2023年3月15日、岩手県保健部は、同県紫波町にある介護老人保険施設の運営法人に対して、指定の効力の全部停止を言い渡したことを発表しました。
この施設では、2022年の8月頃に利用者への深刻な虐待があったことから、今回の処分に踏み切ったと見られています。
効力停止処分により、この施設は事実上1年間の営業停止となります。
そもそも、今回、運営法人に下された「指定の効力停止」とは何でしょうか?
指定の効力停止とは、一定期間指定の効力が停止されることにより、本来法人に対して支払われる介護報酬が支払われなくなるというもの。介護サービスを提供しても報酬が発生しなくなるため、この処分を受けた法人は事実上の休業を余儀なくされるのです。
指定の効力停止は、虐待などをおこなった施設に対して業務改善命令をしても、状況が改善しなかった場合などに下されます。
また、指定の効力停止には、深刻度に応じて「指定の一部停止」と「指定の全部停止」があります。例えば、一部停止された場合は「新規の入所者を受け入れても報酬が発生しない」と業務の一部が制限されます。一方、全部停止の場合はどんなサービスを提供しても報酬が発生しなくなるのです。
岩手県保健部の発表によると、2022年8月下旬、紫波町にある介護老人保険施設で職員が利用者に対して暴行して怪我を負わせたという虐待事件が起こったそうです。
それだけに留まらず、2022年9~10月には利用者をシーツで縛り上げたりベッドからの移動を制限したりするなどの不当な身体拘束をおこなっていたことも明らかになりました。
以上のような虐待に関する通報を受け、町と県が調査した結果、今回の処分に至りました。
この施設にいた利用者は、サービスが停止する6月までに別の施設に移動するそうです。
利用者への虐待は、利用者の心身に深い傷を残すだけでなく、一周回って自分たちの首も絞めることになります。利用者も職員も安心して施設にいられる雰囲気づくりをしてほしいですね。
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