認知症でもスーパーで買い物を!”スローショッピング”を地域が応援
更新日
2022/01/27
「
認知症になったからといって、何もできなくなるわけではない」。そんな思いを感じられる取り組みが、岩手県滝沢市のスーパーでおこなわれている「スローショッピング」です。
スローショッピングとは、認知症の人がボランティアに付き添われながら自分自身で買い物をできるようにする取り組み。毎週木曜の午後に認知症の人の優先レジを設けて、認知症の人が焦らず会計ができるようにしています。
この取り組みによって、認知症の本人や家族が助かるだけでなく、地域の人が認知症の理解を深める場所にもなっているそうです。
地域が一丸となって、みんなが暮らしやすい町に
スローショッピングは、滝沢市の「認知症になっても住みよいまちづくりプロジェクト」の一環として2019年からスタートしました。
協力しているのは、スーパーマーケット「マイヤ 滝沢店」「マイヤ 高田店」 の2店舗。特に、高田店があるショッピングモール「アバッセたかた」では、スーパーだけでなく和菓子屋や文具店など他の専門店もスローショッピングに対応しています。
家族が認知症になると、心配で目が離せなくなることも多いでしょう。特に買い物は、本人を連れて行くのが一苦労で外出させたくないと思う人もいるかもしれません。
そうなってしまうと
認知症の人が外に出る機会が減り、刺激がなくなって症状が進行してしまう恐れがあります。また、常に気を張っている
家族も介護疲れしてしまいますよね。
そこでこのスローショッピングでは、家族の代わりにボランティアが認知症の人の買い物に付き添います。
家族はその間、自由に過ごせるのです。
イートインコーナーに設けられた「くつろぎサロン」では、
専門の医師や地域包括支援センターの担当者に介護の相談もできます。同じようにスローショッピングを利用している、認知症の親を持つ人と話をする機会もあるかもしれませんね。
認知症予防にも効果があるかも?
スローショッピングは、認知症の人が安心して買い物ができる取り組みです。一人での買い物に不安を感じてきた人、認知症のために買い物する機会がなくなってしまった人は、ぜひ利用したいと感じるのではないでしょうか。
さらに、認知症の症状緩和にも効果があるかもしれません。認知症の進行を抑えるには脳への刺激が大切。家や
デイサービスなど決まった場所で過ごしているとどうしても、刺激が少なくなってしまいます。
対して、スーパーにはたくさんの品物や、色鮮やかな店内の飾りつけがあります。旬の商品や季節行事に合わせたディスプレイで季節を感じられますし、ボランティアとの会話も刺激になるかもしれませんね。
そしてこれは、認知症の親を介護している人にも助かるサービスと言えます。気を張っていることの多い家族にとって、
スローショッピングの時間が息抜きになったり、介護の相談をするきっかけになったりするのではないでしょうか。
この記事の執筆者
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