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高齢者の一人暮らし

介護離職 在宅介護 高齢者の一人暮らし

遠距離でも介護できる!?遠方で一人暮らしの家族を持つ人のための本

株式会社祥伝社は、女優として活動している柴田理恵さんが自身の体験談をつづった『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』を刊行することを発表。遠くにいても在宅で介護するハウツーを学べるといいます。 今、「遠距離介護」の情報が求められている背景 団塊世代全員が75歳以上になる2025年には、国民全体の約5人に1人が75歳以上の後期高齢者になると言われています。高齢化社会が進展するのに伴い、「家族の介護」に悩む人も少なくないのが実情です。 今回紹介する書籍の監修をおこなっている、NPO法人となりのかいごが2020年におこなった調査によると、「介護を自分の手ですることは親孝行になる」と考えている人が64.8%に上ったことが判明。一方で、その意識で頑張りすぎた結果、介護開始から3年以内に離職した人の割合も53.4%と、過半数を占めていることがわかっています。 また、一人で家族の介護を抱え込んでしまうと、そのストレスを高齢の親に向けてしまうケースもあります。 厚生労働省の「令和3年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」によると、2021年時点で、高齢者の世話をしている家族や親族、同居人などによる高齢者虐待の相談・通報件数は、3万6378件に達したことが明らかになりました。 介護離職や高齢者虐待など、家族介護にまつわるさまざまな課題を解決するには、「無理せずに家族を介護する方法」を模索することが不可欠なのです。 負担をかけずに遠距離介護をする方法 以上のような介護にまつわる課題を解決するために生まれたのが、今回紹介する『遠距離介護の幸せなカタチ――要介護の母を持つ私が専門家とたどり着いたみんなが笑顔になる方法』です。 この書籍では、柴田さんが、要介護4の判定を受けた母親の「東京に行かず、富山の実家で一人暮らしを継続したい」という思いを実現するためにおこなった試行錯誤を紹介。その上で、「どうすれば離職せずに介護できるか?」「遠距離の介護でどこまでできるか?」などといった、介護に関するさまざまな悩みを専門家がアドバイスするという内容になっているといいます。 「無理をしない介護」を実現するためには、今回紹介したような図書を読んだり周りの人にアドバイスを求めたりして、できるだけ多くの意見に耳を傾け、それらをもとに試行錯誤していく必要があります。介護の相談窓口として、地域包括支援センターも各自治体に設置されているため、介護の悩みがある方は早めに相談してみることをおすすめします。

2023/11/02

社会問題 高齢者の一人暮らし

身元保証などの支援サービスでトラブル!?身寄りのない高齢者に被害

高齢化社会が進展するにつれて、家族と連絡が取れない独り身の高齢者が増えています。 そんな中、家族に代わって入院時の身元保証や葬儀などをおこなう、民間サービスに関するトラブルの相談が消費生活センターに多数寄せられていることがわかりました。 今回、法規制も視野にトラブル対策を検討するため、国が実態把握の調査を開始しました。 身寄りのない高齢者が増加傾向 2023年8月7日、岸田文雄首相は身寄りのない高齢者が抱える実情を把握するため、東京都の豊島区役所を訪問。視察後、記者団に対し「安心して、民間事業者による身元保証などのサポートを受けられる仕組みをつくる」と述べたそうです。 2020年の国勢調査によると、全国における高齢者の一人暮らし世帯は約672万世帯で、20年前と比べて倍増したことが判明。特に、今回岸田首相が訪れた豊島区は、一人暮らしの高齢者の割合が全国の市区の中で最高水準にあることがわかりました。 民間の支援サービスでトラブル多発 身寄りのない高齢者を支援するため、入院や高齢者施設に入所する際の身元保証の代行や財産管理、葬儀の代行などのサービスを提供する民間業者が増加。中には、悪質な業者によるトラブルも少なくないといいます。 消費者庁の調べによると、消費生活センターに寄せられた、民間の支援サービスに関する相談件数は年間で平均100件にも上ることが判明。「年金を預かると言われて渡した通帳と印鑑が返ってきていない」「解約したいが返金額に納得できない」などの相談が寄せられているそうです。中には事業者が経営破綻して、預けたお金が返還されないケースもあるといいます。 トラブルの背景には、契約内容が複雑になりやすいこと、提供されているサービスが多すぎて自分に合ったものを選択するのが難しいことなどが指摘されています。 契約後にトラブルにならないためにも、時間をかけてサービスの内容を精査していくと良いかもしれませんね。

