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2025年9月15日の「敬老の日」にちなみ、総務省は日本の高齢者人口に関する最新の推計を発表しました。総人口に占める65歳以上の割合は29.4%と過去最高を更新し、世界で最も高い水準にあることが改めて示されました。 一方で、働く高齢者数も過去最多を更新。シニア世代になってもアクティブに活動し続けている人が多数いることもわかりました。 本記事では、最新の公的データをもとに、日本の高齢化の現状と、変化するシニア世代の姿を見ていくことにします。 世界トップクラスの高齢化、その実態は? 総務省統計局の最新の人口推計によると、日本の65歳以上の人口は3619万人となり、総人口に占める割合は29.4%に達したことが明らかになりました。諸外国の割合と比較してみると、2位のイタリアが25.1%、3位のドイツが23.7%であることから、日本の高齢者割合は世界でも突出して高いことがわかります。 注目すべきは、高齢者の絶対数は5万人減少したにもかかわらず、総人口に占める高齢者の割合が上昇している点です。これは、高齢者人口の減少を上回るペースで日本の総人口が減少しているためであり、社会全体の少子高齢化が加速していることの表れだと言えるでしょう。 この傾向は今後も続くと見られ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、50年後には日本の高齢化率が40%に近づくと予測されています。 働く高齢者数も過去最多に 今回の統計局の調査では、高齢化が進む一方で、働く高齢者数も増加し続けていることがわかりました。 具体的には、65歳以上の就業者数が2004年以降21年連続で増加し、今回は過去最多の930万人に達したことが明らかになったのです。これは、就業者数全体の13.7%を占める数字です。 なぜ、これほど多くの高齢者が働き続けているのでしょうか。 内閣府の「高齢社会白書」によると、「収入がほしいから」といった経済的理由に加えて、「働くことで老化を防ぎたいから」「自分の知識や経験を生かせるから」などの理由が挙げられています。 今後、さらに高齢化が進むことが見込まれています。経験豊かなシニア世代がその能力を存分に生かせる環境を整備していくことが、これからも成長し続けられる社会づくりのカギになるかもしれませんね。 参考「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」総務省統計局 「日本の将来推計人口」国立社会保障・人口問題研究所 「高齢社会白書」内閣府
2025/11/04
家族が認知症になったとき、「周りに迷惑をかけていないだろうか」と、つい考えてしまうことはありませんか。それは、介護を担う家族の正直な気持ちだと思います。 そして、私自身も「もし自分が認知症になったら、家族に大きな負担をかけてしまうのではないか」という不安を常に感じています。 先日発表された内閣府の世論調査の結果は、まさにその不安が多くの人に共通するものであることを示していました。 内閣府調査が示す介護者の共通の不安 内閣府が公表した「認知症に関する世論調査」は、私たちが日頃抱えている不安を数値で示してくれました。 最も多かった回答は、「自分が認知症になったら家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」というもので、74.9%もの人がこの点を不安に感じていると答えています。 これは、私たち介護者が、家族の負担を何よりも心配しているという現実を浮き彫りにしています。また、家族が認知症になった場合の不安についても、「周りの人に迷惑をかけるのではないか」が46.5%で最多となっており、周囲の目や、社会とのつながりが途絶えてしまうことへの懸念も大きいことが分かります。 認知症への理解とイメージのギャップ 今回の調査では、認知症に対する世間の理解度も明らかになりました。2023年に成立した「認知症基本法」を知らない人が75.8%にものぼり、法律ができたにもかかわらず、まだ社会全体に浸透していない現状が示されています。 さらに、認知症と聞くと「症状が進行し、何もできなくなる」といったネガティブなイメージを持つ人が12.3%いました。 しかし、厚生労働省の担当者は、認知症になってもすぐに全てができなくなるわけではないと指摘しています。この「何もできなくなる」という誤ったイメージが、本人や家族の不安をさらに大きくしている可能性があると私は感じました。 