家族がアルツハイマー病と診断されると、私たちは病気の進行をどうにか食い止めたいと強く願います。しかし、現在の治療法は進行を遅らせるものが主で、根本的な治療は難しいのが現状です。
そんな中、最新の科学が、私たちの希望の光となるかもしれない研究成果を発表しました。それは、「血管」に注目した、これまでの常識を覆すような治療法です。もしこの治療法が確立すれば、家族の生活の質が向上し、私たち介護者の負担も大きく減る可能性があります。
アルツハイマー病は、脳にアミロイドβという老廃物が蓄積し、脳の神経細胞を破壊することで発症する病気です。これまでの研究は主にこのアミロイドβそのものや、神経細胞に焦点を当ててきました。
しかし、カタルーニャ生体工学研究所などの研究グループは、「血管」に治療の鍵があると考えました。彼らは、脳に酸素や栄養を供給する脳血管系の正常な機能を回復させることで、病気を治療できるのではないかという仮説を立てたのです。特に、脳と血管の間にある「血液脳関門」という、脳への物質の出入りを管理する門番のような役割を持つ部分の機能に着目しました。この研究は、アルツハイマー病の治療に全く新しい視点をもたらしています。
研究者たちは、この仮説を検証するためにナノテクノロジーを利用しました。通常のナノ医療が、治療分子を運ぶ「乗り物」としてナノ粒子を用いるのに対し、この研究では、ナノ粒子自体が治療薬として機能する「超分子薬剤」が開発されました。
この薬剤をマウスに注射することで、脳の神経細胞に直接働きかけるのではなく、血液脳関門の機能を回復させることを目指しました。血液脳関門が再び正常に機能することで、脳が本来持っている自己浄化能力が活性化し、溜まったアミロイドβのような老廃物を自力で排出し始めると考えたのです。これは、一時的に薬で症状を抑えるのではなく、脳そのものの回復力を引き出すという、根本的なアプローチです。
この超分子薬剤をアルツハイマー病モデルのマウスに注射したところ、驚くべき結果が得られました。わずか1時間で、脳内のアミロイドβの量が50~60%も減少したことが確認されたのです。さらに、数カ月にわたり機能的な回復が持続し、人間で言えば90歳に相当するマウスが、健康なマウスと変わらない行動を示すまでに回復しました。この成果は、治療が一時的なものではなく、持続的な効果をもたらす可能性を示唆しています。
研究者は、この治療法が人間にも応用できれば、アルツハイマー病の進行を遅らせるだけでなく、他の治療法の効果も高まるだろうと語っています。
これは、家族がより長く自立した生活を送れるようになり、私たち介護者の負担を大きく軽減してくれるかもしれない、希望に満ちたニュースです
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。