要介護認定を受けた方の中には、要介護3と要介護4の違いが良くわからないという方もいるはずです。
そこで今回は、要介護3と要介護4の身体状況や介助時間から、受けられる介護保険サービスなどにどのような違いがあるのかを調べてみましょう。
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要介護3と要介護4の大きな違いは、身体状態と介助時間にあります。
身体状態については、要介護3が家事や入浴、排泄など日常の生活動作全般に介護が必要な状況に対し、要介護4では要介護3の状況がさらに低下し、昼夜を問わず介護なしの生活を送ることは難しいうえ、認知機能の全般的な低下が見られるケースが増えます。
以上のように、要介護3よりも要介護4の方が介護を必要とする場面が多くなるため、介助時間も長くなる傾向があります。
要介護3の身体状況は、日常生活において、さまざまな動作を自分だけではスムーズにおこなえない状況です。食事や入浴、排せつなど全面的な介助が必要となります。
また、要介護3の状態では認知機能の低下が進むことも多く、今がいつでどこにいるかわからなくなる見当識障害や、計画立った行動ができなくなる実行機能障害などの症状が現れ始める人もいます。
要介護4の身体状況は、日常的に介護が必要となる状況です。自立することや歩くことなどの基本的な動作を介助なしにおこなうことが難しく、座った状態を保つことすら難しい状況です。
また、同時に認知機能の低下がさらに進み、場合によっては意思疎通が難しくなることもあります。
内閣府の「令和4年版 高齢社会白書(全体版)」によると、要介護3よりも要介護4の方の方が、介護時間が長い傾向にあることがわかります。
次の表から、必要な介助時間として最も多く選ばれている「ほとんど終日」の割合を比べてみると、要介護3では32.50%、一方の要介護4では45.80%と、要介護4の方が終日介護を必要とする可能性が高いことわかるでしょう。
要介護3 | 要介護4 | |
---|---|---|
必要な時に手を貸す程度 | 27.70% | 11.50% |
2~3時間程度 | 13.10% | 21.70% |
半日程度 | 17.60% | 8.60% |
ほとんど終日 | 32.50% | 45.80% |
その他 | 5.90% | 7.70% |
不詳 | 3.30% | 4.70% |
出典:「令和4年版高齢社会白書」(内閣府)より一部抜粋
要介護度の認定基準は、厚生労働省が定めた「要介護度認定基準時間」がひとつの基準となっています。
「要介護度認定基準時間」は、介護の手間にかかる時間を表したもの。介護を受ける方ができることや介助の方法、障がいがあるかないかなどから、統計データによって時間を推計しています。
要介護度により、以下のように定められています。
出典:「要介護認定はどのように行われるか」(厚生労働省)
例えば要支援1なら「要介護度認定基準時間」は25分以上32分未満、要支援2と要介護1なら「32分以上50分未満」と定められています。
この基準に該当する、または相当すると判断された場合にそれぞれの要介護度が認定されます。
場合によっては、要介護認定の結果に納得できないケースもあります。そこで、できる対策として、2つの手段を解説します。
要介護認定の結果に不満がある場合、要介護者の保険や医療、福祉に関する学識経験者によって構成される「介護保険審査会」という機関に対して「不服申立て(審査請求)」をすることができます。
その審査によって申立てが妥当なものだと判断された場合、要介護認定の結果が取り消され、改めて認定審査をやり直してもらえます。
ただし、申請可能期間が認定結果を受けた翌日から3ヵ月以内までと短いことに加え、再度、要介護度が認定されるまでには多くの時間がかかることを覚悟しておかなければなりません。
要介護認定の結果に対して「不服申立て(審査請求)」をする際には、下記にある書類が必要になります。
要介護認定の結果に納得がいかない場合は、「不服申立て(審査請求)」の他にも「区分変更申請」をおこなう手段もあります。
本来「区分変更申請」は、要介護認定を受けた後、被保険者の身体的・心身的状態に変化が起きた場合に再調査をお願いする手続きですが、認定結果に不満があるときにも利用できます。
「区分変更申請」を検討する際は、下記の書類を集めて市町村の担当窓口に提出し、変更処理がおこなわれるのを待ちます。まずは、担当のケアマネージャーに相談してみると良いでしょう。
要介護3と要介護4では、どちらもほぼすべての介護保険サービスを利用できるので、受けられる介護サービスの内容に違いはありません。ただし、要介護3よりも要介護4の方の方が、介護保険施設に入居しやすい傾向です。
これには、最も介護を必要としている方を先に受け入れるという公的施設の性質もありますが、施設側にとって、要介護3の方を受け入れるよりも要介護4の方を受け入れた方が介護保険給付が多いという側面もあるからです。
しかし、要介護3と要介護4の利用できる介護保険サービスの種別に違いはないので、受け入れ体制にある老人ホームに入居した場合には、どちらの介護度の方もほぼ同じ条件の介護保険サービスを利用することができます。
要介護3と要介護4では、利用できる介護保険サービスの種類に違いがないとはいえ、利用できる介護保険サービスの量には違いがあります。
なぜなら、下記の表にあるように、要介護ごとに区分支給限度基準額が設定されており、要介護3と4では定められた単位数が異なるからです。つまり、要介護4の場合では、要介護3では利用することができなかったサービスを、現在利用しているサービスに加えて利用できる可能性が高まります。
要介護3 | 要介護4 | |
---|---|---|
1割負担 | 27,048円 | 30,938円 |
2割負担 | 54,096円 | 61,876円 |
3割負担 | 81,144円 | 92,814円 |
要介護3と要介護4の大きな違いは身体状況と介助時間です。要介護3では食事、入浴や排せつなどの生活動作全般をスムーズにおこなうことが難しいため、日常的な介助を必要とするのに対し、要介護4では、さらに身体状況が悪化し、思考力や判断力などの認知機能が低下することで、介護なしの生活は難しい状態になります。
要介護3の方が利用できる施設は、国や地方自治体などの助成が受けられる公的施設では、特別養護老人ホームや介護型ケアハウス、介護医療院などがあります。また、民間施設では介護付き有料老人ホーム、住居型老人ホームやサービス付き高齢者住宅など、さまざまな介護施設に入居することが可能です。
要介護4の身体状況では、在宅介護することは難しいでしょう。被保険者の身体的・精神的状況が悪化した場合には必要な医療ケアや介護サービスが増え、施設に入居するよりも経済的負担が大きくなってしまう恐れがあります。さらには、認知能力の低下から、介護する側の負担が増えてしまい、介護うつを発症するリスクも高まります。
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