障害者向けグループホームの入居を考えた場合「費用はいくらかかるの?」「費用に対する補助金や支援制度を知りたい」など、不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。
入居時、また月々の利用料としていくら必要なのか、また補助金や自治体からの支援があるのかどうかが最初からわかっていれば安心ですよね。
そこでこの記事では、グループホームの利用にかかる費用や、家賃の助成制度、自治体による独自の支援制度などについてご紹介します。
障害者向けグループホームに入居した場合、以下の費用が必要です。
一般的な賃貸住宅に住むのと同様に、家賃や食費、水道光熱費などの費用がかかります。加えて、「障害福祉サービス利用料」も必要です。サービス利用料は原則として費用の1割を利用者が負担することになっています。
障害福祉サービス利用料とは、その名の通り障害福祉サービスを利用する際にかかる費用のこと。グループホームでは、障害福祉サービスを利用して支援を受けるため、利用料がかかります。
以下の表のとおり、障害福祉サービスの自己負担分は、所得に応じて4区分の負担上限月額が設定されています。ひと月に利用したサービス量にかかわらず、負担上限月額以上の費用はかからない仕組みになっています(応能負担)。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。 |
9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね600万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 | |
---|---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 | |
低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 | |
一般1 | 市町村民税課税世帯 (所得割28万円(注)未満) |
通所施設、ホームヘルプ利用の場合 | 4,600円 |
入所施設利用の場合 | 9,300円 | ||
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
(注)収入が概ね890万円以下の世帯が対象となります。
障害児の利用負担生活保護世帯や非課税世帯は負担額は0円となりますが、課税世帯は所得に応じて負担額が変わります。また、所得を判断する際の世帯の範囲は、次のとおりです。
種別 | 世帯の範囲 |
---|---|
18歳以上の障害者 (施設に入所する18、19歳を除く) | 障害のある方とその配偶者 |
障害児 (施設に入所する18,19歳を含む) | 保護者の属する住民基本台帳での世帯 |
障害者向けグループホームでは、家賃補助の制度である「特定障害者特別給付」が利用できます。
以下では、制度の概要や、申請方法について詳しくご紹介していきます。
特定障害者特別給付とは、全国の自治体で実施されているグループホーム入居者の家賃を補助する国の制度です。
家賃補助の上限は1万円で、支払う家賃が1万円に満たない場合は実際の家賃額を補助してくれます。
この制度を利用できるのは、生活保護を受給している世帯や市町村民税が非課税世帯の障害者の方です。年齢制限はなく、給付金はグループホームに入居している期間、受け取ることが可能です。また、障害の程度で給付額が変わることはありません。
ただし、あくまでも補助の対象は家賃のみであり、光熱水費や日用品費などの費用は対象外となることは覚えておきましょう。
特定障害者特別給付は入居者本人には給付されず、グループホームが代理で補助金を受け取ります。その後グループホームは、受け取った補助金分を差し引いて利用者へ家賃請求をおこないます。
給付を受けられているか確認したい場合は、グループホームからの家賃請求額に内容が記載されているため、確認すると良いでしょう。
なお、注意点として、1年ごとに家賃補助の対象者か否かの確認が市区町村によって行われるため、収入の増額等があった場合は、補助が受けられなくなる可能性があります。
また、家賃の変更があったり、グループホームを退所した場合には速やかに変更の手続きをおこないましょう。
特定障害者特別給付を受けるには、自治体への申請が必要です。申請は入居者またはその家族が、住所地の市区町村の窓口に出向いておこないます。
申請には、申請書と合わせてグループホームの家賃を証明する書類が必要となるため、事前に入居先で証明書を作成してもらいましょう。
なお、前述した通り、特定障害者特別給付の対象者は生活保護を受給している世帯と市町村民税が非課税世帯の障害者の方に限定されています。課税世帯の方は給付の対象外です。
特定障害者特別給付以外に、自治体独自で家賃の補助金制度を設けている場合もあります。
東京都立川市では、収入が一定額以内の障害者グループホームの入居者を対象に補助金制度を設けています。
ただし、特定障害者特別給付費(補足給付)で家賃の補助を受けている方は、下記の表の区分による家賃助成額から補足給付分を差し引いた額が助成されます。
利用者の所得額 | 家賃助成額 | |
---|---|---|
区分1 | 月額73,000円未満 | 全額。ただし、月額24,000円を限度にする |
区分2 | 月額73,000円以上97,000円未満 | 半額。ただし、月額12,000円を限度にする |
兵庫県神戸市では、以下の要件を満たす方が家賃の助成対象となります。
助成金額は(当該利用者が支払う家賃月額-10,000円)×2分の1(1円未満切捨て)で、補助の上限額は15,000円です。
1万円以下の家賃は特定障害者特別給付費により支給されるため、1万円を超える場合のみ、助成制度が利用できます。
千葉県船橋市では、市町村民税が非課税の方を対象に家賃の2分の1(上限月額25,000円)を助成しています。
ただし、特定障害者特別給付費の支給対象者は、家賃から特定障害者特別給付費を引いた額の2分の1(上限月額20,000円)です。
申請した月以降が家賃補助の対象となるため、申請を希望する場合はすぐに手続きを行いましょう。
神奈川県小田原市では、入所施設又は精神医療機関からグループホームに生活の場を移した方を対象に、家賃の一部助成があります。
助成額は家賃月額(特定障害者特別給付費を受けている場合はその額は控除)の1/2の額で、上限は3万円です。グループホームに入居した月から3年間が助成期間となっています。
なお、収入に関わる要件はなく、住民税が課税の方も対象です。
障害者向けグループホームの費用には、家賃・食費・水道光熱費・日常生活費が含まれます。さらに、課税世帯の方は原則1割負担の障害福祉サービス利用料も必要です。金額は応能負担となっており、所得に応じて負担額が決まっています。
家賃の一部補助をしてくれる特定障害者特別給付という制度があります。1万円を限度としており、家賃が1万円に満たない場合は実際の家賃分を補助してくれます。
自治体独自で補助をおこなっている場合があります。特定障害者特別給付以外の補助については、対象者や金額が自治体ごとに変わります。
詳しくはお住まいの市区町村の担当窓口へお問い合わせください。
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