家族が認知症になったとき、「周りに迷惑をかけていないだろうか」と、つい考えてしまうことはありませんか。それは、介護を担う家族の正直な気持ちだと思います。
そして、私自身も「もし自分が認知症になったら、家族に大きな負担をかけてしまうのではないか」という不安を常に感じています。
先日発表された内閣府の世論調査の結果は、まさにその不安が多くの人に共通するものであることを示していました。
内閣府が公表した「認知症に関する世論調査」は、私たちが日頃抱えている不安を数値で示してくれました。
最も多かった回答は、「自分が認知症になったら家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」というもので、74.9%もの人がこの点を不安に感じていると答えています。
これは、私たち介護者が、家族の負担を何よりも心配しているという現実を浮き彫りにしています。また、家族が認知症になった場合の不安についても、「周りの人に迷惑をかけるのではないか」が46.5%で最多となっており、周囲の目や、社会とのつながりが途絶えてしまうことへの懸念も大きいことが分かります。
今回の調査では、認知症に対する世間の理解度も明らかになりました。2023年に成立した「認知症基本法」を知らない人が75.8%にものぼり、法律ができたにもかかわらず、まだ社会全体に浸透していない現状が示されています。
さらに、認知症と聞くと「症状が進行し、何もできなくなる」といったネガティブなイメージを持つ人が12.3%いました。
しかし、厚生労働省の担当者は、認知症になってもすぐに全てができなくなるわけではないと指摘しています。この「何もできなくなる」という誤ったイメージが、本人や家族の不安をさらに大きくしている可能性があると私は感じました。
では、この不安をどうすれば和らげることができるのでしょうか。厚生労働省の担当者が述べているように、その鍵は「認知症当事者と地域単位で接する場」を増やすことにあると考えられます。
当事者と直接触れ合うことで、「何もできなくなる」という誤解が解け、認知症になってもできることや、楽しんで生活している姿を知ることができます。それは、家族の未来に対する漠然とした不安を軽減してくれるでしょう。私たち介護者も、そうした場に積極的に参加し、当事者同士や専門家と交流することで、介護のヒントを得たり、一人ではないという安心感を得たりできるかもしれません。
今回の調査結果は、認知症を特別なことと捉えるのではなく、より身近な問題として捉え、社会全体で支え合うことの重要性を私たちに教えてくれています。
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