2024年4月から、無資格で働くすべての介護職員に対して、認知症に関する研修の受講が義務化されます。
これは、2021年度の介護報酬改定の際に厚生労働省が決定したもので、認知症への対応力の向上を図るとしています。
出典:第213回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
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2024年の4月から義務化されたのは、「認知症介護基礎研修」と呼ばれる動画研修です。動画を見ながら、認知症そのものに対する理解や認知症の人への接し方などを学んでいきます。
また、新たに入ってくる無資格の職員は、採用後1年以内に研修を受ける必要があります。
研修の義務化が決まった2021年度から今回の取り組みが始まる2024年度までは準備期間に当てられ、取り組みの進捗や研修を受講させたことによる効果を測っていくとしています。
厚生労働省の統計によると、2020年時点での認知症の人の数は600万人ほどと推計され、今後さらに増加することが見込まれています。これからは介護職員のみならず、多くの人が認知症の人と関わる機会があるでしょう。
そのため、認知症そのものの理解や認知症の人に対する接し方は社会を構成する人全員が学ぶ必要があります。
では、認知症とはどのような疾患なのでしょうか?
端的に言えば、脳の一部に障がいが起きることにより、日常生活に支障をきたすくらい認知機能が低下した状態を指します。
特に「今日朝ごはんでパンを食べた」「財布を棚の上に置いた」など、経験したことを記憶する「エピソード記憶」が喪失しやすいと言われています。
健常な人の「もの忘れ」であれば、「財布をどこに置いたか」は忘れるかもしれませんが「自分が財布をどこかに置いた」という経験そのものを忘れることはほとんどありません。しかし、認知症の人は「財布を自分がどこかに置いた」という経験そのものも忘れてしまうのです。
また、忘れたことにも気づけなくなり、つじつまを自分の中で合わせようとします。
それが原因で起こるのが「物盗られ妄想」です。「自分がどこかに財布を置いた」ことを忘れたことに気づかず、「誰かが財布を盗んだ」と思い込んでしまうのです。
このとき大事なのは、認知症の人に財布を見せるのではなく、一緒に財布を探して本人に財布を見つけてもらうことです。そうすれば本人も財布は盗られていなかったことを理解できるのです。
このように、認知症の症状や認知症の人に対する関わり方は特異な部分もあるため、どこかで学んでいく必要があります。今回の義務化された研修を通して、無資格の介護職員も学んでいければ良いですね。
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