特別養護老人ホームの人員基準について「どのようなスタッフにお世話をしてもらえるの?」「安心して家族を任せられる体制なのだろうか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、特別養護老人ホームの人員基準と気をつけるポイント、他施設との比較について紹介します。
特別養護老人ホームへの入所を検討中の方や施設選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
介護保険法では、介護施設などが適切な介護サービスを提供するために、職員の資格や人数、勤務体制などの人員基準を定めています。
特別養護老人ホームの人員基準は、以下の通りです。
職種 | 人員基準 |
---|---|
施設長 | 原則専従で常勤1名。※社会福祉主事、福祉経験2年以上などが要件 |
介護職員または看護職員 | 原則専従で、入居者3名に対して常勤換算1名以上 |
医師 | 健康管理や療養上の指導をおこなうために必要な数 |
機能訓練指導員 | 1名以上。当該特養のほかの職種との兼務可 |
生活相談員 | 入居者100名に対して常勤1名。※社会福祉主事、福祉経験2年以上などが要件 |
介護支援専門員(ケアマネジャー) | 原則専従で常勤1名以上。入所者の処遇に支障がない場合、当該特養のほかの職種との兼務可 |
栄養士 | 1名以上 |
それぞれの職種について説明していきます。
施設長は特別養護老人ホームの責任者です。施設の運営や行政管理、人事、労務管理など施設全体の管理(マネジメント)業務を行っています。
施設の規模によっては、施設長が介護業務を兼務することもあります。
介護職員は、入所者の食事や排泄、着替え、入浴など日常生活で必要な介助をおこなうのが主な仕事です。
施設のケアマネジャーが作成したケアプランに沿った介護サービスを提供し、入所者がその人らしい生活を送れるよう手助けする役割を担っています。
看護職員は、医師の管理・指示のもとで、入所者の健康状態の把握はもちろんのこと、褥瘡(床ずれ)の予防・処置、点滴や服薬の管理などの医療的な業務をおこないます。
本来、医療行為は医師や看護師でなければできませんが、規制緩和により一定の条件を満たせば介護職員でも、痰の吸引や経管栄養の処置などの一部の医療行為をおこなえます。
特別養護老人ホームの医師は、施設の看護師に指示を出しながら、入所者の健康管理や療養上の指導をおこないます。診察や予防注射、処方箋の発行など、入所者のかかりつけ医のような役割を担っています。
機能訓練指導員は、入所者の健康状態を把握して、身体機能や生活機能の向上・維持を図る訓練をおこないます。施設によっては機能訓練指導員がリハビリの専門職ではない場合があります。
機能訓練指導員は、以下の資格を持つ人が業務を担います。
生活相談員は、入所者本人やご家族からの相談に応じ、さまざまな不安や困りごとに対応してくれます。入所者本人と家族からの要望を現場に伝える仲介的な役割も担っています。
さらに、ケアマネジャーや医療機関、行政などとの連携・調整や、入所契約、退所の手続きも生活相談員がおこないます。
特別養護老人ホームのケアマネジャーは「施設ケアマネジャー」と呼ばれ、入所者本人やご家族からの要望を聞いて、ケアプランの作成・管理をおこないます。
専従の施設ケアマネジャーは、直接的な介護業務は行いませんが、施設によっては介護職員などがケアマネジャーを兼務している場合があります。
特別養護老人ホームでは、栄養士が栄養バランスを考えた献立を立案し、食事の提供や栄養管理をおこなっています。
例えば、糖尿病の既往歴がある方には、栄養バランスが整った食事を提供するとともに、日頃の食事指導もおこなわれます。また、噛む力や飲み込む力が衰えた入所者の方には、安全においしく食べられるように食べやすい形や固さに調整した食事を提供します。
また、栄養面だけでなく、入所者が食事を楽しめるように季節に即した食事イベントや献立作りもおこなっています。
10名前後の人数で生活を送る「ユニット型特別養護老人ホーム」の人員基準は、一般的な特養の人員基準に加えて以下の基準が定められています 。
次に、特別養護老人ホームの人員基準の気をつけるポイントを見ていきましょう。
施設によっては、常勤換算での職員配置となっている場合があります。常勤換算とは、施設で働いている職員の平均人数のことです。特養の人員基準は「3:1」ですが、施設によっては、非常勤職員を多く採用して人員基準を満たしているケースがあります。
