1月6日、アメリカ食品医薬品局(FDA)は新たなアルツハイマー型認知症の治療薬「レカネマブ」を承認したと発表しました。
レカネマブは、製薬会社エーザイとアメリカの製薬会社バイオジェンが共同で開発したもの。「症状を一時的に抑える」ことに主眼が置かれていた従来の認知症薬と異なり、認知症の原因物質に直接作用する効果が期待されています。
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アルツハイマー型認知症は、脳内に異常なタンパク質が溜まって神経細胞が破壊されることで発症し、記憶障がいや人格障がいなどの症状が起こると考えられています。
従来の認知症薬では、こういった症状を一時的に抑えることしかできませんでした。
しかし、この「レカネマブ」はアルツハイマー型認知症の原因となる異常なタンパク質に直接作用。具体的には、原因となる異常なタンパク質が固まる前に人工的に作った抗体とくっつけて取り除き、神経細胞の破壊を防ぐ効果があります。
このように「レカネマブ」は原因物質そのものに作用するため、アルツハイマー型認知症の進行を長期的に食い止められる効果が期待できるのです。
ただ、一度破壊された神経細胞を復活させることはできないため、早期の段階で投与することが大切だそうです。
2022年12月29日、東京大学やアメリカのイエール大学、製薬会社エーザイなどで構成された「レカネマブ」の研究グループが、医学誌「New Ingland Journal of Medicine」に臨床試験の結果を掲載しました。
その臨床試験は、50~90歳までの早期のアルツハイマー型認知症を患っている人およそ1800人を対象に実施。「レカネマブ」を投与するグループと偽薬を投与するグループに分け、対象者の認知機能の変化を調べました。
その結果、「レカネマブ」が投与されたグループはそうでないグループに比べて、認知機能の低下が約27%抑えられたことが判明。さらに「レカネマブ」が投与されたグループでは、アルツハイマー型認知症の原因となるタンパク質の量も大幅に減少したことも明らかになったのです。
この結果を受けて、東京大学の岩坪威教授は「症状の進行を遅らせるはっきりした効果が確認できた」と述べました。
今後、エーザイは日本とヨーロッパでも3月までに「レカネマブ」の承認を申請する方針を示しています。
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