大切な人の小さな変化に気づくことは大きな安心につながります。
その中でも歩き方の変化は、認知症や脳の異変を示す重要なサインです。歩幅が狭くなったり歩行が遅くなったりすることは、心身の健康状態を映す鏡のようなものです。
日常生活での歩行観察は、特別な知識や道具を必要とせず、誰でもできるシンプルかつ効果的な方法なのです。
高齢の家族を日々見ていると、「歩き方がちょっと変わった」「足がもつれるようになった」と感じることがありませんか?
認知症の兆候は記憶や言葉の変化だけでなく、歩行という運動の変化として現れる可能性があります。
実は、歩くという行動には視空間認知、注意力、記憶力、言語処理など脳のさまざまな機能が同時に働いており、脳に異変があれば歩き方として現れやすいのです。
近年の研究は、歩幅の狭さと認知機能低下との強い関連を示しており、介護を担う家族として、日常から歩行の変化に敏感であることが重要になります。
認知症予防研究を進める国立環境研究所の谷口優主任研究員らは、2012年の論文で「歩幅が狭い人は、広い人よりも認知機能が低下しやすい」という結果を報告しました。
具体的には、歩行速度を「歩幅 × 歩調(テンポ)」と分けて分析し、歩幅だけを取り出して調査を行いました。さらに、歩幅の狭さと認知症発症の関係を調べるため、脳画像検査や血流測定、老廃物蓄積指標の追跡、小さな脳梗塞の存在確認など複数要因を併せて検討しました。
このように、単なる歩行速度ではなく、歩幅そのものが脳の健康状態を映す指標になり得るかを丁寧に探索するアプローチを取りました。
研究の結果、歩幅が狭い人は、広い人と比較して約3倍の確率で認知機能低下が見られる傾向が報告されました。なぜ歩幅の狭さが脳に関係するのか、その要因として以下の4つが挙げられています。
また、小刻み歩行パターンを持つ人には、目に見えない小さな脳梗塞が複数ある可能性が高いとの報告もあり、歩行に現れる変化を軽視してはいけないことを示しています。
介護者の立場からは、被介護者の日常の歩き方に注目し、「いつもより歩幅が狭くなっていないか」「一歩一歩が小刻みになっていないか」といった変化を早めに察知することが、認知症の予防・早期発見の手がかりになります。
もし異変を感じたら、専門医に相談し、脳の検査や運動リハビリの助言を仰ぐ姿勢が大きな意味をもつでしょう。
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