統合失調症の方が家族にいる方は、日々の看護・介護で悩みや迷いを抱く場面が多いことでしょう。
「グループホームに入居できるのだろうか?」「入居したらどのよな支援が受けられるのだろうか?」。そんな疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、統合失調症の方がグループホームに入居するメリットや注意点、グループホーム以外で統合失調症の方を受け入れている施設について紹介します。
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統合失調症の方が入居できる施設のひとつに「精神障害者向けのグループホーム」があります。
精神障害者向けのグループホームは、精神に障害のある方が必要な支援を受けながら共同生活を送る施設です。統合失調症の方も対象となっており、年齢を問わず利用できます。
グループホームで受けられる支援は、主に以下の3つです。
精神障害者向けのグループホームでは、精神障害のある方が地域の中で自立した生活を送れるようにサポートをおこなっています。また、共同生活を送る中で、他の入居者との交流を通じて社会性を身につけることができます。
統合失調症の方がグループホームに入居するには「精神障害者保健福祉手帳」の所持が必須です。
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害の程度を基準に判定され、等級は1~3級まであります。
障害等級 | 精神疾患の状態 |
---|---|
1級 | 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるもの |
2級 | 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため、人格変化、思考障害、その他の妄想幻覚等の異常体験があるもの |
3級 | 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくはないが、思考障害、その他の妄想・幻覚等の異常体験があるもの |
なお、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けるには「精神障害の初診日から6か月以上経過していること」が条件です。
条件を満たしている場合には、申請書や診断書など必要な書類を市区町村の担当窓口に提出することで、手帳の交付を受けられます。
精神障害者向けグループホームでは、月々約6~7万円の費用がかかります。費用の内訳は、家賃や食費、光熱費の他に日常生活に必要な物品の費用や障害福祉サービス費等です。
障害福祉サービス費は所得に応じて4段階に分けられており、負担上限額は以下のようになっています。
区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
---|---|---|
生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
低所得 | 市町村民税非課税世帯(注1) | 0円 |
一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満) ※入所施設利用者(20歳以上)グループホーム利用者を除きます(注3) | 9,300円 |
一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
障害者向けのグループホームでは、介護保険や医療保険は適用外のため、保険制度からの給付はありません。
ただし、一部の家賃を補助してくれる「特定障害者特別給付」を利用すれば、月額で最大1万円の家賃補助を受けられます。家賃が1万円未満の場合は全額が補助されます。
この制度を利用するには、市区町村の窓口で手続きが必要です。助成金は利用者へ給付されるのではなく、市区町村からグループホーム側へ直接給付されます。
統合失調症の方が施設を利用するメリットは、2つあります。
順番に解説していきます。
障害者向けのグループホームでは、精神障害のある方の専門的なケアを受けられるため、症状の改善が期待できます。
統合失調症の症状を理解した専門スタッフから、一人ひとりの症状に合わせた最適な支援が受けられるでしょう。
入居によって、家族の身体的・精神的な負担が軽減できることもメリットです。
統合失調症のケアは、精神的なサポートや内服管理などの支援が必要です。大切な家族であっても毎日となると、家族の負担が大きく、想像以上に疲れがたまってしまう場合もあるでしょう。
グループホームに入居すると、これらの支援のすべてを施設へ任せられるため、家族自身の時間を確保でき、負担の軽減に繋がります。
統合失調症の方が施設に入る際は、以下の2点を確認しましょう。
入居前には、グループホームが提携している医療機関があるかどうか確認が必要です。
一般的に、統合失調症の方は、薬物療法による治療を受けながら生活を送るため、グループホームに入居したあとも定期的な通院が必要です。
