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社会保障費

介護制度 社会保障費 社会問題

訪問介護事業所の36%が赤字!?介護報酬減少で倒産する可能性も…

厚生労働省(以下、厚労省)がおこなった調査にて、介護スタッフが高齢者の自宅ヘ訪れて食事などのサービスをおこなう「訪問介護事業所」のうち、全体の36.7%が赤字経営だったことがわかりました。 この結果は、先日おこなわれた「介護報酬改定」の決定事項について再調査の要求を受け、新たに訪問介護事業所の利益率の分布状況を集計したところ判明しました。 実際の現場では約4割の訪問介護事業者が赤字経営!? 2024年1月22日におこなわれた「介護報酬改定」にて、厚労省は「訪問介護は、ほかの介護サービスと比べて十分な黒字を確保している」として、報酬改定で訪問介護の基本料の引き下げをすることを決めました。この結果は、2023年11月に厚労省がおこなった介護事業所の経営実態についての調査を踏まえたうえでの決定です。 厚労省がおこなった介護事業所の経営実態についての調査では、訪問介護事業所全体の平均利益率は7.8%と、ほかの介護サービスと比べて十分な黒字を確保していると判断されました。 しかし、再調査の要求を受けて、あらためて訪問介護事業所の利益率の分布状況を集計したところ、赤字を意味する「利益率0%未満」の事業所は、全体の36.7%あることがわかったのです。 小さな訪問介護事業所は事業を続けられない可能性も 2023年11月の調査と、あらためておこなった調査を踏まえると「訪問介護事業所の全体で見ると黒字だが、赤字の訪問介護事業所は約4割もある」という結果となりました。全国保険医団体連合会では、「大きな訪問介護事業所では利益率が高く、小さな訪問介護事業者は調査に応じる余裕がなく無回答だったために出た結果の可能性がある」と考えています。 訪問介護の基本報酬が引き下げられると、事業の維持・管理に費やす費用が減るので小規模の訪問介護事業者は事業を続けられない可能性も。また、「報酬が少ないので介護スタッフを雇えない」「給料が少ないので転職したい」などの理由で介護スタッフが減少する可能性もあります。 訪問介護の基本報酬を引き下げるというニュースは、以前より訪問介護を利用していた人や、その家族にとっても不安なニュース。現在は、「実際の現場を見て判断してほしい」と声を上げている団体が多くあります。介護を受ける人はもちろん、介護を提供する事業者も安心して利用できる体制になって欲しいですね。 参考:全国保険医団体連合会

2024/03/12

介護制度 社会保障費

要介護1・2の人の介助をボランティアが担う?総合事業化で支出削減を

財務省では2023年5月11日、専門家が集まる諮問委員会を開催。そこで、要介護1と2の高齢者への訪問介護や通所介護を、市町村が運営する「日常生活支援総合事業(通称:総合事業)」に移行する構想の具体化を、改めて訴えました。 この構想については、以前から何度も議題に挙がっているのですが、反発も多く、2024年度からの実行を見合わせた経緯があります。 総合事業について そもそも「総合事業」とはどのような事業なのでしょうか? 総合事業とは、これまでは要支援に該当している人を対象に実施され、高齢者が自立した生活を続けられるように支援することを目的とした事業です。 上限がない介護給付と異なり、総合事業の予算には上限があるため、政府が支出をコントロールしやすいというメリットがあります。 しかし、総合事業の中核を担う人は、介護の経験が浅いボランティアがほとんど。要介護1や2に該当している高齢者は認知症の人も多く、彼らが適切なケアを受けられなくなるリスクが指摘されていますました。 財務省が総合事業への移管を要請 2023年5月11日、財務制度等審議会の財務制度分科会がおこなわれ、今後の社会保障制度の改革について話し合われました。 そのときの議題のひとつとして挙げられたのが、要介護1・2の人の訪問介護や通所介護を総合事業に移行させるという案でした。 委員からは「今後も、介護サービスの需要の大幅な増加が見込まれる中で支援を継続していくためには、地域の実情に合わせて多様な人材や資源の活用を図るべきだ」「段階的にでも、効果的・効率的なサービス提供を可能にすべきだ」などと、総合事業への移管を要請する声が相次ぎました。 要介護1や2の人の中には、足腰はしっかりしていても認知機能が大きく低下していて、簡単な会話もが難しい人がもいます。高齢者が適切なケアを受けられる環境を守るためにも、介護現場の意見も聞きながら調整していってほしいですね。 参考:「財務制度等審議会財務制度分科会資料 財政各論③:こども・高齢化等」(財務省)