2023/09/20

地域の取り組み 特殊詐欺 高齢者の一人暮らし

留守番電話で詐欺を防ぐ!?高齢者に留守電の設定を呼びかけ

埼玉県上里町で、「留守番電話設定100%作戦」と名づけられた取り組みがスタート。警察官が高齢者だけで暮らす家を回って、留守番電話の設定を呼びかけました。 留守番電話に設定し、知らない人からの電話は出ないようにしてもらうことで、電話を使った詐欺の被害を防ぎたいとしています。 詐欺を減らす取り組みがスタート 埼玉県上里町では、去年にはなかった詐欺の被害が、今年になって急増していると言います。 そこで町は「留守番電話設定100%作戦」と呼ばれる取り組みを開始。警察官が、高齢者の家を回って、留守番電話の設定を呼びかけることにしました。 2023年6月18日、町役場で「留守番電話設定100%作戦」の出発式を開催。その後、管轄する警察署の署長らが高齢者の自宅を訪れ、家にいても留守番電話の設定にすることや着信音が鳴ってもむやみに電話に出ないことを呼びかけました。 訪問した家には、警察官が予告なしで電話をしてきちんと留守番電話の設定にしてあるかを確認。留守番電話の設定にしておらず、直接電話に出てしまった高齢者に対しては繰り返し設定を促していくそうです。 管轄する警察署の署長は「電話に出ると犯人との接点が生まれてしまうため、詐欺を防ぐためには知らない電話に出ないことが有効だ。今回の取り組みを通じて振り込め詐欺に強い町をつくっていきたい」と述べています。 警察は、町内に3000世帯ある高齢者の家を1ヵ月かけて回り、留守番電話の設定を呼びかけていくとしています。 詐欺の手口について 埼玉県警は、2023年5月末までの今年度の特殊詐欺認知件数を公開。特殊詐欺認知件数は484件、被害総額は11億8011万円だったことが明らかになりました。 埼玉県警によると、認知件数、被害総額ともに前年の同じ時期に比べて増加傾向にあるそうです。 また、以下のような詐欺の手口に遭う高齢者が多いため、特に注意してほしいと呼びかけています。 オレオレ詐欺:子や孫、配偶者などの親族を名乗って金銭をだまし取る詐欺 還付金詐欺:自治体職員などを名乗り、還付金を名目にATMを操作させて金銭をだまし取る詐欺 架空請求詐欺:有料サイトなどの架空の請求をメールやハガキで知らせて、金銭をだまし取る詐欺 預貯金詐欺:警察や銀行職員などを名乗り「口座が犯罪に使われている」などのうそを言って、キャッシュカードや通帳をだまし取る詐欺 以上のような詐欺の被害から身を守るためには、犯人からの電話に応じないことが大切。最近では、電話相手に警告メッセージを流し、音声を自動で録音する防犯機能付きの電話も発売されているため、不安な方は購入を検討してみても良いかもしれませんね。 参考:「特殊詐欺統計資料~発生状況と被害の特徴~」(埼玉県警HP)

