今回は、新型コロナウイルスと糖尿病治療の関係を調査した研究についてお伝えします。
糖尿病は、放置するとがんや認知症といった合併症を引き起こす可能性もある怖い病気です。高齢者に多い病気で、日本では高齢者のおおむね5人に1人が糖尿病ではないかと疑われている現状があるので、関心のある方も多いのではないでしょうか。
この糖尿病治療のためには早期の発見や、定期的な受診が重要とされています。
しかし、福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室の前田俊樹氏らの研究から、新型コロナウイルスの流行によって、糖尿病の定期的な受診が困難であったり、敬遠されたりしている可能性があることがわかりました。
特に女性患者に、より大きな影響があったことが注目されています。
前田氏らは都内の運輸業関連健康保険組合の2017年10月〜2020年9月の医療費請求情報を分析。2017年度中に血糖値を下げる薬が処方された1118人を研究対象としました。
そして受診・処方の間隔が3ヵ月以上空いた場合を「受診・処方の遅延」と定義して、その発生状況を調査。その結果、「受診・処方の遅延」発生率は緊急事態発令前が5.6%、緊急事態発令中は11.2%と明らかな差が見られました。
年齢、性別、被保険者/被扶養者、月収などの条件を調整した後でも、緊急事態発令中の期間は受診・処方の遅延が約3.7倍多く発生していたことが判明しています。
次に、年齢、性別などでグループ分けして解析を実施を施行。その結果、女性患者で受診・処方の遅延がより多く発生していたことがわかりました。
その理由については、女性は被扶養者であることが多いため、産業医からの受診継続の働きかけが届きにくいことなどが考えられています。
今回の研究で、定期的に受診を継続していた糖尿病患者に、新型コロナの流行が受診・処方の遅れといった悪影響を及ぼしたこと事、そして女性患者でより大きな影響があった事がわかりました。
糖尿病患者の受診中断は、病状の悪化や合併症の発症につながります。継続的・定期的な治療が大切という点は忘れずにいたいですね。特に女性はそうした意識を強く持つことが必要ではないでしょうか。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。