特集
新たな研究で、歩行速度が速い人はそうでない人に比べて糖尿病リスクが低くなる可能性が示されました。 この研究はイランのセムナン医科大学の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は「British Journal of Sports Medicine」という医学誌に掲載されています。 50万人以上のデータを統計的に解析 研究グループは、2023年5月までに発表された論文から、成人の歩行速度と糖尿病の関連性を調べた研究をリサーチ。すると、アメリカ、イギリス、日本でおこなわれた合計10件の研究が見つかったといいます。 それらの研究参加者をすべて合わせると、50万8,121人にも上るそうです。今回、研究グループは論文が示したデータを統計的に解析し、歩行速度と糖尿病の関連性を明らかにしていきました。 糖尿病リスクを減らせる歩行速度は時速4km以上 研究グループが論文のデータを解析した結果、歩行速度が時速3.2km未満の人と比べ、時速時速3.2~4.8kmで歩く人は糖尿病を発症するリスクが15%低くなることが判明。また、時速4.8~6.4kmで歩く人は糖尿病リスクが24%減少し、時速6.4km以上で歩く人は糖尿病リスクが39%も減少することが明らかになったと言います。 さらに、研究グループが以上のデータから糖尿病患者数への影響を推算したところ、時速3.2~4.8kmの歩行速度では100人当たり0.86人、時速4.8~6.4kmだと1.38人、時速6.4km以上では2.24人相当の糖尿病患者が減るだろうという結論に至ったそうです。 別の角度から解析をおこなった場合でも、時速4km以上の速さで歩けば糖尿病の発症リスクを抑えられる可能性が示されたと言います。時速4kmを具体化すると、男性では1分当たり約87歩、女性では約100歩に相当します。 以上の結果を踏まえ、研究グループは「健康のためにウォーキングの時間を増やす戦略は有効だ。それに加え、ウォーキングのメリットをさらに活かすためには、より速い速度で歩くと良いのではないか」と指摘しました。 早歩きには、糖尿病の防止以外にも認知機能の維持や高血圧の防止などさまざまな効果があることが多数の研究から示されています。特に運動する時間を取るのが難しい人は、意識的に早歩きをしてみると良さそうですね。
2024/01/11
2024年1月7日、東京都は2024年度から都内で働く介護職員に対し、1人当たり最大月2万円の居住支援手当を支給することを明らかにしました。 団塊世代の全員が75歳以上の後期高齢者となる2025年が近づく中、少しでも介護人材を確保しようというねらいがあるそうです。 1人1~2万円の居住支援手当を支給 1月7日、東京都は2024年度から都内で働くおよそ16万8000人の介護職員に対して、居住手当を支給することを明らかにしました。対象となるのは、居住支援手当を新たに設けた介護事業所に務める職員とケアマネジャーで、1人当たり月1万円を支給するとしています。 また、給料が伸びにくい若手を支援し、介護業界への転職を促すため、勤続5年以内の職員にはさらに月1万円を加算するそうです。 さらに、障害福祉サービス事業所で働く職員に対しても同様の手当を支給すると言います。 2025年問題とは 今回、東京都が介護事業所で働く職員に対して手当を支給する背景には、「2025年問題」があると考えられます。 そもそも、この「2025年問題」とはどのような問題なのでしょうか? 2025年は、ベビーブームだった1947~1949年の期間に生まれた、いわゆる「団塊世代」が全員75歳以上の後期高齢者となる年。人口比率が高い世代の人たちが全員後期高齢者となることで起こる、さまざまな問題を総称したものが「2025年問題」なのです。 中でも深刻な課題だと言われているのが「労働力不足」。これは介護業界でも同様で、東京都の調査では、2025年度には都内の介護人材が3万人以上不足するとみられています。 今後も高齢者が適切な福祉にアクセスできる体制を維持していくためには、労働力を少しでも介護・福祉に集める施策を打つことが重要です。そこで、都は職員に手当を支給することを決めたのだと考えられます。 今回の施策がうまくいって、少しでも多くの若手人材が介護業界を志してくれるといいですね。
