年齢を重ねるにつれて、「眠りが浅くなった」「日中に眠気を感じることが増えた」と感じる人も少なくないのではないでしょうか。その変化は、単なる老化現象ではなく、将来の認知症リスクを示す、重要なサインかもしれません。
近年、睡眠が脳の健康維持に果たす役割が最新研究によって次々に明らかになっています。本記事では、睡眠と認知症の深い関係を最新研究から見ていくことにします。
カリフォルニア大学が主導する研究チームは、睡眠と認知症発症リスクとの関連性を明らかにした研究結果を発表しました。
この研究では、80代の女性約700人を対象に調査を実施。対象者に腕時計型の活動量計を装着してもらい、約5年間にわたって睡眠・覚醒リズムを追跡しました。
その結果、睡眠のリズムが不規則になり、昼夜問わずに強い眠気を感じている人は、睡眠が安定している人に比べて認知症の発症リスクが約2倍増加したことが明らかになったのです。
では、なぜ睡眠の質の低下が認知症のリスクを高めるのでしょうか。そのカギを握るのが、近年の研究で提唱されている脳内の老廃物排出システム「グリンパティック・システム」です。
日本神経学会によると、私たちの脳は、特に深い眠りの間に、脳内に溜まったアミロイドベータ(アルツハイマー病の原因物質)などの老廃物を洗い流す「大掃除」をおこなっているのだそう。睡眠の質が低下し、深い睡眠が取れなくなるとこの脳のクリーニング機能がうまく働かなくなります。その結果、脳内に老廃物が蓄積して認知症の発症につながる可能性があると考えられているのです。
「なるべく同じ時間に起きて日光を浴びる」「寝る前のカフェインやアルコールを避ける」「日中にウォーキングなどの適度な運動をする」といった習慣が、睡眠の質を高めるために重要だとされています。生活習慣を見直してもうまく眠れないという人は、一度睡眠外来などで相談してみても良いかもしれませんね。
参考
「脳を掃除するしくみ:グリンファティックシステムとは何か」日本神経学会
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