不安を和らげるための具体的な取り組み では、この不安をどうすれば和らげることができるのでしょうか。厚生労働省の担当者が述べているように、その鍵は「認知症当事者と地域単位で接する場」を増やすことにあると考えられます。 当事者と直接触れ合うことで、「何もできなくなる」という誤解が解け、認知症になってもできることや、楽しんで生活している姿を知ることができます。それは、家族の未来に対する漠然とした不安を軽減してくれるでしょう。私たち介護者も、そうした場に積極的に参加し、当事者同士や専門家と交流することで、介護のヒントを得たり、一人ではないという安心感を得たりできるかもしれません。 今回の調査結果は、認知症を特別なことと捉えるのではなく、より身近な問題として捉え、社会全体で支え合うことの重要性を私たちに教えてくれています。
2025/10/16
高齢ドライバーによる交通事故のニュースが報道されるたび、「早く免許を返納すべきだ」という声が高まります。しかし、特に地方在住の高齢者にとっては「車がないと生活が不自由だ」と感じるケースも多く、簡単な決断ではありません。 本記事では、データをもとに高齢者が運転するリスクを客観的に分析し、高齢ドライバー本人も周りの人も納得できる、円滑な「運転卒業」を迎えるためのヒントを探っていきます。 高齢ドライバーによる交通事故、その実態は? 警視庁の統計によると、2023年時点での交通事故件数は3万1385件で、そのうちの15.4%にあたる4819件が高齢ドライバーによる交通事故でした。 高齢ドライバーによる事故発生件数・事故全体に占める高齢ドライバーの事故割合ともに最多だった2017・2018年と比較すると減少傾向にはありますが、それでも依然として高齢ドライバーによる事故は少なくありません。 どうして、高齢ドライバーによる事故が起きてしまうのでしょうか。 警視庁が交通事故の人的要因を75歳以上のドライバーと75歳未満のドライバーで比較したところ、75歳以上のドライバーでは「ブレーキとアクセルの踏み違い」の割合が大きいといいます。75歳未満では0.5%程度だったのに対し、75歳以上だと7%にも上るためその差は歴然です。 一方で、交通心理学の専門家である九州大学の志堂寺和則氏は、「高齢者の運転事故で亡くなる方の約7割は、運転していた高齢者本人や同乗者であり、歩行者などを巻き込むケースはそれほど多くない」と指摘しています。 このことからも、「高齢ドライバーが他者を危険にさらしている」という一面的なイメージだけで問題を捉えるのではなく、多角的に考えることが重要です。 円滑な「運転卒業」を実現するためのアクション 自身の運転能力の低下を自覚していても、車主体の移動が当たり前になっていると、なかなか返納の決断ができないこともあるかもしれません。ここでは円滑な「運転卒業」を実現するためにおこないたいアクションについて考えていきます。 まずは、免許返納後の生活を具体的にシミュレーションしてみると良さそうです。家族や周りの人も協力して地域の交通機関のルートやネットスーパーの活用法などを具体的に調べ、「車がなくても生活できる」ことをイメージできると運転卒業に近づくかもしれません。 また、免許を返納を返納した高齢者に対し、多くの自治体で公共交通機関の割引パスを提供するといった支援制度が設けられています。このような「返納による特典」を提示することも、免許返納の後押しになるのではないでしょうか。 高齢ドライバー自身も周りの人も納得できるような道筋を、社会全体でつくっていきたいですね。 参考「高齢運転者事故発生状況」警視庁
2025/10/14
高齢化社会が進展するにともない、日本の医療費は過去最高を更新し続けています。増え続ける医療費を、現役世代と高齢者世代はどう分かち合っていくべきなのでしょうか。 現状では、一定以上の収入がある世帯を除き、75歳以上の後期高齢者の医療費は1割負担ですが、これについて賛否両論の意見が飛び交っています。 本記事では、公的データをもとに、現役世代と高齢者世代の経済状況を比較し、後期高齢者医療制度の今後を考えていくことにします。 所得が低くても経済的に豊か?高齢者の経済実態とは 高齢者世帯がいくら医療費を負担するべきかについて議論する際、重要になってくる論点が「高齢者の収入」です。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の平均所得は312.6万円であり、現役世代を含む「その他の世帯」の664.5万円と比較すると約半分になっています。 