新たな研究で、子どもの頃の教育環境が悪かった人はそうでない人に比べて、高齢期に認知症を発症するリスクが高いことが示されました。
この研究は、アメリカの大手保険会社カイザー・パーマネンテ・北カリフォルニア(KPNC)の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「JAMA Neurology」という医学誌に掲載されています。
今回の研究では、以下の条件に合致した人を対象者に選定しました。
以上の条件で対象者を選定した結果、その人数は計2万788人。この対象者の1997年1月1日~2019年12月31日の23年間に渡るデータが使用されました。
さらに、対象者が受けてきた教育の質を、学校年度の長さ・生徒と教師の比率・出席率で評価。教育の質が低い・中程度・高いの3段階でグループ分けをしました。
対象者が受けた教育の質と認知症の発症リスクの関連を分析した結果、質の低い教育を受けた人は、質の高い教育を受けた人に比べて、老年期に認知症を発症するリスクが12~21%高いことが明らかになったのです。
また、質が低い教育を受けた人と質が中程度の教育を受けた人を比較しても、質の低い教育を受けた人は8~17%認知症のリスクが高いことがわかりました。
以上の結果を受けたうえで、今回の研究をリードしたイェニー・ソー氏は「医療全般へのアクセスの低さや肥満、喫煙、高血圧などの、質の低い教育を受けた人の周辺環境や悪い生活習慣による危険因子が認知症の発症を後押しした可能性がある」とも分析しました。
ただ、質の低い教育を受けた人であっても認知症のリスクを減らせる行動はあると、ハーバード大学に所属するアンドレア・ロバーツ氏は言います。「十分な量の運動、野菜や果物を含むバランスの取れた食事、十分な睡眠など、日々の生活習慣を見直すことが重要だ」。
過去に自分が受けた教育環境は変えられませんが、肥満や高血圧などは今からでも改善できます。医療のサポートなども適切に受けながら、認知症の予防に努めましょう。
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