日本は、世界的に見ても睡眠時間が短いと言われています。現に、2021年のOECD(経済協力開発機構)の調査によると、日本の睡眠時間はスウェーデンやトルコ、中国などの33ヵ国の中で最下位であることが明らかになりました。
慢性的な睡眠不足は体内にさまざまな悪影響を及ぼします。将来の認知症リスクの上昇もそのひとつです。
本記事では、最新の研究データをもとに、睡眠が脳の健康に果たす役割について考えていくことにします。
「睡眠不足が認知症の発症リスクにつながる」ことを強力に裏付けたのが、2021年に科学誌『Nature Communications』に掲載されたフランスの研究です。
この研究では、平均年齢50.6歳の7959人を対象に、25年間にわたる追跡調査を実施。中年期(50代、60代)の睡眠時間と、その後の認知症発症との関連を分析しました。
その結果、一晩の睡眠時間が平均6時間以下だった人は、7時間睡眠の人と比べて、認知症を発症するリスクが約30%上昇することが明らかになったのです。この研究では、肥満や心臓病、うつ病といった他の健康要因を考慮しても、睡眠時間そのものが独立したリスク因子であることが示されました。
では、なぜ睡眠不足が認知症の発症リスクを高めてしまうのでしょうか。
そのメカニズムのカギを握るのが、「グリンパティック・システム」と呼ばれる脳の老廃物を排出する機能です。最近の研究によって、私たちの脳は、特に深いノンレム睡眠中に、このシステムを活発化させ、脳内に蓄積した「アミロイドベータ(アルツハイマー病の原因となるたんぱく質の一種)」などの老廃物を洗い流していることが分かってきました。
つまり、脳にとって睡眠は、脳内に溜まった有害な老廃物を排出するための大切な「大掃除タイム」であると言えるでしょう。
睡眠時間が短かったり睡眠が浅かったりすると、この「大掃除」が不十分な状態が続くため、脳内に「アミロイドベータ」などの老廃物が20年、30年と長い時間をかけて蓄積していきます。やがて「アミロイドベータ」は神経細胞を破壊し、認知症を引き起こしてしまうと考えられています。
フランスの最新研究で、睡眠時間そのものが認知症の発症リスクとなることがわかりました。長く健やかに過ごしていくためにも、日々の睡眠を見直してみても良いかもしれませんね
参考
OECD deta explorer
Association of sleep duration in middle and old age with incidence of dementia
「脳を掃除するしくみ:グリンファティックシステムとは何か」日本神経学会
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