以上のデータを見ると確かに高齢者の収入は少ないですが、これだけで「多くの高齢者は経済的に困窮している」と結論づけてしまうのは早計かもしれません。 収入以外に注目すべきは「高齢者世帯の資産」です。J-FLEC(金融経済教育推進機構)の2024年の調査によると、70代の平均金融資産保有額は1923万円に上ったことが明らかになりました。これは資産形成期である40代の約2倍の額です。 もちろん、だからといってすべての高齢者が裕福ではないことに注意が必要です。同調査では、70代のうち約20%が「金融資産がゼロ」であるという厳しい現実も明らかになっています。つまり、高齢者内でも経済的格差が大きい実情があるのです。 持続可能な制度にするためには? 現行の後期高齢者の医療負担で考慮されるのは収入のみであり、金融資産は加味されません。つまり、潤沢な金融資産があったとしても、現時点で収入がなければ1割負担になるのです。これは、2022年におこなわれた後期高齢者医療制度の改定後も変わっていません。 高齢化社会が進むにつれて、社会保障費の負担額も年々増加しており、このままでは現役世代の負担が限界に達してしまうという懸念の声が上がっています。 制度改定の際、医療費の負担増加が受診控えにつながるのではという意見が根強くあり、日本医師会も反対の意を示していました。しかし、その後の厚生労働省の調査では、負担増加による受診への影響は限定的であったと報告されています。 以上のような現状を踏まえて、近年議論されているのが所得だけでなく金融資産なども含めて総合的に負担額を判断する「応能負担」の考え方。これなら、対象者の支払い能力によって負担額が決定されるため、経済的な余裕のない高齢者も安心して医療を受けられるでしょう。 負担が増え続ける中で今後も持続可能な制度にするためにも、未来志向的な議論を進めていきたいですね。 参考「家計の金融行動に関する世論調査」J-FLEC(金融経済教育推進機構)
2025/09/08
「最期のひとときまで住み慣れた自宅で暮らしたい」 そう思っている高齢者は少なくないのではないでしょうか。 そんな願いを支えているのが、ヘルパーが自宅を訪れて利用者の生活全般をサポートする「訪問介護サービス」です。しかし、在宅介護の最前線である訪問介護事業所が、深刻な人手不足と経営難に陥っている現状をご存じでしょうか。 本記事では、在宅介護を取り巻く現実について考えていくことにします。 訪問介護事業者の倒産が過去最多に 厚生労働省によると、現在、在宅介護サービスを利用している人は全国で約432万人で、ピークを迎える2040年には約465万人にも達すると推計されています。 高齢化社会が進展するにともない、今後ますます高まる訪問介護の需要ですが、多くの事業所が経営難や人材不足に苦しんでいる実情があります。東京商工リサーチの調査では、2024年の訪問介護事業者の「倒産」は81件で、過去最多を更新。事業者の「休廃業・解散」も448件に上り、介護事業者の「休廃業・解散」全体の7割以上を占めました。 人手不足と基本報酬の引き下げ…経営難の実態に迫る 訪問介護事業者はどうしてこれほど経営に苦しんでいるのでしょうか。 その大きな理由のひとつが、深刻な人手不足です。介護労働安定センターが実施した「介護労働実態調査」によると、「労働条件等の悩み・不安・不満」として最も多く挙げられた回答が「人手が足りない(52.1%)」、続いて多かった回答が「仕事内容の割に賃金が低い(41.4%)」でした。 介護労働は心身ともに負担が大きいにもかかわらず、賃金が低い水準にあるため求人を出しても応募がない、という事業所も少なくありません。 訪問介護事業所の経営難にさらに追い打ちをかけたのが、2025年度の介護報酬改定による、訪問介護の「基本報酬引き下げ」です。業界内では「国は一部の事業所の経営が良好だったことを減額理由として挙げたが、それは効率的に多数の利用者の見守りができる、都市部の集合住宅併設型などのケースに限られる。地域の高齢者の住宅を一軒一軒回る事業所とは事情が異なる」との不満が高まっています。 現在、国は医療・介護・生活支援を地域で一体的に提供する「地域包括ケアシステム」を推進しています。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を継続していくためのこの構想を目指すうえで、特に重要になってくるのが、利用者の生活に最も密着した訪問介護の存在です。高齢者のQOL(Quality Of Life:生活の質)を維持するためにも、介護現場の処遇改善は急務だと言えるのではないでしょうか。 参考「令和4年度 介護労働実態調査」公益財団法人 介護労働安定センター
