新たな研究で、筋肉に電気刺激を与えることで、脳由来神経栄養因子(Brain-derived Neurotophic factor 以後「BDNF」と記載)の濃度が増加することが明らかになりました。
BDNFは、脳内の記憶を司る海馬を中心に現れ、学習・記憶・認知に関わる物質です。さらに、神経の保護や再生、筋肉をつくるタンパク質の合成など、多くの機能を持っていることが知られ、体内のBDNF量が低下すると、さまざまな病気の重篤化につながることも示唆されています。
この研究は金沢大学や広島大学、株式会社MTG、アメリカのマーケット大学が共同で実施しました。
BDNFは学習・記憶・認知に関わる物質です。認知症患者はそのBDNFの現れる量が少なくなることが報告されています。反対に、もしBDNFを体内で増やすことができれば、認知機能の改善につながる可能性があります。
動物を使った別の研究で、BDNFは脳内の海馬だけでなく、骨格筋の細胞からも発現することが判明。つまり運動すれば、記憶や認知に関与するBDNFが体内で増加し、認知機能を改善する有効な手段になりえます。
しかし問題点は、BDNFを発現させるためには運動に強い負荷をかける必要があること。負荷が弱い運動では、BDNFがほとんど現れないため、強い負荷の運動が難しい高齢者は、体内のBDNFを増やすことは難しいという課題がありました。
高齢者は運動に強い負荷をかけるのが難しいため、研究チームは運動に依存しない形で、認知機能に関わる体内のBDNFを増やすことができないかと模索しました。
模索した結果、平均年齢27歳の、健康な12人の男女を対象に筋肉を電流で刺激することに。すると、電流で刺激した筋肉量が多いほど血中のBDNFの量も増加することが明らかになったのです。
また、太ももよりふくらはぎの部分に電気刺激を与えたほうが効果的であることもわかりました。
今回は若い人を対象に研究をしましたが、今後は高齢者など対象を広げていくそうです。
今回の実験で、認知症の人でも認知機能の改善を見込めることが示唆されました。認知症の進行を食い止める手だてになるといいですね。
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