高齢化によって介護職の重要性が高まっているものの、労働環境が整備されていないために職員が退職してしまうケースがあります。
その要因のひとつにあるのは、介護職員に対するハラスメント。利用者から暴力を受けたり尊厳をおとしめるような暴言を吐かれるということも実際に起きているのです。
そうした状況をふまえて、厚生労働省は各自治体に対して調査を実施。介護事業所へのハラスメント対策をおこなっているかなどヒアリングしました。
三菱総合研究所は、厚生省から委託されておこなった「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル・研修手引き等の普及啓発に関する調査研究」の結果を公表しました。
この調査は、介護現場のハラスメント対策を各自治体がどのようにおこなっているのかについてアンケートしたもの。全国の市町村のうち、約60%が回答しています。
その結果、94%の市町村が「介護現場におけるハラスメントの予防や対策は必要である」と回答。その一方で、82.6%の自治体が介護現場へのハラスメント対策をおこなっていないこともわかりました。
加えて、厚生省が公開している「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」について、多くの自治体が認知はしているものの、全体の約60%が活用していない状況でした。
こうした結果を受けて、市町村が地域関係者と連携して介護事業所のみで問題を抱え込まないような体制を築くことを提言。さらに、「ハラスメント対策マニュアルの活用や対策事例の周知などの支援も必要」としています。
介護現場では、利用者と職員という立場から職員がハラスメントを我慢してしまう傾向があります。
例えば、認知症の利用者が職員に手を上げても「認知症だからしょうがない」と考えたり、利用者から必要以上に身体を触られたりしても言いだせなかったりというケースも少なくありません。
そうした状況が当たり前になっていることもあるので、対策がとられていないこともあるのです。
しかし、ハラスメントは事業所だけでは対策が難しい面も。そうしたときに、自治体が他の事業所での取り組みを共有したり具体的な対策をアドバイスするなど総合的な支援ができると、ハラスメントの減少にもつながりそうですね。
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