公的介護保険だけでは介護費用をまかなう自信がない方や、将来的に有料の介護サービスを利用する可能性がある方は、民間の介護保険を検討しておくと安心です。
まずは、民間介護保険の特徴や仕組み、メリット・デメリットを理解しておきましょう。
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民間介護保険とは、生命保険会社などの民間企業が取り扱う保険商品です。公的介護保険の自己負担分などを補完する存在として利用され、介護にかかる経済的負担を軽減します。
公的の介護保険には要介護度に応じた利用限度額があり、自己負担が発生します。場合によっては、介護にかかる費用負担を要介護者やその家族だけでは補えないケースもあり、民間の介護保険の必要性が高まります。
ただし、民間の介護保険は自助努力の位置づけです。さまざまな民間企業が販売する保険商品の中から、自分に合った商品を選ぶことが重要です。
民間の介護保険商品の中には、被保険者が認知症になったときに保険金や給付金を受け取れる「認知症保険」も販売されています。
所定の認知症と診断されると保険料や給付金がまとまった一時金として支払われ、認知症の治療にかかる医療費など介護にかかるさまざまな費用に利用できます。
また、認知症の行動が引き起こす他人にケガを負わせたり、お店の商品を破損してしまうなどのトラブルによる損害に備えるためには、損害保険会社が販売する「個人賠償責任保険」を利用できます。「個人賠償責任保険」は、法律上の損害賠償責任を負った場合に発生する賠償金を補償します。
| 民間介護保険 | 公的介護保険 | |
|---|---|---|
| 給付 | 現金支給 | 現物支給 |
| 加入 | 任意加入 | 強制加入(40歳以上) |
| 給付の対象者 | 被保険者 | 65歳以上の方は要介護(要支援)度に応じて 40歳以上65歳未満は特定疾病の方のみ |
| 給付額 | 金額設定は任意 | 要介護度に応じて |
| 保険料(設定・徴収法など) | 年齢・加入条件などに応じて | 65歳以上の方は自治体ごと 40歳以上65歳未満の方は公的医療保険の保険料と一括徴収 |
| 税制優遇 | 介護保険料の一部控除 | 社会保険料の全額控除 |
| 保険料支払い免除 | 保険商品による | なし |
| 手続き先 | 各保険会社 | 各自治体 |
| 申請にかかる期間 | 各保険会社による | 1カ月 |
表の通り、民間の介護保険と公的介護保険の仕組みにはさまざまな違いが存在します。ここからは、最も大きな違いについて詳しく説明します。
公的介護保険と民間介護保険における最も大きな違いは、給付方法の違いです。公的介護保険は、かかる費用の一部を公的保険がまかなうことで介護サービスそのものを給付するのに対し、民間介護保険は現金支給という形で給付します。
さらに民間介護保険では、支払われる金額や支払い方法などの契約内容が、各保険会社によって異なります。そのため、多くの民間企業から販売されている複数の介護商品を比較して、被保険者またはその家族の状況に合った適切な介護保険商品を選び取ることができるのです。

公的介護保険と民間介護保険では、加入方法も異なります。公的介護保険とは異なり、民間介護保険は絶対に加入しなければいけないものではありません。
民間介護保険は、自分から申し込まなければ利用できない任意加入であるからこそ、自分の人生設計に必要性を感じたときに、自分の生活やニーズに合う商品を選択して加入することが大切です。
公的介護保険の給付対象は、65歳以上もしくは40歳以上65歳未満の特定疾病と認定された介護サービスが受けられる方に限定されているのに対し、民間介護保険の給付条件に年齢制限は、基本的にありません。
よって、契約内容によっては40歳以下の方の場合でも、民間介護保険の給付を受けることは可能です。
民間介護保険は任意加入だからこそメリット、デメリットを徹底的に比較して、加入する必要性があるかないかを見極めましょう。
民間介護保険を利用するメリットには、次のようなものが挙げられます。それぞれ詳しく見ていきます。

民間の介護保険を利用する最も大きなメリットはやはり、介護にかかる経済負担の不安を軽くできることです。
介護には、介護サービスを受ける費用の他にも、自宅のリフォーム費用やタクシーなどの移動費、介護度によってはおむつなどの消耗品に多くの費用がかかります。