2023/06/27

コロナ対策 地域の取り組み 高齢者の一人暮らし

電話1本で高齢者の買い物代行!コロナで外出できないときに

群馬県高崎市が市内のスーパーなどと連携して、食用品や日用品などの物資を、外出が困難になった高齢者に届けるサービスを2023年の9月から始めることを明らかにしました。 新型コロナや持病の悪化などで、外出が一時的に困難になった高齢者世帯を支えるねらいがあると言います。 外出困難な高齢者に物資を支援 2023年6月9日、群馬県高崎市は市議会定例会を開催。そこで新たなサービスを始めるための業務委託費などを盛り込んだ補正予算案を提出しました。 その新たなサービスとは「コロナ感染等高齢者世帯買い物SOSサービス事業」。外出が一時的に困難になった市内の高齢者に必要な物資を届けるサービスです。 対象者は、65歳以上の高齢者のみが暮らす約5万世帯で、かつ新型コロナの感染や持病の悪化などにより、買い物が難しくなった人だと言います。 高崎市が今回の支援を決めるのに至った背景としては、群馬県が自宅療養者への生活支援物資の提供をストップしたことが挙げられます。 新型コロナの感染法上の枠組みが5類になり、外出の自粛は要請されなくなりました。しかし、今後も体調の悪化などで買い物が一時的に困難になるケースは続くと判断し、今回のサービス事業を決断したそうです。 サービスの具体的な利用方法 では、どのように今回のサービスを利用すれば良いのでしょうか? 物資の配送を希望する人は事前登録をおこない、体調が悪化したときなど支援が必要になった場合に、市が指定する業者に直接電話をして商品を注文。自宅で商品を受け取るときに代金を支払うことになります。 また、今回のサービスでは利用回数に上限が設定されているとのこと。具体的には、一世帯当たり月2回、年24回までが上限になるそうです。 市は今後、配送システムを持つ事業者に委託し、今年の9月に運用を開始する予定です。 今回のようなサービスが全国的に普及していけば、体調が悪化して買い物が難しくなった高齢者でも、より安心して過ごせる社会になりそうですね。

2023/06/15

高齢者の一人暮らし

高齢者の孤独をAIキャラクターが解消!?自分だけの話し相手がスマホに

スマホアプリの制作などを手がけている株式会社タイムメルトは2023年5月9日、2023年内にリリースを予定している「高齢者向けAIトークアプリ」の事前登録キャンペーンを開始しました。 この事前登録をおこなうと、リリース時に1ヵ月間の無料チケットが付与されるそうです。 「高齢者向けAIトークアプリ」について 「高齢者向けAIトークアプリ」は、立体的に動く2Dイラストのキャラクターと会話できるというサービス。また、さまざまなパーツと組み合わせることで、オリジナルのキャラクターデザインを作れると言います。 自分好みのキャラクターと会話してもらうことで、高齢者の孤独感を和らげるねらいです。 さらに「高齢者向けAIトークアプリ」には、以下のような特長があるとしています。 攻撃的な言葉をあらかじめブロックし、優しい言葉で会話をおこなう「フィルター機能」 長期間にわたりアプリが起動しない場合に家族に通知をおこなう「安否確認アラート」 スマホ操作が不慣れな高齢者でも安心して利用可能な「カスタマーサポート」 「高齢者向けAIトークアプリ」のリリースにあたって、タイムメルトは事前登録キャンペーンをおこなうと発表。2023年5月9日~2023年5月21日の期間に事前登録をおこなうと、「高齢者向けAIトークアプリ」を1ヵ月間無料で利用できるチケットが付与されるそうです。 会話をする意義 誰かと会話をすることは、脳に良い刺激を与え、心身の機能を健やかに保つ効果があります。逆に、会話をする機会が減っていくと意欲がなくなったり、脳も使わないため認知機能が衰えたりするリスクがあります。 そして、この状態が長く続けば介護が必要な状態に陥ってしまうのです。 そうならないためにも、会話をする機会を増やすことが大切なのですが、近年、「会話をする人がいない」高齢者が増えている実情があります。 東京都が2015年におこなった東京都福祉保健基礎調査によると、「友人や知人との交流はまったくない」と回答した人が、85歳以上の男性・女性ともに約20%いることが明らかになりました。 また、一人暮らしをしている65歳以上の高齢者も年々、増加傾向。2019年の国民生活基礎調査によると、およそ半数の65歳以上の高齢者が一人暮らしをしているそうです。 身近に話す人が誰もいない高齢者が健やかに生きていくためにも、「高齢者向けAIトークアプリ」のような会話サービスが普及していくと良いですね。