2024/01/09
新たな研究で、ミツバチが作り出す成分のひとつである「プロポリス」を摂取すると、認知機能の低下が抑えられる可能性が示されました。 この研究は山田養蜂場健康科学研究所の研究グループによっておこなわれ、その研究結果は『BMC Complementary Medicine and Therapies』という科学誌に掲載されています。 今回の研究に至った背景 そもそも「プロポリス」とはどのような成分なのでしょうか? プロポリスとはミツバチが植物の新芽や樹脂から作り出す成分で、高い抗酸化作用があると言われています。また、これまでの研究で、プロポリスには脳の神経細胞を保護したり脳の炎症を抑制したりといった効果があることも明らかになっています。 さらに、健康な高齢者の認知機能を維持する効果も指摘されています。 一方で、ブラジル産グリーンプロポリスのアルツハイマー病に対する働きやメカニズムはあまり解明されていませんでした。 そこで今回、研究グループはブラジル産グリーンプロポリスがアルツハイマー病の予防にどのような効果があるかを調べることにしました。 プロポリスが認知機能の低下を防ぐ アルツハイマー病は「アミロイドベータ」と呼ばれる異常なたんぱく質が脳に蓄積し、神経細胞が侵されることで発症すると言われています。 アルツハイマー病とプロポリスの関係を調べたい研究グループは、脳にアミロイドベータを注入したマウスと注入していないマウスを用意。さらに、アミロイドベータを注入したマウスは、以下のようにプロポリスの投与量に応じてそれぞれ分類し、15日間にわたって観察がおこなわれました。 プロポリスを投与しなかったマウス プロポリスを毎日100mg/kg投与したマウス プロポリスを毎日300mg/kg投与したマウス プロポリスを毎日900mg/kg投与したマウス 16日目にマウスの脳内を調べた結果、プロポリスを毎日900mg/kg投与したマウスは、ほかのアミロイドベータを注入したマウスに比べて学習したり記憶したりといった認知機能を大きく維持できていたことが判明しました。 また、血液の成分を分析すると、プロポリスを毎日900mg/kg投与したマウスは全身の炎症反応も抑えられていたことが明らかになりました。 プロポリスはハチミツから摂取できるほか、最近ではプロポリスを高濃度に凝縮したサプリも販売されています。気になった人は試してみても良いかもしれませんね。
2023/12/26
予防医学や健康づくりなどをテーマにした書籍を販売しているメディカル・ケア・サービス株式会社は2023年12月21日、『かかりつけ薬剤師と進める50歳からの上手な薬の終(しま)い方』という本を発売しました。 著者は臨床薬理学者の中原保裕(なかはら・やすひろ)氏。中原氏は著書の中で「薬そのものに病気を治す力はない」と繰り返し訴え、薬の正しい選び方と使い方、止め方について専門的な知見をもとに解説しています。 薬の2大原則を知って正しい理解を 高齢になるにつれて高血圧や糖尿病などの生活習慣病にかかりやすくなります。診察に行く度に薬の数が増えている人も少なくないでしょう。中には「一生薬に頼っていかないといけないの?」「また薬が増えたらどうしよう」と悩んでいる人もいるかもしれません。 本書では、こうした薬にまつわる悩みを持っている人に対し、臨床薬理学者の中原氏が薬の正しい選び方と使い方、止め方などを詳しく解説しています。 中原氏は著書の中で、「薬の2大原則」を提示。その内容は以下のとおりです。 原則1:薬には病気そのものを直接治す力はない 原則2:薬は安全だから使うのではなく、必要だから使う 生活習慣病などで処方される薬のほとんどは病気を直接治すものではなく、あくまでも症状を改善するものです。 その代表例として本書で紹介されているのは高血圧の薬。高血圧の薬は血管を広げたり血管を流れやすくしたりして、一時的に血圧を下げているのだと言います。