2023/05/18

社会保障費

「高額介護サービス費」の支給もれ1800万円!?市職員の引き継ぎミス

長野県駒ヶ根市が約2年間にわたって、使った介護サービス費の一部を支給する「高額介護サービス費」の支払いをおこなっていなかったことが明らかになりました。 職員の引き継ぎがうまくいかなかったものと見られています。 高額介護サービス費とは そもそも、「高額介護サービス費」とは何でしょうか? 高額介護サービス費とは、1ヵ月間に支払った介護サービス費の自己負担額の合計が限度額を超えたときに、超過分を自治体が支給する制度のこと。限度額は所得によって異なるものの、一般的な所得の人は月額4万4000円が限度額となっています。 駒ケ根市の高額介護サービス費が未払いに 2023年3月10日、駒ヶ根市は釈明をおこなう記者会見を実施。そこで、2021年2月~2022年11月まで新たに介護サービスを利用した267人の高額介護サービス費の支払いを怠っていたことを明らかにしました。未払い額は、およそ1800万円に上ると見られています。 市によると、職員の人事異動の際にきちんと引き継ぎがされず、2021年2月以降、対象者に通知を送っていなかったとのこと。先月にあった市民からの問い合わせがきっかけでサービス費の未払いが発覚したそうです。 駒ヶ根市の伊藤祐三市長は、会見で「行政への信頼を低下させてしまい申し訳ない。こういった事態を起こさないように努めていきたい」と謝罪しました。 市は対象者全員に申請書類を送って手続きを進めるほか、チェック体制も強化していくとしています。また、亡くなった対象者については、さかのぼって遺族がサービス費を申請できるとしました。 介護サービスは長い年月利用するため、お金もかかります。お金がなくなって介護サービスを継続できないという事態にならないように、市には再発防止を徹底してもらいたいですね。

2023/03/15

介護予防 在宅介護 社会保障費

要介護1・2の「介護保険外し」が見送り。「専門職の関わりが不可欠」

2022年12月19日、厚生労働省は要介護1と2の訪問介護と通所介護を介護保険給付から外し、地方自治体が運営する事業に移管する案を、次回の介護保険制度の改正では見送る方針を固めました。 この議論については賛否両論あり、議論を深めるのが難しかったと見られています。 総合事業とは 以前から議論になっていた論点のひとつに、要介護1と2の人が受ける訪問・通所介護を、市区町村が運営する「介護予防・日常生活支援総合事業(通称:総合事業)」に移管するという案がありました。 総合事業とは、「一部支援を必要とするが日常生活はほぼ問題ない人」を対象とし、その人らが要介護状態にならないようにサポートするというものです。 また、介護福祉士など専門的な資格が必要な介護事業と違って、総合事業は資格のないボランティアスタッフが担い手の中心になります。 総合事業は、報酬金額が一律に決まっていて予算に制限のない介護給付と違って、各自治体が独自に報酬を決めることができ、予算に制限もあります。そのため、介護保険給付で介護サービスの費用を賄うより安く済むため、国は要介護1や2の人の一部サービスを総合事業に移管しようとしていたのです。 議論について 介護サービスの一部を総合事業に移管する案について賛成している委員からは「より重度な要介護度3以上の人に対象を絞ることで、より効率的に専門的な介護サービスを提供できる」「保険給付の増加を抑制できる」などの意見がありました。 その一方で、「要介護1や2に指定されている人は認知症の人が多く、専門職の関わりが不可欠だ」など反対意見も多数挙がっていました。 淑徳大学で介護保障論を研究している結城康博教授は、「長い目で見ると、要介護度1や2の人に重点的に専門的なサービスを受けてもらい、要介護度3以上の人を増やさないほうが介護費用を抑えられる」と発想の転換を呼びかけています。

