かつては腎臓病治療の常識だった「安静第一」という考え方が、今、大きく変わろうとしています。長期間の安静が、かえって筋力低下を招き、病状が回復しても自立した生活に戻れないケースが少なくなかったという反省からです。
そこで近年、腎臓病治療の新たな柱として注目されているのが、適度な運動などを取り入れた「腎臓リハビリ」です。
本記事では、寝たきりによるリスクと、腎臓リハビリの具体的な内容について見ていくことにします。
以前は、腎臓病をはじめとした多くの疾患の治療において「安静」が重視されてきました。
しかし近年になって、安静といって体をまったく動かさずに寝たきりの状態が続いてしまうと、メリットよりもデメリットの方が上回ってしまうおそれが明らかになってきたのです。東北大学の名誉教授である上月正博氏によると、体をほとんど動かさないでいると、たった1日で全体の1%もの筋肉量が減少するそうです。これは、健康な人の1年間の減少量にも相当する数値になります。
また上月氏は、著書『東北大学病院が開発した、弱った腎臓病を自力で元気にする方法』にて次のように述べています。
「1980年代あたりまでは、慢性腎臓病に限らず、多くの疾患に安静第一の措置がとられてきた。しかし、治療によって病状が回復しても、ベッドから起き上がれなくなったり、うまく歩けなくなったりする患者さんが後を絶たなかった。治療のためといって長い期間休んでいたことで、筋肉量が大幅に減ってしまったからだ」
そんな過去の反省から、近年では、むしろ適度な運動などを取り入れて生活習慣そのものの改善に取り組むことに主眼が置かれるようになりました。
「慢性腎臓病」の抜本的な治療として近年注目を集めている「腎臓リハビリ」もそのひとつ。では、腎臓リハビリとはどのようなものなのでしょうか。
日本腎臓リハビリテーション学会によると、腎臓病の患者が身体的・精神的・社会的に最も良好な状態を達成し、維持することを目的とした多角的なアプローチが腎臓リハビリなのだそうです。
具体的には、通常の薬物療法に加え、以下の3つの柱で構成される総合的な治療プログラムを、医師・理学療法士・管理栄養士といった専門職が連携しながら実施していくといいます。
第一の柱は、ウォーキングなどの有酸素運動と軽い筋力トレーニングを組み合わせた「運動療法」。定期的に運動することで、心肺機能と筋力を維持・向上を図ります。
第二の柱は、管理栄養士による「食事療法」。毎日の食事の塩分量やたんぱく質量を適切にコントロールして、腎臓の負担を最小限に抑えます。
第三の柱は、「教育および精神・心理的サポート」。病気への正しい理解を促し、治療の不安を和らげます。
ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動は、メタボリック症候群などの生活習慣病の予防にも有効だとされています。毎日の空き時間にちょっとした運動を取り入れて、より健やかな毎日を目指していけると良いですね。
参考
一般社団法人 日本腎臓リハビリテーション学会
森下記念病院 腎臓リハビリテーションとは
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