厚生労働省の調査によると、2022年の日本人の健康寿命は男性が72.57年、女性が75.45年とされています。「年を取ってもできるだけ長く、元気に自立した生活を送っていきたい」と考えている人は多いのではないでしょうか。
お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二氏は、自身の著書『図解50歳からの長生き栄養術』にて、「健康長寿の基本は食生活にある」と語っています。
今回は健康的に長く生きるための食生活について考えていくことにします。
白澤氏は「病気を予防して寿命を伸ばすための栄養素で最も重要なのはたんぱく質だ」といい、「たんぱく質が不足すると筋力が低下し、寝たきりの原因にもなる」と続けます。
たんぱく質が足りているかどうか、その指標となるのが血液中の「アルブミン値」。アルブミンは、主に肝臓で作られるたんぱく質の一種で、血液中に含まれる100種類以上のたんぱく質のうち、約60%を占める重要な成分です。
この数値が基準値より低いと低栄養状態とされ、筋肉の素となるたんぱく質の量が減少した結果、歩く速度も低下するといいます。
東京都健康長寿センター研究所の研究グループは、対象者の歩く速度を「速い」「普通」「遅い」の3グループに分けて調査をおこないました。
その結果、歩くのが「速い」グループの8年間の総死亡率は11.5%だったのに対し、「遅い」グループでは38.3%と、3倍以上の差があることが明らかになったのです。
つまり、十分なたんぱく質を摂取することは、健康寿命そのものに直結すると言えるでしょう。
加齢による筋肉量の減少は「サルコペニア」と呼ばれ、認知症や寝たきりの大きな原因となることが明らかになっています。そのサルコペニアを防ぐためにも、筋肉の材料となるたんぱく質の十分な摂取が不可欠です。
では、どのくらいのたんぱく質を摂取すれば良いのでしょうか?アメリカの陸軍省・環境医学研究所がおこなった調査がそのヒントを与えてくれます。
研究グループは、たんぱく質の摂取量で39人の対象者を3グループに分け、食事制限と運動によるダイエットの指導を実施。その結果、国が推奨する標準量(体重1kgあたり0.8g)のたんぱく質を摂ったグループは、減量には成功したものの、脂肪よりも筋肉が減少する割合が大きかったことが判明したのです。
一方で、推奨量の2倍のたんぱく質を摂取したグループは高い減量効果を維持したまま、筋肉の減少を最小限に抑えられたことが明らかになりました。
良質なたんぱく質を十分な量摂取することは、健康的に長く生きるためには欠かせません。とはいえ、腎臓病の人はたんぱく質の摂りすぎが病状の悪化を招く恐れもあります。持病がある人は医師や管理栄養士と相談しながら、適切な量を摂取していきたいですね。
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