認知症の検査をする方法は、CT検査やMRI検査など脳の画像を調べるものや、記憶力や注意力を測るテストなどさまざまなタイプがあります。
しかし、その多くが費用が高かったり時間がかかるなど、検査を受ける人やその家族の負担が大きいのが課題。そのため、簡易的に認知症をチェックできる方法の開発が進められています。
そこで、今回、花王が発見したのは「認知機能の低下と歩行速度の変化」の関係性。認知機能が低下している人は、午後の歩行速度が低下する傾向があることがわかりました。
つまり、歩行状態を確認することで簡易的に認知症をチェックできる可能性があるとのことです。
洗剤や衛生用品などの製造をしている花王が、「認知機能の低下」と「1日の中での歩行速度の変化」に関係があることを発見したことを明らかにしました。
これは、今月2日~4日にかけておこなわれた日本老年医学会学術集会で発表した研究によるものです。
この研究では、要介護状態ではない60~91歳の約1500人の歩行速度を1日10時間以上、7日間にわたって計測。歩行速度と認知機能テストの結果を比較しました。
その結果、認知機能が低下している人は、12時以降の歩行速度が低下していることがわかりました。
さらに同社は、高齢者に多い小股でゆっくりとした不規則な歩行を「加齢歩数」として計測。それによって、歩行の安定性の変化をチェックできる可能性があると考えて、幅広い年代を対象に検証をおこないました。
その結果、加齢歩数はすべての年代の歩行のなかであらわれるものの、年齢を重ねるごとにその割合が増えることがわかったそうです。
こうしたことから、普段の歩行状態を計測することで認知症の簡易的なチェックや、歩行の安定性のチェックができる可能性があります。
認知症の検査は、費用や時間などの負担が大きいことに加えて、心理的なハードルがあることも課題のひとつです。
というのも、「認知症の検査をする」と聞くと、検査を受ける人は自然と身構えてしまうため。なかには、検査を受けるのを拒否することもあるかもしれません。
そこで今回の研究のように、普段の歩行状態を確認するだけで認知症のチェックができるのであれば負担が少なくて済みそうです。
特に、検査を拒否しそうなケースでは、散歩に連れ出すついでに歩行状態を測定できるようになると、気軽に認知症チェックができて助かりますね。
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