときは小さく切ったり、飲み物と一緒に提供するなどの配慮が必要です。
スタッフが鬼になり、利用者が豆や、豆のかわりに新聞紙を丸めたボールを投げる豆まきを楽しむ施設が多くあります。豆まきには、投げるという機能訓練とストレス発散の効果が期待できます。
節分は地域によってさまざまな風習が存在するので、回想法レクリエーションとして利用者達の生まれ育った地域の風習を語り合うのも効果的です。
また、2月といえばバレンタインデーイベント。あたためたチョコレートに果物やカステラを浸して食べるチョコフォンデュを味わったり、オリジナルチョコデザート作りのレクリエーションも楽しめます。
ひな人形がある施設では、利用者と一緒に飾りつけの作業をおこなうだけでも華やかでウキウキとした気分になれるものです。折り紙や紙コップを使ったひな人形作りは、細かい作業による指先や頭の運動効果も期待できるのでおすすめです。
ひな祭りといえば女性中心のイベントですが、ひな人形の顔出しパネルを使った撮影会や、男性利用者に烏帽子を被ってもらうなど、女性のみならず男性も参加できるイベント作りも大切です。
日本の伝統的な遊びの「ハマグリを使った貝合わせ」は、男性利用者も神経衰弱を風流に楽しむことができるレクリエーションですよ。
春といえばお花見。日本人にとって特別感のある桜は、眺めるだけで心が弾みます。あたたかい風と春の日差しを浴びながらのお花見散策は、季節感を肌で感じることができる貴重な体験です。
外出が難しい利用者には、手作りの桜の木で室内を飾ったり、桜を題材にした俳句を作ったりなど、施設内で楽しむ工夫が必要です。また、敷地内にある花を眺めながらお花見弁当を食べるだけでも良い刺激になります。
デイサービスは、原則事業所内でのサービスです。介護保険サービスとして外出レクリエーションを実施するには、「外出することで機能訓練等を効果的に提供できる」という理由や目的のもと、あらかじめ各利用者の通所介護計画書の中に「機能訓練として外出レクレーションをおこなう」と記載しておく必要があります。車で外出するお花見ドライブなどは、機能訓練として認められない可能性があります。
5月初旬には端午の節句があります。折り紙や紙粘土で鯉のぼりを手作りしたり、端午の節句豆知識クイズ大会などが楽しめます。無病息災を祈願してしょうぶ湯を提供する施設もあるようです。
5月の第2日曜日の母の日は、女性利用者に喜んでもらえるイベントが中心となります。手作りメッセージカードをプレゼントしたり、メイクやネイルのサービスも大変喜ばれます。また、折り紙でのカーネーション作りは、指先の機能訓練を兼ねたレクリエーションです。
父の日は男性利用者が主役のイベントです。若い世代が多いスタッフから、「利用者がお父さんのような存在である」ことや「いつも会えるのを楽しみにしている」という気持ちを伝えるメッセージカードをプレゼントすると、きっと喜んでもらえるでしょう。
また、6月は雨が多く外出する機会が少なくなってしまいます。風船バレーやラジオ体操など、室内で体を動かすことができるレクリエーションを取り入れると良いでしょう。
北海道(札幌市)|青森県|岩手県|宮城県(仙台市)|秋田県|山形県|福島県
東京都|神奈川県(横浜市 / 川崎市 / 相模原市)|埼玉県(さいたま市)|千葉県(千葉市)|茨城県|栃木県|群馬県
愛知県(名古屋市)|岐阜県|三重県|静岡県(静岡市 / 浜松市)
大阪府(大阪市 / 堺市)|京都府(京都市)|兵庫県(神戸市)|滋賀県|奈良県|和歌山県
岡山県(岡山市)|広島県(広島市)|鳥取県|島根県|山口県|徳島県|香川県|愛媛県|高知県
七夕は、折り紙やアルミホイルを使ったキラキラと輝く天の川作りや、さまざまな難易度の笹飾り作りなど、指先の機能訓練になる工作レクリエーションがたくさん実施できます。
