「最期のひとときまで住み慣れた自宅で暮らしたい」
そう思っている高齢者は少なくないのではないでしょうか。
そんな願いを支えているのが、ヘルパーが自宅を訪れて利用者の生活全般をサポートする「訪問介護サービス」です。しかし、在宅介護の最前線である訪問介護事業所が、深刻な人手不足と経営難に陥っている現状をご存じでしょうか。
本記事では、在宅介護を取り巻く現実について考えていくことにします。
厚生労働省によると、現在、在宅介護サービスを利用している人は全国で約432万人で、ピークを迎える2040年には約465万人にも達すると推計されています。
高齢化社会が進展するにともない、今後ますます高まる訪問介護の需要ですが、多くの事業所が経営難や人材不足に苦しんでいる実情があります。東京商工リサーチの調査では、2024年の訪問介護事業者の「倒産」は81件で、過去最多を更新。事業者の「休廃業・解散」も448件に上り、介護事業者の「休廃業・解散」全体の7割以上を占めました。
訪問介護事業者はどうしてこれほど経営に苦しんでいるのでしょうか。
その大きな理由のひとつが、深刻な人手不足です。介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」によると、「労働条件等の悩み・不安・不満」として最も多く挙げられた回答が「人手が足りない(52.1%)」、続いて多かった回答が「仕事内容の割に賃金が低い(41.4%)」でした。
介護労働は心身ともに負担が大きいにもかかわらず、賃金が低い水準にあるため求人を出しても応募がない、という事業所も少なくありません。
訪問介護事業所の経営難にさらに追い打ちをかけたのが、2025年度の介護報酬改定による、訪問介護の「基本報酬引き下げ」です。業界内では「国は一部の事業所の経営が良好だったことを減額理由として挙げたが、それは効率的に多数の利用者の見守りができる、都市部の集合住宅併設型などのケースに限られる。地域の高齢者の住宅を一軒一軒回る事業所とは事情が異なる」との不満が高まっています。
現在、国は医療・介護・生活支援を地域で一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を推進しています。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を継続していくためのこの構想を目指すうえで、特に重要になってくるのが、利用者の生活に最も密着した訪問介護の存在です。高齢者のQOL(Quality Of Life:生活の質)を維持するためにも、介護現場の処遇改善は急務だと言えるのではないでしょうか。
参考
「令和4年度 介護労働実態調査」公益財団法人 介護労働安定センター
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