補聴器じゃなく「軟骨伝導イヤホン」!?難聴の入居者に施設が導入

補聴器じゃなく「軟骨伝導イヤホン」!?難聴の入居者に施設が導入

更新日 2023/09/14

奈良県河合町にある介護付き有料老人ホームにて、耳の聞こえにくい入居者に向けて「軟骨伝導イヤホン」を導入するという全国初の試みがおこなわれようとしています。

イヤホンを利用してもらい、入居者のコミュニケーションをより円滑にするねらいがあるといいます。

奈良県の老人ホームで「軟骨伝導イヤホン」を導入

奈良県河合町にある老人ホーム「奈良ニッセイエデンの園」は、入居者向けの窓口に「軟骨伝導イヤホン」の導入を決めたことを明かしました。

今回導入されるイヤホンには、奈良県立医科大学の細井裕司氏が発見した「軟骨伝導」の技術を応用。軟骨伝導とは、耳の軟骨を振動させて音を伝える仕組みで、これを使ったイヤホンなら従来の補聴器よりも音漏れがせず、痛みも少ないといいます。

細井氏は2023年9月4日に「奈良ニッセイエデンの園」を訪問し、「軟骨伝導イヤホンを利用して人の話を理解しようとすることで、脳が活性化して認知症の予防につながる」と説明しました。

また、老人ホームの枡田悦弘総園長は「園内には難聴で困っている人も多い。1人でも多くの人の役に立てれば」と話しています。

聴力と認知機能の関連性

聴力は加齢とともに低下しやすいと言われています。その原因は、騒音による聴覚細胞の損壊や脳の聴力をつかさどる部位の衰えなどさまざま。「年のせいだから」と放っておく人も少なくありません。

しかし、アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学による研究によると、加齢とともに低下した聴力をそのままにしておくと認知症を発症するリスクが高まることが明らかになりました。

研究グループは「難聴の人は言葉の聞き取りに集中する必要があるため、記憶への注意力がおろそかになる。また、コミュニケーションが困難なため、社会的にも孤立するリスクも高い」と指摘しています。

また、別の研究で、社会的に孤立してコミュニケーションの機会が少なくなることでも認知症の発症リスクが高まることが示唆されています。

難聴の入居者に軟骨伝導イヤホンを利用してもらう今回の試みは、入居者のコミュニケーション量を増やし、認知機能の低下を防ぐことが期待できます。この試みがさらに広がっていけば、高齢者がより豊かに生きていける社会をつくっていけそうですね。

参考:「加齢による「聴力低下」と「認知機能の衰え」の関連性」

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