つまり、高血圧の根本的な原因である生活習慣を改善せずに薬を止めれば、また血圧は上がってしまうのです。 もうひとつ本書で紹介された薬の原則が「薬は安全だから使うのではなく、必要だから使う」というもの。薬には程度の大小こそあれ、必ず副作用が存在します。その副作用よりも服用した方がメリットが大きいと判断されたから、処方されているのです。 したがって、薬の副作用をむやみやたらに恐れ、自己判断だけで薬を中断するのは、病気を治しにくくしてしまう行為だと言えるでしょう。 情報を精査し、病気の自己管理を 現在、必要以上の薬が処方される「多剤服用」が問題となっています。自己判断だけで薬を中断するのは危険ですが、一方で処方せんにまったく疑問を抱かず惰性で薬を飲み続けるのも良くありません。 中原氏は、「薬の処方に疑問を持ったら、まずは『薬の2大原則』に照らし合わせて考えてほしい。この原則を知っていれば、自分の飲んでいる薬が本当に必要なものか考えられるようになる」と話しています。 また、最近では医師や薬剤師にチャットで病気や薬の相談ができるウェブサービスも開発されています。服用している薬に疑問点があれば、こういったサービスを利用してみるのも良いかもしれませんね。
2023/12/22
2023年12月4日と11日、厚生労働省の諮問委員会である社会保障審議会・介護保険部会が開かれました。そこで、介護ロボットなどのテクノロジー機器を導入した施設に対し、スタッフの配置基準を現在のものよりも緩和した「利用者3人につき職員数を0.9人」とする案が提示されたのです。 審議会に出席した厚生労働省の担当者は、「テクノロジー機器を活用して業務の効率化を図り、多くの需要に応えようとする姿勢を評価していきたい」と述べています。 しかし、テクノロジー機器は、介護業界においてまだまだ浸透しきっていないのが実情。厚生労働省がおこなったアンケートによると、見守り支援機器を取り入れているところが比較的多い「入所・泊まり・居住系」の施設や事業所でも、導入している施設・事業所は3割程度であることがわかりました。 テクノロジー活用でスタッフの配置基準が緩和! 厚生労働省は、12月4日と11日におこなわれた社会保障審議会・介護保険部会にて、一部介護施設のスタッフの配置基準を、現行のものよりも緩和することを明らかにしました。 対象となるのは、見守り支援機器などのテクノロジーを活用し、スタッフの負担軽減策が講じられていると認められる介護施設。人員基準が緩和されれば、現行の「利用者3人につき職員1人」よりも少ない「利用者3人につき職員0.9人」とすることが認められるようになります。 スタッフの数が現在よりも少なくなることで懸念されるのは、利用者の安全性。そこで審議会では、人員基準を緩和する施設には以下の安全対策を講じるように要請することが決まりました。 十分な休憩時間の確保 緊急時の体制整備(災害時などに集まれる職員の確保など) テクノロジー機器の定期チェックを実施 機器を扱うために必要な研修の実施 訪室が必要な利用者については、個別に訪室を実施 ポイントは、見守り支援機器などのテクノロジーのみに頼らないように定められたこと。認知症の人など、見守り機器だけでは不十分な利用者には個別で対応することが盛り込まれました。 介護現場のテクノロジー活用の現状 厚生労働省は、見守り機器や介護ロボットなどの活用状況や効果を検証するため、全国1万6111ヵ所の介護施設・事業所を対象にアンケート調査をおこないました。 参考:「介護現場でのテクノロジー活用に関する 調査研究事業」(厚生労働省) アンケートの中で、介護ロボットの導入状況を尋ねたところ、利用者のベッド上の動きを感知するセンサーなどの「見守り支援機器」を導入している「入所・泊まり・居住系」の施設・事業所が30%であることが明らかになりました。 また、「入浴支援機器」や「移乗支援機器」、「介護業務支援機器」なども「入所・泊まり・居住系」の施設・事業所では10%程度が利用していることが判明。一方、「訪問系」や「通所系」の施設・事業所ではまだまだ導入が遅れていることもわかりました。 