2025/09/08
厚生労働省の調査によると、年金を受給している高齢者世帯のうち、公的年金のみで暮らしている世帯は半数以下にとどまることが明らかになりました。 つまり、残りの半数以上の高齢者世帯は何らかの形で働くなどして、そこから得た収入を上乗せして生活しているということになります。 本記事では、最新の公的データに基づき、高齢者世帯のリアルな生活費・貯蓄・年金の実態を見ていくことにします。 年金だけでは生活できない?高齢者世帯のリアルな収支 厚生労働省は、国民の生活実態を探るためにおこなった「国民生活基礎調査」の最新版を公表しました。 それによると、年金を受給している高齢者世帯のうち、「公的年金・恩給」のみで暮らしているのは全体の43.4%にとどまり、残りの56.6%は何らかの収入を上乗せして生活していることが明らかになりました。 続いて、高齢者世帯が得ている年金の平均額を見てみましょう。厚生労働省の別の調査によると、厚生年金では約15万円、国民年金では約5万円であることがわかりました。これらの額はあくまでも「平均」のため、人によってはそれより下回っているケースも少なくありません。 一方で、総務省統計局の家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯では、税金や社会保険料を含めた月々の総支出額が約28.7万円に上ります。 以上のことから、収入の柱である年金のみでは生活費のすべてを賄いきれず、パートなどから得られる収入も合わせることで何とか生活できているという実情が伺えるでしょう。 平均貯蓄1923万円の裏側。「貯蓄ゼロ」が20% 「年金のみで暮らすのが難しければ今までの貯金で生活すればいいのではないか」 そう考えた人もいるかもしれません。そこで、高齢者の貯蓄額も見てみることにしましょう。 J-FLEC(金融経済教育推進機構)が2024年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70代かつ二人以上世帯の貯蓄額の平均は1923万円であることが判明。より実態に近いとされる中央値を見ると、平均額を大きく下回る800万円でした。 貯蓄額階層別の世帯割合を見ると、貯蓄額3000万円以上の世帯が19%存在する一方で、貯蓄ゼロの世帯が20.8%を占めています。このことから、裕福な世帯と生活に困窮している世帯に大きく二分していることが伺えます。 以上のことから、年金収入のみをあてにして生活していくことは難しいという実情が明らかになりました。幸い、今は再雇用制度や新NISA・iDeCoなど、高齢になっても収入を得られる仕組みづくりが着々と進められています。これらの制度をうまく活用して、より良い老後を迎えましょう。
2025/09/08
物価高が続き、年金で暮らしている高齢者への負担が深刻化しています。厚生労働省が実施した「国民生活基礎調査」によると、高齢者世帯の過半数が「生活が苦しい」と感じていることが明らかになりました。 かつての「リタイア後は悠々自適」というイメージは、もはや過去のものになってしまったのでしょうか。 本記事では、最新の公的データを参照しながら「高齢者のリアル」を見ていくことにします。 高齢者世帯の過半数が「生活が苦しい」 2024年、厚生労働省は国民の生活実態を明らかにするためにおこなった「国民生活基礎調査」の結果を公表しました。 アンケート調査にて生活の困窮度を調べたところ、高齢者世帯のうち25.2%が「大変苦しい」、30.6%が「やや苦しい」と回答したことが判明。つまり、高齢者世帯の実に半数以上が「生活が苦しい」と答えたことが明らかになったのです。 一方で、「生活にゆとりがある」と答えたのは、「ややゆとりがある」「大変ゆとりがある」両方の回答を合わせても、高齢者世帯全体のわずか4.2%にとどまりました。 以上の調査結果から、高齢者世帯の多くが「生活が苦しい」と感じていることがわかります。 老後を豊かに過ごすために今できることは? 老後を少しでも豊かに過ごすためにはどうすれば良いのでしょうか? 定年退職までにまだ時間のある現役世代は、月々の負担額に400円をプラスすることで将来の受給額を増やせる「付加年金」を利用すると良いでしょう。 また、少しずつ運用額を積み立てていくことで、公的年金とは別に給付を受けられる私的年金制度「iDeCo」を活用してみても良いかもしれません。 一方、すでに定年退職をしたシニア世代は「高額療養費制度」や「介護保険制度」といった公的な制度を賢く使うことで、経済的負担を大きく抑えられる可能性があります。自分が利用できる制度がわからない場合は、「地域包括支援センター」で一度相談してみることをおすすめします。 参考厚生労働省(2024)「国民生活基礎調査の概況」