利用者によっては、七夕を幼い子どもの行事だからと嫌がる人もいるようなので、古くから伝わる伝統行事であることや、飾り物に込められた意味や由来を説明するなど、興味を持ってもらえる工夫をしてみましょう。
8月といえば、盆踊りや花火大会などワクワクするイベントが目白押しです。たこ焼きや焼きそば、チョコバナナなどを用意すれば、利用者にお祭り気分を味わってもらうことができます。輪投げやヨーヨー釣り、金魚すくいなども、アイデア次第では室内でも楽しめます。
また、準備の段階から利用者にもお手伝いしてもらうことで、達成感を感じてもらうことも大切です。利用者の家族を招待して、大々的に夏祭りを実施する施設もあるようです。
敬老会とは、多年にわたり社会に貢献してくださった老人に敬意を表し、長寿を祝う行事です。高齢者が集まるデイサービスでは、敬老の会はとても重要なイベントです。
傘寿や米寿など節目の年齢を迎える利用者の表彰は、表彰者に特別感を感じてもらうとともに、表彰者以外にも「次は私が表彰してもらえる」という生きがいを持たせることができます。
日常的に子どもと関わることがない利用者のために、近隣の幼稚園や保育園の子ども達との交流を企画する施設もあります。
10月の第2月曜日はスポーツの日。この日に合わせて運動会を開催する施設が多くあります。適度な運動による身体機能の維持、向上に加え、運動したり、声を出して応援することによるストレス解消効果、職員や利用者同士間のコミュニケーション増加が期待できます。
競技が続くと疲れてしまうので、参加と見学の時間をバランスよく配分して計画をたてる必要があります。
デイサービスでおこなわれる運動会では、車いすでも参加できる以下のような競技が人気があります。
美しく色づいた木々を眺めながらの散歩は、ストレス解消や脳への刺激になります。紅葉を眺めながら、栗やさつまいもなど秋の味覚が入ったお弁当を食べれば、より季節感を感じることができるでしょう。
4月のお花見同様、外出できない利用者がいる場合は、室内でのイベントも合わせて検討しておくことが大切です。
車を使った紅葉ドライブなど機能訓練につながらない外出レクリエーションは、介護保険サービスとして認められない可能性があるので注意が必要です。
クリスマス会のツリーやリースの飾り付けは、大人でもわくわく感が楽しめるものです。機能訓練を兼ねて装飾を手伝ってもらうこともできます。クリスマスケーキと、果物やアラザンなどの飾り物を用意して、オリジナルケーキ作りもおすすめです。
職員がサンタやトナカイの仮装をしたり、利用者にサンタ帽を被ってもらって一体感を演出すると、より盛り上がるでしょう。
クリスマス会では、以下のような出し物が人気です。
忘年会には、新年の準備を兼ねて餅つき大会をおこなう施設もあります。「1年間楽しかったな」「来年も楽しみだな」と思ってもらえるような明るい雰囲気とともに、1年間通ってくれてありがとうの気持ちが伝えられると良いですね。
利用者の笑顔を見ることができる楽しいイベント。季節感を取り入れたイベントの実施は、楽しいだけではなく、利用者にとってさまざまなメリットがあります。
節分やお花見、ひな祭り、七夕、クリスマスなど、年間を通したレクリエーションの実施は、利用者に季節を感じてもらうことが目的のひとつです。
単調になりがちな日々に季節感を加えることで、時間感覚を取り戻したり、次のイベントへの期待感を持たせることができます。
いつもとは違うイベントや特別感のある食事が利用者に刺激を与え、脳の活性化につながります。運営や飾りつけの手伝いには、機能訓練や承認欲求を満たす効果も期待できます。
さまざまなイベントに参加し、いつもと違う行動や運動をおこなうことで、身体機能の維持や向上が望めます。また、装飾物の作成や飾りつけは、指先を使った機能訓練になります。
イベントへの参加や運営の手伝いを通じて、スタッフや他の利用者とのコミュニケーションが深まり孤独感が緩和されます。