民間介護保険を利用することによって、これらのような介護にかかる経済的な負担を少しでも和らげることができれば、本人だけでなく支える家族の不安感を減らせます。
民間介護保険は、現金で支給されることも大きなメリットのひとつです。介護には介護サービス以外にもさまざまな費用が必要になります。しかし、公的介護保険は介護サービスの一部の費用を負担する形で給付されるので、利用用途が限定されます。
民間介護保険で受給した現金は、介護サービスの費用はもちろん、自宅のリフォーム代やおむつ代、さらには生活費などさまざまな費用に利用できます。
民間介護保険では、65歳未満であっても保険金を受け取れるという点も見逃せないメリットです。
65歳未満の働き盛りに介護が必要になってしまう可能性は、まったくないとは言い切れず、そうなってしまうと家計に大きなダメージを与えることになります。年齢を問わず保険料を受給できる点に利点を感じる人も多いでしょう。
公的介護保険の給付対象は、65歳以上もしくは国が指定する16の特定疾病と認定され介護サービスを受けられる人のみです。しかし、民間の介護保険では65歳未満の方であっても保険会社が定めた給付条件を満たしていれば、保険料を受け取ることができます。
民間介護保険を賢く利用するためには、次のようなデメリットをしっかり理解しておくことも大切です。

民間の介護保険に加入手続きをおこなう際には、他の保険商品と同じく、保険会社に申込者の現況の健康状態を正しく伝えなければなりません。
ケガや病気などの既往歴がある場合や健康状態によっては、民間介護保険に加入できない可能性があります。
民間の介護保険の保険金は、保険会社が定める給付条件を満たしていなければ受け取ることはできません。この給付条件は、公的介護保険に準じている場合もありますが、保険会社独自の基準が定められている場合もあります。
すなわち、民間の介護保険では、要支援・要介護認定を受けていても必ず保険金を受け取れるわけではないということ。
公的介護保険では給付の対象となる要支援や要介護1のケースでも、保険会社の定める給付条件によっては給付対象にならないことが多くあります。
では、どういった人が民間介護保険の加入の必要性が高い人なのでしょうか? 必要性の高い人と低い人を比べてみましょう。
民間介護保険の加入の必要性が高い人には、次のような特徴があります。詳しく説明していきましょう。
図のように、介護に必要な費用は、自宅の改装工事や車いすやベッドなどの設備にかかる一時金が平均74万円、また、介護サービスの費用やや紙おむつなどの消耗品などにかかる費用には月々平均8.3万円ほどかかります。
これらの費用を本人または家族で支払う余裕がない人は、民間介護保険に加入して備えておく必要があります。
身近に介護や身の回りの世話をしてくれる人がいない方は、有料の介護サービスに身の回りの世話を依頼する可能性が高くなります。そのためにも、民間介護保険を活用して、将来の介護費用を多めに用意しておくことをおすすめします。
一方、民間介護保険に加入する必要性が低い人の特徴には、次のようなものが挙げられます。
年金やその他の収入、もしくは十分な貯蓄があり、介護費用を自分でまかなえる可能性が高い人は、無理に民間の介護保険に加入する必要はないでしょう。
民間の介護保険に加入する目的は、公的介護保険でまかなえない負担を補うことにあります。よって、自分の預貯金で介護費用をカバーできる場合は、加入する必要性がありません。

家族や身近な人に身の回りの世話を頼める人は、有料の介護サービスを利用する必要がなく、介護にかかる費用を抑えることができるので、民間の介護保険を利用する必要性も低くなります。
ただし、介護は家族や身近な人の心身にただならぬ負担をかけます。あまり負担をかけたくないと思うのであれば、民間の介護保険を検討するのも良いでしょう。
ここからは、自分に合った民間介護保険を選ぶために必ず押さえておきたい4つのポイントを紹介していきます。
民間の介護保険は、次のような2つの型に分かれます。それぞれの特徴などから、自分に合っているタイプを選択しましょう。
月々支払う保険料をできるだけ低く抑えたい方には、「掛け捨て型」がおすすめです。「掛け捨て型」の介護保険の保険料は低めに設定されていることが多く、家計にかかる経済負担を無理のない範囲内に抑えることができます。