なぜ介護現場でテクノロジーが広まらない? テクノロジー機器の導入例が比較的多い「入所・泊まり・居住系」の施設や事業所でも、機器を導入しているところは最大で3割程度と、なかなかテクノロジーが広まらない介護業界。その理由は何でしょうか? 参考:「介護現場でのテクノロジー活用に関する 調査研究事業」(厚生労働省) 先述した厚生労働省のアンケートの中で、見守り機器などの介護ロボットを導入していない施設・事業所に対して、その理由を尋ねました。すると、訪問系、通所系、入所・泊まり・居住系すべての施設や事業所で「介護ロボットの導入に必要な費用の負担が大きい」という回答が過半数を占めていたことが明らかになったのです。 このほか、「介護ロボットを職員が使いこなせるか不安がある」「どの介護ロボットを導入すれば良いのかわからない」「施設・事業所内でIT機器に詳しい人材がいない」などの回答が一定数見られました。 介護現場でテクノロジーが広まるとどうなる? では、介護現場でテクノロジーが広まるとどのようなメリットがあるのでしょうか? 例えば、個室にいる利用者の挙動を感知するセンサーといった見守り支援機器を導入すれば、リモートで利用者の動きがわかるため巡回の回数を減らせます。巡回の回数を減らせれば、その分より手厚いケアを必要とする利用者のもとに駆けつけやすくなるでしょう。 また、アシストスーツのような機器を導入すれば、少しの力で移乗しやすくなるため、利用者・介助者ともにより安全な介護を実現できます。 さらに国も介護業界の業務改善を後押しすべく、介護ロボットを導入し、その効果を示すデータを提供する施設・事業所に対して、新たな加算を設ける案も出ています。 以上のように、介護現場でテクノロジー機器がさらに広まっていけば、より効率的に介護業務をおこないやすくなることが期待されています。一方で、テクノロジー機器を導入すれば人員を減らしても問題ないかどうかはデータが不十分なため、今後さらなる検討が必要です。 今後、どのような配置基準をするにせよ、まずは利用者の安全性を第一に考えていってほしいですね。
2023/12/21
新たな研究で、ココアを飲むことで認知機能の低下を予防できる可能性が示されました。 この研究はアメリカのマサチューセッツ総合病院と、ハーバード大学に所属するブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究グループによっておこなわれたものです。 ココア成分が認知機能低下を予防する!? 今回、研究グループは65歳以上の高齢者573人を対象に調査を実施。対象者を2グループに分け、片方にはココアから抽出した「フラバノール」と呼ばれる一種のポリフェノールを500㎎含むサプリを毎日摂取してもらい、もう片方のグループには偽のサプリを毎日服用してもらいました。 研究期間の最後に認知能力のテストをそれぞれ実施してその研究を分析したところ、習慣的に質の低い食事をしていて、フラバノールを含むサプリを毎日摂取した人は、サプリの効果を得られなかった人に比べて認知テストの結果が良かったことが明らかになりました。 チョコレートにも高い健康効果 フラバノールはカカオに豊富に含まれていて、心筋梗塞などの心血管疾患の予防にも効果的だとされています。先述したココアはもちろん、チョコレートもカカオを原料としているため、大きな健康効果が期待できることがこれまでの研究から分かっています。 中国の重慶医科大学の研究グループはチョコレートの健康効果を調べるため、55~74歳までのアメリカ人 9万1891人を対象に調査を実施。対象者の医療データを解析した結果、チョコレートを摂取している人ほど心血管疾患を発症するリスクとアルツハイマー病で死亡するリスクがともに減少したことが明らかになりました。 研究グループは「今回の研究はチョコレートの消費量が比較的多いアメリカでおこなったものであるため、チョコレートの消費量がより少ないほかの国では同様の結果が得られない可能性もある」としています。 チョコレートやココアはおいしくて高い健康効果を有していますが、糖分も多いため食べ過ぎは禁物。適度な量を食べるようにしていきたいですね。 参考:「Chocolate and Cocoa-Derived Biomolecules for Brain Cognition during Ageing」
