新たな研究で、下剤を日常的に使っているとのちに認知症を発症するリスクが高まることが示されました。複数のタイプの下剤を併用する人や、浸透圧を利用して便を柔らかくするタイプの下剤を使っている人は、特にリスクが高まることもわかりました。
この研究結果は、「Neurology」という医学誌に掲載されています。
今回の研究では、イギリスの研究プロジェクトに参加した、認知症のない40〜69歳の成人50万2229人を対象に設定。対象者の医療データを解析しました。
また、試験を始めるときに「下剤の常用」の定義を「過去4週間の間、市販の下剤をほぼ毎日使用していること」とした場合、対象者のうち3.6%である、1万8,235人がこれに該当したことが判明しました。
平均して約10年の追跡調査の結果、下剤を常用していない人では0.4%だった認知症の発症率が、下剤を常用していた人では1.3%と上昇していたことが明らかになりました。
また、あらゆる原因による認知症と脳の血管が詰まったり破れたりすることによって起こる血管性の認知症は、使用する下剤の種類が多いほど発症リスクが増加したことも判明。具体的な数値は、使用する下剤の種類が1種類の人では、浸透圧を利用して便を柔らかくするタイプの下剤を使っている人のみ28%のリスク増加でしたが、2種類以上の下剤を併用していた人の認知症リスクは下剤のタイプに関わらず90%増加したことがわかりました。
以上の結果を受けて、研究論文の著者のひとりである、中国科学院深圳(シンセン)先進技術研究院のフェン・シャー氏は「下剤を常用している人は認知症リスクが増加することが示された。しかし、現時点で慌てる必要はない。さらに研究を重ねて、結果を確かめる必要がある」と冷静に構えるように呼びかけています。
また、シャー氏は「便秘の多くは水分や食物繊維を意識的に多く摂ったり、運動量を増やしたりすることで緩和できる。このような便秘対策のほうが便秘薬を使うより健康的だ」と指摘しました。
年を重ねるにつれて胃腸の動きが悪くなるため、常用しがちな下剤。しかし、下剤を使って無理に排泄すると、血圧が急降下する「排便ショック」を引き起こすこともあります。用量・用法を守って適切に使っていきたいですね。
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