高齢化が急速に進む日本において、今まさに静かに進行している深刻な課題があります。それは、団塊世代の高齢化にともなう消費市場の縮小です。高齢化社会の進展による無職世帯の急増は、日本の経済成長すら揺るがす新たなリスクとなっています。
総務省の調べによると、70歳以上世帯の割合は2004年の16.3%から2024年には34.0%へと約2倍に拡大したことがわかりました。これは、全世帯の実に3分の1にもなる割合です。
この変化が消費に与える影響は甚大です。総務省がおこなった家計調査によると、2024年の70歳以上世帯の消費支出は月25.3万円であることが判明。今の70歳以上の高齢者が60代だった2014年では、60代の消費支出が月29.6万円だったことから、歳を重ねるにつれて消費支出が落ちることがわかります。
どうして70代になると消費支出が落ちるのでしょうか?
第一生命経済研究所の主席エコノミストである熊野英生氏は「TBS CROSS DIG」にて、消費支出が落ちる理由について次のように分析しています。
「団塊世代の人々は、60歳代のときには働いていた人も多かっただろう。彼らも、10年を経て70歳以上になると、就労を止めて無職世帯(年金生活世帯)となり、消費支出を減らしていくことになっていると考えられる」
近年、政府や有識者からは、高齢者も健康状態が維持できる限り働き続けて、貯蓄したり資産を形成したりすることが大切だという価値観が提唱されてきました。
高齢になっても働ける環境が整備されていれば、消費にも十分な額のお金を使えるはず。しかし、現実はそううまくはいきません。
内閣府の「令和6年版高齢社会白書」によると、2023年の労働力人口比率は65~69歳で53.5%、70~74歳で34.5%、75歳以上で11.5%となっており、65歳以上の就業者数は20年連続で前年を上回ったことが明らかになりました。
しかし、65歳以上全体の就業率は2019年以降頭打ちになっています。この理由について、熊野氏は次のように説明しました。
「複雑な話になるが、2つの内訳では就業率が上がっているのに、両方を合算した65歳以上の就業率がそれほど上がらないのは「数字のマジック」のような理由がある。2つの内訳は上昇していても、就業率が低い75歳以上の割合の方が高まると、総体としての就業率は上昇しないことが起こる」
つまり、個別の年齢層では就業率が上昇していても、より高齢の層への人口シフトがその効果を相殺していると言えるでしょう。
これから考えるべきは、高齢者のさらなる雇用機会の創出。高齢者がいくつになっても生き生きと過ごせる社会をつくることこそが、超高齢社会における日本の経済成長にもつながるのかもしれません。
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