2023/12/20
以前の記事で、認知症に効く薬「レカネマブ」について紹介しました。今回はその続報です。 製薬大手のエーザイ株式会社とバイオジェン・インクが開発した認知症治療薬「レカネマブ」が、保険適用の対象となることが正式に決まりました。 保険適用が開始されるのは2023年12月20日からとのこと。また、レカネマブの価格は患者1人当たり年間およそ298万円になるとみられています。 レカネマブの概要と注意点 今回、保険適用となった「レカネマブ」とはどのような薬なのでしょうか? レカネマブは患者に点滴することで、アルツハイマー病の原因物質とみられる異常なたんぱく質「アミロイドベータ」に直接働きかけ、取り除く効果が期待される初めての薬です。 認知症の進行を遅らせる効果がある一方、投与する際に留意しなければならない注意点もあります。具体的には以下の3つです。 投与できるのは軽度のアルツハイマー病がある患者のみ 10人に1人の割合で脳出血などの副作用 対応できる医療機関は限定的 レカネマブを投与できるのは、「軽度のアルツハイマー病」を患っている患者のみ。中程度以上のアルツハイマー病がある人や、レビー小体型認知症などアルツハイマー病以外が原因の認知症には適用できないといいます。 また、研究機関等で実施された治験では、およそ10人に1人の割合で脳出血などの副作用が報告されています。 さらに、副作用が起こっているかどうかを確認する必要があるため、レカネマブを使った治療は脳内の画像診断などの検査ができる医療機関でおこなわれます。画像診断ができる装置は小さなクリニックにはないことも多く、対応可能な医療機関が限られることも懸念点のひとつです。 レカネマブの保険適用が正式に決定 複数回にわたる会合の結果、レカネマブは今年の12月20日から保険適用の対象となることが正式に決まりました。 このことを受けて、エーザイは12月13日、文京区にある本社で会見を開きました。会見の中で、CEOの内藤晴夫氏は「改めて責任の重さを痛感している。認知症当事者に薬が届けられるよう全力を尽くしていく」と話しています。 保険適用となったことで、認知症治療の選択肢が今後さらに増えていきそうです。現在、認知症の家族がいる人は、主治医と相談して最適な治療法を選んでいきたいですね。
2023/12/15
2023年12月13日厚生労働省は、兵庫県芦屋市に住む糸岡富子さんが国内最高齢になったと発表しました。糸岡さんは1908年5月23日生まれで、現在115歳だと言います。 国内最高齢の人物は115歳 厚生労働省は12月13日、兵庫県芦屋市に住む糸岡富子さんが115歳で国内最高齢になったことを明らかにしました。 芦屋市によると、糸岡さんは大阪市に生まれ、1990年に芦屋市に移住。現在は子どもが4人、孫が5人いるそうです。 また、学生時代はバレーボール部に所属し、スポーツに打ち込んだと言います。かつては100歳を過ぎてからも、自宅から神社までの道のりおよそ3キロを散歩することもあったそうです。 現在は歩くのは困難な状態で、芦屋市内の特別養護老人ホームに入居していると言います。 116歳だった人物は亡くなる 12月12日以前に国内最高齢だったのは、大阪府柏原市在住の巽フサさんで116歳。12日に病院で死亡が確認されました。関係者によると、死因は老衰だと言います。 巽さんは2023年に入ってからはほぼ寝たきりの状態だったそうです。 息子の巽完次さんはメディアの取材に対し、「よく頑張ったと思っている。誰にもできないことを成し遂げた」と話しました。 100歳以上の人は9万人以上 厚生労働省の発表によると、2023年における100歳以上の高齢者は9万2139人に上ることが判明。女性が全体の89%を占め、その人数は8万1589人だとしています。 また、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者が最も多いのは島根県。10万人当たり約155人の高齢者がいるといいます。 医療技術が今後さらに発展していけば、今よりも多くの人が100歳以上生きられるようになるかもしれません。高齢者が長く健やかに生きられる社会をみんなでつくっていきたいですね。 参考:「プレスリリース」(厚生労働省)
