家族が認知症と診断されると、私たちは戸惑いや不安を感じながら、どう接すれば良いのか分からなくなることがあります。よかれと思ってかけた言葉や行動が、かえって家族を混乱させたり、傷つけたりしてしまうのではないかと心配になりますよね。
ここでは、精神科医の前田佳宏医師が解説する「認知症の人にやってはいけないこと」について、介護する側の視点から、どう向き合うべきか考えていきます。
認知症は、いったん獲得した認知機能が徐々に低下していく病気であり、その症状は一人ひとり異なります。そのため、これまで通りのコミュニケーションが難しくなり、家族や介護者との間にすれ違いが生じやすくなります。
精神科医の前田佳宏医師は、無意識のうちにとってしまう行動が、本人の心の負担を増大させ、症状を悪化させる可能性があると指摘しています。たとえば、「忘れてしまう」「事実と違うことを話す」といった行動を、単なる「困ったこと」として捉えるのではなく、病気による症状として理解することが、適切な接し方の第一歩となります。この理解こそが、私たち介護者自身の心のゆとりにもつながるのです。
精神科医の前田佳宏医師は、認知症の人にやってはいけないこととして、「無視や放置」「短気な態度」「急かす」「感情的に叱る」「否定や訂正ばかりする」の5つを挙げています。これらの行動は、本人の尊厳を軽んじることにつながります。たとえば、感情的に叱ることは強いストレスを与え、自信を失わせます。同じことを繰り返しても、冷静に接し、そっと手助けすることが求められます。
また、事実と異なる話をされても否定や訂正ばかりするのは避け、「そうだったね」と共感することで、会話を続けるきっかけになります。この心構えを持つことが、互いの心の安定につながります。
精神科医の前田佳宏医師は、認知症の人と接する上で最も大切なのは「共感と思いやり」だと語っています。私たちは、つい「なぜこんなこともできないの?」と思ってしまいがちですが、本人は病気によって脳の機能が変化していることを理解することが重要です。たとえば、何度も同じ話を聞かれても「また忘れたの?」と責めるのではなく、「そうだね、その話、素敵だね」と受け止めることで、本人は安心感を覚えます。
また、認知症の人が喜ぶこととして、「安心感や懐かしさを感じる時間」を共有することや、簡単な家事を一緒に楽しむことを提案しています。そうすることで、本人が「自分はまだ役に立てるんだ」という自信と生きがいを感じられるように手助けすることができます。
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