2023/05/17

地域の取り組み 高齢者の一人暮らし

大学サッカー部の食堂が高齢者の交流の場に?カフェや介護予防教室も

神奈川県横浜市にある団地の一角で、大学の部活で使っている食堂を地域に開放する取り組みが始まりました。 この取り組みを実践しているのは神奈川大学のサッカー部。部員が中心となってカフェや介護教室などをおこなっているそうです。 団地の空き室を部員の寮として活用 2020年3月、神奈川大学と神奈川県住宅供給公社は、団地の活性化を目指して協定を結びました。高齢化が進んで人が減った団地を再び盛り上げるねらいです。 協定を結んだ神奈川大学は、エレベーターがなく、高齢者が住みにくい高層階の空き室をサッカー部の寮として活用。現在はおよそ60人の部員が団地で暮らしていると言います。 それからサッカー部は、部全体でさまざまな地域活動を実践。高齢者向けのスマホ教室を開いたり地域の清掃活動に参加したりしたそうです。 サッカー部の食堂を地域に開放 2023年4月17日、神奈川大学サッカー部は団地の一角に地域交流拠点をオープン。部員が食事するときにしか使われていなかった食堂を、平日の10~15時の間、地域住民に開放することにしました。 また、食堂では曜日ごとにプログラムが用意されています。具体的な内容は以下のとおりです。 月曜日:食堂やスパイス料理教室 火・木曜日:集団体操や個別の運動プラグラムを受けられる「介護予防教室」 水・金曜日:部員が店長を務める「竹山カフェ」 竹山カフェを運営しているサッカー部員は「団地はひとり暮らしの高齢者が多い。このカフェで交流を図っていきたい」と意気込みを見せました。 また、団地に住む高齢者は「団地は人も減り、高齢化も進んだ。ここは気軽に使えて活気もあるのでありがたい」と話しています。 高齢者が要介護状態になる要因のひとつに、「人と関わる機会が少なくなること」が挙げられます。人と関わらなくなることで、体を動かしたり外出したりする機会が減り、心身の状態が悪くなってしまうのです。 今回のサッカー部のような取り組みがあれば、人と気軽に関われて、高齢者の孤立感も軽減されるかもしれませんね。

2023/05/16

認知症対策 調査結果 高齢者の一人暮らし

高齢者の4人に1人は認知症に!?独居の認知症高齢者が増加する試算も

2023年4月26日、2024年度に控える介護、医療、障がい福祉の同時改定に向けた意見交換会がおこなわれました。 厚生労働省は、その意見交換会でテーマのひとつとして認知症を提示。超高齢化社会で認知症の人がさらに増えていくことが見込まれる中、対応策を考えるねらいがあります。 認知症をテーマに取り上げる意義 厚生労働省の推計によると、2040年には約800~950万人が認知症の高齢者になると予測されています。これは、65歳以上の高齢者のうち4~5人に1人となる計算です。 また、高齢者の一人暮らしも今後増加を続けることが予測され、2025年には85歳以上の男性の約7%、女性の約14%が認知症を患いながら一人暮らしをする高齢者になる可能性があるとのこと。さらにこの割合は、2025~2040年の25年間に男性では約3倍、女性では約2倍に増えると試算されているそうです。 このように、今後はだれもが認知症とともに生きる可能性があるため、対策を今のうちに考えておく必要があるのです。 認知症の早期発見・早期対応が重要 意見交換会では、今後、議論すべき課題についての確認や検討もおこなわれました。 その中で、「単独の認知症高齢者が増加することが見込まれる中で、認知症の早期発見と早期対応ができる体制を構築することが求められる」という意見が挙がりました。具体的には、以下のように重層的な体制を構築する必要があるとしています。 日頃から、単独の認知症高齢者が社会参加活動をおこなえる地域づくり かかりつけ医による定期的な健康管理 医療機関や高齢者施設等で適切なサービスが提供されるための取り組み 介護の窓口となる地域包括支援センターと認知症疾患医療センターの連携 ほかには、「一人暮らしの高齢者は、情報の入手や必要なサービスにアクセスすることが困難になること、社会的に孤立するリスクが高まることなど多くの課題が残されている」という指摘などもありました。 認知機能が大きく衰えると、日常生活のちょっとした判断も難しくなります。認知症のある人が生きやすい社会にするために、お互いが協力できる地域づくりをしていきたいですね。 参考:「介護報酬の算定構造」(厚生労働省)