2023/12/14
新たな研究で、中年期に内臓脂肪が多い人はそうでない人に比べて、将来の認知症リスクが上昇する可能性が示されました。 この研究はアメリカのワシントン大学によっておこなわれ、その研究結果は北米放射線学会の年次総会にて発表されました。 内臓脂肪が多い人は認知症リスクが上昇 今回の研究には、肥満と判定された40~60歳の男女54人が参加しました。 研究グループは、対象者の血糖値やインスリン値などを検査。また、腹部のMRI検査で内臓脂肪と皮下脂肪の体積を測定。脳もMRI検査をおこない、アルツハイマー病の影響があらわれやすいとされる皮質(脳のしわの部分)の厚さなども調べました。 その結果、内臓脂肪が多い人ほど脳内に炎症が生じやすく、アルツハイマー病の初期段階に似た変化も起こりやすいことが明らかになったのです。 特に、糖の代謝を促すホルモンであるインスリンの働きが悪くなった肥満の人は、インスリンの働きが正常な肥満の人に比べて、脳の「白質」と呼ばれる、神経細胞の連絡路を担っている領域の体積が小さくなっていることが判明しました。 大脳白質に障害があると、物忘れや歩行時のふらつき、話すときに口がもつれるなどの症状が現れやすくなると言われています。 「隠れメタボ」の人も要注意 今回の研究をリードした、ワシントン大学の放射線研究所に所属するマーサ・ドラシャヒ氏は「体重がそれほど重くなく、『自分は肥満ではない』と思っている人も、実は内臓脂肪が蓄積している『隠れメタボ』である可能性もあるため注意が必要だ。そうした『隠れメタボ』の人も脳に異常な変化が起きていて、早い段階で認知機能が低下する可能性がある」と指摘しました。 また、「若いうちから内臓脂肪が増えすぎないように対策することが、認知症を予防するのに役立つ可能性がある」としています。 厚生労働省によると、極端に食事の量を制限するようなダイエットは、必須栄養素の摂取量が不足し、便秘や骨粗しょう症、貧血など健康に害がおよぶリスクもあるといいます。体重が気になる人は、栄養バランスの取れた食事と適度な運動を心がけ、健康的なダイエットをおこないましょう。
2023/12/12
高齢者をねらった特殊詐欺の被害が増えているとして、警察が警戒を呼びかけています。警察庁の発表によると、2022年における特殊詐欺の認知件数は1万7520件で、前年よりも3000件以上増加したことが判明しました。 今年は特に、兵庫県で特殊詐欺の被害が増加しています。兵庫県警によると、2023年10月に認知した特殊詐欺事件の件数が、過去10年間の月別の被害件数で最多となる130件以上に上ったことが明らかになったのです。 以上のような現況を踏まえ、兵庫県では自動録音機能などがついた防犯機能付き電話機を購入した高齢者に対し、最大1万円を補助することを明らかにしました。 防犯機能付き電話で詐欺を撃退! 2023年11月29日、県内で特殊詐欺の被害件数が過去最悪のペースで増加していることを受けた兵庫県は、65歳以上の県内の在住者を対象に、詐欺被害を防ぐ助成策を打ち出すことを発表。自動録音機能などの防犯機能付き電話機を購入した高齢者に、最大1万円を補助すると明言しました。 防犯機能付きの電話機には、電話をかけてきた相手に対して「音声を録音する」と警告メッセージを流す機能があり、それで多くの被害を防げると言います。 実際に、65歳以上の一人暮らしの高齢者に警告メッセージ機能付きの音声録音機を貸し出した山梨県のケースでは、「迷惑電話が一切なくなり安心感があった」など、高齢者から好評を得ています。 被害件数はここ10年で最多に? 兵庫県警の発表によると、2023年10月に認知した特殊詐欺の被害件数が130件以上に上ることが判明しました。これは月別では過去10年で最悪の数字です。 