おやつレクでおすすめのレシピを紹介する前に、そもそもおやつレクに向いているおやつとはどんなものなのか確認していきましょう。
おやつレクに向いているおやつのレシピには、以下のような特徴があります。
おやつレクの醍醐味は、ただ提供されたおやつを食べるだけではなく、利用者が自分の手を動かしておやつを作るところにあります。
つまり、目からの刺激だけではなく、自分の手を動かして指からの刺激を受けることで脳が活性化され、認知症の症状の抑制にもつながるのです。
また、自分で作ることでいつものおやつよりもさらにおいしく感じられるでしょう。
自宅での食事は栄養が偏りがちです。特に一人暮らしや夫婦だけの世帯の場合、毎日同じような食事になってしまう傾向があります。
そのため、デイサービスでのおやつは大切な栄養源。高齢者に不足しがちなタンパク質や食物繊維、ビタミンなどを補う食材を使ったおやつを作ると、利用者の栄養状態の改善につながるでしょう。
デイサービスの利用者の中には高齢になって身体が動きにくくなったり、認知症の影響で複雑な作業が難しくなってしまった方も多いでしょう。そのため、複雑な作業や工程が少ないレシピがおやつレクに向いています。
また、介護職員にとっても複雑な工程があるレシピだとレクの進行が難しくなってしまい、業務に支障が出る場合があるため、作り方が簡単なおやつを選びましょう。
デイサービスでのレクの時間は限られています。そのため、何時間もかかるおやつのレシピはおやつレクには向いていません。
また、作るのに時間がかかるおやつだとレクに参加する利用者の心身の負担も大きくなります。利用者の負担も考えて、短時間で完成するおやつのレシピを選びましょう。
介護職員や他の利用者とコミュニケーションを取りながら作れるレシピは、おやつレクに向いています。
なぜなら、人とコミュニケーションを取ることがデイサービスの目的のひとつだから。そのため、利用者同士で協力したり、デイサービスでのコミュニケーションが増えるきっかけになるようなおやつのレシピを選ぶと良いでしょう。
ここからは、おやつレクにおすすめのレシピを紹介します。簡単に作れて栄養価が高いものばかりなので、ぜひ活用してみてください。
生クリームとマスカルポーネチーズのコクで満足度が高く、火を使わずに簡単に作れるティラミスです。
スキムミルクをクリームに入れることで、高齢者が不足しやすいタンパク質やカルシウムも補えます。
生クリームに砂糖とスキムミルクを入れてしっかり泡立ててホイップクリームを作ります。角が立つくらいが目安です。
ホイップクリームに、常温に戻しておいたマスカルポーネチーズを加えます。ホイップクリームの泡を潰さないよう、切るように混ぜるのがポイントです。
カステラを一口サイズにちぎります。指でちぎるのが難しい場合は、スプーンやフォークを使って切るのも良いでしょう。
カップの底に細かくちぎったカステラを敷き詰めます。
カップに敷き詰めたカステラに、大さじ3杯ほどのお湯で溶かしておいたインスタントコーヒーをスプーンでかけます。苦味やコーヒーが好きな方は、カステラをコーヒーに浸すのもおすすめです。
カステラの上にクリームを入れます。カステラが見えなくなる程度でOKです。
クリームの上にカステラを入れ、インスタントコーヒーをかけます。さらにその上にクリームを乗せます。
最後にクリームの上からココアパウダーを茶こしでふりかけて完成です。
むせやすい方にはココアパウダーを少量にしましょう。少量でもココアの風味は感じられます。
カステラやクリーム、コーヒーなどの量を自由に調整できるのが良いですね!自分の好みで作るのも楽しいそう!私はクリームたっぷりにしちゃお!
材料をお湯で溶かすだけの簡単なくず湯を紹介します。栄養たっぷりなうえに黒糖ときな粉の味が高齢者に好まれやすいところも魅力です。
おやつレクで材料の下準備をしておいて、水分補給の際、すぐ飲めるようにしておくのもおすすめです。
くず粉を袋に入れて、すりこぎなどで叩いた後に押しつぶして粉状にします。黒糖もかたまり状のものを使う場合は、同様に細かくしておきます。くず粉は溶けにくいので、この段階でよくつぶしてパウダー状にしておくことがポイントです。
マグカップなどに黒糖、きな粉、くず粉を入れます。混ぜにくい場合は、口の広いお椀などに入れて混ぜても良いでしょう。
カップに大さじ1杯の水を入れて、よく混ぜます。くず粉がダマになりやすいので、泡立て器で混ぜるのもおすすめです。
お湯を入れて、さらによく混ぜます。
くず粉がまんべんなく溶けると、薄くとろみがつきます。とろみが出てきたら完成です。
簡単にできる和風ドリンク!おやつレクのときだけじゃなく、普段の飲み物としても活躍しそうですね。
お昼をまたいで長時間デイサービスを利用する場合、昼食の提供があります。食事の提供という点では昼食だけでも十分ですが、多くのデイサービスではおやつの提供もしています。
それには、以下のような理由があります。
高齢になると1食の食事量が減少し、1日の活動に必要なエネルギーが不足しがちに。エネルギーが不足すると筋力や体力の低下、活動意欲の低下につながり、身体状況の悪化を引き起こすおそれがあります。
そのため、必要なエネルギーを摂取しやすいようにおやつとして食事の回数を増やしているのです。
自宅で生活している高齢者の中には、自分で食事を用意することを負担に感じて食事の回数を減らしてしまう人もいます。また、3食きちんと摂っていても、パンやでき合いの惣菜などで済ませてしまうこともあるでしょう。
そうした食事だと、栄養が偏ってしまうことも。不足した栄養をおやつで補う目的もあります。
おやつは、ただおいしいだけではなくて、栄養を補給するという大切な目的があるんですね!
管理栄養士 永井涼子さん
医療法人社団芙蓉会が運営する「ふよう病院」や併設の「ふよう病院介護医療院」にて、患者の栄養管理や栄養指導をおこなう。
合わせて、同法人が運営するデイサービスの食事の献立作成や栄養指導もおこなっており、高齢者の栄養管理の実績は多数。高齢者やその家族へ、食事についての適切な知識を提供することを大切にしている。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。