現在通院している病院に入居後も通うことができれば問題ありませんが、別の地域のグループホームに入居する場合には、通院先の変更が必要です。
グループホームが提携している医療機関があれば、新たに通院先を探す手間がなくなります。
入居予定のグループホームで、統合失調症の方の受け入れ実績がどれくらいあるかという点も注意しておきましょう。
統合失調症の方を多く受け入れているグループホームは、経験に基づいた支援体制が整っています。経験豊富なスタッフから適切なケアを受けられるため、安心して生活を送ることができるでしょう。
グループホーム以外で、統合失調症の方を受け入れる主な施設は以下の通りです。
施設の種類 | 施設の目的 | 入居条件 | 入居時費用 | 月額利用料 |
---|---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 身体介助・食事・排せつ・入浴 などの介護サービスの提供 | 要介護1以上 | 0~数千万円 | 15~30万円 |
住宅型有料老人ホーム | 要介護度が比較的軽度の高齢者の生活支援 | 自立~要介護3程度 | 0~数千万円 | 11~25万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 自立した高齢者・軽度の介護を要する方が安心して生活を送れる 賃貸住宅 | 自立~要介護1程度 | 0~数十万円 | 11~25万円 |
それぞれの特徴や入居条件、費用相場について詳しく解説します。
介護スタッフが24時間常駐し、食事や入浴、排せつなどの介助や掃除・洗濯などの生活支援が受けられる民間の介護施設です。
看護師の配置が義務付けられた施設のため、医療ケアにも対応し、介護度が高くなっても終身にわたる利用が可能です。
ただし、民間施設であるため施設によってそれぞれ特色があり、設備やサービス内容、費用はさまざまです。
原則として65歳以上で、要介護1以上の方が入居可能です。ただし、要支援・要介護認定を受けていれば、40歳以上の方も利用できます。
統合失調症の方の受け入れは施設によって異なるため、施設への問い合わせのタイミングで確認しておきましょう。
介護付き有料老人ホームに入居する際には「入居一時金」と、毎月支払う「月額料金」の2種類の費用が必要です。
費用相場は、入居一時金が0〜数千万円、月額料金は15〜30万円です。ただし、施設によって金額に違いがあります。
なお、入居一時金が0円の場合は、月額料金が高くなる傾向があります。
住宅型有料老人ホームは、ある程度自立した方が入居できる民間の老人ホームです。
原則として、食事などの生活サービスだけを提供する施設であるため、入居時に介護が必要な方の入居は難しいでしょう。
入居後に、介護が必要となっても住み続けることができますが、介護サービスを利用する場合は、入居者が外部サービス事業者と個別で契約する必要があります。ただし、介護が重度化すると退去を求められる可能性があります。
基本的に60歳以上で、入居時に自立している方が対象です。施設によっては要介護3程度の方まで入居できる場合があります。
統合失調症を理由に入居を断られることはありませんが、症状によっては要相談となる場合もあります。
住宅型有料老人ホームの費用相場は、入居一時金は0〜数千万、月額料金は約11〜25万円となっています。ただし、外部の介護サービスを利用する場合には、介護保険の自己負担分の費用が別途必要となります。
サービス付き高齢者向け住宅は通称「サ高住」と呼ばれ、安否確認と生活支援サービスを受けられるバリアフリー対応の賃貸住宅です。
サ高住には「一般型」と「介護型」の2種類があります。
「一般型」は、基本的に介護サービスを必要としない自立度の高い方が入居できるサ高住です。生活の自由度が高く、外出や外泊などの制限が緩やかな点が特徴です。ただし、要介護度が高くなったり、認知症が進行した場合には、住み続けることが難しくなる可能性があります。
一方で「介護型」は、施設の介護スタッフから24時間体制で介護サービスを受けられるサ高住です。入居後に介護が必要となった場合でも住み続けることが可能です。
「一般型」のサ高住では、基本的に一人で生活するため、自立〜要介護1程度の方が、入居対象です。施設によっては「認知症ではない方」「医療ケアが必要ない方」という条件が付く場合があります。
一方で「介護型」は、自立〜要介護5の方まで幅広く入居可能です。
看護師と介護スタッフが常駐し、24時間体制で介護サービスを受けられる施設のため、認知症の方や医療ケアが必要な方も受け入れています。ただし、受け入れる認知症の程度や、提供する医療ケアの範囲は施設によって異なります。
「一般型」の費用相場は、敷金が0〜数十万円、月額費用が10〜17万円です。有料老人ホームと比べると、費用が安い点が特徴です。
一方で「介護型」の費用相場は、入居一時金が0〜100万円、月額費用が13〜22万円です。
受けられるサービスや設備の充実度の違いから、一般型より高めの費用設定となっています。
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