2022/12/22

介護制度 社会保障費

介護保険料引き上げの結論は先送りに。結論は来年夏に

12月19日、厚生労働省は、一定以上の所得がある65歳以上の高齢者に対し、介護保険料を引き上げる案を年明け以降も協議していく方針を固めました。 厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会にて議論を重ね、遅くとも来年の夏には結論を出したい構えです。 介護保険料引き上げについて 現在、65歳以上が対象になっている介護保険料の引き上げが図られています。 その理由は少子高齢化です。現役世代が減少する中、都市部を中心に高齢者の数は年々増加し続けており、制度の存続が危ぶまれています。 今後も制度を存続させるために、一定水準以上の所得がある高齢者に対し保険料を引き上げるという案が出たのです。 この案に対し「負担能力のある高齢者に対しては相応の負担を求めていくべきだ」という声がある一方で、「急激な負担の増加は高齢者の生活に大きな影響が出る」などと反対意見も多数挙がっていました。 そのため、今後も検討を重ね、来年以降も議論を深めていくと結論づけたのです。 議論の内容 介護保険料の引き上げについて、介護保険部会では毎回のように意見が二分しています。 12月19日に開かれた部会でも、出席委員から「高齢者の生活実態を調査し、本当に値上げしても生活を維持できるのか検討すべきだ」と保険料引き上げについて慎重な意見がある一方で、「何ひとつ議論が進展していない」「優先度の高い改革は早急に手を打つべきだ」など保険料引き上げを急ぐ意見もありました。 淑徳大学で社会保障論を研究している結城康博教授は「高齢者やその家族にとって、介護保険制度の改正は非常に重要な問題だ。高齢者の生活の影響なども踏まえて、負担の増加ありきではなく、慎重に議論を重ねていってほしい」と結論を急がず、さまざまな観点から議論を進めていくように指摘しています。

2022/12/22

社会保障費 社会問題

高齢者の医療保険料が上がる!?出産育児一時金の財源を高齢者が担う形に

12月14日、政府の次世代型保障構築会議は、社会保障に関する改革案をまとめた報告書の全容を明らかにしました。 主に、子育て世帯へ経済的支援を強化することや、高齢者の所得に応じて医療費を負担してもらうことなどが盛り込まれています。 報告書案の内容 政府は「少子化は国の存続に関わる問題だ」と指摘するほど、急速に進行する少子化に危機感を募らせています。そのため、今回、明らかになった報告書案では、子育て世帯や若者世代への支援を拡充することを最優先課題に挙げていました。 具体的には、出産時に医療保険から支給される出産育児一時金を、2023年の4月から現行の42万円から50万円に引き上げるという案が盛り込まれました。 また、その財源を確保するために、政府内では75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度の保険料から費用の一部を拠出する仕組みを作るべきだとする意見も上がっています。 後期高齢者医療制度の保険料から出産育児一時金の財源の一部を補うためには、後期高齢者医療制度の保険料を増額する必要があります。実際、議論の中では、低所得者に配慮しながらも負担できる人には相応の負担を求めていくべきだという意見が出ているのです。 ほかにも、中学生以下の子ども1人当たりに支給している児童手当の拡充や、子育てと仕事が両立しやすくする制度の導入などが、子育て世帯や若者世代への支援策として報告書案に盛り込まれています。 加速する少子化 年々、少子化がますます進行しています。厚生労働省の月次統計からの推計によると、2022年の出生数は過去初めて80万人を下回る見込みです。これは、今まで推計されていた将来人口よりも7年も早いペースで少子化が進行している計算になります。 国立社会保障・人口問題研究所の調査で、結婚している夫婦に対し「自分たちが理想とする数を生まない理由」を尋ねたところ、一番多かったのが「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という回答でした。 政府は、少子化を止めるために、高齢者も子育て世帯への経済的支援に加わってもらう方針を打ち出しています。そのため、高齢者が負担するお金がこれから増えていく可能性があります。 ただ、生活が厳しい低所得の高齢者にしわ寄せがいかないように、調整してほしいところです。

