手帳評論家の舘神(たてがみ)龍彦さんが開発した「おぼえている手帳」は、認知症の母親に日記を付けるよう勧めたことがきっかけです。
舘神さんは、認知症と診断され以前あったことを覚えていない母親の姿を見て、「いつ何をどうしたか記録することで、記憶の代わりにしてもらおう」と考えました。
そして、日記を勧め、忘れても自分のことだと納得できるように、舘神さんが撮影したその日の母親の写真を添えるようにしました。
館神さんはその後、「多くの人に役に立つのでは」との想いから商品化もしています。
「おぼえている手帳」は、認知症の人や家族が大切な思い出を回想することができる手帳です。
手帳を開くと、右側に縦書きで文章を書くページがあり、左側にそれに関する写真を入れる透明なポケットが付いています。
認知症の人の家族からは「最近の時間をどう過ごしているか不安だったが、書いてもらうことで安心感を持っている」「書き始めて意欲的になった」などの声が寄せられたといいます。
昨春からは、メーカーの協力を得てオンラインで販売を始めました。
手帳には、会話の中では知ることがなかった思いも記されているので、舘神さんには新鮮な驚きがあることも。
お母様の誕生日の翌日には、<昨日は私の誕生日だった。だまっていても年はとります。生きているから年をとると云う事。丈夫な体に生んで呉れた母親に感謝しております。お母さん有難う御座居ます>と感謝の言葉がつづられていました。
選挙に出掛けた日は「国民の義務と感じてする」「大切なことと思います」と記されていました。そこには投票所の写真が添えられています。
舘神さんによると、「日記を読み直すことで、自分自身とコミュニケーションを取ることができているのではないか」とのこと。
手帳に記すことで、大切な思い出といつまでも一緒にいられることは、認知症のご本人だけでなく周りの方々にも良い影響がありそうですね。
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