介護の現場で働く人の多くが抱えている悩みのひとつに、腰痛があります。いすから車いすに移乗したりする際に、高齢者の身体を抱えあげることで腰に負担がかかり、腰痛を引き起こしてしまうのです。
しかし、介護現場では「腰痛になってからが一人前」という認識があり、腰痛があることが当たり前になっている実情もあります。
そうした状況を変えようと、大分県の福祉協議会が「ノーリフティングケア」の勉強会を実施。県内の介護施設の施設長など約100人が”抱えあげない介護”について学びました。
Contents
今月15日、大分県大分市で「ノーリフティングケア」を学ぶ勉強会が開かれました。
ノーリフティングケアとは「抱えあげない介護」とも呼ばれており、人の力だけではなく福祉用具やロボットなどを活用して介護をおこなう手法です。
この介護手法はオーストラリアが発祥。かつて、看護師の身体疲労による腰痛が増えて看護師不足が深刻化した際に、腰痛予防策としてスタートしました。
ノーリフティングケアを広めている「日本ノーリフト協会」によると、日本での介護職の腰痛率は72%。「腰痛をもって一人前」との認識もあるほど、介護現場にとって腰痛が当たり前になっている現状があるそうです。
そこで、ノーリフティングケアは人の力を使わない介護を実施。今回の勉強会では、リフト式の移乗機械を使ってベッドから車いすへの移乗のデモンストレーションをおこなったり、スライディングボードなどの補助器具の紹介をしました。
このノーリフティングケアが広まることで腰痛を理由とした介護職員の離職を減らして、深刻な人手不足を軽減する効果も期待されています。
ノーリフティングケアは、介護職員のスキルだけに頼るのではなく、器具や機械を積極的に使って経験の浅い職員でも身体の負担のない介助ができるようにする、という考え方です。
そのため、介助を受ける高齢者にとっても職員の経験に左右されずにいつも安全なケアを受けられるメリットがあります。
ただ、介助器具・機械を導入するには費用がかかります。さらに、機械を使うための場所が足りなかったり、現在使っている車いすなどが補助器具に対応していない場合もあり、なかなか導入が進んでいないのが課題となっています。
ノーリフティングケアを実現するためには、そうした問題を解決する国や自治体の柔軟な支援が必要なのではないでしょうか。
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面など様々な方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。