2025/08/28
厚生労働省の調査によると、2022年の日本人の健康寿命は男性が72.57年、女性が75.45年とされています。「年を取ってもできるだけ長く、元気に自立した生活を送っていきたい」と考えている人は多いのではないでしょうか。 お茶の水健康長寿クリニック院長の白澤卓二氏は、自身の著書『図解50歳からの長生き栄養術』にて、「健康長寿の基本は食生活にある」と語っています。 今回は健康的に長く生きるための食生活について考えていくことにします。 歩く速さで寿命が変わる?たんぱく質不足の危険なサインとは 白澤氏は「病気を予防して寿命を伸ばすための栄養素で最も重要なのはたんぱく質だ」といい、「たんぱく質が不足すると筋力が低下し、寝たきりの原因にもなる」と続けます。 たんぱく質が足りているかどうか、その指標となるのが血液中の「アルブミン値」。アルブミンは、主に肝臓で作られるたんぱく質の一種で、血液中に含まれる100種類以上のたんぱく質のうち、約60%を占める重要な成分です。 この数値が基準値より低いと低栄養状態とされ、筋肉の素となるたんぱく質の量が減少した結果、歩く速度も低下するといいます。 東京都健康長寿センター研究所の研究グループは、対象者の歩く速度を「速い」「普通」「遅い」の3グループに分けて調査をおこないました。 その結果、歩くのが「速い」グループの8年間の総死亡率は11.5%だったのに対し、「遅い」グループでは38.3%と、3倍以上の差があることが明らかになったのです。 つまり、十分なたんぱく質を摂取することは、健康寿命そのものに直結すると言えるでしょう。 筋肉を減らさずに健康を保つために大切なこと 加齢による筋肉量の減少は「サルコペニア」と呼ばれ、認知症や寝たきりの大きな原因となることが明らかになっています。そのサルコペニアを防ぐためにも、筋肉の材料となるたんぱく質の十分な摂取が不可欠です。 では、どのくらいのたんぱく質を摂取すれば良いのでしょうか?アメリカの陸軍省・環境医学研究所がおこなった調査がそのヒントを与えてくれます。 研究グループは、たんぱく質の摂取量で39人の対象者を3グループに分け、食事制限と運動によるダイエットの指導を実施。その結果、国が推奨する標準量(体重1kgあたり0.8g)のたんぱく質を摂ったグループは、減量には成功したものの、脂肪よりも筋肉が減少する割合が大きかったことが判明したのです。 一方で、推奨量の2倍のたんぱく質を摂取したグループは高い減量効果を維持したまま、筋肉の減少を最小限に抑えられたことが明らかになりました。 良質なたんぱく質を十分な量摂取することは、健康的に長く生きるためには欠かせません。とはいえ、腎臓病の人はたんぱく質の摂りすぎが病状の悪化を招く恐れもあります。持病がある人は医師や管理栄養士と相談しながら、適切な量を摂取していきたいですね。
2025/08/13
「団塊世代」全員が75歳以上の後期高齢者となるのが、2025年。日本は世界を見渡してみても類を見ないほどの超高齢社会を迎えました。 そこで、社会全体の大きな課題となっているのが高齢者の生活の質(QOL)の向上です。 高齢者の住宅環境とQOLの関係性について研究をおこなっている内科医の河口謙二郎氏は、東洋経済オンラインの取材にて、高齢者と住居の質について次のように話しました。 「高齢者の多くが住み慣れた家で暮らし続けることを希望している。自宅で多くの時間を過ごす高齢者にとって住宅環境の整備はとても重要だが、多くは築年数の古い住宅に住んでおり、断熱効果などが不十分であるケースが多く見られる」 今回は、最新調査からわかった高齢者のQOLと住居の質との関係性について考えていきます。 「住み慣れた実家」の落とし穴 国土交通省が2022年に発表した『高齢者の住まいに関する現状と施策の動向』によると、65歳以上の高齢者およそ9割が自宅で暮らし続けていることが判明。また、要介護認定を受けた高齢者のうち7割以上が施設ではなく、在宅介護を受けていることも明らかになりました。 これだけ多くの高齢者が自宅で暮らしている現状を見ると、気になってくるのが「高齢者は自宅で快適に暮らしているかどうか」ではないでしょうか。 しかし、国土交通省のデータによると、1980年以前に建てられた古い住宅の約7割に、高齢者世帯が暮らしていることがわかりました。