2023/04/26

介護予防 認知症予防 高齢者の一人暮らし

孤独な高齢者を救え!おしゃべりロボット「あのね」で孤立感を緩和

セコム株式会社は、ロボットを使った高齢者向けのコミュニケーションサービス「あのね」をDeNA、ユカイ工学株式会社と共同開発。2023年4月3日に販売開始することを明らかにしました。 「あのね」は雪だるまのような形をしたコミュニケーションロボット。高齢者の孤立感を緩和し、認知機能などの維持と向上を図るとしています。 「あのね」を開発した背景 セコム株式会社などの開発チームが、「あのね」を開発した背景には高齢化があると言います。 内閣府が2017年に実施した「高齢者の健康に関する調査」によると、一人暮らしの高齢者の約半数は2~3日に1回くらいしか会話をしていないそうです。このような孤立状態が続くと、認知機能や身体機能が大きく衰えてしまうリスクがあります。 そこで、こういった状況を打破するために「あのね」を開発することにしたのだそうです。 「あのね」の特徴 コミュニケーションロボット「あのね」には以下のような特徴があります。 24時間365日リアルな会話が楽しめる ユーザーの生活パターンに合わせた声かけを実施 高齢者でも使いやすい設計 「あのね」は、ユーザーの生活パターンに合わせて、1日10回程度、定期的なメッセージを配信。配信メッセージの内容は、服薬の声かけ、朝・昼・夜の時刻のあいさつ、雑学情報など多岐に渡ります。 また、配信は24時間コミュニケーターがシステムを活用しながら作成し、返信するため自然なおしゃべりが可能だそうです。 さらに、初期設定は不要。電源を入れるだけで使用できるので、高齢者でも使いやすいものとなっています。 年を重ねるにつれて家族との死別など喪失体験が増えるため、気分がふさぎがちになる高齢者は少なくありません。こういったとき、「あのね」のようなコミュニケーションロボットがいれば、少し前向きになれるかもしれませんね。

2023/03/28

介護予防 最新研究 高齢者の一人暮らし

一人で食事する高齢者は老衰リスクが61%上昇!?誰かと食事する機会を

新たな研究で、一人で食事を摂る高齢者はそうでない高齢者より早く老化することが明らかになりました。 この研究は三星(サムスン)ソウル大学病院によっておこなわれ、研究結果は「実験高齢者学」という学術誌に掲載されました。 老衰とは 今回の研究において、「老衰」は「老化が進行する過程で身体や認知機能が低下して、障がいや病気になる可能性が高くなった状態」と定義されています。 加えて、今回の研究をリードしているソン・ユンミ教授は、老衰の段階を測る指標を発表しています。 発表された指標は以下のとおりです。 体重の減少 筋力の減少 疲れを訴えることが多くなる 歩く速度の低下 身体活動量の低下 これらの指標のうち、1~2つ該当したら「老衰前段階」、3つ以上該当したら「老衰段階」としました。 孤食で老衰のリスクが上昇 研究グループは2016年から2年間にわたって、韓国在住の70~84歳の高齢者2072人の食生活と老衰の相関関係を追跡調査。その結果、一人で食事をすることが多い高齢者は、誰かと一緒に食事を摂る高齢者に比べて老衰のリスクが61%高いことが明らかになったのです。 また、一人で食事を摂る高齢者は、体重が落ちた人の割合がそうでない人に比べて3倍高いことが判明。さらに、一人で食事をする女性の高齢者高齢女性では歩く速さが遅くなった人の割合がそうでない人より2.8倍高いこともわかりました。 ただ、研究グループによると、一人で食事をする習慣があった人でも誰かと食事をするようになれば、身体の状態が回復する可能性があるそうです。 研究グループが、一人で食事を摂っていたが誰かと食事するようになった高齢者136人の身体の状態を調べたところ、老衰前段階や老衰段階にあった人の割合が3%程度低くなったことが明らかになったのです。 今回の結果を受けて、ソン教授は「一人で食事を摂る生活を続けていると、老衰の原因となる栄養不足やうつ病、社会的孤立などを誘発するリスクが高まることがわかった」と指摘。また「誰かと一緒に食事ができる機会を提供するような政策アプローチが必要だ」と述べました。