ただし、「掛け捨て型」の介護保険では、解約返戻金や死亡保険金、満期保険金がないケースが多くあります。つまり、介護保険に加入していても、所定の要支援・介護状態にならない限り、何も受け取れない可能性があることを理解しておかなければなりません。
介護保険にも、他の保険と同じく「貯蓄型」があります。「貯蓄型」の介護保険は貯蓄としての機能もあるため、所定の要支援・介護状態にならない場合でも、解約時に一定の返戻金を受け取ることができます。
ただし、「掛け捨て型」と同じ保険金額に設定した場合でも「貯蓄型」の方が月々の支払う保険料が割高になります。
民間の介護保険では保証期間を自分で設定する必要があり、次のどちらかから選びます。
「定期型」の介護保険には、保証期間が10年や20年など一定期間に設定されている商品と、ある一定の年齢まで保証される商品があります。「定期型」の介護保険のほとんどは「掛け捨て型」で、保険料を安く抑えられるところが最大のメリットです。
ただし、「定期型」の介護保険では、一定の保証期間が終了した後に介護状態になった場合には、保険金の給付が受けられないことを覚悟しておく必要があります。
生きている限り介護保険の保証を受けたい場合には、一生涯保証が続く「終身型」を選ぶことをおすすめします。
ただし、「掛け捨て型」の「定期型」に比べ、保険料が割高なことはデメリットになるでしょう。また「終身型」では、保険料の支払い負担が長く続くことも理解しておかなければなりません。
介護保険の受け取り方法は3つのタイプに分かれており、それぞれの特徴から自分に合ったものを選びます。
一時金タイプの介護保険では、被保険者に介護が要介護の状態になった時点で、契約時に設定した金額を一時金としてまとめて受け取ります。初期費用など、まとまったお金が必要になったときに役立ちます。
ただし、一時金を受け取った時点で契約が終了するので、介護が長期化した場合は資金が不足してしまう可能性があります。
年金タイプの介護保険では、公的の介護認定を受けたとき、または保険会社独自の支給条件を満たしたときから、1年に1回など契約時に設定した期間に継続して保険金を受け取ります。ただし、まとまったお金が必要になった場合には役立ちません。
年金タイプでは契約時に有期年金と終身年金のどちらかを選びます。終身年金の場合は一生涯、保険料を受け取れるので便利です。
民間介護保険に手厚い保証を求める人におすすめなのが、一時金タイプと年金タイプを掛け合わせたハイブリット型の商品です。被保険者が要介護状態になった時点で、まず一時金を受け取り、その後も継続して定期的に保険金を受け取ります。
併用型の介護保険は良いとこどりの商品ですが、当然ながら保険料が割高になるのがデメリットと言えます。
保険会社は次のような2つのタイプの給付条件を設定しており、被保険者は、それぞれの条件を満たしていなければ保証を受け取ることはできません。
「連動型」とは、各自治体が運営する公的介護保険の要介護認定の条件に連動するわかりやすいタイプの商品です。
ただし、自治体が定める要介護認定を受けてからではないと、保証を受けることができません。なんらかの理由によって介護認定が遅れてしまった場合は、民間の介護保険の保証を受けられるまでに時間がかかることがあります。
「独自型」の保険商品とは、保険会社が定めた独自の給付条件によって保証を受けるタイプです。条件に当てはまるかどうかは、保険会社独自の基準によって判断されますが、基準を満たした場合はすぐに給付金を受け取れます。
ただし、保険会社が定める基準はさまざまです。契約する前に、給付条件をきちんと把握しておくことが大切です。
介護にはさまざまな費用が必要になります。介護が必要になったときに、本人もしくはご家族に介護費用を支払う余裕がない方や、身近に身の回りの世話をしてくれる人がいない方は、民間介護保険に加入することをおすすめします。
民間の介護保険の給付基準は、商品によって異なります。自治体が定める要介護・支援認定を受けている場合であっても、保険会社の定める独自の給付条件を満たしていなければ、給付金を受け取ることはできません。
民間介護保険の特約を付けて保証を手厚くした方が安心ですが、当然のことながら、保険料も高くなります。特約を付けるか否かは、保険料が家計を圧迫してしまわないよう、それぞれの経済状況を踏まえてから決めると良いでしょう。
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