河口氏は「古い住宅は現在の基準で見ると、断熱性が低かったりバリアフリーに対応していなかったりと、高齢者が暮らしていくには多くの課題を抱えている」と指摘しています。 こうした現状を踏まえて、河口氏は高齢者の住環境とQOLの関係性を調査。その結果、やはり住環境の満足度が高いほど、高齢者のQOLも向上することが明らかになりました。 住居のにおいと明るさが高齢者のQOLに直結 では、高齢者のQOLに最も影響を与える要因とは何だったのでしょうか。 河口氏は、在宅の要介護高齢者とその介護者を対象に、住居の「暑さ」「寒さ」「騒音」「におい」「明るさ」「防犯」の6項目にわたるアンケートを実施しました。その結果、住居の「におい」と「明るさ」が高齢者のQOL向上に大きく関わっていることが明らかになったといいます。 特に、住居の明るさとにおいに関する課題ついて、河口は次のように指摘しました。 「高齢者にとって、暗がりでの転倒は骨折などの大怪我に直結し、寝たきりの原因にもなりかねない。照明が不十分な環境は、常に転倒への恐怖心と隣り合わせの生活となり、大きな精神的ストレスがかかるため、精神的な不安を覚える方が多いのだと推測される」 「多くの自治体では、朝の早い時間帯にゴミを出さなければならない決まりがある。しかし、足腰が不自由な高齢者のなかには、ゴミ出しが困難な方もいる。そのため、屋内にゴミが溜まり、臭気がこもってしまうケースがある」 多くの自治体では、高齢者向けにゴミ出しを支援する「高齢者ゴミ出し支援制度」が導入されています。まずは今住んでいる自治体でそういったサービスがおこなわれていないか、確認してみると良いでしょう。また、家の明るさは、人の気配で自動で点灯するセンサーライトなども販売されているため、そういった商品を使ってみても良いかもしれませんね。 参考 国土交通省 『高齢者の住まいに関する現状と施策の動向』
2025/08/06
最近、リハビリの一環として「アニマルセラピー」を導入する介護施設が増えています。犬や猫といった動物が心身機能や認知機能の維持と改善に役立つことが、さまざまな研究で明らかになってきているからです。 今回紹介する研究もそのひとつ。新たな研究で、犬を飼育している人は記憶力の低下が緩やかになり、猫を飼育している人は言葉の流暢さを司る認知機能の低下が緩やかになったことがわかりました。 犬や猫を飼育している人は認知機能の低下が緩やかに 今回、研究グループは50~99歳までの中高齢者1万6582人を対象に調査を実施しました。対象者のうち、約40%が何らかのペット(犬、猫、鳥、魚)を飼っていたといいます。 飼育しているペットの種類ごとに、18年分のデータを解析したところ、犬を飼育している人はペットを飼育していない人にくらべ、記憶力の低下が緩やかだったことが判明。また、猫を飼育している人は言葉の流暢さを司る認知能力の低下が緩やかだったことがわかりました。 一方、魚や鳥を飼うことと認知機能の健康効果との関連性は、今回の研究ではみられませんでした。 今回の結果を受けて、研究グループは「犬や猫との触れ合いは、ほかのあまり要求の強くないペットでは顕著でない、独特の認知刺激を与える可能性がある。犬や猫によって促される社会的刺激が、飼い主の認知機能の低下を遅らせているのではないか」と分析しています。 ペットの存在が他者と話すきっかけにも アメリカのワシントンDCにある非営利団体「ヒューマン・アニマル・ボンド研究所」のSteven Feldman氏は「今回の研究によって、犬や猫を迎えることを検討する高齢者に説得力のある理由が示された」と言い、さらに次のように続けました。 「今回の研究で得られた最も重要な知見は、高齢者がペットを飼いやすい環境を整備するための、具体的な政策を裏付ける確かな証拠が示されたことだ。例えば、高齢者施設では単にペットの飼育を許可するだけでなく、入居者が積極的にペットを飼うことを促すような特典を設けるべきだろう」 犬や猫などのペットは、散歩中に他者と話すきっかけになったり家族との会話の潤滑油になったりと、社会的つながりの醸成という観点でも大切な存在です。ともに人生を歩む覚悟がある方は、新たな家族を迎え入れてみてはいかがですか。 参考e-Longitudinal relationships between pet ownership and cognitive functioning in later adulthood across pet types and individuals’ ages
2025/08/04
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。