2023/01/20

社会問題 調査結果 高齢者の一人暮らし

高齢者の孤独リスクを「ドキドキドッキョ指数」で診断!独居に潜む危険とは

大阪で地域包括支援センターの運営などをおこなっている株式会社コーミンが、高齢者の一人暮らしに潜むリスクを診断できるWEBサービス「ドキドキドッキョ指数」を公開しました。 同社は「一人暮らしの高齢者の生活状況を客観的に測ることで、高齢者が抱える潜在的なリスクを発見したい」としています。 「ドキドキドッキョ指数」について スマホやパソコンから「ドキドキドッキョ指数」のページに入ると、簡単なアンケートを受けられます。このアンケートに答えるだけで、一人暮らしをしている高齢者が、安全で幸せな一人暮らしを送れているかがわかるのです。 アンケートは、「生活維持力」「心と身体の健康」「住んでいる町との関係性」の3つのパートで構成されています。 例えば「生活維持力」に関するアンケートでは、以下のような質問があります。 自分で食事を用意できるか 金銭の管理ができて、買い物や公共料金の支払いができるか 約束の日時や要件を忘れないか 以上のような質問に「いいえ」という答えが多かったら、生活の維持に必要な気力や認知機能が衰えていると考えられるそうです。 また「心と身体の健康」のパートでは「不安なとき相談できる人がいるか」という質問があります。もしこの回答が「いいえ」だったら、その高齢者は孤立している可能性が考えられるでしょう。 「ドキドキドッキョ指数」を開発した株式会社コーミンは「『ドキドキドッキョ指数』を通じて孤立化する高齢者を減らすことに貢献していきたい」としています。 高齢者の一人暮らしに関する調査 国は2014年に高齢者の一人暮らしに関する調査を実施しました。 一人暮らしをしている高齢者に対し「今の自分の生活に満足しているか」と尋ねたところ、約80%が「満足している」と回答したことが明らかに。一方、約20%の人は「満足していない」と回答していて、男女別に見ると男性のほうがより満足していない傾向にありました。 また、「子、友人、兄弟姉妹など、喜びや悲しみを分かち合う相手がいるか」という問いでも、約20%の人が「分かち合う相手はいない」と回答しています。 以上のことから、一人暮らしをしている高齢者全体では暮らしに満足している人が多いものの、孤独を感じている人も一定数いることがわかりました。 今回紹介した「ドキドキドッキョ指数」などで、周りの高齢者が孤独に生活している可能性に気づいたら、話を聞いてみる機会を設けると良いかもしれませんね。

2022/12/20

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY ▶介護付き有料老人ホームの費用に関してはこちらのページをご覧ください 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

グループホームとは認知症高齢者のための介護施設で、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスのこと。正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 費用や入居条件などの主な特徴は以下の通りです。 入居時費用約0円~100万円月額利用料約15~30万円入居条件要支援2以上認知症の受け入れ重度認知症も受け入れ可看取り対応対応していない施設が多い この記事では、各項目について詳しくご説明していきます。ご家族が認知症で、在宅での介護生活に不安のある方などはとくに、グループホームへの入居検討の際の参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM グループホームの特徴 グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 項目 ...

2021/11/15

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