新年会や夏祭りなど、利用者の家族や地域の人たちが参加するイベントでの交流も、良い刺激になります。
楽しいイベントは、ストレスを発散し気持ちをリフレッシュさせてくれます。イベントで感じる「楽しかった」という思いは、次のイベントへの期待となり、楽しみに待つ生きがいとなります。
イベントを開催する際、可能な限り利用者に手伝ってもらうことで、利用者に使命感や達成感が生まれます。
また、周りの期待通りに仕事をこなすことで承認欲求が満たされて自己肯定感が生まれ、意欲向上、認知予防にもつながります。
利用者やスタッフ、全員が楽しめるイベントを開催するにはどんな点を注意すれば良いでしょうか?イベントを運営する際に押さえておきたいポイントを紹介します。
利用者一人ひとりの個性や、利用者同士の人間関係を理解してスタッフの間で共有しておくことで、馴染めない利用者への気配りが可能になり、利用者への無理強いを防ぐことができます。
イベントが盛り上がると、楽しむあまり利用者を子ども扱いしてしまったり、マナーを忘れた対応をしてしまうことがあります。目上である利用者への敬意を忘れず、自尊心を傷つけないようにする注意が必要です。
イベントを開催する際、事前に台本を作っておくと安心です。食事や入浴など、日常のサービスに支障が出ないようにするための時間配分や、スタッフの仕事分担も含めて台本を作成しておくと、イベントをスムーズに進行することができます。
イベント後は反省点や改善点を追記しておくと、翌年はより安心して進めることができるでしょう。
耳の遠い方に配慮し、イベントの進行やルール説明は大きくはっきりとした声で、ゆっくりと話しかけることを意識しましょう。
語尾がきつくなったり慌てた話し方をしてしまうと、怒鳴られていると感じてしまう人もいるので、優しくおちついた声を心がけることも大切です。
デイサービスでのイベントは、参加者全員が楽しめることが大切です。しかし、利用者の中には、他者とのコミュニケーションが苦手な方がいるかもしれません。
人の輪に入るのが苦手な人は、馴染めないことに孤立感を感じてしまうこともありますので、参加しやすい雰囲気作りを心がけましょう。
イベントでは、楽しむあまり自身の体調の変化に気づかずに没頭してしまうことがあります。スタッフも手いっぱいで体調への気配りがおろそかになってしまうこともあるかもしれません。
季節の変わり目や真夏、真冬などにおこなわれるイベントでは、特に体調の変化に注意を払う必要があります。まめに利用者への声かけをおこない、目を配るようにしましょう。
みんなが笑顔で楽しめるイベントを開催するには、まず職員自身が楽しむことが大切です。
日常の業務と並行してのイベントの企画や準備は大変ですが、職員が一緒に楽しんでいる様子が利用者の気持ちをより一層盛り上げ、一体感のある笑顔があふれるイベントを実施することができます。
デイサービスでおこなわれる季節のイベントについて、よくある質問をまとめました。
季節を感じることができるイベントに参加することで、季節の移り変わりを肌で感じてもらうことができます。また、他の利用者や職員、利用者の家族や近隣の住民との交流を深めることも大きな目的のひとつです。
新型コロナウイルスなどの感染症の流行により、デイサービスでもさまざまな対策が必要になっています。利用者や職員の体温確認、マスク使用やアルコール消毒、手洗いの徹底、換気を常時おこなうなどの対策を実施している施設が多くあります。
レクリエーションは、日常生活の中で楽しみながら、身体・認知機能の向上、維持を目的としています。イベントは、そのシーズンならではの季節感を盛り込み、利用者の生活に楽しみや生きがいを感じさせてくれる行事です。
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