アルツハイマー病薬の承認が持ち越し。 頭痛、めまい…副作用の問題も
更新日
2022/01/27
国内で600万人以上の患者がいる
認知症。しかし、根本的な治療法が確立していないのが現状です。しかも今回、注目されていた
アルツハイマー型認知症の新薬「アデュカヌマブ」の承認が見送りになりました。
理由は「現時点のデータから有効性を判断することは困難」というもの。厚生労働省は、追加のデータの提出を求めています。しかし、追加の臨床試験をするとなると、さらに時間がかかるそう。そのため
承認には、あと数年はかかる見通しとなっています。
新薬承認には時間がかかる見込み
昨年12月22日、
エーザイとアメリカの製薬会社が共同開発していた「アデュカヌマブ」の承認が見送りとなりました。
この新薬は、アルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβ(ベータ)が、脳内で固まることを抑える効果があります。アミロイドβは特殊なタンパク質です。これが脳の中で異常な塊を作ることで神経細胞を傷つけるため、認知機能に影響を与えるとされています。
今回、新薬が承認されなかった理由は、2つの臨床試験の内の1つについては認知症の症状を抑える効果があったものの、もう1つの試験では効果が確認できなかったため。そのため、追加の試験をおこない、データを提出することを厚生労働省が求めています。
追加試験には数年かかることもあるため、
新薬が市販されるまでにはまだまだかかると言えそうです。
加えて、
この新薬には副作用と価格の問題があります。エーザイによると、頭痛、錯乱、めまい、吐き気、アレルギー反応などの副作用が起こる可能性があるとのこと。重篤な副作用が出る場合もあるそうです。
また、アメリカではすでにこの新薬が承認されていますが、高額であることが問題になっています。そこで薬の利用者からの声を受けて、
アメリカでの販売価格を半額にすると製薬会社が発表。しかし、薬の効果が疑問視されている中で、どこまで普及するかはわかりません。
認知症薬の開発が後退か?
これまで、症状の進行を遅らせる認知症の薬はありましたが、進行を止めるようなものはありませんでした。対して、アデュカヌマブはアルツハイマー型認知症の原因物質の蓄積を抑えるため、画期的な新薬として注目されていました。
しかし
今回の承認の延期で、認知症薬の開発は後退するかもしれません。多くの認知症患者や家族の希望だっただけに、失望の声もあるようです。臨床試験の詳細な結果が待たれますね。
この記事の執筆者
「いい介護」の記事を編集・執筆する専門チームです。介護コンテンツのベテラン編集者や介護施設職員の経験者など、専門知識をもったスタッフが、皆さまの介護生活に役立つ情報をお届けします!