2022/12/19

社会保障費 高齢者の医療費負担

高齢者の医療保険料は段階的引き上げに。年収211万円以上が対象

厚生労働省は、75歳以上の後期高齢者が加入する後期高齢者医療制度にて、保険料の上限額を年間66万円から80万円にする案を政府に提出していました。 しかし、政府から「急激に負担が増えすぎる」と反発があったため、3年後の2025年度までに徐々に保険料を引き上げる案を示しました。 これまでの議論 厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の医療保険部会では、高齢化社会の中でも制度を維持していくため、高齢者がそれぞれの負担能力に応じて保険料を支払うような仕組みを強化する案が出ていました。 具体的には、一定の収入がある人を対象に「保険料の上限額を年間66万円から80万円にする」というものです。 さらに部会では、加速する少子化についても言及。新型コロナの流行が影響し、出生数の低下が推計されていたものよりも7年早まっていることが明らかになりました。 そのため少子化を止めるために、高齢者世代にも子育てにかかるお金の一部を負担してもらおうという声が議論の中で上がったのです。そこで生まれた案が、後期高齢者医療制度で出産育児一時金の一部を賄うというものでした。 その出産育児一時金に拠出する財源を確保するためにも、後期高齢者医療制度の保険料の上限を上げようとしていたのです。 保険料の引き上げ案を政府に提出 厚生労働省は、後期高齢者医療制度の保険料の上限額を66万円から80万円に引き上げるという案を提出しましたが、政府内で急激な負担の増加を懸念する声が上がりました。 そのため厚生労働省は、政府に保険料の上限額を2024年度に73万円、2025年度に80万円と段階的に引き上げる案を提出したのです。 2024年度から保険料が上がるのは211万円以上の年収がある人が対象となっていて、全体の27%に相当します。 この案に対し、会議に出席した議員から反発はなかったそうです。 今後、厚生労働省は、社会保障審議会にて今回政府に提示した案に関する議論をおこない、年内に正式決定するとしています。

2022/12/15

社会保障費

デイサービスと訪問介護が合わさった新サービス登場?柔軟なサービスを

12月5日、厚生労働省は、介護保険制度の今後について話し合う社会保障審議会の介護保険部会で、次の介護保険制度の改正に向けた意見書の案を提示しました。 これをもとに議論を深め、年内には意見書の内容を確定させたいとしています。 意見書の内容 現在、都市部を中心に高齢者人口はますます増加しており、介護サービスの供給が追いついていない現状があります。 それを踏まえ、限られたで増大する介護ニーズに限られた人員で応えるために、訪問介護や通所介護などの複数の介護サービスを組み合わせた、複合型サービスを提供する方針が意見書に盛り込まれています。 複合型サービスにすることで訪問介護事業所が需要に応じてデイサービスも運用するなど、状況に合わせて柔軟な介護サービスを地域の高齢者に向けて提供することができるようになるのです。 また意見書には、定期巡回訪問介護や夜間対応型訪問介護など、機能が重複しているサービスを将来的に統合・整理する方針も記載されています。 今後について 意見書には、介護保険部会の中で活発に話し合われた「高齢者の介護保険料の負担を今後どうするか」など給付と負担のあり方に関する議論は一切反映されていません。 政府は、少子高齢化の中で介護保険制度を存続させるためにも適切な負担を求めていきたいとしていますが、「保険料が上がり高齢者の負担が増えることで、高齢者が適切な介護サービスを利用できなくなる」などといった反対意見も根強く、調整が難航していると見られます。 また以下の議論については、反対多数で決定を見送る方針です。 要介護1・2の通所介護や訪問介護の生活援助サービスを、地方の生活支援事業に移管すること 介護が必要な人に対して介護計画を立てる「ケアプラン」の有料化 この意見書の内容次第で、介護保険制度がどう改正していくのかが決まってきます。今後も注視していく必要がありそうですね。