非常勤職員は、勤務時間や勤務日数が常勤職員よりも少ないことが多いため、入所者の状態を把握しきれていない場合があります。そのため、入所を希望する特養の常勤職員と非常勤職員の比率を確認しておくと安心です。
「3:1」の人員基準が適用されるのは日中のみで、24時間ずっとこの基準が適用されるわけではありません。
人員基準は時間帯によって異なり、とくに夜間は3:1を下回るケア体制になる可能性があります。
その理由は夜間は多くの入所者が眠っているため、介護・看護業務が少ないと想定しているからです。しかし、実際は夜間も見守りや医療ケアが必要な方や、寝返りや排泄介助を必要とする方もいます。
24時間体制で手厚いケアを受けたい場合は、入所前に夜間の人員体制について確認することをおすすめします。
人員基準は、介護施設が適切なサービスを提供するために厳守しなければならないルールです。
そのため、人員基準に違反した施設は「人員基準違反」となり、サービスの提供停止や、最悪の場合、介護事業者の指定を取り消される可能性があります。
入所中の施設がこのような処罰を受けると、当然、入所者の生活にも影響が出てしまいます。
指定を取り消された場合は、施設が閉鎖されるため新しい施設を探さなくてはなりません。
そのような状況にならないためにも、しっかりとリサーチをしたうえで特養を選びましょう。
特別養護老人ホームと比較するために、ほかの介護施設の人員基準も知っておきましょう。
ここでは介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、グループホームの人員基準を紹介します。
介護付き有料老人ホームの人員体制は、要介護1〜5の入居者3名に対して1人の看護職員または介護職員を配置する「3:1」が最低基準です。
ただし、より手厚いサービスを提供するために「2.5:1」「2:1」「1.5:1」としている介護付き有料老人ホームも存在します。
このような施設では、上乗せ介護費を加算する場合があるため、事前の確認が必要です。
介護付き有料老人ホームの主な人員は以下の通りです。
住宅型有料老人ホームで配置が義務付けられているのは、施設長(管理者)1名のみです。施設長以外の職種は、必要数に応じて配置されることになっています。
住宅型有料老人ホームに配置される職種は以下の通りです。
サ高住には一般型と介護型の2種類があり、それぞれで人員基準が異なります。
一般型サ高住では、介護施設のような人員基準は定められておらず、日中のみ介護や看護に関する資格を持っている職員などが常駐します。
一方で、介護型サ高住は「特定施設」の指定を受けているため、要介護者3人に対して、介護職員・看護職員が1人(3:1)の人員基準が設けられています。
グループホームでは、入居者3人に対して1人以上の介護職員の配置が必要です。
しかし、夜間や深夜は1ユニットに対して介護職員が1人以上いれば良いとされているため、グループホームの人員基準は時間帯によって異なります。
また、グループホームには入居者のケアプランを作成する「計画作成担当者」や、施設の管理業務を担う「管理者」が配置されています。
上記が、介護老人保健施設の人員配置として法律で定められている基準です。このほかにも、栄養士・ケアマネジャー・ソーシャルワーカーも、入所者100人に対して最低1名を配置させる規定があります。
事務や調理スタッフも、人数に関する指定はないものの運営側は必ず配置する必要があります。
逆に言えば、これらの人員が規定を超えている場合は、手厚いケアを受けられると考えられます。施設選びの際には、職員の人数にも注意して見てみると良いかもしれませんね。
特養の人員基準は、入所者3人に対して介護職員または看護職員1人以上の配置です。また、入居者100人に対して医師1名、看護師3名以上という基準も設けられています。特養は、要介護3以上の高齢者が入所する施設であるため、手厚い人員基準が定められています。
「3:1」の人員基準が適用されるのは日中のみで、24時間ずっとこの基準が適用されるわけではありません。
人員基準は、時間帯によって異なり、とくに夜間は3:1を下回るケア体制になる可能性があります。
特養には、施設長・介護職員・看護職員・医師・機能訓練指導員・生活相談員・介護支援専門員・栄養士の8種の職種が配置されています。
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