介護保険を利用する際には、ケアマネジャーによるケアプランの作成が必要。一人ひとりの状況に合わせてケアプランを作成してくれるケアマネジャーの存在は、介護サービス全体にとって重要なものです。
そこで今回、厚生労働省から委託を受けて三菱総合研究所がケアマネジメント(居宅介護支援)について調査を実施。2021年度の介護報酬改定を受けて、各事業所がどのように対応しているかを調べました。
その結果、ICT機器導入による逓減(ていげん)制の見直しが適用されているのは9.1%の事業所にとどまることがわかりました。
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三菱総合研究所は厚生省から委託をうけて、2021年度の介護報酬改定によってケアマネジメントの現場の体制がどのように変化したのかを調査しました。
前回の介護報酬改定で大きく変わったのは、ケアマネジメントの「逓減制」の見直しです。
ケアマネジメントの逓減制とは、ケアマネジャー1人あたりの担当利用者数が40人を超えると報酬を減らす仕組みのこと。担当件数が多すぎると、利用者1人に対応する時間が減りケアマネジメントの質が下がってしまう可能性があるため、それを防ぐ制度です。
しかし、この制度のおかげでケアマネジャーが大勢の利用者を抱えることは避けられているものの、利用者を増やせないために事業所の経営を苦しめている面もあります。
そこで、厚生省は逓減制を緩和する条件を設定。「事務職員の配置」「ICTの利用」などによってケアマネジャーの業務負担が軽減されることで、ケアマネジメントの質の低下を防げる体制がある事業所は、ケアマネジャー1人あたりの担当人数を45人までに上限を緩和するものです。
今回の調査によると、ICTの活用によって逓減制の緩和が適用されたのは全体の9.1%のみ。緩和の届出をしていない理由で最も多かったのは「ICTを活用する体制が整っていない」の44.5%でした。
さらに、「ICTを活用する予算が確保できない」という回答も多かったことから、ICT導入の負担が大きいことがわかります。
介護現場全体として、パソコンやスマホなどのICT機器の活用を進める動きが活発になっていますが、なかなか導入が進んでいないのが実情です。
さらに、ICT機器の導入コストに加えて、機器の扱いに慣れるまではむしろ業務の負担が大きくなる可能性も。特に、ケアマネジャーが1人の事業所であれば、それだけでケアマネジメントができなくなるおそれもあります。
ICT活用がもっとハードルの低いものになるように、国として今回の調査をふまえた支援が必要と言えます。
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