2022/12/07

社会保障費 社会問題

介護保険の自己負担増額の議論は平行線。年内の決着は見送りに

厚生労働省は、65歳以上の高齢者が負担する介護保険料の引き上げを議論していましたが、その結論の年内の取りまとめを見送ることを、12月1日に明らかにしました。 これから少子高齢化がさらに進むことを見込んで、持続可能な制度にするために介護保険料の議論が始まりました。しかし、物価高騰などを背景に保険料の引き上げに反対する人も多く、現段階では国民の理解を得られないと判断したそうです。 介護サービス料の負担引き上げを先延ばしに 厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会の介護保険部会では、65歳以上が毎月支払う介護保険料を、一定以上の所得がある人には引き上げて所得が低い人には引き下げるかどうかを議論していました。 またこの議論の中で、介護サービス料をどれくらい負担するかも大きな論点となっています。 現在は、90%以上の人の介護サービス料が1割負担。で、2割負担や3割負担の人はそれぞれ5%未満です。そこで基準を見直して、2割負担や3割負担の人を増やす方向で年内の取りまとめを目指していました。 しかし、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の自己負担割合が、一定水準以上の所得がある人を対象に1割から2割負担に引き上げられたばかりで、負担の急激な増加が懸念されていたのです。 介護保険部会は介護保険料に関する取りまとめを見送り、来年以降も議論をしていく予定です。 介護保険制度改正に関するこれまでの議論 これまで、何度も介護保険料の自己負担の見直しについて議論されてしてきました。 介護保険の負担の見直しに前向きな関係者からは、「超高齢化社会の中で介護保険制度を今後も持続させるために、介護保険料の利用者負担を原則2割に引き上げるべきだ」という意見がありました。 一方で、「利用者負担が重なれば介護保険制度そのものへの不信につながる」といった声や、「高齢者の多くが生活が苦しいと言っている中で保険料の負担を引き上げてしまうと、必要な介護サービスの利用を控える人が出てくるのではないか」といった反対意見も数多く出されていました。 議論の決着はできませんでしたが、納得できる介護保険制度の改正のためにも、議論をさらに深めていってほしいですね。

2022/12/05

社会保障費 社会問題

ケアプラン有料化が先送りに。利用者負担が減る一方で課題も…

11月28日、介護保険制度の今後を話し合う社会保障審議会福祉部会は、介護サービスを利用する前に作成する介護計画「ケアプラン」の有料化を先送りにする方向で進んでいることを明らかにしました。 ケアプランの有料化を先送りへ ケアプランを有料にするという議論は、以前からおこなわれていましたが、その度に賛成派と反対派に二分され、議論は平行線をたどっていました。 有料化に前向きな人からは、「将来的なケアマネジャーに対する財源や人材を確保するという観点から利用者負担を求めてもいいのではないか」という意見がありました。 一方で「現在、経済が低迷している状況の中でこれ以上の負担を強いるべきではない」「低所得者層が利用を控えるおそれがある」などと反対の声が多数あったため、ケアプランの有料化は先送りにする方向になったのです。 これを受けて、現役のケアマネジャーからは「非常に残念だ。有料化にした方がケアマネの質も上がるはずだ」などとケアマネジャーの質の確保を懸念疑問視する声も挙がっています。 総合事業への移管も先送り もうひとつ、介護保険制度の改正で注目が集まっていた議論が、「要介護度1と2の人の生活援助サービスを、介護保険の枠組みではなく、地方主体の自立生活支援制度である総合事業に移管しよう」というものでした。 こちらも、今回の介護保険部会で先送りにする予定であることが明らかになりました。 軽介護度の人の生活援助は総合事業に移管しようという案に対し、関係者からは「要介護度1や2は認知症の人が多く、地方自治体はその受け入れ態勢が十分でない」「重度化を防止するためには専門職の関わりが欠かせない」などと反対する意見が多数出されていたのです。 2024年度の介護保険制度改正に向けて、議論も佳境に入ってきています。今後の動向に注目です。

2022/12/02

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

介護の基礎知識

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