2025年7月に厚生労働省が明らかにした調査結果は、介護現場が抱える大きな課題を浮き彫りにしました。
その調査によると、2023年度に家族などから虐待を受けたと判断された高齢者は1万7455人。発生要因は「認知症」や「介護疲れ・介護ストレス」と回答した人が多く、全体の半数以上を占めていることがわかりました。
特に、加害者となるのは「息子」や「夫」などの男性が多いことも判明。なぜ、介護を担う男性が追い詰められてしまうのでしょうか。本記事では現状と、悲劇を防ぐために今できることについて考えていきます。
厚生労働省は2025年7月、高齢者虐待の現状に関する調査結果を報告。それによると、2023年度は1万7455人の高齢者が家族らから虐待を受けたと判断されたことが明らかになりました。
虐待の加害者は「息子」が7100人(38.7%)で最も多く、次いで「夫」が4178人(22.8%)、「娘」が3459人(18.9%)と続きました。つまり、男性の加害者を合計すると全体の58.9%に達し、女性を上回ることがわかります。
また、2014~2023年度の間に家族らによる虐待などで死亡した高齢者は255人に上ることが判明。内訳は「殺人」が84人、「ネグレクトによる致死」が70人、「虐待による致死」が30人でした。さらに、加害者の属性は息子が118人、夫が45人で男性が約64%と過半数を占めていたことも明らかになりました。
ここまで男性による高齢者虐待が目立つ理由について、介護問題に詳しい立命館大学名誉教授の津止正敏氏は「介護に直面した男性は、仕事一筋だった生活からの急激な変化や家事に悩みやすい」と指摘。また殺人まで至るケースについては、「孤立感を深めて絶望してしまった末の行動なのではないか」と分析しました。
なぜ、高齢者虐待が起きてしまうのでしょうか?
厚生労働省が虐待の発生要因(複数回答あり)を調査したところ、最も多かったのが高齢者の「認知症の症状」で、全体の56.4%となる9636件に上ることが判明。次いで家族らの「介護疲れ・介護ストレス」が9376件と続きました。
津止氏は「ケアマネジャーや家族などの周囲が介護者の状況に気を配ることが大切。また、介護者本人も男性介護者のコミュニティに参加し、悩みを打ち明けたり、愚痴を言い合ったりしてストレスをコントロールすることも重要だ」と呼びかけています。
介護者と被介護者双方が潰れてしまう前に、SOSを出すことが大切です。介護の悩みの相談は地域包括支援センターが窓口になっています。今介護で悩んでいる人は、ぜひ一度プロのケアワーカーに相談してみてくださいね。
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