2023年1月31日、神奈川県平塚市は市内で高齢者施設を運営している社会福祉法人と職員派遣協定を結んだことを明らかにしました。
市町村が単独で協定を結んだのは県内で初めてだということです。
平塚市が社会福祉法人と結んだ協定は、感染者が高齢者施設内で集団発生して職員が不足したときに、県の派遣システムを活用したり協定を結んだ別の施設から要請したりして職員を派遣するというものです。
この協定があれば、高齢者施設内で新型コロナの集団感染が発生した際に、介護職員への負担が軽減される可能性があります。さらに、今までは法人内の職員だけでクラスター対応するケースがほとんどでしたが、職員派遣協定があることで外部に援助を求めやすくなるでしょう。
市の担当者によると、感染者や濃厚接触者が生活する「レッドゾーン」と呼ばれるエリアは施設の職員が担当し、派遣された職員はそれ以外のエリアを担当することになるそうです。
職員派遣協定を結んだ法人は5法人。法人からは「行政が職員不足になったときの対策をしてくれるのは心強い」などの歓迎の声が上がっています。
平塚市の落合克宏市長は、「介護施設と市が連携できる体制を整えるのは重要だ。災害や他の感染症の対策を含め、継続的な計画に活用できるよう、参加法人をさらに増やしていきたい」と話しました。
コロナ禍になって、介護職員への負担は大幅に増えました。
例えば、新型コロナが流行したことで、コロナ禍以前ではしなかった「施設の消毒」が職員の新たな業務に加わりました。消毒する箇所は手すり、エレベーターのボタン、テレビのリモコン、居室など。手の触れそうな場所はすべて消毒しなければならないため、時間がかかります。場合によっては、利用者と関わるために使っていた時間を施設の消毒に充てることもあります。
また、施設内で新型コロナの集団感染が起こったら、介護職員への負担はさらに増えます。
通常より少ない人数で業務をこなさなければならないので、時間外労働を強いられるケースも少なくありません。労働基準法の制限を受けない管理者などは、施設に泊まって四六時中対応に追われることもあるのです。
今回平塚市がおこなった職員派遣協定がうまく機能すれば、こうした悲劇も減っていく可能性があるので、それに期待したいですね。
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