世話人は、利用者が自立した生活を送れるように日常生活上の援助を提供する障害者向けグループホームの職員です。
そんな日常生活面でさまざまなサポートをしてくれる世話人ですが、利用者本人や家族としては「トラブルになったらどうすれば良いの?」などと不安に思うこともあるでしょう。
そこで本記事では、世話人と入居者の間で起こるトラブルの事例と対処法に関して解説していきます。
Contents
まずは、グループホームでトラブルが起きた場合の対処法について見ていきましょう。
気になることやトラブルが発生したら、まずは、信頼できる世話人に相談しましょう。ただし、大きな問題になりそうな場合は相談員や施設長などに相談した方が良い場合もあります。
相談したあとで、施設側が当事者への聞き取りをもとに事実確認や調査をおこない、改善策を検討して実施してくれるはずです。早いうちに対応することで、事態が大きくなることを未然に防ぐことができます。
施設側にトラブルを相談しても事態が改善しなかったり、職員に相談できないときは、市区町村の相談窓口や社会福祉協議会に相談しましょう。
おもな相談先は以下のとおりです。
トラブルがもとでグループホームが居心地の悪い場所にならないよう、施設を選ぶ段階で気をつけるポイントを解説します。
グループホームを見学する機会があれば、その施設のスタッフにこれまでに起こったトラブルについて聞いてみると、その施設で起こりやすいトラブルや、トラブルの対処の仕方がわかります。
トラブルの対処の仕方が適切であれば、その施設のスタッフは入居者に目を配っていて、トラブルを未然に防ぐための対策をしていると判断できます。
トラブルについての話は聞きづらいものですが、施設選びのための有益な情報を得られます。
障害者向けグループホームでも「ユニットケア方式」を取り入れるところが増えています。
「ユニットケア方式」とは少人数で介護や生活支援をおこなうケア体制のことです。こまやかな介護を受けられることがメリットですが、入居者同士が交流する機会が多いため、相性が悪い相手でも毎日顔を合わせることになります。
ユニットケア方式の施設の生活の流れを見学して、生活の場にできるのかをじっくり検討することをおすすめします。
入居者が気持ち良く過ごせるように世話人が手助けをしていれば、トラブルを回避することにつながります。
施設を見学するときには、入居者と世話人の次のようなやりとりに注目すると良いでしょう。
グループホームでは、入居者をサポートする世話人が入居者を虐待してしまう事態が起こっています。どのようなトラブルなのかご紹介します。
世話人が入居者を不必要に身体拘束をしたり、求められている支援をわざとしなかったりといった虐待行為が発生しています。世話人の知識や技術が未熟な場合などは入居者の対応が思ったようにできないことがあります。
また、人手不足のため業務の負担が大きくなると、世話人はイライラや疲労をつのらせ心身に余裕がなくなり、入居者への虐待を引き起こすことになります。
入居者への虐待の種類は大きく5つに分類されます。それぞれの種類ごとに内容を見ていきましょう。
「身体的虐待」とは、殴ったり蹴ったりする暴力的行為や、無理やり食事を口に入れるなどの乱暴な行為のことを指します。また、徘徊や他人への迷惑行為などを防止するために、車いすやベッドに身体を縛りつける身体拘束も身体的虐待です。
身体拘束は、入居者本人やその他の人に危険が及ぶ可能性が著しく高い場合や、身体拘束などの行動制限をする以外に代替方法がない場合にやむを得ず認められている行為です。そのほかの理由で使われることがあってはいけません。
問題行動を解決するには、行動の原因となる入居者の心を理解することが大切です。
「介護放棄」とは、世話人が介護や生活の世話を怠り、介護が必要な人の身体や精神的な状態を悪化させることです。
介護放棄の具体例は、食事を与えない、部屋の掃除をしない、入浴させない、髪や爪を切らない、専門的診断や治療が必要なのに受けさせない、ナースコールを使わせない、入居者の呼び出しを無視する、他の入居者に暴力を振るう入居者に対してなんの手立てもしないなどです。
介護が必要な入居者のサポートをしない状況が続くと、生活環境の悪化が原因で認知力の低下がさらに進行します。
「精神的虐待」とは、脅しや侮辱などの言葉や威圧的な態度、無視、嫌がらせなどによって、精神的苦痛を与えることです。
排泄の失敗などを笑って恥をかかせたり、排泄交換をしやすいという理由で自分でトイレに行ける人におむつをあてたりすることも虐待です。
身体的虐待の場合は体のあざや傷などから虐待を発見できますが、心理的虐待の場合は証拠が残らないので発見が困難です。しかし、入居者が特定のスタッフを見ると怖がったり、無気力になるなどの状況から、虐待を疑うことで発見につながる可能性があります。
「性的虐待」とは、わいせつ行為をはじめ、性行為の強要や性的暴力などです。
性的虐待の具体例は、キスや性器への接触、セックスを強要、排泄に失敗したために懲罰として下半身を裸にして放置するなどです。
また、入浴や排泄のときに、あらわな姿を他人に見せないために肌を隠すなどの配慮が欠けている場合も虐待になります。
入居者の人権や尊厳を守るために、世話人がプライバシーへの配慮を怠ってはなりません。
入居者の貴重品や金銭などを世話人が窃盗するケースが報告されています。
グループホームの居室には鍵がついていなかったり、居室に鍵がついていても緊急時のために世話人が鍵の管理をしている可能性が高いので、世話人が居室に入ることは簡単です。
入居者の金銭管理に不安があるときは、家族による管理や後見人制度などを活用すると良いでしょう。
まずは、信頼できる別の世話人に相談すると良いでしょう。ただし、大きな問題になりそうな場合は管理者や生活支援員などに相談し、それでも事態が解決しない場合は、市区町村の相談窓口や地域の社会福祉協議会に相談しましょう。
「過去にトラブルがないかを確認する」「入居者と世話人との関係性」は見学時に必ず確認しましょう。特に入居者と世話人との関係性は重要で、世話人が入居者にあいさつしているか、世話人が入居者の話をしっかり聞いて冷たい対応をしていないか、入居者が穏やかに過ごしているかがポイントです。
トラブルについての話は失礼かもしれないと思うかもしれませんが、利用者が快適に過ごすためにも大切なポイントです。また、過去のトラブルから学びを経て、新たな対策を立てることも多いため、是非、確認しましょう。
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