10月に特に被害が多かった手口は、架空の未払い料金などを口実に金銭をだまし取る「架空請求詐欺」で約50件発生。「ウイルスに感染した」といううその警告をパソコンの画面に表示させ、解決代の名目で料金を払わせる手口が多発していると言います。 また、兵庫県内で起きた1~9月の特殊詐欺の被害件数は889件でした。10月分を合わせると1000件以上、被害総額は16億円以上になるとみられています。 今年の兵庫県における詐欺被害の増加ペースは、過去10年で最多と言われた去年の1074件を上回る勢い。担当者は「去年よりもさらに1.2倍増える恐れがある」と警鐘を鳴らしています。 「介護施設の入居権を譲って」は詐欺? 今年、兵庫県で起こった詐欺事件の中には、介護施設の入居手続きを名目に2000万円近くをだましとられるという事件もありました。 警察の調べによると、今年の7月27日~9月4日の間、神戸市在住の81歳女性の自宅に住宅会社の社員などを名乗る人物から、「建設中の介護施設の入居優先権が当たった。入居しないか」という電話があったと言います。 女性が介護施設への入居を断ると、「ならば入居する権利を別の人に譲ってほしい」という申し出があったそうです。 女性がそれを承諾すると、今度は弁護士などを名乗る人物から「入居する権利をほかの人に譲ったことが問題になっている」「解決するためには現金が必要だ」などと脅されたと言います。 犯人の話を信じた女性は計4回にわたって、宅急便で指定された場所に現金を郵送。11月になって連絡が途絶えたことで被害に気づいたそうです。 被害者の9割近くが高齢者 高齢者をねらった詐欺被害が増えているのは兵庫県だけではありません。 警察庁の発表によると、2022年における特殊詐欺の認知件数は1万7520件(前年比3022件増)で被害総額は361.4億円(前年比79.4億円増)でした。どちらも前年より大幅に上回っていることが明らかになったのです。 また、2022年に起こった1万7520件の特殊詐欺のうち、約86%が65歳以上の高齢者が被害に遭った詐欺事件であることも判明。特に、高齢女性が被害に遭ったものが1万件以上を占めていることもわかりました。 「オレオレ詐欺」より多いのは… 参考:「COLUMN 特殊詐欺による高齢者の被害について」(消費者庁) 具体的には、どのような手口の詐欺に遭ったのでしょうか? 2022年に最も被害件数が多かった手口は、税金などの還付に必要な手続きと偽って、別の口座に送金させる「還付金詐欺」で、全体の26.7%を占めていることがわかりました。 そのほかには、家族などを名乗って金銭をだまし取る「オレオレ詐欺」が24.4%、「キャッシュカードが不正に利用されている」などとうそを言ってキャッシュカードを別のものとすり替える「キャッシュカード詐欺盗」が17.4%、「架空請求詐欺」が16.5%、「口座が犯罪に利用されている」などの名目でキャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」が13.5%でした。 有効な対策は「不審な電話に出ないこと」 では、特殊詐欺から身を守るためには、どのような対策をすればすれば良いのでしょうか? 兵庫県警は、「不審な電話から出ないように対策すること」が非常に有効だと言います。県警が挙げた具体的な対策は以下のとおりです。 電話番号通知サービスを利用し、非通知の電話には応答しない 常時留守番電話に設定し、メッセージを確認するまで応答しない 防犯機能付き電話機を使用する 防犯機能付き電話機には、自動で通話の音声を録音する機能はもちろん、警察が情報提供している電話番号からの着信を自動で拒否する機能やボタンを押すだけでお断りメッセージを流す機能など、機種ごとにさまざまな機能が搭載されています。 詐欺対策に万全を期すためにも、不安な方は防犯機能付き電話機の購入を検討してみても良いかもしれませんね。 参考:「特殊詐欺被害にあわないために」(兵庫県警)
2023/12/08
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。